黒豹と16歳

黒豹と16歳

気が強く面倒見のいい女子高校生の高千穂たいがは、学園の絶対君主の伊勢谷杏璃に気に入られ、住む場所のない彼を自宅に飼って世話をする「ご主人様」となってしまう。やがて杏璃の友人の御條黒鉄も交えた三角関係に発展する中、戸惑いながらも成長していくたいがの姿を描く、セクシーラブコメディ。「なかよし」2015年9月号から2019年4月号にかけて連載された作品。

正式名称
黒豹と16歳
ふりがな
くろひょうとじゅうろくさい
作者
ジャンル
恋愛
 
学園
レーベル
講談社コミックスなかよし(講談社)
巻数
既刊11巻
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あらすじ

第1巻

高校1年生の高千穂たいがは、静岡県から東京都に引っ越して来てすぐの日、古びた屋敷で少年が倒れているのを発見する。彼が自殺したのでは思い込んだたいがは、声を掛けるが、彼は眠っていただけであった。たいがはそんな彼に呆れつつも世話を焼き、楽しい時間を過ごす。しかしその夜、彼はいきなりたいがにキスをし、怒ったたいがは彼にビンタしてしまうのだった。そして新しい高校への転校初日、たいがは衝撃の事実を知る。先日助けた男性は、この六権院(ろくけんいん)高校において「絶対君主軍団」と呼ばれる四人の男子の一人、伊勢谷杏璃だったのだ。それでもたいがは屈する気はなかったが、再会した杏璃は自分がたいがのペットになってあげると言い出す。混乱するたいがをよそに、たいがは杏璃のご主人様としてすぐさま有名になってしまい、クラスでも浮いた存在になるのだった。どうにか杏璃に反撃したいと考えたたいがは、杏璃の友人の御條黒鉄から、杏璃は現在住むところがなく、例の屋敷にいたのもそのためだった事を知らされる。不憫に思ったたいがは、仕方なく杏璃を自宅に住まわせる事を決意。二人のいびつな、ご主人様とペットとしての関係が始まった。

第2巻

高千穂たいがは、伊勢谷杏璃のご主人様となった事がきっかけで、杏璃の友人であり、杏璃を含めた四人で「絶対君主軍団」と呼ばれている御條黒鉄鳳樹人神楽坂瀬那の三人と親しくなった。やがて黒鉄に思いを寄せるようになったたいがは、体育祭を機に黒鉄との距離を縮めたいと考えるようになる。杏璃も、最初こそ協力しないと言ってはいたが、手伝ってくれるようになり、いよいよ体育祭当日が訪れる。しかしたいがには、黒鉄との関係以外にも悩みがあった。現在たいがは「絶対君主軍団」と親しくしているために、周囲から怖い女性だと勘違いされており、未だに友人が一人もできていなかったのである。そんなたいがが借り物競争に参加すると、女性の友人を連れて来いという指令が出てしまう。候補すらいないたいがは困ってしまうが、そこに助けに入ったのは、女装をした杏璃達四人だった。これがきっかけで、たいがはついにクラスメイトとなかよくなり、そのまま体育祭の打ち上げに参加。帰りは黒鉄に送ってもらい、幸せな時間を過ごす。そんな中、たいがは今しかないとついに黒鉄に告白するが、ふられてしまう。それでも杏璃に慰められたたいがは、あきらめず黒鉄を振り向かせようと決意する。

第3巻

高千穂たいがは、御條黒鉄ともう少し距離を縮めてから、再度アタックする事にした。そんなゴールデンウイークのある日、全寮制の中学校に通うたいがの妹の高千穂こまきが一時帰宅する。しかし、たいがが両親に秘密で伊勢谷杏璃を自室に飼っている事を知ったこまきは猛反対。黒鉄という思い人がいるならなおさら、同居は解消すべきであるとたいがに訴える。しかし、こまきは最終的にたいがの意思を尊重し、二人はまたいっしょに暮らせる事となるのだった。こうしてこまきは寮に戻り、たいがは黒鉄へのアタックを再開する。しかし黒鉄は多忙で、やがてたいがは自分は避けられているのではと落ち込む。そんなたいがに、杏璃は黒鉄を振り向かせる方法を伝授するので、ある場所について来てほしいと誘う。そこは化粧品会社「御條」のパーティ会場で、たいがは黒鉄がこの会社の跡取り息子である事を知るのだった。また、パーティの途中で黒鉄に見つかったたいがは、会場に来ていた鳳樹人神楽坂瀬那にも会い、どうやら杏璃もまたどこかの御曹司らしい事を知る。しかし詳しい事はわからないまま、たいがと黒鉄は杏璃の計らいで黒鉄の自宅に二人きりになる。

