概要・あらすじ
かつて悪党たちから恐れられた、法を超越したバイク警官ワイルド7のリーダー飛葉大陸は、古傷を抱え、過去の記憶を失い、中央アメリカニクァラガでハポと呼ばれ、戦いから身を引いた暮らしをしていた。そんな中、第2パナマ運河の開通祝賀パーティーのため、関係者や政府高官を乗せ就航した豪華客船ダブルシーの船内で、伝染病赤い草原病が発生、水位の高低差で作動する二種混合科学爆発物が見つかり、さらに古代人民兵団と名乗る武装集団に占拠されてしまう。
日本の大手建設会社超日本建設本社赤城部長は、人質となった長島常務救出のために、草波のすすめで、闇の世界に通じる飛葉に交渉役を依頼する。
当初飛葉は、二度と戦いの世界に戻る気はないと依頼を断るが、収監中の親友ホルヘの釈放と作戦参加をきっかけに、参謀として参加。新たなメンバー探しと侵攻作戦に乗り出す。
登場人物・キャラクター
飛葉 大陸 (ひば だいろく)
元超法規的警察組織ワイルド7のリーダーとして悪党たちを震え上がらせ、解散後はニクァラガの前政府の下で傭兵隊第6コマンド500人の大隊を率いて戦った伝説の男。現在31歳となり、歴戦の怪我で体内に摘出できない銃弾があり、そのため戦闘中に発作で倒れることさえある。ワイルド7当時の記憶は失っている。 仲間たちにオジさんオッサンと呼ばれ体力の衰えを指摘されることに過剰反応を示すが、長年の経験で培った戦う術を若いメンバーに伝授する一面もある。義理に厚く、かつて命を救ってくれたホルヘが投獄されていた間は、美しい妻を狙う男たちから守り、幼い息子ともども面倒をみていた。救出作戦には当初、作戦参謀として参加していたが、指揮官のホルヘが妨害工作により作戦遂行が難しくなり中断しようとしたため、使命感からリーダーとなる。
ホルヘ
飛葉大陸とは古い友人で、実戦経験も豊富な一流の傭兵。警察署長や村の男たちに狙われるほどの美しい妻と、6歳になる息子がいる。5年の刑期で収監されていたが、飛葉に人質救出を依頼したい超日本建設が、裏から手を回し釈放される。飛葉のことは、互いの背中を安心して任せられる相手と、その技量や経験は認めているものの、既に年齢から身体が動かなくなった上に、自分を差し置いてリーダー面する態度を疎ましく感じている。 また、自分が囚われている間に、飛葉が隠れて妻とデキていたという噂を信じ、機会があれば作戦中に消そうとも考えている。
終電
飛葉大陸の要望でハッサンが用意したトレーニングセンターでのテストでスカウトした女性メンバー。21歳。拳銃の腕前はテストでトップ成績の、自称SWAT出身のロス警官。勝手な振る舞いから一旦はテストに失格したものの、強引に参加を続け合格を掴みとる。任務の中で徐々に実践のキャリアが無いことが明らかとなり撤退を命じられるが、拒否して無理やり作戦に参加し続ける。 終電の由来は、自身のこれまでのギリギリだった人生を当てはめたもの。
伴辺 (ともべ)
本職は古代史の大学教授。白くてムッチリした女性のためハンペンとあだ名される。5年前の暴力団相手の任務で、草波に射撃の腕を買われ、警官時代の飛葉大陸と組んだ時は、まだ初めての殺人に嘔吐していた。腕は確かだが、3年前に殺しの世界とは縁を切り、現在は世界的名声を求めて、古代遺跡の発掘をしている。 たまたま通りかかった飛葉に協力を求められ、警備員として雇っていたスタッフたちの謀反もあり、渋々人質救出に参加することになる。
ロバート・デ・ニーロ・Jr
元々はハンペンが遺跡発掘のために雇ったドライバー。警備員たちの反乱の際に、収入目当てで飛葉大陸たちを救い、そのまま合流する。車の運転だけではなく、ヘリの操縦や、爆発物に関する知識も豊富で、ダブルシー内に仕掛けられた爆弾の解除を担当する。
4トン
飛葉大陸の要望でハッサンが用意したトレーニングセンターでのテストに合格したスカウトメンバー。力持ちの巨漢で、ナイフを振りかざすのが特徴。自分の事は語らないが、傭兵経験もあり腕は確かで、飛葉に対しては、かつての噂から、自分を犠牲にして仲間を守るリーダーとしての甘さを指摘する面もあるが、発作に倒れたり瓦礫に埋もれた際にいち早く駆け寄って心配をしたり、実戦経験の多さからベテランと認めている。 逆に経験不足の終電やイバラキには忠告をすることもある。
イバラキ
飛葉大陸の要望でハッサンが用意したトレーニングセンターでのテストに合格したスカウトメンバー。ひと言多い性格で、リーダーに対する不満や心配事を口にしたり、周りに当たり散らすことがある。小柄な体格を活かし、音もなく敵陣に忍び込むことからスネークと呼ばれていたこともある。ここ一番で目立ちヒーローになることに憧れる。 花粉症の持ち主というデリケートな一面がある。
