幼女戦記

東京のとある会社、粛々と仕事を処理していたエリートサラリーマンが、社員一人をリストラした。そこから全てが始まった。彼は感情を表に出さないクールなタイプで、恐ろしさすら感じさせる男。順風満帆にエリートコースを歩んでいたが、駅で電車を待っている時、リストラした社員にホームから線路へと突き落された。人生が終わったはずだったが、死の淵で創造主と出会う。彼の合理的で冷淡な態度は神の逆鱗に触れた。そして非科学的な世界、機械と魔法が発達した世界に幼女として転生させられたのだった。カルロ・ゼンの小説『幼女戦記』のコミカライズ作品。異世界で少女に転生した元日本人男性のターニャ・フォン・デグレチャフの軍人としての活躍や、帝国を中心に繰り広げられる世界大戦の様子を描く。「月刊コンプエース」2016年6月号から連載の作品。原作小説は、2017年1月からTOKYO MXやAT-XでTVアニメ化もされた。

正式名称
幼女戦記
ふりがな
ようじょせんき
原作者
カルロ・ゼン
漫画
ジャンル
戦争
レーベル
角川コミックス・エース(KADOKAWA)
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あらすじ

第1巻 

魔法と機械が発達した異世界。レガドニア協商連合の越境侵犯に対して帝国が宣戦を布告した。その戦闘に小学生くらいの少女・ターニャ・デグレチャフが参戦していた。帝国軍航空魔導少尉の少女だ。しかし、彼女の中に入っているのは別人格だった。その別人格は大人の男性。日本の会社でリストラを宣告する立場のエリートサラリーマンだった。ところが、彼がリストラした社員に逆恨みされ、駅のホームで線路上に突き落とされて人生が終わった。ふと気がついた彼の目の前には老人が立っていた。自身を創造主と呼ぶ老人だったが彼は全く信じず、謎の存在Xと呼ぶことにした。神を信じない男に対して謎の存在Xは、信仰心に目覚める世界へと転生させると言った。こうして彼は魔法と奇跡の世界の中で再び人生をやり直すこととなった。

彼は幼女の姿ながらも、転生した世界で元の人生と同様にエリートぶりを発揮した。次々と戦績を上げて昇進、後に英雄の証でもある銀翼突撃章を授与される。そしてその才能を認められ、新型宝珠の開発に参加することとなった。新型宝珠は不安定で度重なる失敗を重ねるも、存在Xの力により真の力を発揮することとなる。

 第2巻

 陣地待機中に新たに赴任したヴィクトーリヤ・イヴァーノヴナ・セレブリャコーフ伍長は、義務兵役としてターニャ・デグレチャフ少尉と戦場へと向かった。そして彼はライン戦線防御陣地にて初めての戦争を体験し生き残った。デグレチャフ少尉とツーマンセルとなったセレブリャコーフ伍長は次第に強い軍人へと成長していく。

彼らの隊は敵魔導二個中隊と遭遇した友軍を救援するべく出動する。だが友軍観測手が撃墜され救援に失敗。しかし仕事はしなければならんとエレニウム九五式を持つターニャは敵を砲撃し撃破した。「ラインの悪魔」と叫び突撃してくる敵は、ネームドと呼ばれる共和国軍の精鋭部隊であった。多少は活躍しておかないと戦功評価に差し障ると判断したターニャは、空間爆撃を開始。強大な力は敵を一掃し、生き残ったのは彼女一人だけだった。デグレチャフ少尉は数々の戦功や上官からの推薦もあり、11歳にして軍大学へと入学することとなった。年齢が若すぎるし、人格が異常だと人事局は判断していたが、それでも才能は認められた。ついに彼女は目標としていた安全な後方勤務で穏やかな人生を歩み始めたのだった。 

