じれったくも甘い運命的な両思いの始まり
すずは、かつて家族と暮らしていたマンションの一室で一人暮らしを始めた。最初は気楽に過ごしていたものの、次第に孤独感が募り、食事をしても味を感じにくくなるほど精神的に不安定になってしまう。同じマンションに住む大家の九太は、そんなすずを気遣い、声をかけるようになる。ある日、すずは九太の書斎に大ファンである作家、イチジクナギの著書が並んでいるのを見つけ、同じ趣味を持つ者として彼に心を開くようになる。しかし、実は九太自身がイチジクナギ本人だったが、そのことをなかなか彼女に打ち明けられずにいた。一人ぼっちのすずを優しく包み込む九太に惹かれていくすずと、純粋なすずに心を奪われていく九太。本作では、そんな二人のなかなか進展しない、もどかしい恋愛模様が丁寧に描かれている。
包容力抜群の人気作家×孤独な女子大生
すずは、明るく振る舞いながらも本音を飲み込んでしまうタイプ。両親の再婚をきっかけに、迷惑をかけてはいけないと自分を抑える癖が身につき、誰かに甘えることができずにいた。そんな控えめで健気なすずを、穏やかで包容力のある九太は、大家として、また年上の立場から、当初はつねに一歩引いた距離感で見守っていた。しかし、時間が経つにつれて、すずの真っ直ぐで不器用な一面に触れ、九太は次第に彼女に心惹かれていく。お互いに両思いであることを自覚してからは、九太がすずに対して独占欲を抱くなど、少し余裕のない一面も見せるようになり、彼女の胸を高鳴らせている。
すずと九太の波乱だらけの日常
晴れて恋人同士になったすずと九太だが、穏やかな日々はなかなか訪れない。九太は作家としてスランプに陥り、すずは恋人として献身的に彼を支えようとする。そこへ現れたのが、すずの義兄であり人気推理小説作家の神崎長。二人の関係に興味を持った長は、新刊の売上で勝った方がすずと交際できるという無茶な勝負を九太に突きつける。さらに、モデルの五百部はるかが九太に接近。当初は話題作りのつもりで近づいたはずが本気で恋に落ちてしまい、はるかはすずを邪魔者扱いして嫌がらせを始める。恋も仕事も思惑も絡み合い、二人の日常は次々と波乱に飲み込まれていく。
登場人物・キャラクター
六月一日 すず (くさか すず)
元々家族といっしょに住んでいたマンションの一室で、一人暮らしをしている女子大学生。年齢は20歳。小説家のイチジクナギの大ファンで、「目玉焼きパン」というハンドルネームで感想を綴るSNSアカウントを運営したり、熱心に手紙を書いたりと、推し活に励んでいる。しかし、熱心なファンであるがゆえに直接会うことは望まないというスタンスを持っており、正体を知らないとはいえ、イチジクナギ(宮生九太)本人から「一度会って話をしよう」と誘われた際も断ったほどである。当初は正体を知らずに九太と交流し、気持ちを通わせたあとで、彼があこがれのイチジクナギであることを知る。恋愛経験はほとんどなく、どちらかというと引っ込み思案な性格の持ち主。そのため、九太の前でも緊張して失敗したり、うまく気持ちを伝えられなかったりと空回りしがち。しかし、その一生懸命で不器用な姿が悪魔的な魅力となり九太に愛されている。
宮生 九太 (みやお きゅうた)
マンション経営と小説家を生業としている20代の男性。年の離れた保育園児の弟、十和と二人で暮らしている。弟の十和が、同じマンションの住人であるすずに懐いたことをきっかけに、彼女と親しくなった。交流を深める中で、両親の離婚と再婚によって心を傷めているすずの様子に気づき、大人の包容力でさりげなく支え始める。人気小説家でありながら、メディアに出演する際は仮面をつけて素顔を公開しておらず、ペンネームは「イチジクナギ」。
書誌情報
黒猫に甘噛み 7巻 小学館〈フラワーコミックス〉
第1巻
(2021-07-26発行、978-4098714063)
第2巻
(2021-09-24発行、978-4098714124)
第3巻
(2022-03-25発行、978-4098715770)
第4巻
(2022-07-26発行、978-4098717163)
第5巻
(2022-12-26発行、978-4098718481)
第6巻
(2023-03-24発行、978-4098721306)
第7巻
(2023-05-25発行、978-4098721412)








