「ひだまりホーム」の新オーナーはイケメン俳優
舞台となる「ひだまりホーム」は、宮村明莉の両親が管理していた児童養護施設で、両親亡きあとは明莉が責任者となって管理運営を行っていた。施設には、16歳の小田切律を筆頭に、悠馬、いちか、最年少の奏太の四人が生活しており、明莉はひだまりホームを第二の我が家、そこに住む四人を自分の家族と考えて大切に思っている。しかし経営状態は芳しくなく、家賃の支払いも遅れがちだったため、大家が明莉の後見人と話し合った結果、彼女に相談なくひだまりホームの売却を決めてしまう。だが、新堂駿がひだまりホームを買い取ったことで状況が一変。そして、駿は明莉と契約結婚を交わし、彼がオーナーとなることでひだまりホームの存続が決まる。
ヒロインの幼なじみ・小田切律の告白
高校生の明莉とイケメン俳優の駿は契約結婚という名のもと、夫婦として一つ屋根の下で暮らすことになる。明莉は駿の優しさに触れて惹かれていくが、駿は人気芸能人であり、一般人の明莉にとって駿との恋愛は非常にハードルが高い。そんな駿は、実は明莉と幼い頃に「ひだまりホーム」で出会っており、その時に交わしたある約束を支えに必死に生きてきたが、明莉はそのことをまったく忘れていた。また、明莉と幼なじみの律は、ずっと彼女に思いを寄せていたこともあり、突然現れた駿に明莉を奪われる形となったことで駿を敵視している。しかし、どんどん駿に惹かれていく明莉の姿を目にして、律はこれまで隠してきた自分の気持ちを正直に彼女に伝えたことで、明莉の心の中にも大きな変化が生じる。
複雑な家庭環境から生まれた「契約結婚」
駿の家庭環境は複雑で、自分の母親は後妻に追い出され、駿自身も幼い頃に児童養護施設で暮らしていたため、温かい家庭にあこがれを抱いていた。また、駿の実家は代々続く大きな会社を経営しており、そのトップに立つ祖父は駿を含む三兄弟の中から後継ぎを決めようと考えていた。兄も駿もすでに実家を出ているため、会社を継ぐのは現在17歳の弟になると思われていた。しかし祖父は、芸能活動によって知名度の高い駿を後継者候補と定め、大手取引先の娘との結婚を強要するようになる。駿は祖父に猛反発するものの、ワンマンな祖父に通じるはずもなく、駿は戦略結婚を拒否するために明莉との結婚を強引に進めようとしていたのである。当初、駿は弟が18歳になるまでは今の生活を続けたいと考えていたが、きっかけはどうあれ幼い頃から思いを寄せていた明莉との結婚について後悔はなく、むしろ本当の夫婦になることを望んでいる。
登場人物・キャラクター
宮村 明莉 (みやむら あかり)
高校1年生の女子。年齢は16歳。素直な性格で思いやりがあり、何事にも一生懸命に取り組んでいる。1年前に両親を亡くし、両親が遺した児童養護施設「ひだまりホーム」を第二の我が家と考えて大切にしている。ある日、家賃の支払いが遅れたことを理由に、大家からひだまりホームの売却が決定したことを一方的に言い渡される。そこに突如現れた新堂駿がひだまりホームを買い取ると宣言する。そして、駿は交換条件として宮村明莉に「契約結婚」をせまり、ひだまりホームを守るために明莉は仕方なく承諾する。当初は、ひだまりホームで一番幼い奏太が18歳になるまで我慢して離婚しようと考えていた明莉だったが、家族を大切にする誠実な駿の姿を目の当たりにし、次第に考えを改めるようになる。共にひだまりホームで暮らしている小田切律は家族のような存在であり、明莉にとってのよき理解者。両親が亡くなったあとは、ひだまりホームにほど近い一戸建ての自宅で一人暮らしをしていたが、駿と契約結婚後は自宅で駿と共に暮らし始める。
新堂 駿 (しんどう かける)
高校3年生の男子。年齢は18歳。若手俳優として注目されており、特に若い女性からの人気が高い。そのため、駿の発言や行動は若い世代にかなりの影響力を持つ。家庭環境は複雑で兄と弟がいるが、それぞれ母親が違う異母兄弟のため、家族という実感はなかった。また、18歳になった途端に家業を継ぐため、勝手に決められた相手との結婚をせまられるようになり、実家に対して強い怒りの感情を抱いている。ある時、児童養護施設「ひだまりホーム」が売却されることを知り、宮村明莉との結婚を交換条件にひだまりホームを買い取ることを決めた。結婚後は明莉の自宅で生活を始め、明莉と同じ高校に転校した。世間には秘密にしたまま明莉との結婚生活を謳歌している。クールな性格でやや強引なところもあるが、実は一途で家族を大切にしたいと考えている。かつて、ひだまりホームで暮らしていたことがあり、幼い頃に明莉と出会って思いを寄せていた。そのため、明莉に対しては特別な優しさを見せることが多いが、その気持ちを彼女にはなかなか気づいてもらえずにいる。
書誌情報
黒婚―ブラマリ― 10巻 集英社〈マーガレットコミックス〉
第1巻
(2020-07-22発行、 978-4088443607)
第8巻
(2022-08-25発行、 978-4088446738)
第9巻
(2022-12-23発行、 978-4088447186)
第10巻
(2023-04-25発行、 978-4088447674)