鬼

江戸時代の天保の大飢饉によって村ごと滅んだ土地の寺へ、合宿に訪れた美術大学サークルメンバーが体験する恐ろしくも哀しい物語。「月刊コミックトム」1995年10月号~1996年1月号に掲載された作品。

正式名称
ふりがな
おに
作者
ジャンル
ホラー
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概要・あらすじ

天保八年、奥州枯野村。のちに江戸時代の三大飢饉の1つと呼ばれる大飢饉に襲われ、各家は世継ぎの長男を残して、口減らしをするしかなかった。末松留吉も口減らしのために、ほかの子供たちといっしょに村はずれの縦穴に捨てられる。雨に打たれ体力を失った子供たちは穴の中で死んでいき、残された子供は死んだ子供の遺体を食べて生き延びていた。

ついに残ったのは末松と留吉の2人だけ。腹をすかせた留吉は、衰弱した末松を今にも食べようとしている。しかし、穴を登って脱出しようとした留吉は、転落して頭を打ち、死んでしまう。平成七年の夏、M美大のサークル「不思議圏」に所属する葉山あぐりは、6人のサークルメンバーと共に合宿で岩手県の広林寺を訪れていた。

その夜、寺で眠っていると、あぐりはいないはずの赤ん坊の鳴き声を聞く。翌日、寺の住職からこの辺り一帯の飢饉との関連を聞いたあぐりらは、サークルの部長・中沢純司の提案で、この地の飢饉の爪痕をたどるため図書館へ向かう。文献にはかつての飢饉の凄惨な記録が残されており、人肉を食べたこともあったという。その後、男子メンバーが寺の裏にある雀塚を調べに行くが、数時間が経過しても戻ってこず、残された女子メンバーたちはろうそくを手に探しに向かう。

登場人物・キャラクター

葉山 あぐり (はやま あぐり)

M美大のサークル「不思議圏」に所属する2年生の女子。四人姉妹の末っ子で、男の子だったら良かったのに、という母の言葉で傷ついた過去がある。そのためかボーイッシュなヘアスタイルで、スカートは履かずにパンツスタイル。密かに中沢純司に好意をを抱いている。トリ肉が食べられない。

中沢 純司 (なかざわ じゅんじ)

M美大のサークル「不思議圏」に所属する3年生で、サークル部長。長身の美男子。父は大きな寺の住職だが、寺はビルディングになり、お墓もコインロッカー形式であることが不服なようで、長男だが今のところ寺を継ぐ気はない。水野舞に好意を抱いている。

斉藤 儀一 (さいとう ぎいち)

M美大のサークル「不思議圏」に所属する3年生の男子。頭に巻いたバンダナがトレードマーク。ツナギやチェック柄のノースリーブなどファッションはダサく、顔も三枚目だが、ユーモラスでサークルのムードメーカー的存在。「儀一」という名から、メンバーからは「ギイ」と呼ばれる。葉山あぐりに好意を抱いているが、図書館で文献を調べていた際に、「あぐり」とは「飽きる」という意味の「あく」からきており、男の子が欲しいのに女ばかり続くと付ける名前だと教えるような無神経なところがある。 根は悪い男ではなく、あぐりを心無い言葉で傷つけたことに落ち込み、彼女に謝罪した。

水野 舞 (みずの まい)

M美大のサークル「不思議圏」に所属する2年生の女子。黒のロングヘアーで、目の大きな美人。気は強いほうで、サークルの女子メンバーのなかではリーダー的存在。雀坂を調べに行って戻らない男子メンバーを探しに行く際も、夜の山道をズンズン進んでいく度胸の持ち主。

今井 光、薫 (いまい ひかる、かおる)

M美大のサークル「不思議圏」に所属する双子の姉妹で、2年生。髪はセミロングで、黒目の大きい可愛い顔。いつも2人で同じ服装のため区別しにくいが、髪の分け方が違う。

草薙 宏 (くさなぎ ひろし)

M美大のサークル「不思議圏」に入部した1年生男子。中性的な顔立ちで寡黙な青年。無口で何を考えているのかわからないところがあり、中沢純司からは協調性のない奴と思われている。趣味は料理で、まったく料理ができない女子メンバーだらけの合宿中、メンバーの救いの存在となる。メンバーの皆でファストフードを食べた際、草薙宏の料理のほうがいいと言った純司に「いつでも作るよ きみのためなら」と冗談でつぶやくような一面もある。 コインロッカーベイビーだった過去を持つ。

武田 (たけだ)

中沢純司の父の知り合い。エリートサラリーマンだったが、脱サラして広林寺の住職となった。70年間、廃寺だったため檀家も途絶えており、苦労している。

武田の妻 (たけだのつま)

広林寺の住職を務める武田の美人妻。出産を3か月後に控えた妊婦で、結婚6年目にしてやっと子供を授かったことを喜んでいる。しかし、広林寺は何度代替わりしても跡取りができない、子供が生まれないといういわくつきの場所であり、武田の妻も急に具合が悪くなって救急車で病院へ運ばれてしまう。

末松 (すえまつ)

天保八年、奥州枯野村で飢饉を生き残るための口減らしとして、縦穴に捨てられた幼い男の子。いっしょに捨てられた子供の遺体を食べて穴の中で生き続けるが、自分を捨てた母を恨み、そして跡取りである長男が死ねば両親が自分を助けにくると信じて兄の死を願い続ける。

留吉 (とめきち)

末松と同じく、口減らしとして村はずれに深く掘られた縦穴に捨てられた男の子。捨てられた子供たちの中ではもっとも体格が良く、最後まで生き残りそうだったが、脱出しようとして登った高所から落ちて頭を強く打ち、死亡した。

集団・組織

不思議圏 (ふしぎけん)

M美大にあるサークルで、メンバーは3年生の中沢純司、斉藤儀一、2年生の葉山あぐり、水野舞、今井光、薫、1年生の草薙宏の7名。民俗学を研究するサークルで、その地に埋もれた故事や遺跡を研究するのが目的という名目だが、実質は旅行したいだけのメンバーの集まりで合宿も旅行気分。

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