第4巻

御條黒鉄は、伊勢谷杏璃に強力な自白効果のある食べ物を食べさせられ、正直な気持ちを隠し切れなくなっていた。そんな黒鉄は思わず高千穂たいがにキスをしようとするが、黒鉄の飼い犬のゴマが現れた事で未遂に終わるのだった。こうしてたいがは帰宅するが、部屋に戻るとそこには杏璃からの書き置きがあった。これによってたいがは、杏璃が自分の居ぬ間に高千穂家を去った事を知り、さらに数日が経過しても登校せず、連絡してもつながらない事を不安に感じるようになる。そこでたいがが杏璃を探しに出かけると、杏璃はほかの女性と遊んでおり、たいがは呆れつつも杏璃を連れ戻す。そして、自分達はあくまでもご主人様とペットの関係だが、もう少しお互いの理解を深めていこうと思うようになるのだった。こうして杏璃は高千穂家に戻り、たいがとの関係も以前より良好となったが、鳳樹人はこれを快く思わずにいた。樹人はこれまで、杏璃がすぐ飽きるだろうと思って放っておいたが、実際はたいがの事が気に入らず、いっしょに過ごすのも嫌だったのである。このままではいけないと考えたたいがは、杏璃のアドバイスもあり、神楽坂瀬那への贈り物をいっしょに選ぶ事で、なかよくなる作戦を立てる。

第5巻

ある日、高千穂たいが伊勢谷杏璃御條黒鉄の二人からデートに誘われたが、その日は杏璃にとって大切な日であったのを知らず、黒鉄を選んでしまった。しかし、これではいけないと感じた黒鉄は、デートの途中に今日は杏璃の祖母の命日なので、杏璃に会った方がいいと伝え、墓地へ案内する。こうして三人は合流してお墓参りをするが、ここで黒鉄は杏璃にライバル宣言する。結局その日は三人で過ごすが、たいがは最近少し雰囲気の変わった杏璃の考えている事がわからず、混乱するのだった。そこで後日たいがは、杏璃との勝負に勝ったら、どんな質問でも一つだけ答えてもらう約束を取りつける。たいがは見事勝利し、謎の多い杏璃について、なにを聞こうか迷う。しかし最終的に、自分は杏璃の今の人間性を知り、信頼しているので、なにも聞かずにこのまま付き合っていく事にするのだった。その直後、たいがは黒鉄から告白されるが、きちんと返事ができないまま数日が経ってしまう。一方の杏璃は勇気が出るお守りとしてピアスをたいがにプレゼントし、二人の仲は深まる。しかしその翌日、たいがのもとに最上烈華と名乗る謎の少女が現れる。

第6巻

最上烈華の目的は、伊勢谷杏璃のご主人様である高千穂たいがに、杏璃との仲を取り持ってほしいというものだった。たいがはその申し出を快く応じるが、もし杏璃が烈華と交際を始めた場合、自分は素直に応援できるのだろうかと不安になってしまう。しかし改めて話を聞くと、烈華の思い人は杏璃ではなく、神楽坂瀬那であった。これによってたいがは内心安堵しつつ、瀬那の事をもっと知るため、烈華だけでなく杏璃、御條黒鉄鳳樹人も交えて瀬那を尾行する。そこでたいがが知ったのは、瀬那は人気声優で、過去には札付きの不良で喧嘩ばかりしていたという事だった。たいがは週刊誌の記者が瀬那の過去をスクープしようとしている事を報告するが、瀬那はこれを逆手に取り、コンサートで自分からばらしてしまう作戦に出る。これが見事に成功し、その夜たいが達は楽しい打ち上げの時間を過ごすのだった。しかし、翌日たいがと杏璃は体調を崩してしまう。放課後、黒鉄達がお見舞いに来るが、熱に浮かされたたいがは、杏璃を黒鉄と間違えたままキスをしてしまうのだった。