第3巻 

軍大学へと入学したターニャ・デグレチャフ中尉は、参謀本部戦務参謀次長ハンス・フォン・ゼートゥーア准将と会う。准将から今の戦争について問われると、ターニャは好感度アップのために今後の戦況予想を断言する。主要列強の大半を巻き込む大戦へと発展していくに違いないと述べたのだ。ゼートゥーア准将との知的な会話の中で「覇権国家」という言葉を口にした時、准将の表情が一瞬変わる。ターニャの人格は存在していた本来の世界で、すでに大戦を経験しているため、その知識を使い今後の展開を予想したのだった。見事に准将との会話を成立させたターニャは安全な後方勤務を目指していたのに、意に反して一個大隊を任されることになる。

帝国軍参謀本部作戦局では、ルーデルドルフ准将から辞令を受けたエーリッヒ・フォン・レルゲン中佐が北方ノルデンの視察に行くことになる。その途中、渡されたゼートゥーア准将の論文を読む。そこには初めて聞く「総力戦」「世界大戦」という言葉が並んでいた。レルゲン中佐は何か空恐ろしいような感覚を覚え始めていた。

 第4巻

 大尉に昇進したターニャ・デグレチャフは、第六〇一編成部隊の編成官となった。紙切れ一枚の隊員募集要項には、大航海へ出る仲間を集めるために情感あふれる言葉が並んでいた。それはわざと死への片道切符であるという意味を匂わせて作られていたのだ。応募する者はいないだろうと考えていたターニャは大量の志願書が届き落胆する。十分な志願者が集まらないことを理由に、大隊編成までの時間稼ぎをしようというターニャの目論見は崩れた。ターニャはあまりに書類が多いためその処理を手伝わせようと副官を呼んだ。現れたのは以前ツーマンセルだったヴィクトーリヤ・イヴァーノヴナ・セレブリャコーフ少尉だった。彼は初期の促成将校過程を修了して少尉に昇進していた。

第六〇一部隊の選抜試験が始まる。不合格者が続出して上層部の不満が高まったが、誰もがその結果に納得せざるを得ない状態だった。試験様式は光学系術式によって改編されていたのだ。光学術式によって偽物の壁が映し出され、面接官も偽物の映像で作られている。偽物の壁の裏側にいる本当の試験官達は候補者から見えていない。騙されて帰る候補者を上層部は視野狭窄として眺めていた。 そして選抜された一部の兵士は訓練を開始、その訓練は苛烈を極めた。

 第5巻

帝国の北に位置するレガドニア協商連合が帝国の越境侵犯に端を発した動乱は、フランソワ共和国の対帝国戦への参加を誘発。帝国は二正面作戦を強いられた。その動乱に乗じて国力で劣るダキア大公国が帝国へ宣戦布告、第二〇三航空魔導大隊がそれを迎え撃つ。ダキア大公国は驚くことに戦列歩兵で進軍しており、時代遅れの戦術で行軍、航空魔導兵に対する武器すら持っていない状況だった。地上の敵を上空からひたすら狙い撃ちする二〇三航空魔導大隊。ターニャ・フォン・デグレチャフ大尉の部隊は圧倒的勝利をあげた。実弾演習と称したこの戦争を利用し部隊は整い、ダキア大公国首都へ進軍した。

ターニャはセレブリャーコフ少尉に国際救難チャンネルで避難勧告を出せと命ずるが、少尉は奇襲効果が薄れると二の足を踏む。しかし、ターニャは彼のその態度を、ターニャの幼い声の方が避難勧告は効果的であると意味しているのだと勘違い。自身で実施した。その後、長距離狙撃術式によって見事に世界初の夜間都市襲撃を成功させたのだった。 

第6巻

ノルデン行きの命令が下された第二〇三航空魔導大隊。ダキア大公国では一方的な戦いをしたものの、逆境に強い部下を育成しなければと意気込むターニャ・フォン・デグレチャフ少佐だった。北方ノルデンでは帝国のヴァイパー魔導大隊が協商連合の魔導部隊による攻撃を受けて疲弊していた。協商連合の爆撃機も増援として現れる。絶体絶命のところにターニャ率いる第二〇三航空魔導大隊が到着した。フランソワ共和国派遣義勇魔導大隊を攻撃してそれを撃退する。これによりフランソワ共和国と連合王国の混成義勇軍はその大半を喪失した。

