魔物語 愛しのベティ

魔物語 愛しのベティ

ヤクザの主人公肝川胆平が、魔界の美しい魔女ベティ・バレンタインと愛しあって結婚。妻の仇敵である魔物トーマ・ルタンとの戦いをはじめとする数々の試練に対し、強い意志と愛で乗り越えていく夫婦の姿を描くファンタジー・ラブコメディ漫画。小池一夫原作。

概要・あらすじ

親分の敵討ちに向かうも、返り討ちにあった三下ヤクザの肝川胆平を救ったのは、かつて彼が足の怪我を手当てしてあげたベティ・バレンタインという美しい魔女だった。胆平ベティは恋に落ちてそのまま結婚するが、この結婚はベティの仇敵である魔物トーマ・ルタンを倒すために仕組まれたのだった。このことが原因で2人の仲は一度引き裂かれるが、トーマ・ルタンとの決戦の最中に愛が復活し、悲願だった仇敵打倒も果たす。

しかし、その後も胆平ベティの愛にはいくつもの試練が待ち構えていた。

登場人物・キャラクター

肝川 胆平 (きもかわ たんぺい)

元は天涯孤独な三下ヤクザで、敵対するヤクザの親分に殴り込みをかけようとしていたが、途中で美しい魔女ベティ・バレンタインのケガを手当したのがきっかけで彼女と結婚することになる。結婚後は彼女の仇敵であるトーマ・ルタンという魔物との戦いに巻き込まれたが、胆平の機転でトーマ・ルタン打倒に成功した。 その後は人間界に戻って仕事を探すも、元ヤクザな過去が徒となり、なかなか正業に就けずにいた。やがて、照心塾女子大学という女子大で寮の管理人になったが、家庭環境が原因で正式な職員にはなれずに辞めることに。退職後はクリーニング店を営んでいたが、最終的には画家となり、娘を見守りながら魔界をモチーフとした絵を描く。 妻のベティが魔界を治める大魔女になったため、当初は妻子と離ればなれになっていたが、紆余曲折を経て、人間界で親子3人暮らすようになった。古風かつ頑固な性格のおっちょこちょいだが、純粋に人を思いやる優しい心の持ち主。背中にはベティに似た女性の彫り物がある。

ベティ・バレンタイン

後に大祖母の後を継いで魔界を統べる大魔女となる。肝川胆平の前では、金髪の愛らしい女性の姿。しかし、本来は尖った耳に鋭い牙、目は血走った魔女の姿をしている。人間界でケガを手当してもらったことをきっかけに肝川胆平に恋をして結婚する。胆平とは幸せに暮らすが、宿敵トーマ・ルタン打倒のため、一度は離別。 だが、胆平の強い意志でまたいっしょになり、夢界でのトーマ・ルタンとの戦いも胆平の機転で勝利した。やがて、胆平との間に一人娘のドーター・バレンタインを授かる。出産後は母子ともに魔界で暮らしていたが、やがて人間界で暮らすことに。 その後、家族の記憶を消そうと魔界に戻ったが、夫と娘の説得によって再び人間界に戻った。ただし、その後も大魔女の役目を果たすため、定期的に魔界との往復生活を続けている。のちに友人から人類滅亡が避けられないと告げられた際は家族を失う未来を悲観して、女神ミューズに身を投げ出して死のうとも思ったが、最終的には残された日々を健やかに過ごすことを決めた。

ドーター・バレンタイン

肝川胆平とベティ・バレンタインの間に生まれた一人娘。生まれたばかりの頃は悪魔のような姿で胆平も思わずたじろいだが、やがて愛らしい女の子へと成長する。魔女の血を引いているため、耳は人間界では人間のような形だが、魔界では長く尖った形になる。また、左足の太もも部分に胆平と同じ星型の痣がある。 正式に魔女となるサバトの儀式ではあえて抵抗し、父親と同じ人間として生きる道を選んだ。性格は天真爛漫で好奇心のかたまり。その一方で他人を思いやる優しい心の持ち主でもあり、しばしば両親を感動させている。胆平のことは「おとーしゃま」、ベティのことはおかーしゃま、自分のことは「ドタちゃん」と呼んでいる。