第7巻

高千穂たいが御條黒鉄に、結婚を前提に交際を申し込まれたが、そこに伊勢谷杏璃が現れ、連れ去られてしまった。しかし、杏璃がここまでたいがに執着するのには訳があった。杏璃の母親の伊勢谷七夕は、杏璃が生まれる前「あんり」という名前の猫を飼っていたが、あんりが亡くなった事で精神的に不安定になり、息子にも同じ「杏璃」という名前を付けてしまう。さらにそれだけではなく「あんり」と「杏璃」を同一化し、すでに亡くなった存在と扱っていたのである。これによってあんりは息子として扱われた事がない、孤独な人生を送って来たが、たいがとの出会いによって救われたのである。そんな事はつゆ知らぬたいがは、杏璃と共に伊勢谷家の従者の京極閑逢坂総一朗に、伊勢谷家へ招かれる。そこでたいがは総一朗から、杏璃の実家である伊勢谷グループは大企業で、今後それを継ぐ杏璃と、たいがは釣り合わないのであきらめてほしいと釘を刺される。その日は特に何事もなく帰宅できたたいが達だったが、杏璃は、心配して自宅まで来てくれた黒鉄達の思いや、たいがからの励ましにより、心境の変化が訪れていた。

第8巻

高千穂たいがは、御條黒鉄と正式に婚約し、来年の8月31日に結婚式を挙げる事になった。一方の伊勢谷杏璃は父親から、たいがが式を挙げるまでに彼女を振り向かせる事ができなければすべてをあきらめ、伊勢谷家に戻って来るように命令されていた。そんなある日、杏璃はたいがに大事なものを餌付けしてほしいと頼む。これは、たいがが東京都に引っ越して来る前に住んでいた静岡県へいっしょに出かけ、友人達も交えて楽しく過ごしたいという意味だった。応じたたいが達は、たいがが以前通っていた凰城高校に生徒のふりをして忍び込む事になる。しかし、たいがは以前の交際相手の遠野に出くわし、連れ去られてしまう。これは結局楽しく近況報告をしただけだったが、黒鉄は嫉妬。さらにたいがから、最近杏璃と頰にではあるがキスをした事を聞かされ、無理やりキスするのだった。こうして静岡旅行は終わり、たいがは黒鉄の両親に挨拶する事になる。たいがは挨拶も無事に終えて安堵するが、その帰りに杏璃が京極閑逢坂総一朗と三人で歩いているところを目撃してしまう。たいががこれについて尋ねると、杏璃はペットとしての生活に限界を感じているので、そろそろ実家に戻る計画を立てていると言い出す。

第9巻

高千穂たいがは、伊勢谷杏璃が自宅に戻る準備をしていると知った事で、杏璃への思いを自覚してしまった。しかし、だからといって御條黒鉄への気持ちが冷めたわけではなく、二人を同時に愛してしまった事に悩んでいた。そのまま杏璃達2年生は京都府へ修学旅行に出かけてしまい、そこでたいがは最上烈華の協力のもと伊勢谷家に忍び込み、伊勢谷家に隠された秘密を探る事にする。その結果、たいがは杏璃の母親の伊勢谷七夕と、父親の伊勢谷夜霧に出会うが、きちんと話す事はできないまま京極閑逢坂総一朗に見つかり、追い出されてしまう。しかし、これでは終われないと判断した烈華は、今度は京都へ行く事を提案。無事にたいが達は杏璃達と合流し、楽しい時間を過ごす。その夜、たいがは黒鉄に呼び出されてお土産を受け取った際に、黒鉄の事が好きだが、杏璃の事も好きになってしまった事を打ち明ける。これに黒鉄は深く傷つくが、現在伊勢谷家のあやつり人形にされかけている杏璃を案じているのも事実だった。そこで、たいがの意思を尊重し、今は伊勢谷家の問題を優先する事を決意。たいが達は、今度は友人一同で伊勢谷家へ行く事になる。

