無意識な偏見と生きづらさに向き合う主人公
食品会社に勤務する25歳の吉乃華は、病気の影響で小学生の頃と同じ身長のまま大人になった女性。会社の先輩からは「女として見てもらえるよう頑張るところから始めないとだめ」と言われ、合コン相手からは、セックスできるかどうかを尋ねられる。また、酒のつまみを開発するプロジェクトでは、「酒が飲めるのか」と取引先から疑問を投げかけられる。華は、大人になるにつれ、こういった無意識な偏見にさらされ、生きづらさに直面してきた。本作は「見た目に人生を縛られたくない」と、偏見に立ち向かう華の姿をとおし、誰もが何かの問題を抱えていることを忘れず、他人の生きづらさを尊重する大切さを描いている。
性格も体格も正反対な華と岩見
身長133センチメートルの華は、見た目と年齢がかけ離れていることから、相手から失礼なことを言われ続けてきた。そんなとき華は、空気を読んでヘラへラしてその場を取り繕ってしまう。一方岩見は、華の会社の後輩で長身の男性。軽い顔面麻痺を持っており、無愛想だと誤解されている。しかし岩見は、人から注意を受けても「これが自分だから」と意に介さない。岩見は「他人から色眼鏡で見られたくないのに、自分を否定すれば同じ穴の狢だ」という。華はそんな岩見との出会いをきっかけに、自分が自分であることを謝る必要はないのだと気づく。こうして出会った性格も体格も正反対な二人は、互いに影響し合い、仲よくなっていく。
身長133cmの華が見ている景色
ある日、大手取引先の萩原が、ふらりと会社にやってくる。以前、華に勧められた酒のことで、礼を言いたかったという。華の上司・金子は、萩原と仕事をしたことがあったが、覚えてもらっておらず、名前を間違えられてしまう。すると金子は、嫉妬から「華が小さいことで得をしている」と言い放ち、華をフォローした岩見にも「表情が変わらず羨ましい」と八つ当たりする。しかし華は、「自分や他人の無いもの探しではなく、それぞれの良い面に目を向けたい」と、金子の仕事に対する情熱や陰の努力を岩見に教える。そして「こういう話のほうが優しくなれる」と笑顔を向けた。そんな華を見た岩見は、「華といると自分だけでは見られない景色が見られる」と感じるのだった。
登場人物・キャラクター
吉乃 華 (よしの はな)
食品会社に勤務する25歳の女性。酒が好きで、銘柄にも詳しい。病気の影響で小学生の時から成長が止まってしまい、身長133センチメートルのまま成人した。大人になるにつれ、外見で判断されることが多く悩みも多いが「見た目に縛られたくない」という気概から、戦う覚悟で仕事に励む。ありのままの自分を肯定する岩見に影響を受ける。
岩見 (いわみ)
食品会社に勤務する長身の青年で、吉乃華の後輩。実家は酒屋で、犬が大の苦手。軽い顔面麻痺を持っているが、周囲に事情を話していないため、無愛想だと思われている。外見で判断するクライアントに対し、毅然とした態度で接する華を見て「かっこいい」と感じる。