トーマ・ルタン

ベティ・バレンタインたち魔女の宿敵である魔物で、かつては魔女狩りの探索人として、数多くの無実の女たちをもてあそんでから火あぶりの刑に処していた。マンドラゴラの能力を得たベティたちとで北海道で戦ったが逃亡。のちにベティたちの調査によってトーマ・ルタンは夢界に潜伏し、夢魔たちに魔女を含む女たちをあてがっていたことが判明。 しかも目的はトーマ・ルタン打倒が目的のベティを、夢魔たちといっしょに陵辱するというものだった。しかし、ベティとともに夢界に殴り込んできた彼女の夫である肝川胆平の策略により、女性の夢魔に精力を全部吸い取られ、最後は使い魔のヤーレンソラが放ったミサイルを腹に受けて倒された。

ペリー・ピンポン

ベティ・バレンタインの乳母である魔女。普段はふくよかで笑顔を絶やさない小柄な女性だが、本性は尖った耳に血走った目、口には牙が生えている大女の姿である。ドーターが生まれた際は大魔女の仕事があるベティの代わりに育児の手伝いもし、胆平たち夫婦が人間界で暮らすようになってからはベティの城を預かって魔界からしばしば連絡を入れていた。 当初はチンピラ然としていた胆平にいい印象を持っていなかったが、彼のベティへの変わらぬ愛情と人としての成長を見るうちに、しだいに認めるようになっていった。

ヤーレンソラ

ベティ・バレンタインのしもべである弁髪の巨人。人間界ではゴーレムとも呼ばれている。特技は変身で、イケメン男子にも宇宙船のような機械にも姿を変えることができる。また、記録媒体として自分の目で見たものを映像として映すこともできる。性別は男で、夢界ではあわや夢魔に精力を吸い取られそうになったこともあった。 魔物トーマ・ルタンが倒されてからは一家の乗り物役はもちろんのこと、肝川胆平が女子大寮の管理人をしていたときは彼の手助け役としてその変身能力をフルに生かしていた。

大祖母

ベティ・バレンタインの祖母であり、バレンタイン派の魔女の長でもある。その姿は短くて巻き毛気味な髪型をした骸骨といった感じだが、人間界に来たときはふくよかな老婆の姿に変身していた。朝食はクロクムッシュという、焼いた薄いパンの間にハムとチーズを挟んだものを好む。魔女の長だけあって普段は厳しいが、純粋な心の肝川胆平のことをベティの夫として認めており、胆平も彼女を母親のように慕っていた。 胆平とベティの夫婦の絆を守るため、大祖母は二人を人間界に逃がし、魔女たちが追ってこれないようにしようとしたが、それを知った反バレンタイン派魔女の襲撃を受けて深手を負う。 この戦いは胆平の決断で終結したが、元々寿命が尽きかけていた大祖母は彼の腕に抱かれ、彼からの大きな愛を抱いてちりと化して消えていった。

マンドラゴラ

『魔物語 愛しのベティ』の登場人物で、雌雄2体おり、いつもカタカナでしゃべる。魔女にとっては入手は永遠にかなわないと思われていたが、ベティ・バレンタインの破瓜による血によって、彼女のものとなる。高い計算力で魔女の宿敵である魔物トーマ・ルタンの居場所を突き止めることができる唯一の存在で、ベティが胆平に近づいたのも、最初はこのマンドラゴラの入手が目的だった。 トーマ・ルタンの居場所探し以外でも、その力がしばしば使われている。

妙子 (たえこ)

