あらすじ
バイク事故で骨折してしまい、一人で家の留守番をしていた吉川の前に、突然一人のおばさんが現れた。その人、高梨悦子は、妻の吉川マリコが夫を気遣って身の回りの世話を依頼した人だった。悦子は吉川のためにタバコに火を点けたり、料理を作ったりして献身的に尽くしていた。しかし、吉川は悦子が別室にいると時々聞こえてくるお経のような歌が気になっていた。(第1話「高梨さんがやってきた」の巻)
ハウスクリーニングをする予定だったが、社員の一人が熱が下がらないために、代わりとして呼び出された悦子は、もともとクリーニングを任されていたハウスクリーニングスギヤマの社員と共に作業を進めていく。作業は比較的順調に進むが、突然悦子が腕を組んで怪訝そうな顔をし始める。実は悦子には霊感があり、このアパートはそんな悦子の霊感が反応するなにかがあるのだった。(第2話「呪われた部屋」の巻)
悦子は飼い犬ロンと散歩中、ロンが急に土手の草むらに反応する事を不審に思い、その草むらをかきわける。すると、そこには宇宙船の着陸に失敗した、息も絶え絶えの宇宙人がいた。悦子は早く病院に行った方がいいと勧めるが、宇宙人は自分の存在を知られるわけにはいかないと拒否する。しかも、その存在を知ってしまった悦子も消されてしまうという。そこで、一度はその場を離れた悦子だったが、やはり宇宙人の事が気になっておにぎりと救急箱を入れたリュックを担ぎ、再度宇宙人のいる草むらへと向かう。(第3話「エイリアンズ」の巻)
悦子は、主婦仲間の河村と待ち合わせをしていたが、そこに河村の娘で中学3年生の河村美代子が現れる。美代子は母親が集まりに参加できない事を伝えるためにやって来たが、その伝言を伝え忘れてしまい、流れで悦子と共にカラオケに連れて行かれてしまう。そして、その帰り道、美代子の前に同級生の男子・藤森が現れる。美代子は藤森を確認するとすぐに隠れてしまうが、その様子を見て悦子は彼女が藤森に好意を抱いている事を察する。そこで、悦子は美代子の恋の後押しをするために藤森に近づくのであった。(第4話「恋はおまかせ!」の巻)
とある漫画家のアシスタントが高熱で休んだため、悦子がその代わりとして呼ばれる事になった。その仕事場には今までまったく女性と付き合った事がないというアシスタントの斉藤がいた。漫画家の先生に女性担当編集者・津田をいやらしい目で見ている事をバラされ、斉藤は津田が巨乳である事を口にする。しかし、先生はその巨乳はパッドで実際は巨乳ではないと反論する。それを聞いていた悦子は、その真偽を確かめたいと、津田が原稿を取りに来た時にとある行動を起こす。(第5話「職場の花!」の巻)
悦子は張り紙をしている人を見かけ、声を掛ける。その張り紙は猫を探しているという内容で、悦子は自分も犬を飼っている事もあり、猫の捜索を手伝う事にする。しかし猫を探しているのに、次々と何かを探している人と出会ってしまう。悦子は困っている人を放っておけず、その猫以外の探し物も次々と引き受けてしまう。そして、そんな探し物をしていたら意外なところですべてがつながる事になる。(第6話「捜し物はなんですか?」の巻)
悦子がスーパーから戻ると、飼い犬のロンをかわいがる少女・美加がいた。悦子が美加に話を聞くと、美加は犬を飼う事が夢だという。そんな美加に悦子はロンを散歩させたりするが、美加は次第にロンと悦子を気に入り家にまで呼ぶようになる。そして、悦子とロンが帰ろうとした時、美加は帰らないでと泣き叫びダダをこねる。悦子はそんな美加を見かねて、ロンを一晩だけ美加に貸してあげる事にする。(第7話「私のロンちゃん」の巻)
桜が咲く季節に悦子は、飼い犬のロンと散歩していて、長期入院していた主婦仲間の永田と公園で出会う。悦子は元気そうな永田の様子を見て安堵する。しかし、永田はその場から動こうともせず、家にも帰らないという。不審に思った悦子だったが、なんと永田は病院のスリッパのままで影も見えなかったのである。悦子は次第に永田がこの世のものではないのではないかと思い始める。(第8話「桜の樹の下には」の巻)
メディアミックス
登場人物・キャラクター
高梨 悦子 (たかなし えつこ)
知人からは「高梨さん」と呼ばれている主婦。家事全般を手際よくこなす。特に料理の腕は天下一品で、口にしたものは誰もが美味いと認めるほど。携帯電話をはじめとする電子機器には疎く、電話の掛け方はもちろん、掛かって来た電話を取る事すらできない。歌を歌う事が好きで、カラオケ同好会にも所属しているが、極度の音痴で歌声がお経のように聞こえてしまう。 霊感が強く、アパートのハウスクリーニングを手伝った際にはとなりの部屋であった自殺を言い当てた事もある。高い低いの「高」に果物の「梨」、悦子の「悦」は悦楽の「悦」と自己紹介するのがお約束となっている。
高梨悦子の夫 (たかなしえつこのおっと)
