概要・あらすじ
地獄の鬼公子である炎魔はある日、閻魔殿の閻魔大王に呼び出されて人間界での妖怪退治を命じられる。人間界での妖怪退治は炎魔が子供の頃にもやっていたことだが、今回は地獄の大王の地位を狙う雷魔大公が、地獄の妖怪を従えて反乱を起こしたという大きな問題があった。この問題に対処すべく、炎魔は雪女の雪鬼姫とともに、再び人間界へ向かう。
登場人物・キャラクター
炎魔 (えんま)
閻魔大王の甥にあたり、閻魔一族の「鬼公子(きこうし)」の肩書きを持つ青年。幼少時は可愛らしい顔立ちだったが、現在はイケメン男子に成長している。一方で、妖怪を感知すると立つ眉毛や、女好きな性格は子供の頃と変わっていない。本来の姿は頭にシャポーキッドを乗せてマントを羽織り、火竜杖を持つスタイルだが、人間界ではシルクハットにスーツ姿で、長めの髪を後ろで1つに束ねている。 閻魔大王の依頼で地獄を抜け出した妖怪を取り締まり、再び地獄へと送り返す任務に就く。人間界ではオカルト探偵「炎又郎」と名乗っている。永井豪の代表作『ドロロンえん魔くん』のえん魔の成長した姿。
雪鬼姫 (ゆきひめ)
雪女一族の姫君で美しい女性。炎魔の幼なじみで、子供の頃の炎魔と一緒に人間界で妖怪退治をしていた。白っぽい長い髪で白い着物を着用し、ドクロの髪飾りを付けている。雪女なので体温は極端に低いが温かい心の持ち主で、人助けのために炎魔とともに人間界へ向かい、雪鬼笛を使った多彩な技で炎魔を助ける。人間界では炎魔の探偵助手として「雪姫子」を名乗っている。 永井豪の代表作『ドロロンえん魔くん』の雪子姫の成長した姿。
シャポーキッド
炎魔が頭に乗せた帽子で、人間界にいる時はシルクハット風の形をしている。本来の姿になると帽子の中心がへこみ、つり上がった目と鋭い牙のある口が現れる。子供時代の炎魔を手伝っていたシャポーじいの孫で、シャポーじいからは炎魔の昔話を色々と聞かされている。帽子の中に妖怪を吸い込むことで、地獄送りにする能力を持つ。
閻魔大王 (えんまだいおう)
炎魔の叔父にあたる地獄の王。尖った耳に、ふさふさの眉、髪、ひげを持つ、強面の威厳ある壮年男性のような姿をしている。ドクロ柄の中華風の着物を着て、「閻魔」の文字の入った帽子をかぶり、扇を持っている。地獄にある閻魔殿という館に住み、悪魔のような装飾を施した大仰な椅子に座って地獄を管理している。雷魔大公が妖怪たちを煽動し反乱を起こしたことから、炎魔に妖怪退治を命じる。
雷魔大公 (らいまたいこう)
地獄の大公。普通の目鼻の上に獣のような目鼻があり、目が4つで鼻が2つある。さらに頭にはねじれた2本の角が生えてる恐ろしげな姿をしている。大公の地位にあるため、時が来れば大王の地位に就くことが決まっているにも関わらず、反乱を起こした。雷魔大公が古代の魔物である妖怪たちを味方につけたことから、閻魔大王は炎魔に妖怪退治を命じることになった。
カパエル
河童の妖怪だが、普段は人間を装い、やや小太りの冴えない男性の姿をしている。頭の皿は帽子で隠しているが、炎魔の妖怪アンテナにはすぐにひっかかった。キュウリのリキュール酒が好物で、よくメモリーグラスで注文している。子供の頃、炎魔、雪鬼姫たちと一緒に人間界で妖怪退治をした仲間であったことから、再び炎魔を訪ねて茄子産婦人科医院での噂を伝える。 非常に勉強家で、地獄の大学で妖怪について学び博士号を取った妖怪博士でもある。
ツトム
子供時代に、炎魔や雪鬼姫、カパエルたちと知り合いだった人間。霊感が強くて妖怪を見ることができるが、ものすごく怖がり。人間界に再びやって来た炎魔たちと再会することになる。
鬼鴉 (おにがらす)
雷魔大公に与する妖怪の1人。猛禽類の顔に、2本のねじれた角が縦に並んで生えている。完全に変身すると大きな鳥になり、大きな翼で飛び鋭い鍵爪で獲物を捕える。斧天狗、蛞蝓轆轤、影暴師とともに炎魔を陥れようと画策した。
斧天狗 (おのてんぐ)
雷魔大公に与する妖怪の1人。天狗のような長い鼻に、尖った耳、頭には大きな斧が生えている。鬼鴉、蛞蝓轆轤、影暴師とともに炎魔を陥れようと画策し、頭の斧を使って雪鬼姫の背中を切りつけた。
蛞蝓轆轤 (なめくじろくろ)
雷魔大公に与する妖怪の1人。ぬめぬめとした表皮をしており、頭には触覚のような2本の角が生えていて、首がぞろりと長く舌も長い。鬼鴉、斧天狗、影暴師とともに炎魔を陥れようと画策した。炎がまったく効かない体質で、炎魔を大いに苦しめた。そのため、炎魔には憎しみを込めて「ナメクジヤロウ」と呼ばれている。
影暴師 (かげぼうし)