魔物のトーマ・ルタンを倒したあと、人間界に戻った肝川胆平と知り合った女子高生。その正体は金のためならなんでもするレディースのリーダーである。当初、ウソの飛び降り自殺で広告看板に人目を引きつけるアルバイトをしていたが、胆平にもっと自分を大事にしろと諭される。その後、胆平は不自由さの中にこそ本当の愛があると妙子に諭すが、男の暴走族とケンカをし、アジトで乱交を繰り返す彼女たちに、胆平の心には届かない。 逆に、妙子を助けたときに口にした「自分は空を飛べる」ということが本当なのか試され、ビルの屋上や港の埠頭から突き落とされる羽目になる。その後も妙子は胆平に接近するが、その目的は彼の超能力で1億円の大金をせしめようというものだった。 実際に胆平が1億円を出したあと、彼女は胆平を刺殺して金を独り占めしようとしたが、事の次第を全部見守っていた大祖母に記憶を消されて、いずこへと去って行った。

照岩 百代 (てるいわ ももよ)

照心塾女子大学を創設した塾頭。肝川胆平が自分の銅像に頭を下げている場面を見て感動し、彼を大学寮の管理人である舎監として雇う。慈愛に満ちた心優しい女性で、胆平にとっては魔界の大祖母と同じように、生き方に大きな影響を与えてくれた存在。問題児ばかりの女子寮で一年間無事故で管理してきた胆平を高く評価し、数少ない正式な職員として学校と寮の両方の保守全般を任そうとする。 しかし、それにはしっかりとした戸籍が必要だった。でも、胆平は天涯孤独の元ヤクザで、娘のドーターは魔女の子。そこでベティは魔法で偽造だとバレない戸籍を作るが、自分は身を引いて魔界に戻ってしまった。 それを知った胆平はせっかくの安定した仕事を捨てて妻を追うことを決意する。当初は胆平の妻が魔女だと信じなかった百代もようやく事の次第を理解し、愛に殉じて悔いの無いよう生きなさいと告げて彼を送り出した。その際に退職金と餞別、そしてドーターへのプレゼントを胆平に託した。

ヴェネフィカ

ベティ・バレンタインの配下であり友人でもある魔女で、人間界にもしばしばやってくる。心あるものに反応し、その心中を読み取る力を持っており、自分と同じ心を持って動くことのできる「ゼットちゃん」という人形を愛用している。そのゼットちゃんが、角谷鋼機という青年のコンピュータが、発するマニトゥという力で動かなくなった事件をきっかけに、鋼機と両思いになり、肝川胆平夫妻の仲人のもと結婚した。

ミューズ

「魔女殺し」の異名を持つ「白い女神」。ヤハウェとの間にキリストを生んだ母性の守護神でありながら、処女神である。13日の金曜日の午後5時、槍と盾を手にしてサバトの草原を通る習性がある。偶然、そこにいた肝川胆平とその娘のドーター・バレンタインと遭遇。これを抹殺しようとしたが、「母性とはなんぞや」と説く胆平に言い負かされてしまった。 その後、人間界に美湯沢朝子という名前で降り立ち、胆平を誘惑するがこれは拒まれる。さらにベティ・パレンタインを一騎打ちで倒して夫の胆平を我がものにしようとするが、魔力を失ってミイラのようになったベティと胆平がひたすら愛し合う様子を見て、身を引いた。 実は酒癖はかなり悪い。後日、ベティが半ば自殺のようにミューズに身を投げ出そうとした際は、小さくなっていたベティの姿を見つけられなかった。

集団・組織

照心塾女子大学 (しょうしんじゅくじょしだいがく)

照岩百代によって設立された女子大学。肝川胆平はこの大学の寮である「照心寮」の管理人である舎監(しゃかん)として雇われた。本来、舎監は50歳以上の教職経験者でないとなれないが、胆平は百代の配慮で特例として働くことになった。寮に住む61人の学生たちは性の意識を含めて自由奔放で、酒や煙草はもちろんのこと中絶カンパなども行われていた。 そうした風潮に対して学校側は授業でのGパン着用禁止令を出し、学生がこれに反抗することもあった。また、寮生たちはみんな、胆平のことをなめてかかっていたが、彼の真摯な語りかけによってしだいに心を開いていった。また、夏休みで寮生が帰省している間は魔界からベティとドーターがやってきて、つかの間の親子水入らずの暮らしを満喫していた。

