概要・あらすじ
実家のさびれた漁村に、都会から逃げるように帰ってきた野村敏子は、茶華道の先生をしている未亡人深草夫人の家に住み込みで働くことになった。敏子はそこで不気味な叫び声を何度も聞く。その声の主は実は深草夫人のたったひとりの息子俊一だった。ガリガリにやせて、その姿はまるで餓鬼のようだった。
敏子のなかに言い知れぬ不安が広がっていく。
登場人物・キャラクター
野村 敏子 (のむら としこ)
大企業で事務職をしていたがストレスから退職。実家の漁村に戻り、住み込みの家政婦として深草家に勤めることになる。
深草夫人 (ふかくさふじん)
、茶華道の先生をしている。物腰も落ちついてやさしく美麗な夫人。愛する夫を数年前に海で亡くしている。
深草 俊一 (ふかくさ しゅんいち)
深草夫人の息子。七歳。昔、海で溺れて、それを助けようとして父親は亡くなった。その姿は餓鬼のようで野村敏子を驚かせる。
時枝
深草家のお手伝い。気のつくおだやかな印象で、野村敏子にやさしく指導してくれるが、何かを隠している振舞いに敏子を不安にさせる。