概要・あらすじ
百姓の武造は、留守中に落武者により母と姉を惨殺されてしまう。落武者たちの後を追い、かたき討ちをしようとするが返り討ちにあう。そんな彼を救ったのは、別の野盗集団、風盗だった。家を失った武造は、そのまま風盗に加わることになる。その後、村を襲う計画を立てていたおかしらに、武造は武家屋敷を襲うべきだと提言する。
その言葉に心を動かされ、風盗は領主の武家屋敷や輸送隊を襲撃していく。しかし、相手は戦いの専門家であり、風盗は領主の軍に敗れ追い詰められていく。
登場人物・キャラクター
武造 (たけぞう)
山神弾正の領内に住む百姓の青年。真面目で正義感が厚い。落武者に家族を殺され、夜盗の風盗の一員に身を落とす。傲慢な支配者である侍を憎み、その鼻を明かしてやろうと考えるようになる。鮎の突き漁を得意とし、その技を生かした投げ矢で敵の急所を突く。
艶 (えん)
山神弾正の娘。居丈高で気位が高い美姫。屋敷に攻め込んできた武造の捕虜になり、無理やり手籠めにされてしまう。だが武造に惚れてしまい、彼の動向を気にするようになる。武造が領主につかまった時には、見張りの酒に睡眠剤を混ぜ、彼を逃がしている。
おかしら
風盗の首領を務める。通常は角付きの兜を被り、目の下まで影で隠されている。元は武士だったが、主君が妻に目をつけ、側女として召し上げられてしまった。それ以降、世を拗ね、盗賊に身を落としてしまった。領主によって包囲された時に重傷を負い、隣国へと逃走するが、落ち武者と間違われて始末されてしまう。
大五郎 (だいごろう)
風盗に加わっている凄腕の剣士。ハチマキをつけ、結び目を顔前に垂らしている。おかしらに次ぐNo.2の地位にあり、おかしらが倒れた後は風盗を率いるようになる。緊張すると笛を吹く癖がある。
文吉 (ぶんきち)
風盗のメンバーの一人。丸顔で人が良く、世話好きな男。昔は農民だったが、戦乱に巻き込まれ妻子を失い、野盗に身を落としたという。武造と共に村へ買い出しに出かけたところを、巡回していた武者に偽百姓と見破られて殺された。
時造 (ときぞう)
風盗のメンバーの一人。髪を後ろで乱雑に縛った青年。元は木こりだったという。鎧を身に着けず、身軽な動きで短刀を手に馬上の武者にとびかかり、急所を突いて倒していく。武造と共に最後までに生き残り、自分たちを騙した空念に意趣返しとばかりに襲い掛かって討死する。
権十 (ごんじゅう)
風盗のメンバーの一人。頭に鉢金を巻き、もみあげが顎鬚とつながった面相をしている。山神弾正の軍勢に荒鷲山が包囲されたときにはおかしらを庇い、銃弾に倒れている。
彦三 (ひこぞう)
風盗のメンバーの一人。蓑を被り、弓矢を身に付けている。元はかりゅうどで、素早く動き回る間者をも射落とす腕を持つ。
山神 弾正 (やまがみ だんじょう)
武造たちが住む地域の領主。顎鬚を生やし、策を弄しては高笑いをする悪領主的な描かれ方をしている。時に敵領土に攻め込み、また攻め込まれ、領土を守ることに腐心する戦国時代の典型的な豪族のひとり。
空念 (くうねん)
山神弾正に風盗を利用しての策を提言した老僧。風盗に、領内を荒らさないこと、敵国からの間者の侵入を防ぐことを条件に、存在を黙認すると伝えに行った。少林寺拳法を身に着けており、領主の罠から生き残った武造と時造の襲撃を軽々と躱している。
集団・組織
風盗 (ふうとう)
『風盗伝』に登場する野党集団の名称。山神弾正の領内にある荒鷲山を根城にしている。元武士のおかしらを頭目に、厳しい掟により統率され、腕利きの野党が参加している。構成員のほとんどが戦乱によって食い詰めた農民や木こりだった。疾風のごとき行動から名付けられたが、実際に名前が出るのは第2話のエピローグのみ。