37.5℃の涙

37.5℃の涙

病児保育のサービス施設・リトルスノーに勤める杉崎桃子の視点から、病児保育に頼らざるを得ない家庭の子供、母親、父親たちの悩みと苦労を描くヒューマンドラマ。

正式名称
37.5℃の涙
ふりがな
さんじゅうななどごぶのなみだ
作者
ジャンル
妊娠・出産・育児
レーベル
フラワーコミックス(小学館)
巻数
既刊24巻
関連商品
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あらすじ

第1巻

病児保育サービス「リトル・スノー」で派遣の保育士として勤務し始めた杉崎桃子は、初めての担当児童となる森海翔と顔を合わせる。森海翔の母の前ではまるで天使のような笑みを見せる海翔に安堵した桃子だったが、森海翔の母が仕事に向かうと海翔の態度は急変。桃子を困らせるような挑発的な態度を取り始めるが、桃子はなにか理由があるのだろうと真正面から向き合う。すると海翔も桃子に対して心を開きはじめ、いっしょに手づくりのクリスマスツリーを制作するなど楽しい時間を過す。一方で、桃子は海翔が一人で抱えている寂しさに気づく。そんな中、海翔の風邪はなかなか治らず、それどころか日ごとに容態は悪くなる。ついに海翔の熱は40度を超え、桃子の保育中に熱性けいれんを起こし、海翔は救急車で病院へと搬送される。その後、病院へと駆けつけた海翔の母は、すっかり落ち着いて元気な様子の海翔と対面し、そんなに心配する必要はなかったと早々に会社へ戻ろうとする。(Case1.「病気の子供を置いて仕事に行くのは母親失格か?」。ほか、3エピソード収録)

第2巻

黒野瑞樹を担当する事になった杉崎桃子は、さっそく黒野家を訪れる。瑞樹の母は人気漫画家・黒野春子で、桃子は自宅兼仕事場がまるで戦場のように慌ただしい状況に圧倒されつつ、瑞樹と遊ぶ事にした。そんな中、桃子はすぐそばに春子がいるにもかかわらず、相手にしてもらえずに寂しい思いをしている瑞樹の心情を察する。桃子と瑞樹がおとなしく絵を描いていると、瑞樹は春子に自分の絵を見てほしいと勝手に仕事場へと入っていく。しかし春子は漫画の締め切りに追われ、まったく余裕のない状態で、瑞樹の絵に一瞬たりとも目を向けてくれない。その光景にショックを受けた瑞樹はついに怒りをあらわにし、春子の完成していた原稿を破ってしまう。そんな瑞樹に対し、春子は思わず平手打ちをしてしまう。(Case7.「そばにいるのにどうして抱きしめてくれないの」。ほか、4エピソード収録)

第3巻

杉崎桃子は病児保育サービス「リトル・スノー」から篠原健太の保育に派遣され、篠原健太の父に突如交際を申し込まれる。そんな中、桃子が篠原健太の父と健太と共に遊園地に行くと、偶然にも朝比奈元春朝比奈小春もおり、五人で遊園地をまわる事になった。そこで元春から背中を押されたと勘違いした桃子は、篠原健太の父との交際を決意。篠原健太の父と個人的に親しくなった桃子は健太の担当から外れたが、ある日の夜、健太が高熱を出してしまう。とまどう篠原健太の父は桃子を呼び出そうとするが、誤って元妻にも健太が熱を出していると伝えてしまう。健太を心配した元妻は篠原家を訪れ、同じく健太の父親から状況を聞いてやって来た桃子と鉢合わせしてしまう。元妻を拒絶する篠原健太の父だったが、高熱を出して不安になっている健太は元妻からもらったぬいぐるみを大事に抱えており、篠原健太の父は健太が無意識に元妻を求めている事を実感する。篠原健太の父と元妻の話し合いが行われる中、健太は高熱のために熱性けいれんを引き起こしてしまう。(Case9.「母の品格」。ほか、3エピソード収録)

