概要・あらすじ
ちょっとやんちゃで夢みがちな少女・谷底ナスビは、中学校を卒業後に村へ帰り、イチョウの精を助けたことから、女王様みたいな身分になりたいという願いを叶えられる。しかしそれは、ポピラリヤ国の本物の王女であるカナリヤ姫と入れ替わるという、とんでもない方法だった。一方、ナスビの親友でバレリーナを目指す丘タカ子は、嫌がらせに遭いながらも公演で主役を務め、世界一のバレリーナであるソニヤ・パブロバに認められてニューヨークのセンターバレエ団に入ることになった。
一方、ナスビのもう1人の親友の雪野フジ子は少年院の補導員となり、東京をさまよっているところを保護されたカナリヤ姫と出会っていた。そして、カナリヤ姫を連れてナスビの故郷の村を訪ねたフジ子の前にイチョウの精が出現し、フジ子に入れ替わりのからくりを明かすのだった。
そこへタカ子がアメリカへ発つ知らせが届けられる。それぞれの道を歩んでいた少女たちの運命は再び結び付けられ、歯車が回り始める。
登場人物・キャラクター
谷底 ナスビ (たにぞこ なすび)
勝ち気でやんちゃ、男の子をケンカで負かすほど元気いっぱいの少女。桃ガ丘中学校に通うため、田舎から出て来た。卒業後に故郷へ帰り、村にある大イチョウの伐採を止めたことで、イチョウの精の恩返しを受ける。谷底ナスビの「女王様みたいな身分になりたい」という願いは、自分と瓜二つのカナリヤ姫と入れ替わったことで叶えられるが、娘を想うポピラリヤ国の女王の気持ちや王族の大変さを知り、どうにかしてもとに戻ろうと奮闘する。
丘 タカ子 (おか たかこ)
谷底ナスビの同窓生で親友の1人。親戚の家に引き取られて暮らしている。バレリーナになりたいという夢を持っていたが、あまり裕福ではない叔父夫婦に気を使って諦めようとしていた。しかし偶然に出会ったバレエダンサーの牧英男に才能を見出され、教室に通い始める。それからめきめきと実力を発揮し、秋の公演で主役を務め、世界一のバレリーナであるソニヤ・パブロバに認められてニューヨークのセンターバレエ団に入ることになる。
雪野 フジ子 (ゆきの ふじこ)
谷底ナスビの同窓生で親友の1人。真面目なしっかり者で、ならず者とつるんで悪さをする鉄男を諭したり、親戚と離れて暮らすことになった丘タカ子を、親身になって慰めたりした。卒業後は少年院の補導員として働き、保護されて来たカナリヤ姫と出会って入れ替わりの真相を知ると、父親の雪野警部とともにカナリヤ姫を伴ってポピラリヤ国に乗り込む。
雪野警部 (ゆきのけいぶ)
雪野フジ子の父親で、警視庁捜査課の警部。とぼけた風貌をしているがなかなかの切れ者。谷底ナスビとカナリヤ姫の入れ替わりに乗じて国を乗っ取ろうとしているゼンダ将軍の企みに気づき、フジ子とともにポピラリヤ国に乗り込む。
叔父さん (おじさん)
丘タカ子を引き取って面倒を見ている親戚。町のならず者とつるんで悪さをする息子の鉄男に頭を痛めている。タカ子を可愛がっており、あまり裕福ではないながらバレエを習えるように協力している。鉄男が警察に捕まったことで悪評が立ち、田舎へ引っ越すことになったが、タカ子にバレエを続けさせるために雪野フジ子の父親に頼んで住み込みの働き口を世話した。
鉄男 (てつお)
丘タカ子が引き取られている親戚の家の息子。町のならず者とつるんでいる手の付けられない不良。タカ子が叔父からもらった小遣いを取り上げようとしたり、ならず者のあにきが因縁を付けた牧英男を脅すため、タカ子の荷物を探って名刺を見つけ出し居所を密告したりする。
ならず者のあにき (ならずもののあにき)
鉄男がつるんでいる町のならず者の親分。谷底ナスビ親子が田舎へ帰る見送りに来ていた丘タカ子に目をつけ、さらおうとしたところを牧英男が助けたことから、復讐を企てる。その後もタカ子を付け狙い、アメリカに渡る船に密かに乗り込んで、自分たちの高跳びに協力するよう脅す。
牧 英男 (まき ひでお)
牧バレエ研究所を主催し、自らもバレエダンサーとして活躍している男性。偶然に出会った丘タカ子をバレエの舞台に招待し、閉演後にホールで踊るタカ子の才能に注目しスカウトした。芯の通った一本気な性格で、公演の主役をめぐって平目カレーの母親に不正を持ちかけられても突っぱねた。また谷底ナスビとカナリヤ姫の入れ替わりの秘密を探るため訪れたナスビの故郷で、イチョウの木を切ろうとしてイチョウの精に脅されたが、怯まずに立ち向かうという勇敢な面も持っている。
