あらすじ
第1巻
ある夜、人通りのない盛り場の裏通りに迷い込んだ青年は、狭い路地で一人の若い美女、魔子に誘われ、不気味な雰囲気のクラブ「ワルプルギス」に入店する。店で魔子から「魔女の血」というカクテルを飲まされた青年は、夢のような悦楽の中で魔子と激しく交わり、倒錯の世界にのめり込んでいく。そして目が醒めると、青年は自宅に戻っていた。翌日、青年は同じ場所を再訪するが、不可解にも「ワルプルギス」はどこにも見当たらなかった。青年は、行きつけのバー「ソロモンの小鍵」で出会ったじいさんから魔子の正体を聞く。魔子は宗教団体「魔族」の女性で、若い男性のエネルギーを吸い尽くして堕落させるという恐ろしい魔女であるという。じいさんの話を作り話と一蹴した青年だったが、外に出ると、昨日の場所で魔子と再会する。青年は再び魔子の誘いに惹かれ、再び「ワルプルギス」を訪れる。こうして、青年は魔子が仕掛けた恐ろしい罠に自らかかってしまうのだった。(第1話「舞う夜」。ほか、7エピソード収録)
登場人物・キャラクター
魔子 (まこ)
宗教団体「魔族」の若い魔女。スタイル抜群で、男性なら誰もがその色香に惹かれてしまうほどの美女。日本での仮の姿は、会員制クラブ「ワルプルギス」のホステスとして働いている。路地裏でミニスカートをまくりあげて若い男性をクラブに誘い、媚薬入りの酒を飲ませ、魔法をかけて男を堕落させる。
ママ
バー「ソロモンの小鍵」でママを務める若い女性。オカルティックな雰囲気の店内で、客相手に星占いやタローカードをする事で知られている。実体は宗教団体「魔族」のメンバーで、客を「魔族」に引き入れる役割を担っている。
じいさん
宗教団体「魔族」の一員の男性。会員制クラブ「ワルプルギス」の会員で、魔子に誘惑されて精気を失っている。実年齢はまだ38歳だが、白髪で顔面はシワとシミだらけの老人にしか見えない容姿をしている。「ソロモンの小鍵」の常連客でもあり、来店する客に「魔族」の話をする狂言回し的役割を担う。
青年 (せいねん)
平凡なサラリーマンの若い男性。「ソロモンの小鍵」の常連客。片思いだった会社の同僚の女性がライバル社員と結婚してしまい、ヤケになっている。盛り場の路地で出会った魔子に惹かれ、次第に彼女の虜になっていく。
吉崎 (よしざき)
長髪の若い男性。偶然に「ソロモンの小鍵」を訪れた日が、宗教団体「魔族」の祭りの日にあたり、魔子に誘惑されて原生林での乱交パーティーに参加し、淫猥な夜を過ごす。その後、当夜の秘密を探る行動に出る。
渡 秀彦 (わたり ひでひこ)
会員制クラブ「ワルプルギス」会員ナンバー26の男性。3年前に大恋愛の末、心中未遂を起こすという暗い過去を持っており、自暴自棄になっている。魔子に惹かれて宗教団体「魔族」の仲間に加わるが、理恵子と愛し合うようになって「魔族」の掟を破ってしまい、魔子の逆鱗に触れる。
理恵子 (りえこ)
若く美しい女性。3年前に最愛の恋人を交通事故で亡くし、生きる意欲を失っている。入水自殺を図ったところを渡秀彦に救われ、同じ境遇の渡に惹かれて愛し合うようになる。魔子の策略にはまり、会員制クラブ「ワルプルギス」に来店する。
刑事 (けいじ)
警察署に勤務する刑事の男性。ドブ川に浮かんでいた変死事件の捜査を担当する。死体発見の前夜に死亡した男性とホテルに宿泊した女性を追う。重要参考人として浮上した魔子を取り調べる事になる。
健志 (けんじ)