第4巻

杉崎桃子は病児保育サービス「リトル・スノー」から、佐々木杏珠のもとへと派遣される。杏珠の母の前では激しい腹痛を訴える杏珠だったが、桃子と二人きりになるとまったく痛がらないどころか、健康そのものだった。そんな日々が数日続き、桃子も杏珠が仮病を使っていると気づき、杏珠の母に伝えるべきかどうかを悩む。そんな中、朝比奈元春から「桃子が気づいているのに、母親が子供の仮病に気づかないはずがない」と諭された桃子は、何も言わずに自分の職務を全うする事にした。そして桃子が杏珠とかかわっていくうちに、杏珠の仮病はなくなり、元気に保育園へと登園するようになる。これで問題が解決したと安堵した桃子だったが、数日後に杏珠の母から、また杏珠が腹痛を訴えているため、保育園に迎えに行ってほしいと連絡が入る。桃子が杏珠を連れて病院で診察を受けると胃腸炎と診断され、桃子は杏珠の自宅にて病児保育を開始する。そこに杏珠の母が帰宅し、また仮病を使って母親を困らせたいのかと杏珠を激しく責め立てる。(Case13.「オオカミ少女を信じるのは誰か。」。ほか、3エピソード収録)

第5巻

東京都心から1時間ほどの千葉県内で定食屋を営んでいる西村良太郎の母は、良太郎が病気になると病児保育サービス「リトル・スノー」を利用し、保育士として派遣されて来る杉崎桃子に信頼を寄せていた。そんな中、いつも風邪を引くと気管支炎になる良太郎は医師から喘息だと診断されたものの、喘息の症状を示す4段階のうち、一番軽度のステップ1と告げられ、良太郎の母は安堵する。桃子も良太郎と楽しく過ごしていたが、リトル・スノーでは喘息のステップ3以上の児童の保育は一部が医療行為にあたるため、サービスを受けられない規則だった。から「これ以上良太郎の喘息が悪化したら派遣できない」と釘を刺された良太郎の母は動揺し、さらに良太郎の喘息の症状も悪化して、仕事に身が入らなくなる。西村家が経営する食堂も病気の子供がいるうえに味が落ちたと悪い噂が立ち、客の入りも悪くなってしまう。本来明るく前向きな性格の良太郎の母が追い込まれていく中、彼女の前に朝比奈元春と桃子が現われる。(Case16.「ルールがあるからこそ逆転の発想も生まれる。」。ほか、3エピソード収録)

第6巻

坂下真央が発熱したため、真央の母は病児保育サービス「リトル・スノー」に依頼し、杉崎桃子が保育する事になった。真央の家には真央の母の実母、つまり真央にとって祖母が勝手に世話になると居座っている状態で、重度の卵アレルギーの真央の前で卵を使用した食品をこぼしながら食べ、まったく気遣いをしない。真央の母は頑固で攻撃的な性格の実母に対してなにも言えず、静かに掃除をし続けるだけだった。本来であれば家庭の問題に踏み込んではいけない立場の桃子だったが黙っていられず、祖母に対してアレルギーの怖さを解いた資料などを渡すが、祖母は最近の子育ては神経質すぎると相手にしない。そんな中、祖母は卵を使ったパンを食べた手で真央を抱いてしまう。すぐに真央の身体にはひどい湿疹が現われ、苦しそうな息をし始める。(Case20.「例え親子でも距離を置くことが幸せな場合もある」。ほか、3エピソード収録)

第7巻

病児保育サービス「リトル・スノー」ではスタッフ達のお花見会が開催され、朝比奈元春朝比奈小春も参加し、大いに盛り上がる。そんな中、杉崎桃子はこれまでの元春の言動から、元春を上司ではなく一人の男性として意識してしまう。元春から顔が赤いと指摘された桃子は否定するが、実は39度近く発熱しており、元春に自宅アパートまで送られる。まるで夢のような状況の桃子は、帰ろうとする元春を勇気を出して呼び止め、おかゆを作ってもらうなど看病をしてもらう。その中で桃子は元春といっしょにいられる事だけでなく、病気の時は大人も子供も誰かに側にいてもらえるだけで安心できるのだと実感する。そしてすっかり寝入ってしまった桃子に対し、元春は思わずキスをする。(Case24.「はじめての」。ほか、3エピソード収録)

