セックスレス夫婦のリアルな関係
子供がいないまま結婚7年目を迎えた相原一子と相原二也は、お互いに好きな仕事を続けながら二人で食事を楽しみ、休日はデートや旅行にも出掛けている、最高のパートナー。そんな二人は周囲から理想的夫婦と見られているが、実はセックスレスの問題を抱えていた。そんな中、性欲が凪のように停滞した一子から、夫婦仲を円満に保つために「婚外恋愛許可制(公認不倫）」を提案される。そして二人は、恋愛を家庭に持ち込まないというルールを定め、日常を過ごしていた。しかしある出来事をきっかけに、二人は30代セックスレス夫婦としてセックス、愛情、信頼のあり方を考えるようになる。
「婚外恋愛許可制(公認不倫）」を選択
30代セックスレス夫婦の相原一子と相原二也は、結婚7年目を迎えた今も友達のようになんでも話せる良好な夫婦関係を築いていた。その一方で、ここ何年ものあいだセックスレス状態が続いており、二人で話し合って「婚外恋愛許可制(公認不倫）」を決めた経緯がある。これは互いにほかの異性との不倫を認めるというもので、二也は毎月第3木曜日の夜を、一子以外の恋人と過ごすことが習慣となっていた。このいびつなルールを定めながらも、一子と二也の夫婦関係は良好で、別居や離婚に発展することもなく、表面上は円満で平和的な夫婦生活を送っている。
不倫が波乱を巻き起こす
不倫を公認している相原一子と相原二也の夫婦仲は一見良好に見えるが、二也は次第に一子よりも恋人の柏木美月との恋愛に夢中になっていく。二也の様子に彼女への愛情を感じ取った一子は、公認不倫のおかげで感情が安定していたはずなのに、もやもやとした違和感や寂しさを覚えるようになる。また、二也と美月の不倫が公になるにつれ、彼女の夫や周囲の人々の関係性にも影響が及ぶようになる。常識外れな公認不倫を選んだ一子と二也の｢結婚｣という一つの形は、多様化していく夫婦のあり方や夫婦の幸せとはなんなのかを提起している。また、渡辺ペコが得意とする繊細でリアルな心理描写や、登場人物の会話に垣間見える絶妙なユーモアも見どころとなっている。
登場人物・キャラクター
相原 一子 (あいはら いちこ)
WEBデザイナーとして働く女性で、相原二也の妻。二也とは結婚7年目を迎え、平穏な生活と良好な夫婦関係を築いている。二也とのあいだに子供はおらず、夫婦生活は停滞気味でセックスレスが続いている。それでも二也と別れたいわけではなく、話し合ったうえで「婚外恋愛許可制（公認不倫）」を決断した。お互いの不倫を認めることで一見夫婦生活は円満に見えるが時折、二也との関係や夫婦のあり方に思い悩み、葛藤を抱えている。公認不倫のことは周囲に秘密にしているが、ある出来事がきっかけで仲のいい友人に打ち明ける。幼少期は小児アレルギーに悩まされており、汚れた衣服や下着は自分で洗うように母親に命じられていた。二也と結婚した今も、口うるさい母親を心底嫌っている。嫌々実家には帰るようにしているが、母親との連絡は二也に任せている。
相原 二也 (あいはら おとや)
文具メーカーに勤務する男性で、相原一子の夫。結婚前から温厚で穏やかな性格の持ち主で、家事全般を得意としている。清潔感のある爽やかなイケメンに加えて気配り上手なことから、一子の母親から気に入られている。結婚生活の経過とともに一子とはセックスレスとなり、彼女と話し合ったうえで「婚外恋愛許可制（公認不倫）」を決断し、一見円満な夫婦生活を続けている。公認不倫を始めてからも一子の心身を気遣い、優しく接している。結婚7年目を迎えた現在は、既婚女性の柏木美月と不倫関係にある。発達障害の息子や夫婦関係に悩む美月を励ましつつ、彼女との恋に夢中になっている。最近離婚した「とう子」という5歳上の姉がおり、いっしょに食事をしたり連絡を取り合ったりするなど仲がいい。動物が大好き。
書誌情報
1122 7巻 講談社〈モーニング KC〉
第1巻
(2017-05-23発行、 978-4063887334)
第2巻
(2017-11-22発行、 978-4065104507)
第3巻
(2018-05-23発行、 978-4065114810)
第4巻
(2018-11-22発行、 978-4065135709)
第5巻
(2019-05-23発行、 978-4065154823)
第6巻
(2019-11-22発行、 978-4065177570)
第7巻
(2020-07-20発行、 978-4065199114)
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