概要・あらすじ
留学生の芹間喬は、恋人の借金のカタとしてロサンゼルスの犯罪集団・ブロウトン一家によるWN銀行襲撃に参加させられる羽目になる。襲撃には成功したものの、脱出のヘリの中でメンバーの一人・ブッチが裏切ったことから銃撃戦が発生。ヘリは墜落し、一人生き残った芹間はメキシコへ逃亡する。一方その頃、メキシコで酒場の用心棒まがいの生活をしていた元探偵の堀田俊生は、別れた妻でDEAのエノラ・コープランドから玉珧恵那という家出人の捜索を依頼される。
しかし恵那は、なぜか命を狙われている上に、濡れ衣で警察にも追われていた。偶然の出会いから行動を共にすることになった掘田・芹間・恵那の3人は、彼らを狙い追ってくる殺し屋や警察との銃撃戦を繰り広げながら、生き延びるためにメキシコの地で逃避行を続けていく。
登場人物・キャラクター
堀田 俊生 (ほりた としお)
メキシコ在住の日本人男性。元はロサンゼルスの住人で、DEAに所属していた。DEA退職後に私立探偵となっていたが、自分の信念を貫いた結果ジョエル・ゴールドスミスを敵に回すことになり、妻であるエノラ・コープランドの身の安全まで危うくなったことから、単身メキシコへと逃げ延びることを余儀なくされる。 以後生ける屍のようになっていたが、エノラから玉珧恵那の捜索を要請されたことをきっかけに自分を取り戻していき、恵那・芹間喬の二人とともにゴールドスミスが送る殺し屋などと戦っていく。
芹間 喬 (せるま たかし)
ミネソタに留学中の日本人大学生で、ハッキングの技術を持っている。恋人がブロウトン一家に借金を負っていた関係で、彼らのWN銀行襲撃を手伝う羽目になってしまう。襲撃に成功した後、ブッチの裏切りが元で起きた銃撃戦から一人生き延びメキシコに逃亡するものの、追われる身に。逃亡中に堀田俊生・玉珧恵那と偶然出会い、行動を共にすることになる。 銀行襲撃時のメンバーからは「マットレイ」(『チキチキマシン猛レース』のキャラクター)のコードネームで呼ばれるが、その名で呼ばれると「俺の故郷じゃあのキャラクターの名は”ケンケン”だ」と返す。
エノラ・コープランド
DEAの捜査官である女性。堀田俊生の別れた妻で、現在はグレアム・レヴェルの妻。恩人の姪である玉珧恵那を探しており、堀田にその捜索を依頼している。ブロウトン一家のWN銀行襲撃現場に居合わせたことからその生き残りである芹間喬を追うことになり、レナード・ローゼンマンらとメキシコ入りすることとなる。 堀田が自分の前から突然姿を消したことに対しては、気持ちの整理は未だついていない様子を見せる。
レナード・ローゼンマン
ロサンゼルス市警の刑事である男性。ドナルド・ブロウトンともつながりがあり、ブロウトンの妻の浮気相手殺害を請け負っていた。しかしその殺人現場を玉珧恵那に目撃されてしまっていたため、彼女の命を狙うようになる。メキシコでは表向きはエノラ・コープランドに従って行動しているが、エノラが恵那と知り合いだと知った時からエノラの謀殺をも企てることとなる。
ジョエル・ゴールドスミス
古くからロサンゼルス一帯を取り仕切っている犯罪組織・ゴールドスミス一家のボスである。メキシコに製薬工場を持ち、違法な人体実験でコストを下げることで莫大な利益を手にしている。その情報に深入りすることになった堀田俊生をロサンゼルスから追放した。ブロウトン一家のWN銀行襲撃によって自分たちの資金洗浄記録が入っているMOディスクが奪取されたため、襲撃の生き残りである芹間喬に追手を出す。
ドナルド・ブロウトン
ロサンゼルスの新興犯罪組織・ブロウトン一家のボスの息子であり、実質的なトップ。ゴールドスミス一家とは激しく対立しており、ゴールドスミス一家の資金洗浄記録が入っているMOディスクの奪取を目論んでWN銀行襲撃を計画し、芹間喬をそれに巻き込む。妻が浮気をしていたため、レナード・ローゼンマンを使って妻および相手を暗殺している。
グレアム・レヴェル
DEAの捜査官である男性。エノラ・コープランドの現在の夫。妻の元夫である堀田俊生に対しては良い感情を持っておらず、辛辣な言葉を掛ける。
アルフォンソ・アルバレス
メキシコの片田舎にある構成員わずか31人の犯罪組織「アルバレスファミリー」のボス。誰も縄張りを欲しがらないような田舎なので抗争には縁がなく、エノラ・コープランドに銃を向けられた時など、表面上は平静を保っていたが小便を漏らしていたほど気が小さい。しかし構成員からは慕われている。エノラの要請で、ディエゴを協力者として斡旋するが、それが原因でゴールドスミス一家と対立することになる。
ディエゴ
アルバレスファミリーの縄張りに住んでいるメキシコ人少年。幼いが銃の腕も情報屋としての能力も高く、アルフォンソ・アルバレスの命でエノラ・コープランドに協力する。敬虔なクリスチャンであり、神を冒涜するスラングを使った人間をそれだけで射殺することもあるほど。
ハロルド・フォルターメイヤー
メキシコの麻薬王の持ち物だった屋敷に住み、ポルノ映画を撮って暮らしている映画製作者。記録係として働いていた玉珧恵那を女優になるようしつこく口説いたところ、投げ飛ばされて逃げられる。その後、堀田俊生・芹間喬とともに逃げてきた恵那を匿うことに。
ブッチ
ブロウトン一家によるWN銀行襲撃チームのリーダーであり、「ブッチ」は『トムとジェリー』に由来するコードネーム。銃の扱い方を教えるなど芹間喬とはチーム内で親しくしていた。銀行襲撃に成功した後に裏切り、銃撃戦の中で芹間の銃弾により死亡する。
ジム
エノラ・コープランドの部下であるDEA捜査官の男性で、常にサングラスをかけている。エノラ・レナード・ローゼンマンとともにメキシコ入りし・芹間喬たちを追う。エノラと堀田俊生の仲について別れるべきではなかったと思っており、気遣いを見せる。
玉珧 恵那 (たいらぎ えな)
19歳の日本人女性。保護者である叔父との間にトラブルがあり、高校の卒業旅行と称してやってきたアメリカで行方をくらました家出娘。その後はメキシコに入り放浪していた。ロサンゼルスにいた時にレナード・ローゼンマンの殺人現場に偶然居合わせていたことからローゼンマンに命を狙われており、彼によって警官殺しの濡れ衣まで着せられ逃亡者となる。 その後、堀田俊生・芹間喬と偶然出会い、行動を共にするように。
集団・組織
アメリカ麻薬取締局
『ワイルダネス』に登場する組織。堀田俊生がかつて所属していた場所であり、エノラ・コープランドやグレアム・レヴェルが現在も所属している。ブロウトン一家が起こしたWN強盗襲撃に絡んで堀田たち一行を追うことになる。