概要・あらすじ
黒髪の少女・ココと真っ黒な黒猫・クロは、大きなお屋敷に住んでいた。クロは毎日ドライヤーの音に驚いたり、紙袋に挟まったり、屋根の上から落ちてきたりと、元気でやんちゃに過ごしていたが、実はココが気が付いていない不可思議な部分がある。ココのいる世界には、色を吸って生きる化け物の奴らが潜んでいるが、ココは奴らのことを見ることができない。
実はクロは、そんなココを奴らから守っているのだった。こうして1人と1匹は楽しい毎日を過ごしていたが、そんな平穏な日常は次第に変化していくこととなる。
登場人物・キャラクター
ココ
笑顔が可愛い元気な女の子。1人で花を育てる仕事をしており、毎月、育てた花を医者に渡している。黒髪のツインテールで、いつも可愛いリボンを付けている。大きなお屋敷に飼い猫のクロと一緒に住み、毎日掃除に洗濯、料理も自分でしているしっかり者。クロが大好きで、クロに悪戯を仕掛けることもしばしば。幼い少女にしてはしっかりしすぎている面もあり、クロに依存することにより、現実から自分の身を守っている様子も見られる。 ある事件がきっかけで、注射をする時期を逃してしまい、奴らの姿を見ることができない。
クロ
ココの飼っている真っ黒な猫。しかし、姿こそ猫だが、牙の生えそろった丸い口を持ち、「ピー」と鳴くなど、普通の猫とは少し違う不思議なところがある。屋根の上から落ちたり、紙袋に挟まったりと行動は猫そのもので、いつも元気いっぱいにココと遊んでいる。常にお屋敷を出入りする者を監視しているように見ており、ココに危険が及ぶ時には守っている。
マリア
ココよりも2歳上の友達の女の子。金色の長い髪をした大人っぽい雰囲気の持ち主で、ココのお姉さん的存在。兄がいたが亡くなっており、そのせいかいつも気が強く、気丈に振る舞っている。友達想いで涙脆いところもある、とても優しい人物で、ココを今の生活から救い出したいと考えている。奴らを憎んでおり、クロが奴らの仲間ではないかと疑っている。
ミルク
ココと同い年の友達の女の子。クリーム色の髪の毛をふんわりしたボブスタイルにして、いつも可愛らしい服を身に着けている。引っ込み思案な性格で自分に自信がなく、同い年の子とはなかなか馴染めずにいる。いつも1人で町の人から怖がられているココを見て、「自分よりも可哀相」と思ったのがきっかけで仲良くなった。自分より弱い者に依存しがちだが、徐々に自分のためではなく、誰かのために行動する人物になっていく。
医者 (いしゃ)
町で唯一の医者の老人。1人で暮らすココを気にかけて、色々と面倒を見ている。不可解な行動が多いが、町の人々からの人望は厚い。ココが育てている花から注射のワクチンを作ったり、白線の原料を作ったりと、町の人々を守るために尽力しているが、多くの謎を秘めて生活している。
ブレンダ
町で学校の先生をしている女性。週に1回だけ、家庭教師としてココのお屋敷を訪れている。セサミというお転婆な小さな娘がいる。ココの母親とは同い年で、妊娠中には仕事を代わってもらうなど、仲が良かったと語っている。町の人から気味悪がられているココに対しても優しく接し、よく面倒を見ている。料理が上手で、勉強が終わると必ず料理を振る舞ってくれる。 ココにとっては良いお母さん的存在。
セサミ
ブレンダの娘。髪の毛をおさげにした、そばかすが可愛い元気いっぱいの女の子。週に1回、母親のブレンダがココの家庭教師としてお屋敷を訪れる際、必ず一緒にやって来る。クロに水鉄砲で攻撃したり、逆に泣かせられたりと、良き遊び相手でライバル関係。まだ注射をしていないので、奴らの姿は見えない。
奴ら (やつら)
生き物の色を吸って生きている謎の生物。ほとんどの人々が恐ろしさのあまり「奴ら」と呼んでいるが、中には「化け物」と呼ぶ者もいる。姿形はさまざまで、黒く大きな目があるものや、目が複数ついているものもいる。注射をした者のみが、その姿を見ることができる。死体に寄生することが可能で、寄生された生き物は、注射をしていない者にも見える。 神出鬼没なため、多くの人々が領地を捨てて、奴らに怯えながら生きている。花を原料とした白線を引いたところには、奴らは入って来ないことが分かっている。
場所
町 (まち)
領地を捨てた人々が、細々と暮らしているとても小さな町。年に数回、商店列車がやって来た時には、大きな市が開催される。ココはこの町の外れにある大きなお屋敷に住んでいるが、町の人々には、恐れられ、気味悪がられている。
その他キーワード
白線 (はくせん)
地面に描かれた白い線。ココが育てている花から作られたものを使って描く。奴らはこの白線を越えることができないことがわかっており、これで町を囲んで、そこに住む人々を危険から守っている。そのため、絶対に白線を越えてはいけないという決まりごとがある。なお白線の効力は次第に薄れていくため、定期的に新たに白線を引き直さないと、奴らが町に入って来てしまう。 白線を引かずにいた場所は、奴らの住処となってしまい、そのせいで亡くなった者もいる。
花 (はな)
ココの住むお屋敷の温室と、その周辺のみに育つ白く美しい花。奴らを寄せ付けない、不思議な力を持つ。花の成分からは白線の原料が作れる他、茎からは注射のワクチンが作れるなど、人々が奴らから身を守るために、なくてはならないもの。
注射 (ちゅうしゃ)
花の茎から作ったワクチン。これを接種すれば、奴らの姿を見ることができるようになるため、危険回避に役立つ。この効果を得られるのは、満6歳から半年の間に接種した場合のみ。そのため、町の住人は6歳になると、必ず医者からこの注射をしてもらっている。