帝国軍駐屯拠点ではクルト・フォン・ルーデルドルフ少将がターニャを待っていた。参謀本部からの命令として伝えられたのは、しばらくは訓練に専念せよとのことだった。目的が越冬であることを把握したターニャだったが、ルーデルドルフ少将は冬季攻勢をしようと画策していた。北方方面軍将校団の会議に呼ばれたターニャは春まで待つべきだと具申するも、将校たちは冬季攻勢の姿勢を崩さない。そしてルーデルドルフ少将により作戦が立案されることとなった。

 第7巻

 冬季攻勢の作戦についてクルト・フォン・ルーデルドルフ少将に考え直すよう伝えるターニャ・フォン・デグレチャフ少佐。ルーデルドルフ少将から冬季攻勢について意見を求められ、手持ちの材料で合理的な判断ができるか試されていたのだ。そこでターニャは前世の記憶から得た知識により作戦の本質に気が付く。参謀本部の叡智を集めて導き出した答えに、ターニャはルーデルドルフ少将との会話から得た情報だけでたどり着いてみせた。ルーデルドルフ少将はそれに驚き、ハンス・フォン・ゼートゥーア少将から話を聞いたのかと尋ねる。しかしターニャは何を言っているか分からないと困惑し、自らの発案であると言う。そしてデグレチャフ少佐を使うことが作戦を成功させるために重要だと確信したルーデルドルフ少将は先遣の空挺降下を指示した。

作戦会議では重大な役回りとなったことを知らされて困惑するターニャだったが、見事な立ち回りで作戦中止の権限を獲得した。しかしそのやり取りが北洋艦隊の士気を上げてしまうこととなった。

登場人物・キャラクター

サラリーマン

日本に存在するごく普通の会社員。会社に雇われて給料をもらう代わりに毎日仕事を的確にこなし、残業をも自らの意思で行う強い精神が第二次世界大戦後復興を促進させた。主人公は東京のとある会社で働くサラリーマンで、ルールを重んじて正しい仕事をしているという自負がある。時には部下をリストラ、時には提出された書類の間違いを正す。ごく当たり前に仕事をしていた。しかし全てのサラリーマンが合理主義でエリートコースを歩むとは限らず、一部のエリートだけが昇進していく。 

ターニャ・フォン・デグレチャフ (たーにゃふぉんでぐれちゃふ)

帝国軍の航空魔導師士官。第二〇三航空魔導大隊の大隊長 (4巻からサラマンダー戦闘団の戦闘団長)。階級は第二〇三魔導大隊設立時点で少佐。物語開始時点では9歳、白く透き通った肌を持つ金髪碧眼の幼女。元は日本のエリートサラリーマンだったが、リストラした社員に駅のホームから突き落とされて死亡。死の淵で出会った存在Xに異世界へと記憶を残したまま転生させられた。前世の知識と合理的判断を元に高い戦略構築能力と、エレニウム九五式によって生み出される絶大な戦闘力の二つをもつ。安全な後方勤務を目指すべく奮闘。協商連合との戦闘で大怪我するも生き残り「銀翼突撃章」の勲章を得る。サラリーマン時代の経験を元に上官に対する印象を良くしようと行動するが、全て裏目に出てしまい常に最前線へと送られる事となる。部下に対しては厳しい訓練や言動を繰り返しているものの、常に部下を守るため行動をしているため徐々に信頼を得ていく。

存在X (そんざいえっくす)

自らを創造主であると言い、サラリーマンだった主人公を異世界へと転生させた。無神論者である主人公は神など存在するはずがないと認めず、仮の名として「存在X」と呼称した。様々な奇跡を起こすことができる力を持っている。科学の発展で神の存在を認識しにくいと考えた存在Xは新たな聖遺物を与える。それにより実現不可能とされたエレニウム九五式の力を安定させた。ターニャ・フォン・デグレチャフは度々現れる存在Xを悪魔と呼ぶ。時代が移り変わり神の存在を信じる者が少なくなったことを危惧している。じかし知覚外領域には多くの神が存在しているのだ。