雷魔大公に与する妖怪の1人。鬼鴉、斧天狗、蛞蝓轆轤とともに炎魔を陥れようと画策した。人間の影に入り込み、その人間に取り憑くことができる。この能力を使って「アカネ」というお嬢様に取り憑き、炎魔をおびき出すことに成功した。ちなみに本体は、鬼のような恐ろしい形相をした筋肉質の女性の姿をしている。
溶岩入道 (ようがんにゅうどう)
雷魔大公に与する妖怪の1人。身体中がごつごつとした岩でできていて表面には小さな噴火口が沢山あり、そこから一斉に溶岩や炎を噴射させる。溶岩入道が出す溶岩や炎は炎魔の霊的な炎とは異なり、物質的な力で人や物を燃やす。舌舐め硯、縦目女郎、縦目女郎、面割れ般若とともに茄子産婦人科医院で炎魔を陥れようと画策した。
舌舐め硯 (したなめずり)
雷魔大公に与する妖怪の1人。首が長く、鱗に覆われた蛇とワニを合わせたような奇怪な姿をしている。目は鋭く釣り上がっていて、舌が長い。この舌で獲物を舐めまわす性質を持ち、雪鬼姫を捕らえた際には彼女の体を執拗に舐め回した。溶岩入道、縦目女郎、面割れ般若とともに茄子産婦人科医院で炎魔を陥れようと画策する。
縦目女郎 (たてめじょろう)
雷魔大公に与する妖怪の1人。黒く長いストレートヘアをした女性型妖怪。目が縦に長く、唇は深く切れあがっている。溶岩入道、舌舐め硯、面割れ般若とともに茄子産婦人科医院で炎魔を陥れようと画策。腹の中で妖怪の種子(たね)を作って育てることが可能で、それを雪鬼姫に埋め込もうとした。
面割れ般若 (めんわれはんにゃ)
雷魔大公に与する妖怪の1人。黒く振り乱した髪に、2本の角がある般若の面のような顔をした女性型妖怪。顔は中央から縦に2つに割れているが、その奥は真っ黒で、何があるのかは解らない。溶岩入道、舌舐め硯、縦目女郎とともに茄子産婦人科医院で炎魔を陥れようと画策した。
場所
閻魔殿 (えんまでん)
地獄の中にある、閻魔大王が住む大きな館。髑髏の形をした大岩が館までの大階段の両側を守り、中も屈強な鬼たちが武装して警護している。閻魔大王の甥である炎魔も子供の頃にはよく閻魔殿を訪れていたが、大人になってからは足が遠のいている。
メモリーグラス
人間界にあるバーで、妖怪のマスターが経営している。人間界での妖怪のたまり場になっており、カパエルの好物であるキュウリのリキュール酒なども置いてある。ここで打倒炎魔の集会も行われたが、穏健派のマスターは、人間と密な関わりのある炎魔にはあまり干渉しない方がいいとアドバイスしている。
茄子産婦人科医院
ここで生まれた赤ちゃんは普通ではなく、人間離れしているという噂がある産婦人科。この情報をカパエルが炎魔に持ち込んだことがきっかけで、恐怖を訴えて来た若妻と雪鬼姫が、調査することになる。
その他キーワード
火竜杖 (ひりゅうづえ)
炎魔の持つ炎の杖で、持ち手の部分に竜がかたどってある。炎魔の力を増幅し、竜の口から妖魔を燃やす「火炎竜」という霊的な炎を吐き出す。火炎竜は妖怪にのみダメージを与え、仮に妖怪に憑依されていたとしても人間に対しては無害である。
雪鬼笛 (ゆきぶえ)
雪鬼姫の持つ武器で笛の形をしている。笛そのものが氷剣「ツララ剣」として使える他、笛を吹くことで氷結吹雪(フローズン・ストーム)、冷凍波ビームなどを放つことができる。また、氷結盾(フローズン・シールド)、氷結鎧(フローズン・アーマー)など、装備品を生み出すことも可能。これらの効果は霊的なもので、攻撃は妖怪にのみダメージを与え、仮に妖怪に憑依されていたとしても人間に対しては無害である。
妖怪 (ようかい)
古代の魔物であり、悪事を働いて地獄に落とされた霊が変化したものといわれる存在。地獄に閉じ込められていた妖怪は太古の昔の神と魔物の大戦争に敗れたものたちで、長きに渡って閻魔大王により地獄の最下層に閉じ込められていた。しかし大王の地位を狙う雷魔大公に加担し、多くが地獄を抜け出した。のちに反乱が鎮圧された後も、大勢の妖怪が人間界に残ってしまっている。
閻魔一族 (えんまいちぞく)
悪霊が落とされる地獄界を管理するために、天界より送り込まれた天使の一族。現状、地獄においては閻魔大王が実権を握っているが、炎魔は閻魔大王よりも地獄を作った創生神とされるハデス(プルートー)神の直系に近い家系である。
雪女一族 (ゆきおんないちぞく)
閻魔大王を手伝うために、天界から遣わされた天使の一族。雪鬼姫をはじめとして人間を助けるのが好きな優しい性格の持ち主が多く、人間界に赴いて雪山で遭難者を助けたりしていたが、いつしかそれは雪女が人間を呪い殺すという話へと変化してしまっている。