グリーン
飛葉大陸の要望でハッサンが用意したトレーニングセンターでのテストに合格したスカウト女性メンバー。的確な弾丸の補充や難易度の高い射撃によるデモンストレーションなどから、多くの場数を踏んでいることが分かる。飛葉と別行動中に、止めるのも聞かず襲撃相手から逃亡を図り失敗。命を落としてしまう。
グッチ
飛葉大陸の要望でハッサンが用意したトレーニングセンターでのテストに合格したスカウトメンバー。セリフもなく作戦のため豪華客船ダブルシーに向かう途中の襲撃であっさり命を落とす。
草波 (くさなみ)
『ワイルド7』ではワイルド7の隊長で飛葉大陸の上官だった。現在は検事総長として超日本建設赤城部長に飛葉を推薦する。5年前の事件ではハンペンをスカウトし飛葉と組ませる。自身が登場することはなく、作中ではペット型のロボットを通じて飛葉に作戦参加の説得をする。
ハッサン
飛葉大陸とは古い友人の闇の武器商。警察に捕えられていたが超日本建設の支度金で飛葉が釈放させ、武器と人材の手配をする。その道のプロで多くの登録者を抱え、テスト用に独自のトレーニングセンターも持つ。生命保険の手配もする。
長島
超日本建設一の出世頭で、役職は常務。優れた状況判断と反射神経の持ち主。第2パナマ運河開通記念のパーティーで豪華客船ダブルシーに乗り合わせた所を古代人民兵団に占拠され、人質となってしまうが、危機的状況にいち早く単独で脱出を図る。
赤城
超日本建設本社部長。日本から白根現地社長に長島常務救出の命令を出す。会社のためと厳しい支持を飛ばすが、自身は他人事のようにゴルフや飲み歩いたりと遊び呆けている。草波から交渉役として飛葉大陸を薦められる。
白根
超日本建設現地法人社長。赤城の命令で、長島常務救出に動き出す。同期一出世が遅いため、上からの指示に卑屈に従い、保身のためには渋々ながら救出チームの見殺しも容認した。小心者だが根は善人のため、自社の黄元が飛葉大陸に無礼な振る舞いをした時には、たしなめて誠意をもって接した。
黄元
超日本建設現地法人課長。ハポと呼ばれる現地の漁師には横柄な態度を取り、それが闇の世界に顔が利き交渉人に適役の飛葉大陸と知るや否や、手のひらを返したようにご機嫌取りをする典型的な権力主義者。
桃井
超日本建設現地法人係長。飛葉大陸とは小・中・高ずっと同じ学校で、昔は悪ガキたちの虐めからかばってもらいロクちゃんと呼ぶほど親しげだが、出世欲のために飛葉との関係を人に隠し、平気で裏切ったりもする。
集団・組織
古代人民兵団 (こだいじんみんへいだん)
『飛葉』に登場する組織。武装したテロリスト集団。ダブルシーを占拠し、乗客乗員を人質にとる。船内に発生した伝染病赤い草原病に備え全員ガスマスクを着用。また武装メンバーのほかにも乗客に紛れた仲間を潜ませている。残忍な手口で、人質が脱出を考えないように常に恐怖を与え続け、撤退時には人質を盾にする。また企業への身代金要求の見せしめのため、船外に人質を吊るし、川岸に潰される様子をTV中継させた。 リーダー格の男は、新宿で暴れまわっていた5年前にワイルド7、飛葉大陸の噂を耳にしている。副官は元レンジャーの大尉。
場所
第2パナマ運河 (だい2ぱなまうんが)
中央アメリカニクァラガとコスタリカにあるカリブ海と太平洋を結ぶ架空の運河。ニクァラガ湖を横断し、地形的に隆起した箇所は、トンネルと、ブロックごとに水位を調整するパナマ運河方式が取られているため、一番狭い地帯の幅が32mとなり、最大幅30mまでの船が通過することができる。 昨今の海上輸送の増大により、5年の歳月と21か国共同のプロジェクトとして開発された。その規模は、ピラミッド建設に匹敵する今世紀最大の事業と言われている。開発・運営に携わった企業集団はバイパス21と呼ばれ、日本からは超日本建設村田建設などが参加。開通式では豪華客船ダブルシー内で関係者によるパーティーが開かれた。
ダブルシー
サウス・アメリカンラインの新造フェリー。排水量44,300t、旅客定員5,000名、乗用車1,200台、トレーラー150台積載可能の大型豪華客船。船内には個室の他にレストランやデューティーフリーショップが併設され、1,000名を超えるパーティーが開催できる会場も用意されている。
前作
ワイルド7
新ワイルド7 (しんわいるどせぶん)
悪党退治で伝説のワイルド7飛葉大陸が、新たなメンバーたちと世界を股に掛け、法や国際問題を越えて、強大な犯罪組織たちを相手に、よりパワーアップした火力で壊滅に乗り出す。望月三起也のポリスアクション、『ワ... 関連ページ:新ワイルド7