若くたくましい体格の男性。雪山のスキーで知り合った前島エリカと同棲生活を送っている。エリカとは相思相愛の仲だったが、突然エリカの性格が激変した事で動揺する。エリカを尾行して訪れた会員制クラブ「ワルプルギス」で魔子に出逢う。
前島 エリカ (まえじま えりか)
若く美しい女性。雪山のスキーで知り合った健志と同棲生活を送っている。元来は明るく健康的で快活な性格で、インテリア・デザイナーを目指す勤勉な女子大学生。しかし、魔子と知り合い、会員制クラブ「ワルプルギス」の会員になった事で、派手で淫乱な性格に激変してしまう。
川口 (かわぐち)
サラリーマンの男性。長髪で、ニキビ面の細長い顔をしている。健志の友人で、大学時代は中世の西洋史を専門に学んでおり、ヨーロッパの習俗や伝説に詳しい。宗教団体「魔族」や魔女にまつわる伝承を健志にレクチャーする。
小林 (こばやし)
サラリーマンの中年男性。背は低く、太った体型でメガネをかけ、平凡なさえない容姿をしている。会員制クラブ「ワルプルギス」の会員ナンバー51。宗教団体「魔族」の一員となって魔子の指示に従い、媚薬を使って路上で会った未成年の女性を仲間に引き入れるという行動に出る。
勝浦 卓 (かつうら たく)
長髪のイケメン男性。人気作曲家で、マヤ・若林と同棲生活を送っている。ある夜、マヤと共に魔子に襲われ、異様な体験をする。その体験の謎を探るために魔子を追って会員制クラブ「ワルプルギス」に来店する。
マヤ・若林 (まやわかばやし)
ヌードダンサーの女性。勝浦卓と同棲生活を送っている。ある夜、勝浦と共に魔子に襲われ、異様な体験をする。魔子に誘われるままに会員制クラブ「ワルプルギス」を訪れ、自身の性格を一変させる。
岩崎 妙子 (いわさき たえこ)
妊娠中の若い女性。暴走族の男達に襲われた事が原因で、それまでの平和な生活が破綻してしまう。彼らに復讐するために、会員制クラブ「ワルプルギス」の会員となる。店内の異様な雰囲気の中で、宗教団体「魔族」の仲間の注目を浴びながら出産する。
集団・組織
魔族 (まぞく)
悪魔を崇拝しており、神や人間を冒涜する事を主義とする暗黒の宗教団体。古代バビロニアやアッシリアを発祥とする。中世ヨーロッパでは反キリストの邪教とされ、「魔女裁判」による多くの無実の女性が犠牲になる猟奇事件が相次いだ。日本にも数千年前から上陸し、密かに仲間を増やし続けている。
場所
ワルプルギス
魔子が主宰者兼ホステスを務める秘密の会員制クラブ。店名は魔女達の祭りを意味する。宗教団体「魔族」のメンバーが集う店で、繁華街の一角にあり、ふだんは「ソロモンの小鍵としてカムフラージュされている。店では「魔族」の儀式がたびたび開かれ、裏切り者や秘密を知った部外者の処刑も行われている。
ソロモンの小鍵 (そろもんのこかぎ)
盛り場の一角にあるバー。店内はオカルティックなインテリアに囲まれ、幻想的な雰囲気を漂わせている。実際は宗教団体「魔族」の隠れアジト的存在の店で、「魔族」の者達が集う時には、会員制クラブ「ワルプルギス」に姿を変える。
その他キーワード
魔女 (まじょ)
宗教団体「魔族」に属する女性を指す魔族用語。若く美しい魔女は歳を取らず、その美貌と艶めかしい肢体によって人間の男を誘惑し、麻薬や媚薬を用いて淫猥なセックスによって堕落させる。魔女の虜になった男性は、魔女の従順な下僕となり、仲間を引き入れる役目を与えられる。逆らった場合は残酷な方法で処刑される。