第8巻

杉崎桃子が今日の訪問先に行こうとすると、予定していた児童の母親・福井千尋から連絡が入る。それは、キャンセルするかもしれないが、来てほしいという不可解な依頼であった。とりあえず桃子が自宅へと向かうと、そこには千尋の夫・福井弘一郎の母がおり、病気の子供は母親が看病するべきだと桃子を追い返そうとする。しかし千尋から戻らないでほしいと懇願された桃子は留まり、とりあえず自分の仕事ぶりを見て病児保育サービス「リトル・スノー」が信頼できるかどうかを判断してほしいと提案。桃子の不安をよそに弘一郎の母は協力的で、最近の育児に関しても積極的に質問をするなど、前向きな姿勢を見せる。また、弘一郎の母はびっしりと書き込まれた連絡ノートや、できるだけ手づくりの食事を作ろうとしている千尋の奮闘ぶりを目の当たりにし、戸惑った様子を見せる。実は弘一郎は弘一郎の母に「千尋が家事や育児を放棄している」といった旨を伝えていたのだ。弘一郎の母は息子からの話と実際の千尋の行動の差に混乱し、一体何が正しいのかわからなくなってしまう。(Case28.「いくつになっても母親は息子に甘い?」。ほか、3エピソード収録)

第9巻

杉崎桃子の住むアパートに泥棒が入り、桃子は引っ越しを考える。そんなある日、桃子のとなりの部屋にシングルマザーの小向幸子と息子の小向俊平が引っ越して来た。桃子が保育士だと知った幸子は勝手に俊平を遊びに行かせ、深夜まで託児所代わりに利用し出す。愛らしい俊平が来るのを無下に拒めず、さらに幸子からは心からお礼を言われ、桃子は断れない状況に追い込まれてしまう。しかし朝比奈元春は桃子に対し、幸子のしている事は育児放棄だからと、児童相談所に通報するように勧められる。桃子は通報の決心がつかず、そのまま俊平を預かる日々が続く。その状況を見かねた元春が桃子に対し、幸子に渡すようにと夜間保育施設のパンフレットを託すが、幸子は彼氏に会いたいから俊平が邪魔ならばはっきり言うべきだと逆上。桃子と幸子は仲違いし、俊平を預かる事はなくなった。そんな中、桃子が元春と共にアパートの自室にいると、となりの部屋から苦しそうな俊平の咳が聞えてくる。(Case31.「ある疑惑、そして葛藤」、Case32.「桃子、戦う。」。ほか、2エピソード収録)

第10巻

杉崎桃子は久しぶりに水谷静香から依頼を受け、水谷響の待つ自宅へと保育に向かう。するとシングルマザーだった静香は再婚し、新しい父親・水谷悟郎が在宅していた。響は悟郎に対して殴る蹴るの暴力を振るい、まったく懐いている様子がない。しかし桃子の前では以前と変わらない様子を見せる響は、桃子に対して「悟郎は静香を泣かせているから気に入らない」と打ち明ける。そして次の日、引き続き桃子は響のもとへと向かったところ、悟郎から半日だけ響の保育を見学させてほしいと依頼される。(Case35.「僕たちはヒーローだ」。ほか、3エピソード収録)

第11巻

市井から依頼を受け、杉崎桃子新田涼が保育に向かうと、いつも賑やかな市井家の三兄弟が妙に静かに過ごしていた。新田が事情を聞くと、アパートのとなりに住んでいる剛田からうるさいとクレームを受け、母親の市井が叱られるところを見たくない三兄弟ができるだけ音を立てないように生活していたのだ。子供の声を騒音扱いされた事に腹を立てた新田は、病児保育サービス「リトル・スノー」の規約に反する事は理解しつつも剛田の家を訪れ、できるだけとなりの部屋に音が聞こえないように、勝手に家具の模様替えを始める。あまりにも強引且つ人見知りしない新田に対して剛田も心を開き、自身が子供に恵まれなかったため、あんなに声や物音が大きいとは思わなかったと打ち明ける。それを聞いた新田は市井の苦労をさらに知ってもらおうと、市井と三兄弟が公園に遊びに行く際に剛田も同行させる。(Case39.「子供の声は騒音か?」。ほか、3エピソード収録)