第10巻

高千穂たいが達は、伊勢谷家の人間達にとって伊勢谷杏璃とはどういった存在なのかを確かめるため、もう一度伊勢谷家を訪れた。しかし、あっさり捕まってしまい、たいがは京極閑によって、地下牢に閉じ込められる。さらに閑は、たいがが以前杏璃からプレゼントされたピアスを強引に奪ったうえ、杏璃へのたいがの思いを察して去っていくのだった。一方その頃、御條黒鉄鳳樹人神楽坂瀬那最上烈華は四人まとめて捕らえられ、杏璃だけは逃げおおせたものの、閑から両親と向き合うためにもたいがと縁を切るように言われ、腹を立てていた。直後、杏璃はたいがが囚われている地下牢を発見して向かうが、時を同じくして、伊勢谷七夕はあんりが来ている事を知る。そこで、すでに精神に異常をきたしている七夕は、こんなに警備が厳重ではあんりが自由に行動できないだろうと言い出し、突如家に火を放つのだった。これによって事態はあまりにも大きくなり、杏璃は自分達だけで解決するのは困難と判断。逢坂総一朗に、なんでも言う事を聞くので、友人達を不問の上で解放し、伊勢谷夜霧と話をさせてほしいと頼む。しかしようやく会えた夜霧は、杏璃の質問に答えなかったうえ、炎の中で死のうとしていた。

第11巻

高千穂たいがが駆けつけた事で、伊勢谷夜霧は自殺を思い留まり、伊勢谷杏璃と両親の関係も少しだがよくなった。こうして一件落着するが、杏璃は逢坂総一朗との約束を守って高千穂家を去り、さらに跡継ぎとしての勉強のため、留学する事になってしまった。それでもたいがは杏璃が決めた事だからと納得しようとするが、御條黒鉄との結婚式に向けてウェディングドレスを試着している最中、京極閑から電話がかかって来る。これによってたいがは杏璃が今日出国する事を知り、思わず飛び出してしまう。結局間に合わず杏璃は旅立ってしまうが、たいがは黒鉄を裏切ったに等しい行為だと深く反省する。そして黒鉄に謝罪するが、黒鉄はすでにたいがの本心を理解していた。そこで黒鉄はもう一度伊勢谷家へ向かい、杏璃の居場所を聞き出す。そしてたいがは黒鉄に別れを告げ、鳳樹人神楽坂瀬那の用意したお守りを持って、杏璃のいるアメリカのニューヨークへ旅立つのだった。

登場人物・キャラクター

高千穂 たいが (たかちほ たいが)

六権院(ろくけんいん)高校1年B組に在籍する女子。前髪を眉上で短く切り揃え、金色の髪の毛を腰まで伸ばしたロングウェーブヘアにしている。八重歯があり、小柄で細めの体型ながらも胸が大きい。伊勢谷七夕からは「わたがしの妖精さん」と呼ばれている。心優しく世話好きな性格だが、気が強く不器用なため、周囲から誤解されやすい。反面、ややドジで天然気味。そのため自分を変えて素敵な恋愛をしたいと思いつつも、なかなかできずにいる。高校1年生の春、静岡県から東京都に引っ越す事になり、引っ越して3日目のある日、古びた屋敷で倒れている伊勢谷杏璃を発見する。そこで、杏璃が自殺をしたのではと思って屋敷に忍び込んで助け、これがきっかけで杏璃に気に入られるようになる。当初はこれを迷惑に感じていたが、すぐに杏璃が住む場所のない事を知り、杏璃を内緒で自宅に住まわせて世話をしている。同時に杏璃の友人でもある御條黒鉄、鳳樹人、神楽坂瀬那とも親しくなり、やがて黒鉄に思いを寄せるようになる。高校1年生の春、黒鉄にふられてしまうがあきらめず、高校1年生の冬についに交際を始め、婚約する。しかし、杏璃の事もまた愛している事に気づいてしまい、これを隠して黒鉄と結婚しようとするが、やがて決断を迫られる。誕生日は8月31日。

伊勢谷 杏璃 (いせや あんり)

