概要・あらすじ
顔が醜いというだけで投獄されている主人公・十万。ようやく牢から出られるも、過酷な労役につかされたり、残酷な城代の屋敷に連れていかれたりと徹底的な迫害にあう。最期は顔面以外を土中に埋められ、人々に踏みつけられることになる。
登場人物・キャラクター
十万 (じゅうまん)
美濃国中巣の下人。実直で勤勉。その醜い顔が理由で半年も投獄された。牢から出たあとも人々に迫害され続け、ついには顔面以外を土中に埋められ、怨恨の念を残し悶死する。路上に残された顔は化石となり、死してなお多くの人々に踏みにじられる。
座間 角兵衛 高能 (ざま かくひょうえ ただたか)
岩穴城城代。面白がって十万を屋敷に連れ帰るがすぐに飽き、虐待の限りをつくす。
お千代 (おちよ)
座間角兵衛高能の屋敷で働く女性。十万に同情し親切にするが、最終的には彼を裏切り、座間角兵衛高能の側女となる。
藤太 (とうた)
岩穴城の労役につく囚人。人一倍体が丈夫。十万とは足枷で繋がれたコンビ。いやがる十万を脅し、無理やり脱走するも失敗し殺される。
場所
岩穴城 (いわあなじょう)
斎藤義竜の領地、美濃の南端の出城。座間角兵衛高能が城代をつとめる。地形が悪く、工事は難航を究め、労役についた囚人は半年もたたずに命を失っていた。