翼を持つ者

どんな願いでも叶えてくれるという伝説・翼を巡り、孤児で元盗賊の少女・寿と、彼女のことを愛する元天才軍人の擂文・シラギの冒険と恋を描いたファンタジー漫画。

概要・あらすじ

時は22世紀。長く続く戦争により地球は荒廃し、一握りの権力者を除いて人々は困窮する日々を送っていた。そんな中、「どんな願いでも叶えてくれるが、どこかに存在する」という伝説が世間に流れていた。6歳の頃から盗賊を始め、その日暮らしをしていた少女・寿はとある町で軍人の擂文・シラギと出会う。彼女に好意を寄せる擂文は、問題を起こして町を離れる彼女に同行、軍人も辞めてしまう。

最初こそ困惑し、擂文のことを受け入れられなかった寿だが、次第に彼女も擂文に惹かれていく。しかし、二人は擂文を取り戻そうとする軍からの追跡を受けることとなり、寿は今なお擂文が軍に縛られていること、頭に爆弾が仕込まれていることを知る。

寿はその爆弾を除くためにを探すことを決意するのだった。

登場人物・キャラクター

寿 (ことぶき)

幼い頃から盗賊であった少女。それ以前は孤児院でアンという女性に育てられていたが、6歳の時に放火に遭いアンと、一緒に育った少年冬太を亡くしている。苗字も持たない、いわゆる名無しである。明るく活発だが、口が悪く文盲。盗賊はあくまで生きるための手段であり、本人は真っ当に働くことを夢に見ているが、運の悪さや本人のそそっかしさから長続きはしていない。 放浪先のとある町で擂文・シラギと知り合い、彼と共に定住地を探して旅に出ることになる。最初は自分に多大な好意を寄せる擂文に困惑していたが、次第に心惹かれていき、やがては彼の頭に埋め込まれた爆弾を除くために翼を探すことを目標とすることになる。

擂文・シラギ (らいもんしらぎ)

高度なハッキング能力と天才的な頭脳を持ち合わせる元エリート軍人。寿以外の人間に対しては傲慢で陰険な性格。めんどくさいことに当たると、なんでも爆破させる悪癖がある。頭に巻いた長いバンダナがトレードマーク。元は感情の欠落した人形のような人格だったが、警吏隊隊長時代に過酷な運命に巻き込まれつつも、真っ直ぐに生きる寿を見て彼女に好意を抱き感情が豊かになった。 そのせいか、寿に深く依存している。

抄華 (しょうか)

翼を狙う盗賊。赤い髪の毛を持つ姉御肌の美女。擂文・シラギとは気が合わずに口喧嘩が絶えないが、目標が同じため行動を共にすることが多い。武器として火薬を用いるものの、コントロールが悪いため危険。晴とコクサイという二人の部下を従えている。翼を探す目的は、表向きには酒池肉林と言っているが、本当は幼いころ強盗によって失った妹を蘇らせること。

ヤン・蛟 (やん・みずち)

ニールス国に抵抗するレジスタンス・狄(てき)のリーダーを務める少年。正義感が強くカリスマ性もあり、部下の数も多い。とある一件で寿、擂文・シラギと知り合い、その後も何かと協力している。ニールス軍との戦いで出会った、敵方の中佐・フィーア・マイシェルに惚れている。

フィーア・マイシェル

ニールス軍に所属する女軍人で階級は中佐。武器として鞭を使用する。上官であるヒルト・ギルに強い好意を寄せているが、非道な作戦を取り続ける彼との擦れ違いを感じるようになる。

ヒルト・ギル

傲慢で気まぐれな性格をしたニールス軍・特務機関に所属する大佐。頭の回転は非常に速いが、部下の擂文・シラギが裏切らないように彼の頭に爆弾を仕込むなど、目的の為に手段を選ばない性格。寿の中に、かつて自分で殺してしまった異母姉・アンの面影を見る。

六呂 (りくろ)

少年の姿をした人工知能体であり、翼の片割れ。ニールス軍の管轄するコンピューターエフとしての側面も持っており、エフの管理人となった擂文・シラギと友好を深めた。擂文や、彼が好意を寄せる寿にアドバイスをすることもある。

アデリィート・ウィルソン

寿と擂文・シラギがお手伝いとして働いた豪邸の令嬢。父親が不在で、母親とも気持ちがすれ違っているためにどこか大人びた空気を纏っている。しかし、寿の影響を受けて母親に一歩踏み出すことに成功、それ以来彼女に対して恋心にも似た気持ちを抱いている。