六権院(ろくけんいん)高校に通う2年生の男子。日本の四大財閥の一つ「伊勢谷財閥」によるグループ会社「伊勢谷グループ」の跡取り息子でもある。御條黒鉄、鳳樹人、神楽坂瀬那とは非常に親しく、四人まとめて「絶対君主軍団」と呼ばれている。前髪を真ん中で分けて右側は目の上で切って斜めに分け、左側はアシンメトリーな黒の刈り上げにしている。唇の左下にほくろが一つあり、背が高く、細めの体型をしている。母親の伊勢谷七夕似で、特に女装をすると見分けがつかないほどそっくりになる。出身地は京都府で、京都弁で話す。明るく人懐っこい性格だが、いつも飄々としており、なにを考えているのかわからないミステリアスなところがある。また女性が大好きで、来るもの拒まずタイプ。そのため、いつも多くの女性を周囲にはべらせている。さらにいたずら好きで、気に入った子をいじめて楽しむサディスティックな一面があり、高千穂たいがにはよくちょっかいをかけている。伊勢谷夜霧と七夕の一人息子として生まれるが、その頃にはすでに七夕は精神に異常をきたしていた。そのため七夕の元飼い猫であり、すでに死亡している「あんり」と同じ名前を付けられ、亡き者として扱われて来た。結果、母親の愛情を知らず、祖母によって育てられる。それでも祖母や幼なじみの黒鉄とは非常に仲がよかったが、中学卒業を機に東京都にいる両親に呼び戻されて引っ越す事になり、祖母と離れ離れになる。そしてそのまま彼女が死去し、家に帰るのも嫌になって自暴自棄になっていたある日、たいがに発見されて出会った。真摯に自分の世話をしてくれたたいがとの出会いを奇跡のように感じており、たいがに自分をペットにしてほしいと持ち掛ける。以来、彼女の自室のクローゼットを占拠して自室にした。特技はピアノ。女装が好きで、暇さえあれば女装している。その時は「杏璃ちゃん」と呼ばれている。誕生日は3月3日。

御條 黒鉄 (ごじょう くろがね)

六権院(ろくけんいん)高校に通う2年生の男子。大手化粧品会社「御條」の跡取り息子でもある。伊勢谷杏璃、鳳樹人、神楽坂瀬那とは非常に親しく、四人まとめて「絶対君主軍団」と呼ばれている。前髪を上げて額を全開にし、髪全体をツンツンに立てた短髪にしている。三白眼で目つきが悪く、背が高く、筋肉質な体型をしている。白雪美琴からは「若」と呼ばれている。強面な容姿と乱暴な態度から誤解されやすいが、実際は不器用なだけで、心優しく面倒見のいい性格。そのため子供の頃から周囲の大人にも恐れられていたが、唯一自分に臆さず接して来た杏璃と出会い、親しくなる。そのために伊勢谷家の事情にも詳しく、家のあやつり人形にされそうな杏璃を守りたい、助けたいと強く願っている。子供の頃は京都府に住んでいたが、その後東京都に引っ越して六権院高校に進学する。そして高校2年生の春、杏璃を通じて高千穂たいがと知り合い、告白されるが一度は断った。しかしやがてたいがに思いを寄せるようになり、杏璃とライバル関係になる。その後、たいがと交際を始めて婚約に至るが、たいがが真に思っているのは杏璃であると気づいて身を引いた。実家で「ゴマ」という名前の犬を飼っており、非常にかわいがっている。またメッセージアプリのアイコンも、ゴマの写真にしている。誕生日は11月16日。

鳳 樹人 (おおとり みきひと)

六権院(ろくけんいん)高校に通う2年生の男子。大病院「鳳総合病院」の跡取り息子でもある。伊勢谷杏璃、御條黒鉄、神楽坂瀬那とは非常に親しく、四人まとめて「絶対君主軍団」と呼ばれている。前髪を上げて額を見せ、肩につくほどまで伸ばした赤茶色のセミロングヘアをまとめたハーフアップにして、眼鏡をかけている。一見穏やかで紳士的に振る舞っているが、実際は身内意識が強く、人の好き嫌いが激しい性格。その分、一度仲間と認識した相手には非常に親身で、面倒見がよくなる。杏璃とは高校1年生の時に知り合い、出会ってすぐに猫をかぶっている事を見抜かれて驚く。しかし、そんな自分自身でも醜いと感じる部分を杏璃は受け入れてくれた事で、親しくなった。高千穂たいがとは高校2年生の春、杏璃がたいがを気に入り、自分達のグループに加えた事で知り合うが、内心たいがを快く思っていなかった。それでも当初は、杏璃がすぐに飽きるだろうと思って表面上は親しくしていたが、しばらく経ってもそうはならない事に焦れて、正直な思いを打ち明ける。その後はしばらくたいがに意地悪に振る舞っていたが、瀬那への贈り物をいっしょに選んだ事がきっかけで打ち解ける。以降は、たいがに意地悪な態度を取りつつもなんだかんだで世話を焼き、瀬那には「母鳥」と評されるようになる。誕生日は6月10日。

