概要・あらすじ
応仁の乱以降、没落し、乞食同然まで落ちぶれた黒田家。黒田重隆とその息子、黒田職隆は黒田家に伝わる黒田流三十六計の策を用い、他人を虐げず喜ばせながらも家を復興させるべく、奮闘し、播州内で力を誇る小出家に仕えるまで成長する。こうした環境で育った黒田勘兵衛は父や祖父から黒田流三十六計や処世術を学び、知略に長けた青年へと成長する。
次々に降りかかる様々な困難を黒田三十六計を用いて切り抜け、智将としてその名を響かせてゆく。
登場人物・キャラクター
黒田 官兵衛 孝高 (くろだ かんべえ よしたか)
幼い時から祖父・黒田重隆や父・黒田職隆より黒田流三十六計や処世術を伝えられ、知略に長けた青年へと成長する。青年期には一時、智を鼻にかけるようなこともあったものの、様々な事件や戦いを通して経験を積み、得を備えた智将として成長してゆく。
黒田 職隆 (くろだ もとたか)
黒田官兵衛の父。黒田重隆の息子。父・黒田重隆の言葉に従い、黒田流三十六計を用いて香林山城守を倒し、小寺藤兵衛政職の筆頭家老となる。息子思いの父だが、厳しい一面も。
黒田 重隆 (くろだ しげたか)
黒田官兵衛の祖父。応仁の乱以降、流浪の一族となっていた黒田家を復興させた人物。人柄がよく、頭脳も明晰であることから、周囲から尊敬され、一目おかれている。敵を作るような振る舞いは避けるよう、息子や孫に教えている。
竹森 新右衛門 (たけもりしんうえもん)
播州の豪農だったが、黒田重隆に一夜の宿を乞われたことをきっかけに、黒田家の面々を屋敷の一角に住まわせる。交流を深める中で黒田重隆の人柄と才を認めた彼は、屋敷を明け渡し、黒田重隆の臣下となる。
小寺 藤兵衛 政職 (こでら とうべえ まさもと)
黒田職隆、および黒田勘兵衛が仕える人物。黒田家の面々を高く評価し、黒田勘兵衛を小姓として側仕えにした他、黒田家と血縁関係を結ぶために、自身の娘と櫛橋豊後守の間に産まれた孫娘を勘兵衛に嫁す。
仙八 (せんぱち)
小寺の重臣八家に雇われ、送り込まれた間者。井戸掘り職人として近づき、黒田家の爆破計画を実行するが、計画に気づいた黒田勘兵衛の行動により失敗。殺されて当前のところを、勘兵衛の寛大な処置に助けられる。これに感銘した仙八は、以降、同時に捕まった7人の職人たちと共に黒田家に仕え、職人として働くほか、陰の軍団として暗殺や姦謀などの裏の仕事を司る。
善助 (ぜんすけ)
百姓の生まれの青年。仙八と知り合った事をきっかけに、後藤又兵衛、母里太兵衛と共に黒田勘兵衛のお供をする。性格は利発で明るく、三人の中ではリーダー的存在。後に黒田勘兵衛の筆頭家老となる。黒田八虎のひとり。
三好 (みよし)
足利幕府随一の家柄を誇り、京都の実権を握る武将。宣教師ビレラと共に来た黒田勘兵衛と交遊をかわし、足利将軍の側近として仕えないかと誘う。しかしこれは黒田家から献上金を引き出すための口実であった。三好はすぐに謀反をおこし、足利義輝を殺害、勘兵衛に与えたお墨付を反故にする。
ゆう
小寺氏の娘と櫛橋豊後守の間に産まれた娘。姉はしず。裾をまくって川で魚を捕るような、おてんばな性格。川遊びをしているところを黒田勘兵衛に見初められ、後に妻となる。勘兵衛との間に松寿(後の黒田長政)を産む。
野糞 垂之助 (のぐそ たれのすけ)
「売信玄首」と書いた服を着て放浪する男。素手で人の首をちぎり取れるほどの怪力の持ち主。京で黒田勘兵衛と出会う。徳川家康に武田信玄の首を取ってくるよう命ぜられ、一千貫の金と引き換えにそれを受ける。後に勘兵衛の部下となる。
竹中 半兵衛 重治 (たけなか はんべえ しげはる)
羽柴秀吉の配下で、先手を勤める軍師。黒田勘兵衛の名声を知っており、五本松城の近くで捕えられ、連れられてきた勘兵衛を解放した。初対面の勘兵衛を、底の深い人物、何を考えているか分かりかねるが、真実味のある人物と捉える。
織田 信長 (おだ のぶなが)
戦国の世で力をつけ、頭角を現す武将。配下に羽柴秀吉など、勇力な武将を擁する。上京の市や寺社をすべて焼き付くすなど、非道と思われる行いもするが、これらはすべて彼の理想のための行動である。黒田勘兵衛の噂を聞きつけ、丹羽長秀とともに造船を任せる。勘兵衛は信長を高く評価し、小寺氏に信長と手を組まなければ先はないと進言した。
羽柴 秀吉 (はしば ひでよし)
織田信長の家臣。長浜の武将。竹中半兵衛を軍師として抱える。播州で人心を掴めず苦労していたところ、黒田勘兵衛に支えられ、信頼を深くする。中国制覇の大将を信長に申し付けられ、勘兵衛と共に戦う。
江良張 角右衛門 (えらはりかくえもん)
小寺藤兵衛政職に仕える勘定奉行。諸国の商人や関連人物から得た情報などから織田信長を高く評価。黒田勘兵衛が小寺氏に信長と手を結ぶよう申し出たさい、これに賛同する。黒田勘兵衛が小寺氏と共に信長に目通りに行くよう、赤松、別処の両氏を説得に行く際、白装束を着て同行する。
山中 鹿之介 幸盛 (やまなか しかのすけ ゆきもり)
尼子氏の家臣の武将。毛利元就に破れて以降、山谷に住み、50年もの間ゲリラ的な戦いを続けていたが、毛利と敵対する羽柴秀吉の力になるよう黒田勘兵衛に説得され、これを受ける。高潔な人物。