概要・あらすじ
パリの下町の娼館・夜の卵には、毎夜「変態」を自認する紳士たちが訪れては、その多種多様な欲望を満たそうとする。ある日、娼婦コレットは、自分を買った日本人の男・杉浦栄に、娼館でのくらしを文章にすることを勧められる。
登場人物・キャラクター
コレット
パリの下町の有名娼館「夜の卵」に身を置く娼婦。フランスの田舎町の出身。仕事を求めて出てきたパリで画家志望の男性・レオンと出会い、恋に落ちる。当初は一般的な職に就いていたが、レオンの助けになりたい一心でさらに金を稼ごうとし、公認の娼婦にまで転身した。文章の読み書きができ、小説を読むのが好き。 杉浦栄に与えられたノートに、夜の卵での出来事を綴る。
杉浦 栄 (すぎうら さかえ)
日本人の男性。小説家で、大名を輩出した名家の出身。見聞を広めるためという名目で、現地に住む従弟を頼ってパリに渡った。夜の卵で出会ったコレットに興味を持ち、ノートを与え、娼館での出来事を記述することを勧める。
レオン
コレットと交際するが、実際は彼女の稼ぎを当てにしているだけのヒモ状態の男性。酒浸りの母、意地汚い兄二人の元で貧しく育ち、画家を志して故郷からパリへ出てきたが、コレットと出会い、共に暮らすようになってからは、彼女の収入に依存するようになる。しばしばコレットに手を上げ、コレットが金を渡せない時は他の女の元を渡り歩く。
場所
夜の卵 (よるのたまご)
『鼻下長紳士回顧録』の舞台となる店。パリの下町にある娼館。女将の監督のもと、コレットら数人の娼婦たちが共同生活をしている。訪れる客は、人並外れた特殊な性癖を持つ紳士が多い。