神楽坂 瀬那 (かぐらざか せな)

六権院(ろくけんいん)高校に通う2年生の男子。人気アイドル声優としても活動している。伊勢谷杏璃、御條黒鉄、鳳樹人、とは非常に親しく、四人まとめて「絶対君主軍団」と呼ばれている。前髪を目が隠れそうなほど伸ばした、亜麻色と黒の2色のウルフカットの髪型をしている。マイペースで自由奔放な性格。実はサディストだが、ふだんは表に出さない。両親共に声優の家に生まれるが、中学生時代は荒れており、札付きの不良だった。そのため、当時すでに東京都に引っ越していた黒鉄とは、しょっちゅう喧嘩をしていた。その後、更生し、神楽坂瀬那自身も声優活動を始めて、イベントの司会や洋画の吹き替えだけでなく、アイドル歌手としても人気を博すようになる。ふだんはぼんやりしているが切り替えがうまく、仕事が始まると別人のように完璧なアイドルを演じる事ができる。高千穂たいがとは高校2年生の春、杏璃を通じて出会って親しくなり、その後たいがを通じて最上烈華と出会う。当初は烈華の事を自分の熱心なファンとして認識していたが少しずつ親しくなり、烈華が卒業する頃にはデートする関係になった。好きな食べ物はラーメンで、3食ラーメンでも問題ないほどのラーメン好き。結果、高校の食堂でも毎日味の違うラーメンをローテーションで注文している。誕生日は12月13日。

最上 烈華 (もがみ れっか)

六権院(ろくけんいん)高校に通う3年生の女子。生徒会長を務めている。前髪を目が隠れそうなほど伸ばして目の上でカールさせ、腰の高さまで伸ばしたストレートロングヘアを、頭の低い位置でまとめたハーフアップにしている。穏やかで落ち着いた性格の完璧な大和撫子で、丁寧なお嬢様口調で話す。良家の子女も多い六権院高校において、家柄とは無関係に最上烈華自身の努力のみで生徒会長となった。そのため、全校生徒からあこがれられる特別な存在だが、実は極端な凝り性で、ストーカー気質という一面を持つ。伊勢谷杏璃達「絶対君主軍団」のファンで、隠し撮りを続けていたが、高校3年生のある日、神楽坂瀬那に思いを寄せている事を自覚する。そこで、まずは瀬那と最も親しいと思われる杏璃と親しくなるため、その杏璃と親しい高千穂たいがに声を掛ける。以来五人と非常に親しくなり、たいがとは親友と言えるほどの関係になった。そして瀬那とも、最終的にいっしょに出かけるほど進展する。神奈川県の大学に進学した。「みぞれ」という名前の豚を飼っており、非常に大切にしている。

高千穂 こまき (たかちほ こまき)

中学生の女子。高千穂たいがの妹。スポーツ特待生として全寮制の中学校に通っており、ふだんはたいが達とは離れて暮らしている。前髪を額が見えるほど短く切ったベリーショートカットヘアにしている。背が高く、すらりとした体型をしている。まじめな性格で気が強く、思った事をはっきりと言う。たいがが高校1年生の5月、連休を利用して一時帰宅した際に、たいがが両親に隠れて伊勢谷杏璃を家に住まわせている事を知る。さらにたいがと杏璃は恋人同士というわけではなく、たいがには御條黒鉄という思い人がいる事を知って猛反対する。しかし、最終的には杏璃をペットとして住まわせ続けたいというたいがの意思を尊重し、両親には秘密にしたままで寮に戻った。以来、たいがと杏璃の理解者となり、たいがが黒鉄と婚約したあとは、杏璃が余計な事をしないように見張る事もあった。幼い頃、お祭りで買ったたこ焼きに偶然たこが多く入っていた事があり、以来たこ焼きが好物。