ヴィクトーリヤ・イヴァーノヴナ・セレブリャコーフ (ゔぃくとーりやいゔぁーのゔなせれぶりゃこーふ)

帝国の航空魔導師士官。物語開始時の階級は伍長 (第二〇三魔導大隊設立時点で少尉、7巻時点で中尉)。ターニャ・フォン・デグレチャフの副官であり通称は「ヴィーシャ」。イーダル=シュタイン幼年D大隊第三中隊出身。幼年学校を卒業したばかりの新兵で補充要員としてターニャの部隊に配属。義務兵役として軍に入ったヴィーシャだったが、ターニャとツーマンセルを組んだことにより次第に勇ましい戦士へと変わっていく。後に第六〇一編成部隊編成官となったターニャの副官となる。ターニャとともに数々の戦闘に参加し、ターニャの代わりに中隊長代理を勤めることも。性格は温厚でコーヒーを入れてくれるなど非常によく気がつく。戦闘で数々の死線をくぐり抜けたためか戦闘力も高い。

ハンス・フォン・ゼートゥーア (はんすふぉんぜーとぅーあ)

帝国参謀本部、戦務参謀次長。階級は少将。友人でもあるクルト・フォン・ルーデルドルフとともに豊富な知識と冷静な判断で作戦を立案する。ターニャ・フォン・デグレチャフの「人的資源」発現に対して反応し、航空魔道士の大隊編成を参謀本部に提案。学究的な側面が強すぎ、将軍としては不適格と危惧された程の学者肌。世界大戦という考え方に強い興味を持っている。難攻不落と言われたオースフィヨルドの制圧作戦をルーデルドルフに提案、鉄道を使った兵站線維持を目論む。そのためにターニャ率いる第二〇三航空魔導大隊をルーデルドルフに預けた。

エーリッヒ・フォン・レルゲン (えーりっひふぉんれるげん)

帝国参謀本部作戦局高級幕僚、階級は中佐。性格は極めて真面目で正義感が強く、将来を期待されている常識人。経験の一環として人事局に配属されており、その中でターニャ・フォン・デグレチャフの存在を知る。魔導士官学校でみたターニャの姿に狂気を感じており、人一倍警戒心を持って接触している。しかし狂気とは別に彼女の的確な判断、戦争を行う上での実力共に認めざるをえず、感情と義務の間で苦悩している。ターニャが現地研修中に申請された二級鉄十字章の申請に意義を唱えて人事部を問いただし、申請を棄却した経緯がある。

クルト・フォン・ルーデルドルフ (くるとふぉんるーでるどるふ)

帝国参謀本部、戦務参謀次長。階級は少将。帝国の将来を担う俊英として活躍。その大局的な視点から帝国全土の作戦を指揮している。友人のハンス・フォン・ゼートゥーアとは異なり、豪快でまさに軍人とも言える人物。軍大学の選抜試験では「鋭敏かつ精力的ながらも、空想癖の傾向ありと言われていた。ゼートゥーア同様、ターニャ・フォン・デグレチャフの力量を計ろうと作戦について意見を求めるが、ターニャが参謀本部の叡智をもって導き出した答えに見事たどりついた事に驚く。

アーデルハイト・フォン・シューゲル (あーでるはいとふぉんしゅーげる)

帝国軍の主任技師。エレニウム工廠に所属しており、エレニウム九五式の開発責任者。己の美学を推し進めるマッドサイエンティストで、機能美が無いという理由から 安全機構を取り外したいという考えの持ち主。自らが作った機械がうまく動かないのは使う人間が悪いと言わんばかりに攻め立てることも。度重なる失敗を経てエレニウム九五式の開発を諦めかけた時、神に教えを乞う。それを見た存在Xが最終的には手を貸すことで研究は完成された。

マクシミリアン・ヨハン・フォン・ウーガ (まくしみりあんよはんふぉんうーが)