平目 カレー (ひらめ かれー)
牧バレエ研究所に通う少女。丘タカ子と競り合う実力の持ち主で、公演の主役をめぐった投票では同票を獲得した。最終試験で主役を射止めたタカ子を祝福するという素直な心根の持ち主で、自身の母親(平目のおばさま)がタカ子を嫌っていることに胸を痛めている。
平目のおばさま (ひらめのおばさま)
平目カレーの母親。娘を公演の主役にしようと、牧英男に賄賂を贈ったり、最終試験でわざと踊りを間違えるように丘タカ子に持ちかけたりした。さらに人を雇って最終試験を妨害し、それも失敗すると、切符を買い占めて劇場をガラガラにし、各メディアに手を回して酷評させるなど手段を選ばない。
イチョウの精 (いちょうのせい)
谷底ナスビの故郷の田舎にある樹齢を経たイチョウの精で、山の女神。畑を開墾するのに邪魔になると伐採されそうになっていたのをナスビが止めたことを知り、命の恩人として礼をするためにナスビの願いを叶えようと、稲荷のキツネである正一位をナスビのもとへ遣わした。
正一位 (しょういちい)
イチョウの精に仕える稲荷のキツネ。人間の少女の姿に化けることができ、その時は正一子と名乗っている。人間社会のことがよく分かっていないため、「女王様みたいな暮らしがしたい」というナスビの願いを叶えるため、ナスビとカナリヤ姫の入れ替わりを仕組んだ。瞬間移動をしたり、葉っぱをお金に変えることができる。
ソニヤ・パブロバ (そにやぱぶろば)
メトロポリタン・バレエに所属する世界一のバレリーナ。来日中に牧バレエ研究所の公演で主役を演じる丘タカ子を見て、そのたぐいまれな才能を認める。平目のおばさまが仕組んだ裏工作により、各メディアに公演を酷評されて落ち込んでいたタカ子を慰め、将来のために力を貸すことを約束。タカ子をニューヨークのセンターバレエ団に入団させるため、アメリカへ連れて行こうとする。
カナリヤ
ポピラリヤ国の姫で、谷底ナスビと瓜二つの少女。2年前に海賊に捕らえられ、ある島の地下室に閉じ込められていたところ、船に乗って島へやって来たナスビと出会う。ナスビに身代わりを申し出られて地下室から脱出し、国へ帰ろうとしたが、入れ替わりを知ったイチョウの精により日本へ呼び寄せられてしまう。
女王 (じょおう)
ポピラリヤ国の女王。娘のカナリヤ姫が2年前に海賊にさらわれて以来、ずっと病気で臥せっている。その後、入れ替わって国に戻って来た谷底ナスビを娘だと信じている。カナリヤ姫以外で人魚のタマゴの由来を知るただ1人の人物で、その秘密をめぐる騒動の中、再び病状が悪化してしまう。
フタタチータ・トリゴモナス・パラ・アミノメチールベンゾール (ふたたちーたとりごもなすぱらあみのめちーるべんぞーる)
ポピラリヤ国でカナリヤ姫に仕えていた侍女。入れ替わってやって来た谷底ナスビの側にいるうちに、偽物であることに気づく。しかし庶民のために宝石をばらまいたナスビを見て、悪い人ではないと考えるようになり、彼女が偽物であることがばれないように協力する。
ゼンダ将軍 (ぜんだしょうぐん)
ポピラリヤ国の大蔵大臣。世界中の宝という宝を集めるため、高い税金をかけて庶民を苦しめている。城から宝石を持ちだして国民にばらまいた谷底ナスビが、王位の御印である人魚のタマゴまで与えてしまったと知り、偽物ではないかと疑いを抱く。さらには偽物の王女を擁立して自分は陰で国を操る計画を企て、本物のカナリヤ姫を暗殺しようとする。
その他キーワード
人魚のタマゴ (にんぎょのたまご)
ポピラリヤ国の王家に代々伝わっている、王位の御印の宝石。1260年前に東海岸で採れた紫色の真珠で、カナリヤ姫の大大大祖父が王位の印として定めた。その由来は王家のみに言い伝えられており、カナリヤ姫の身代わりをしている谷底ナスビが偽物なのではないかと疑いを抱いたゼンダ将軍が、その由来を語るようにナスビに詰め寄った。
書誌情報
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