白雪 美琴 (しらゆき みこと)

御條黒鉄の従者を務める28歳の男性。前髪を目が隠れないようにM字に切った短髪にしている。落ち着いているように見えるが、やや融通の利かない性格。黒鉄が幼い頃から仕えており、車の運転手など黒鉄の生活のもろもろの世話をしている。

京極 閑 (きょうごく しずか)

伊勢谷家の従者を務める初老の男性。前髪を右寄りの位置で分けて額を全開にした、撫でつけ髪にしている。まじめな性格ながら気性が激しい。高千穂たいがとは、たいがが高校1年生の夏に伊勢谷杏璃が一度自宅に戻った件について尋ねた際、たいがもその場にいた事で出会った。その時はあまりたいがと接する事はなかったが、たいがが1年生の冬、最上烈華と伊勢谷家に不法侵入した事で呆れる。しかし同時に、厳重注意をしても決して杏璃とかかわるのをやめようとしないたいがであれば、彼を救えるのではないかと、かすかな期待を寄せるようになる。だが、たいがはすでに御條黒鉄と婚約しているため、たとえ二人が両思いであっても、二人の関係を断ち切らなければならないと考えた。そこで、しばらくしてまたもやって来たたいがを地下牢に閉じ込め、杏璃からの贈り物のピアスを無理やり奪ってあきらめさせようとした。さらに杏璃のたいがへの感情は、恋愛ではなく母性を求めるものではと指摘するが、否定されて考えを改める。そして伊勢谷家で起きた火災の件を経て、最終的に伊勢谷夜霧と伊勢谷七夕まで救ってしまったたいがを見て、信頼する事を決めた。

逢坂 総一朗 (おうさか そういちろう)

伊勢谷家の従者を務める若い男性。前髪を真ん中で分けて額を見せ、顎の高さまで伸ばした、ふんわりとしたボブヘアにしている。一見穏やかで落ち着いた雰囲気を装っているが、それは仕事中のみで、本来はクールで意地悪な性格をしている。高千穂たいがとは、たいがが高校1年生の夏に伊勢谷杏璃が一度自宅に戻った件について尋ねた際、たいがもその場にいた事で出会った。その後、たいがを伊勢谷家に招くが、たいがのような一般市民の女性では杏璃には釣り合わないと判断。わざと伊勢谷家の奥へ誘い、杏璃の自室を見せて二人がいかに違う世界の人間かを説いた。その後もたいがの事は快く思っていなかったが、たいがが1年生の冬、最上烈華と伊勢谷家に不法侵入した事でさらに呆れる。しかし同時に、厳重注意をしても決して杏璃とかかわるのをやめようとしないたいがであれば、彼を救えるのではないかと、かすかな期待を寄せるようになる。そして伊勢谷家で起きた火災の件を経て、最終的に伊勢谷夜霧と伊勢谷七夕まで救ってしまったたいがを見て、信頼する事を決めた。愛煙家で、仕事から離れるとすぐに煙草を吸う。

高千穂 秀平 (たかちほ しゅうへい)

手品師の男性。高千穂たいがと高千穂こまきの父親。前髪を眉上で短く切って真ん中で分けた、癖のある短髪。伊勢谷杏璃からは「パパ上」と呼ばれている。親しみやすい性格で、明るくおっとりとしている。やや頼りない雰囲気ながらも温かく、包容力がある。また家族を溺愛しており、誤って殴られた程度ではまったく怒らない。職業柄家を留守にする事が多く、たいが達が東京都に引っ越してからも家に戻れなかった。そのため、戻って来たのはたいがが高校1年の秋で、この時に杏璃と知り合った。この時、杏璃が隠れて居候している事には気づかなかったが、杏璃が不安や淋しさを抱えているらしい事を見抜き、優しくアドバイスをした。

伊勢谷 夜霧 (いせや よぎり)