ターニャ・フォン・デグレチャフ中尉の軍大学での同期。ターニャ・デグレチャフ中尉を勝手にライバル視している。貧血で倒れたターニャを介抱する優しい心の持ち主。妻子があり、常識的な人物で軍大学での成績も優秀。自身に女の子が生まれたことで戦争というものを改めて考えるようになり、ターニャと自分の子を重ねてしまう。それを見たターニャから戦場を知っている良識ある軍人だと退役を勧められる。軍大学卒業後はターニャの進言により鉄道部所属となる。 

イーレン・シュワルコフ (いーれんしゅわるこふ)

帝国軍第205強襲魔導中隊の隊長。階級は中尉。ライン戦線においてターニャ・フォン・デグレチャフ少尉とヴィーシャが所属した部隊の隊長。ヴィクトーリヤ・イヴァーノヴナ・セレブリャコーフに対しても優しく接してくれる。砲兵の放った砲弾が着弾する音を「素晴らしいリズムだ」と言うベテラン兵士でもある。弾着観測員の救援に際してセレブリャーコフ伍長とのツーマンセルを崩すよう命令するも、ヴィーシャの気持ちに負けて動向を許可。危機あらば救援任務から駆けつけるという心強い言葉をかけた。

エーリャ

ヴィクトーリヤ・イヴァーノヴナ・セレブリャコーフの幼年学校での同期で同室だった友人。後に帝国軍主力の砲兵隊支援の観測員として配属される。ヴィーシャと同じ様に魔道師適格者として重用されていた。わがままボディ と早起き体質をヴィーシャは羨ましいと思ってる。優しい性格で穏やかな性格。ヴィーシャの配属先を人事局の人が言っていたと情報をいつの間にか掴んでおり、ヴィーシャからは極東にいるニンジャのようだと言われていた。

アンソン・スー (あんそんすー)

協商連合軍・航空魔導師、登場時の階級は中佐。北方軍管区ノルデン戦区にて帝国の攻撃を受けてそれを迎え撃つ。危機的な状況でも冷静な判断ができる指揮官で、観測手として戦闘に参加しているターニャ・フォン・デグレチャフと戦闘を行った。その時は死に物狂いであがくターニャに対して敗北するものの生き残る。一九二五年に大佐へと昇進。ノルデン沖の戦いにて帝国の航空機を使った奇襲作戦を受けたスーはこれを迎え撃ち、ターニャと再度戦うこととなる。高出力光学術式でターニャを狙うも干渉術式で回避される。ターニャと互角に戦うも弾切れという不運に見舞われて撃破できず、結果的に二度目の敗戦となった。

場所

帝国 (ていこく)

本作の舞台となっている軍事国家、首都はベルン。軍事主義の拡張主義国家、国民皆兵性で男女平等主義というリベラルな思想を持つ。帝国は四方をダキア大公国、フランソワ共和国、レガドニア協商連合、連合王国と他国に囲まれており、地理的にも不安定な場所に位置している。帝国は周辺国を全て敵国とみなしており、協商連合軍の越境侵犯により戦争が勃発する。近年では航空魔道師の育成に力を入れており、才能さえあればターニャ・フォン・デグレチャフのような幼女でも軍隊へと入隊が可能。海軍艦隊の保有もあるが、基本的には陸軍国家となっており海軍兵力は潤沢ではない。レガドニア協商連合とダキア大公国、フランソワ共和国との戦いで勝利するも、次々と他国が宣戦布告し、ついには世界大戦へと発展していく。40年後の世界では敗戦国となっている。

ノルデン

高緯度にあるため雪が降り積もる寒冷地。クラグガナ物資集積地点は協商連合の魔道部隊や義勇魔道師によって攻められており、帝国軍は疲弊していた。北方ノルデンはレガドニア協商連合と帝国の開戦以来、拮抗状態を保ちつつ泥沼の戦局となっている。協商連合を裏で支えているフランソワ共和国や連合王国の支援が北方ノルデンの拮抗状態を作り上げている。後に第二〇三遊撃航空魔道大隊ピクシー大隊の活躍によって協商連合は北方ノルデンから完全に撤退することとなる。