十夜・イグラム (とうや・いぐらむ)

ニールス軍に所属する軍人で、階級は少佐。元擂文・シラギの上官。妻帯者であるが、擂文を溺愛するあまり写真を集めるなど、多少おかしなところがある。

山本 (やまもと)

領土がかなり小さくなってしまった日本に棲む老人で、世界唯一の日本人。和服に身を包み、ゴーグルを目にかけている。翼の開発に携わった科学者であり、専門は脳科学。

花陽

翼の正体である人工生命体。 同じ人工生命体である六呂とは双子だが、翼としての能力の9割を管理しており、少女の形態を模して現れる。一人称は「ボク」。日本で山本や人型と暮らしていた頃、どんな環境でも育ち、次代を残すよう品種改良した樹を、「贈り物」として周辺の廃墟と共にサランに転送させた。 片翼である六呂を大切に思っていたが、翼として世界を平和に導いた後、六呂が「人間が大好きだから、その中で暮らしたい」と言った時に、「六呂は自分だけのもの」との想いからその手を離し、地下深くに隠してしまった。自身はその後悲しみを抱えて眠りに就く。しかし、物語の終盤でヒルト・ギルの心に惹かれて目覚めた。

(はる)

抄華の部下兼守り役。黒髪で長身の青年。抄華の義父にあたる盗賊団の頭の命を受けて、傍にいる。いつもはポジティブな抄華だが、弱さや傷を抱えていることを理解しつつもそばでサポートしている。最終回で抄華にプロポーズした。

(りん、すず)

ニールス第3地区6番都市・サランの北東部にある21世紀の廃墟の中で暮らす、かつて日本で作られた大量殺人用のロボット「人型」の少女。どちらも10歳前後の子供の姿をしており、よく似た容姿をしているが、髪を結うリボンの有無や前髪で見分けがつく。リンは水を、スズは電気をそれぞれ操れる。 スズは穏やかな性格で、リンは人型たちのリーダー格で過去の出来事から人間不信気味だったが、寿らと出逢ったことで本来の優しさを取り戻した。

場所

ニールス国 (にーるこく)

『翼を持つ者』に登場する国。世界最大の領土を持つ軍事国家であり、物語の殆どの舞台となる国。軍の中枢部では、翼を使った世界征服計画が構想されている。

日本 (にほん)

『翼を持つ者』に登場する国。過去の戦争によって国土ごと消滅したと言われており、現存する資料も数少なく伝説と化しつつある。高度なテクノロジー技術を持っていたとされる。

その他キーワード

『翼を持つ者』の登場する用語。どんな願いでも叶えてくれると言われる伝説の存在。個人だけではなく、軍隊でさえもその存在を探している。その正体は、過去の戦争で日本が開発した、人々を洗脳する力を持つ人工脳・六呂と花陽のこと。

名無し (ななし)

『翼を持つ者』に登場する用語。孤児など、出生が分からずに苗字や本名を持たない人間を指す蔑称。人間以下の存在として見られ、村八分にされ職業などでも差別されている。

エフ

『翼を持つ者』に登場するニールス軍のマザーコンピューター。正体は六呂で、20年ほど前に発見されてから、解剖や改造が施されたこともあり、本来の翼としての能力もほとんど使えない状態だった。擂文・シラギが寿と出逢ってすぐの頃の17歳当時にセキュリティシステムを設計した。インターフェイスのビジュアルは、寿そっくりの妖精。 正解のパスワードを入力してもブロックがコンピュータウイルスへ変化し、侵入者を30秒以内に逆探知して「エフ」に報告、しかも侵入者のパソコンのプログラムを全て破壊するという、外部からの侵入が不可能とされるブロック機能を持つ。

書誌情報

翼を持つ者 全6巻 〈花とゆめCOMICS〉 完結

第1巻

(1996年11月発行、 978-4592128311)

第2巻

(1997年4月発行、 978-4592128328)

第3巻

(1997年10月発行、 978-4592128335)

第4巻

(1998年2月発行、 978-4592128342)

第5巻

(1998年6月発行、 978-4592128359)

第6巻

(1998年8月発行、 978-4592128366)

翼を持つ者 全3巻 白泉社〈白泉社文庫〉 完結

第1巻

(2007年1月発行、 978-4592885214)

第2巻

(2007年3月発行、 978-4592885221)

第3巻

(2007年5月発行、 978-4592885238)

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