高梨悦子の夫。悦子の事は「お前」と呼んでいる。作中ではあまり登場せず、顔もわからないように書かれている。悦子が傷ついた宇宙人を助けるために宇宙人関連の本を買って来た時は、悦子の様子が変だと心配していた。悦子と結婚に至る過程や、普段仕事は何をしているのかも不明。
ロン
高梨悦子が飼っている犬。悦子からはかなり大事にされている。一度、晩御飯時にいなくなった事があり、その時は悦子が半狂乱になって心配していた。何かを見つける事が得意。
吉川 (よしかわ)
バイクで転んで骨折した男性会社員。妻の吉川マリコが前から予定していた旅行へ行った際に、身の回りの世話を高梨悦子に依頼した。悦子が家事をしていた際に歌っていた歌をお経と勘違いし、変な宗教に入っているのではないかと疑っていた。悦子が作ってくれたメニューの中ではカレーが大のお気に入り。
吉川 マリコ (よしかわ まりこ)
吉川の妻。前から予定していた旅行へ行く際に、骨折した夫の身の回りの世話を高梨悦子に依頼した。またその事は夫に黙っていたので、驚かせてしまう。悦子とはカラオケ同好会で知り合った。
ハウスクリーニングスギヤマの社員 (はうすくりーにんぐすぎやまのしゃいん)
ハウスクリーニング「スギヤマ」で働く男性社員。アパートのハウスクリーニングをする際に欠員補充で手伝いに来た高梨悦子と共に働く事になった。悦子から、霊感があり自殺をした人が見えると聞かされた時には、本気でビビってしまい塩でお浄めをしていた。ハウスクリーニングの仕事に不慣れな悦子が失敗をしても、咎める事もせずフォローする人のいい一面を見せていた。
宇宙人 (うちゅうじん)
アンドロメダ星から地球にやって来た地球外生命体。宇宙船が地球へ不時着する際に失敗してしまい、全身を強く打って息絶え絶えのところを高梨悦子に発見された。片言ながら日本語を話し、理解する事もできるが、悦子の事を「高梨」ではなく「タカハシ」と勘違いしていた。悦子に病院に行く事を勧められたが、その場合は自分を発見した悦子が消されてしまうため、その場で静かに息絶えた。 触り心地はツルツルして、気持ちがいい。
河村 美代子 (かわむら みよこ)
中学3年生の女子。母親が急用で高梨悦子との集まりに行けなくなった事を伝えるために悦子のもとへやって来たが、母親の代わりにカラオケに付き合わされる事になった。好意を寄せている藤森にまったく話し掛ける事ができずにいたところ、悦子のおせっかいにより話す機会を得た。もともとそこまで勉強に対して意欲的ではなかったが、志望校が藤森と同じである事を知ってからは猛勉強するようになった。
藤森 (ふじもり)
中学3年生の男子。同級生の河村美代子に好意を寄せられており、その事を知った高梨悦子に突然話し掛けられた。悦子とはまったく面識がなかったので、不気味に思い逃走してしまう。その後、美代子に不審者が出るから気をつけるようにと心配していた。
先生 (せんせい)
漫画家の男性。アシスタントの斉藤が、これまで一度も彼女ができない事をいじるなど、茶目っ気がある性格。しかし、自分も今世紀に入ってからずっと彼女がいない。漫画作品の人気はあまりなく、カラーページもなかなか描かせてもらえない。人手不足で急遽アシスタントで入った高梨悦子の事は気に入っており、また来てくれる事を望んでいる。
斉藤 (さいとう)
先生のアシスタントを務めている男性。生まれてから一度も彼女ができた事がなく、先生によくいじられている。巨乳の女性編集者・津田の事をいつもいやらしい目で見ている。また友達も一人もおらず、漫画家のアシスタントとしても忙しく働く日々で、何日間もお風呂に入れていない。
小松 (こまつ)
漫画家のアシスタントを務めている男性。熱が下がらず、先生に自分の代わりの高梨悦子を紹介する形で仕事を休んだ。アシスタントとしての悦子の評価が高かったため、先生からはいつでも休んでいいといわれるようになった。
津田 (つだ)
漫画雑誌の編集者を務める女性。先生の担当でもある。巨乳な事から、斉藤に下心を持たれているが、先生からはパッドを入れているだけだと思われている。高梨悦子がアシスタントで入った時に、その真偽を確かめるために初対面にもかかわらず、いきなり胸を揉まれた。悦子からはその巨乳が本物であると太鼓判を押された。
美加 (みか)
幼い女の子。まだ漢字の読み書きはできないが、自転車には補助輪なしで乗れる。スーパーに買い物に来ていた高梨悦子と出会い、その時にいつか犬を飼ってもらう事が夢と語っている。悦子の飼い犬であるロンを気に入り、頻繁に遊ぶようになる。
永田 (ながた)
高梨悦子の主婦友達。長らく入院生活をして人前に姿を現わさなかったが、桜の咲く季節の公園で悦子と再会する。外なのにもかかわらずスリッパのままだったり、影が見えなかったりと不審な点が多い。そのため、悦子からは幽霊ではないかと疑われている。