その他キーワード

演算宝珠 (えんざんほうじゅ)

魔導学を用いて帝国が開発している魔道士専用の装備。伝聞しか残っていない宝珠と王笏を科学の力で技術に落とし込んだもの。演算宝珠を使うことで魔道師は空を飛び、魔法を使って戦うことが可能となった。魔力や干渉式といった根本原理はまだ解明されていない。帝国以外の列強でも研究が盛んに行われているものの、魔導学の分野では帝国が一歩リードしている。これまでの演算宝珠を大きく凌駕するエレニウム九五式は、存在Xの干渉によってターニャ・フォン・デグレチャフが初めて起動を成功させる。

エレニウム九五式 (えれにうむきゅうじゅうごしき)

帝国が開発している新型宝珠。魔導核を四基搭載しており、理論値で従来型を大きく凌駕する。しかし制御面で致命的な問題を抱えており奇跡が起きないと完成しないだろうと言われていた。存在Xの介入によりその奇跡が起き、初めて起動実験が成功した。しかしエレニウム九五式を使えるのは現在のところターニャ・フォン・デグレチャフのみ。そのターニャもエレニウム九五式は精神汚染があると危険を感じ、普段は部下が使っているものと同じ廉価版である九七式を使用している。

ライン戦線 (らいんせんせん)

ターニャ・フォン・デグレチャフ少尉が士官として初の任地となった場所であり、西方方面フランソワ共和国国境に位置している。ヴィクトーリヤ・イヴァーノヴナ・セレブリャコーフが初めて戦争を体験した戦場でもある。帝国が共和国により戦略的奇襲を受けたものの概ねよく対応しているものの押し込まれている状況にあった。撃墜スコア60以上の成果を誇るターニャ・デグレチャフ少尉は「ラインの悪魔」として敵国に個体魔道素を登録されている。ラインでの戦いでターニャ・デグレチャフ少尉は飛行高度1万2千メートルを記録した。

航空魔導師 (こうくうまどうし)

魔導学によって開発された演算宝珠を使い、空を飛び小銃を使って戦う兵士。魔法を使った攻撃によって強大な攻撃力を持っている。上空を飛行する際には酸素組成術を使い空気の薄い高度6000メートル以上上空を飛行することも可能。エレニウム九五式を使う場合は高度1万2千メートルまで上昇可能。航空魔道士は攻撃ヘリのような存在で、小回りと制空力、打撃力を活かす運用が最適とされている。光学術式による長距離砲撃、干渉術式による防御、近接攻撃など様々な攻撃手法を持つ。

ネームド

航空魔導師の中でも特に優秀な航空魔道師に固有の名前をつけて登録する。航空魔道師は中隊で十二名、大隊で三十六名で構成されており、五人も落とせばエースと呼ばれる。そうしたエースを六人以上有している部隊、もしくは五十以上の撃墜スコアを持つエースオブエースはネームドとして登録されることとなる。ターニャ・フォン・デグレチャフ少尉が「ラインの悪魔」と呼ばれ、フランソワ共和国軍航空魔道中隊もネームドである。ネームドではなくてもそれ相応の実力を持つ航空魔道師に対しては「ネームド級」と呼ぶこともある。

銀翼突撃章 (ぎんよくとつげきしょう)

数ある帝国の勲章の中でも最も価値のある勲章の一つ。特定の分野で著しい功績をあげた個人に対して、国家もしくは元首から賜る。軍隊の場合は兵士の士気を上げるために整備された制度でもある。ターニャ・フォン・デグレチャフ少尉は北方ノルデンでの功績に対して銀翼突撃章を授与される。銀翼突撃賞は生きている者では保持者はほとんどおらず希少とされている。その勲章を持っていると言うだけで全国に噂が広まるほどの権威ある勲章となっている。

クレジット

原作

カルロ・ゼン

キャラクター原案

篠月 しのぶ

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