飛び加藤

飛び加藤

舞台は戦国時代初頭。浪人・伊勢新九郎が、新九郎に付きまとう妖術使いの加藤段蔵の協力のもと、武将として成り上がっていくさまを描く時代活劇。

正式名称
飛び加藤
ふりがな
とびかとう
原作者
小池 一夫
作画
ジャンル
侍・忍者
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概要・あらすじ

旅の浪人・伊勢新九郎は、たまたま出会った粗末な身なりの加藤段蔵に水とにぎり飯を恵んでやる。すると段蔵は、自分は何百年も前から生きている妖術使いであり、新九郎のことを気に入ったから一国一城の主にしてやると語る。そして旅に同行するようになった段蔵の協力を得て、新九郎は今川義忠の居城である今川館を我が物とし、戦国武将として名を馳せることとなる。

やがて新九郎は、その名を「北条早雲」と改めた。

登場人物・キャラクター

加藤 段蔵 (かとう だんぞう)

数百年の昔、韃靼(モンゴル)の地より日本にやって来たと自称する妖術使い。歴史上における、有名な妖術使い「役小角(役行者)」「果心居士」らはいずれも自分であると称しており、現在は「飛び加藤」と名乗っている。さまざまな妖術を使い、その力と智謀で伊勢新九郎を一国一城の主の座に就ける。殺人や強奪を何とも思わない価値観の持ち主であり、真面目な新九郎とはよく意見を違えて言い争いになる。

伊勢 新九郎 (いせ しんくろう)

登場時は若い旅の浪人者。槍一筋の侍ではあるものの、武芸の腕が立つわけでもなければ、兵法の心得があるわけでもない。取り柄は誠実さと人の好さであり、戦国乱世を終わらせるために天下人になりたいという大きな夢を持つ。加藤段蔵の悪党ぶりにしばしば困惑しているが、その力は認めている。今川義忠のもとに仕官した際には、段蔵の勧めに従って仏教的に縁起の良い名である「旗太郎」を称した。 実在の人物、北条早雲がモデルとなっている。

今川 義忠 (いまがわ よしただ)

今川家の当主で、今川館の城主でもある戦国武将。暗愚であるが、仏教に対する信仰心は深い。伊勢新九郎の妹である北山を愛妾としている。そのつてで仕官に来た新九郎を侍大将として召し抱えるが、のちに裏切られ殺されることとなる。実在の人物、今川義忠がモデルとなっている。

武田 晴信 (たけだ はるのぶ)

今川家と所領を接している戦国武将。2万の軍勢を率いて今川領に攻め入り、2千の手勢しかない今川義忠を震え上がらせた。短気な性格の人物として知られている。今川義忠を密かに討ち、その軍権を奪い取った伊勢新九郎に夜襲をかけられ兵を退く。実在の人物、武田信玄がモデルとなっている。

村上 義清 (むらかみ よしきよ)

今川家と所領を接している戦国武将。伊勢新九郎が今川義忠を暗殺して今川館の事実上の支配者となった後、その陰謀を見抜いて簒奪者である新九郎に兵を向ける。実在の人物、村上義清がモデルとなっている。

足利 茶々丸 (あしかが ちゃちゃまる)

伊豆の堀越公方に仕える武人であるが、実は若い女性。風魔の頭目でもある。伊勢新九郎に敗れて囚われの身となり、新九郎から妻になるよう求められる。当初はそれを拒絶していたが、やがて新九郎に心惹かれるようになっていく。

集団・組織

風魔 (ふうま)

関東地方の忍者集団。加藤段蔵と敵対しており、しばしば段蔵の暗殺を試みて刺客を送っているが、ことごとく返り討ちにされている。伊勢新九郎は風魔の指導者である足利茶々丸を妻にすることで、風魔を手勢として取り込もうと謀る。

場所

今川館 (いまがわやかた)

駿河国にある、今川義忠の居城。もともと伊勢新九郎が旅の目的地としていた。加藤段蔵の協力のもと新九郎は義忠を暗殺、その罪を別の武将になすりつけたうえで、自身の甥である今川義忠の遺児を傀儡に立て、その支配権を掌握する。

その他キーワード

裏剣 (うらけん)

伊勢新九郎が、加藤段蔵から伝授された剣技。表の剣は相手を斬ることを目的とするが、裏剣は相手の目を見て、切っ先の動きを先読みし、敵の攻撃をただかわし続けることを極意としている。

影流 (かげりゅう)

伊勢新九郎が今川義忠のもとに仕官するに際し己の武芸を披露するにあたり、自称した流派。あまりにも動きが速いために影が追いつかず、新九郎自身と影が別々に動くように見える剣技であると称している。だが、それは偽りであり、実際には妖術で新九郎の影に変身した加藤段蔵が新九郎の代わりに戦っている。

クレジット

原作

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