場所

魔界 (まかい)

ベティ・バレンタイン、メリー・ピンポンなどの魔女が住む世界。魔女以外にも竜を初めとする魔物たちが住んでいる。人間である肝川胆平が魔界に入るにはヤーレンソラが変身した乗り物に乗る必要がある。物語当初は大祖母が支配者である大魔女として世界を統べ、彼女の死後はベティが大魔女となった。 魔女たちにも派閥があり、ベティや大祖母たちのバレンタイン派とそれに敵対するシバ派が長年対立していた。ベティが胆平と夫婦になった際、同時に大魔女の後継者の座も失ったため、シバ派がバレンタイン派に反攻ののろしを上げて侵攻してきたが、胆平がベティと別れると宣言したため争いは終結した。 また、サバトの草原には魔女の天敵である女神のミューズが出没する。

夢界 (むかい)

人間界ではブラックホールとも呼ばれている。ここにベティ・バレンタインの仇敵である魔物トーマ・ルタンが潜伏していた。大気の組成は人間界や魔界と同じ。あたり一面は裁くが広がり、男性夢魔のインクブス、女性夢魔のスクブスが支配している。これらの夢魔は人間型以外にも様々な形態をしているが、基本的にインクブスは男性器、スクブスは女性器をイメージしたものとなっている。 夢魔たちは性交をなにより好むが、自分たちで精液を作ることができず、人間界に降りたって人の精液を吸い取っている。またインクブスたちは魔女と交わることをなによりも望んでいる。トーマ・ルタンは400年もの間、魔女を含む女たちを夢魔に密議続けていたため精気を絞られずに潜伏することができた。 なお、精液を吸い取れなかった夢魔は形を維持できずに砂と化してしまう。

人間界 (にんげんかい)

肝川胆平たち人間たちが住む世界。ベティ・バレンタインの夫となった胆平やその娘のドーターなどの例外を除き、基本的に人間はこの世界でしか暮らせない。紆余曲折の末、胆平夫妻は人間界にて家族水入らずで暮らすことになる。なお、作中では1999年に悪魔ウイルスによって人類は滅亡するとなっている。

書誌情報

魔物語 :愛しのベティ 全8巻 〈スーパー・ビジュアル・コミックス〉 完結

第1巻 愛しのベティ

(1990年5月発行、 978-4091600219)

第2巻

(1990年6月発行、 978-4091600226)

第3巻

(1990年7月発行、 978-4091600233)

第4巻

(1990年7月発行、 978-4091600240)

第5巻

(1990年9月発行、 978-4091600257)

第6巻

(1990年12月発行、 978-4091600264)

第7巻

(1991年1月発行、 978-4091600271)

第8巻

(1991年2月発行、 978-4091600288)

魔物語 :愛しのベティ 全13巻 スタジオ・シップ〈道草文庫〉 完結

第1巻

(1995年12月発行、 978-4883156870)

第2巻

(1995年12月発行、 978-4883156887)

第3巻

(1996年1月発行、 978-4883156917)

第4巻

(1996年1月発行、 978-4883156924)

第5巻

(1996年2月発行、 978-4883156955)

第6巻

(1996年2月発行、 978-4883156962)

第7巻

(1996年3月発行、 978-4883156993)

第8巻

(1996年3月発行、 978-4883157006)

第9巻

(1996年4月発行、 978-4883157037)

第10巻

(1996年4月発行、 978-4883157044)

第11巻

(1996年5月発行、 978-4883157075)

第12巻

(1996年5月発行、 978-4883157082)

第13巻

(1996年6月発行、 978-4883157112)

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