日本の四大財閥の一つ「伊勢谷財閥」によるグループ会社「伊勢谷グループ」の総帥を務める男性。伊勢谷七夕の夫で、伊勢谷杏璃の父親でもある。前髪を長く伸ばして上げて額を見せ、太ももまで伸ばしたストレートロングヘアをハーフアップにしている。体型は細めで、いつも和装しており、京都弁で話す。穏やかな性格で、感情をあらわにする事はない。しかし家族に対しても有無を言わせない、威圧的な雰囲気を漂わせている。杏璃とは長らく距離を置いて接していたが、杏璃が高校2年生の夏、高千穂たいがが御條黒鉄と結婚式を挙げるまでに、たいがを振り向かせる事ができなければ、実家に戻れと告げる。しかし、杏璃が伊勢谷夜霧と向き合う事を決意し、高校2年生の冬に自宅に会いに来た際、七夕によって屋敷が火災に見舞われ、一度はここで死んでしまおうかと考える。だが、そこに杏璃が現れ、さらに杏璃を心配して追いかけて来たたいがと話した事で考えを改める。そして屋敷をさまよっていた七夕を助け、屋敷を脱出。念のため検査する事になったが無事で、七夕との関係も以前より格段によくなった。

伊勢谷 七夕 (いせや なゆ)

日本の四大財閥の一つ「伊勢谷財閥」によるグループ会社「伊勢谷グループ」の総帥、伊勢谷夜霧の妻。伊勢谷杏璃の母親。前髪を首の高さまで伸ばして真ん中で分けて額を見せ、腰まで伸ばしたロングヘアを後ろで一つにまとめている。たれ目で、杏璃と顔立ちがよく似ている。体型は細めで、いつも和装しており、京都弁で話す。良家のお嬢様として生まれて何不自由なく育ち、やがて夜霧と結婚する。しかし結婚後は、多忙な夜霧とはあまりいっしょに過ごせなくなってしまい、その淋しさを埋めるために「あんり」という名前の子猫を飼い始める。だが、あんりが亡くなった事で精神的に不安定になり、あんりの死を受け入れられなくなる。そこで息子にも同じ「杏璃」という名前を付けるが、伊勢谷七夕にとって「あんり」とはすでに亡くなった猫の名前であるため、人間の杏璃までをも亡きものとして扱うようになってしまう。その後も精神状態は元に戻らず、伊勢谷家の屋敷の奥で従者達に監視されながら、子供のような遊びを繰り返す日々を送っている。高千穂たいがとは、たいがが高校1年生の冬、たいがが伊勢谷家に侵入した事で知り合った。その時はほぼ話ができずに別れるが、その後またもたいががやって来た際、屋敷内で発生したトラブルに気づき、これではあんりが自由に行動できないだろうと言って屋敷に火を放つ。これによって一時は命も危ぶまれるが、たいがによって考えを改めた夜霧によって救出される。その後、すぐに精神が快方に向かったわけではないが、以前よりも格段によくなり、夜霧との関係も改善された。

遠野 (とおの)

静岡県にある凰城高校に通う1年生の男子。高千穂たいがの元恋人でもある。前髪を顎の高さまで伸ばして真ん中で分けて額を見せた、ウルフカットヘアにしている。明るく穏やかな性格で背が高く、細めの体型。たいがとは中学時代に交際しており、自分なりにいい関係を築こうとしていたが、素直になれないたいがと嚙み合わず、別れてしまった。しかし高校1年生の秋、凰城高校の生徒のふりをして校内に侵入して来たたいがと再会し、お互いの近況報告をした。

書誌情報

黒豹と16歳 11巻 講談社〈講談社コミックスなかよし〉

第1巻

(2016-01-13発行、 978-4063644944)

第2巻

(2016-04-13発行、 978-4063915105)

第3巻

(2016-08-12発行、 978-4063915242)

第4巻

(2016-12-13発行、 978-4063915334)

第5巻

(2017-04-13発行、 978-4063915402)

第6巻

(2017-08-10発行、 978-4063915501)

第7巻

(2017-12-13発行、 978-4065106167)

第8巻

(2018-04-13発行、 978-4065113066)

第9巻

(2018-08-09発行、 978-4065124802)

第10巻

(2018-12-13発行、 978-4065140208)

第11巻

(2019-04-12発行、 978-4065154915)

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