第12巻

いつもは関めぐみが担当している風間の家に、急遽派遣される事になった杉崎桃子は、風間がノロウイルスに感染している娘・香凛(かりん)に対して冷たい態度を取っている事に違和感を抱く。めぐみからも明るく子供に優しい人だと聞いた桃子が原因を探ると、風間は以前子供がインフルエンザを患った際に必死に看病し、そのせいで自分もインフルエンザになり、仕事に穴を空けてしまったと打ち明ける。さらに風間は職場からは厳重注意され顧客も離れた事から、絶対に仕事を休みたくないため、病気の香凛に冷たく当たっていた事が判明する。桃子は罪悪感に駆られている風間に対し、ノロウイルスの正しい処置の方法を教える。これにより風間は香凛の看病ができるようになったものの、桃子が水分摂取の方法だけを伝え忘れていたため、香凛は極度の脱水状態に陥り、急遽病院へと搬送される事態になってしまう。(Case44.「こんな私は母親失格?(前編)」、Case45.「こんな私は母親失格?(後編)」。ほか、2エピソード収録)

第13巻

病児保育サービス「リトル・スノー」に新人の円城寺弥生が入社し、杉崎桃子新田涼が教育係になった。さっそく、二人は弥生と共に神取清美の自宅へ向かい、娘・奈美(なみ)の保育を開始する。弥生は基本的な保育はしっかりとこなすものの、マニュアルにない臨機応変な対応が苦手だと判明する。しかし、二人からのアドバイスにより、弥生はマニュアルよりも実際に目の前にいる子供と向き合う大切さを知る。一方、清美はなかなか理想通りにいかない自分の育児に悩み、マニュアルや育児書を何冊も読み込んでおり、自分は母親に向いていないのではないかと思いはじめていた。日を追うごとに清美の精神は不安定になっていき、弥生が帰り際にかけた「清美は母親だから」という言葉を引き金に、マンションのベランダから衝動的に投身自殺をしようとする。一部始終を目撃した弥生は自分のしてしまった事の重大さに落ち込み、保育士を辞めるべきではないかと考え始める。(Case47.「マニュアルよりも大切なこと(前編)」、Case48.「マニュアルよりも大切なこと(後編)」。ほか、2エピソード収録)

登場人物・キャラクター

杉崎 桃子 (すぎさき ももこ)

病児保育サービス施設・リトルスノーに勤務する女性保育士。22歳。笑うと顔が怖くなる。父母からは育児放棄、兄からは虐待されて育ち、トラウマを抱えている。そのため、子供たちの気持ちに入れ込み、就業規定を越えて深く依頼人の家庭に関わってしまうことが多い。裏表がなく素直で、目の前の事に熱心に打ち込む性格で、周囲の人たちがついつい構いたくなるようなところがある。 人生経験の幅が少なく、飲酒、車の助手席に乗るなど、未経験なことが多かった。保育学校は奨学金で通っており、返済が残っている。経済的に豊かでないこともあり、質素な食生活を送っており、「味のついたもの」を喜ぶ。幼馴染の小野慎太郎が、弟達の世話をするのを見て、保育に興味を持ち、この道に進んだ。

朝比奈 元春 (あさひな もとはる)

病児保育サービス施設・リトルスノーのマネージャーで、杉崎桃子の上司。31歳。3年前に妻の小雪を病気で亡くしており、男手1つで娘を育てているシングルファーザー。妻からもらった伊達眼鏡をかけている。スキンシップが多く、がんばった桃子の頭をなでたり、飴をあげたりした。 よくオフィスでウクレレを弾き、スタッフを楽しませている。娘の名前は朝比奈小春で、目に入れても痛くないほど可愛がっている。妻が病死する前、小春に少しでも辛い思いをさせたくないと、「ママはすぐに帰ってくる」と嘘を告げたため、娘と少し溝ができている。同じマネージャーの柳とは親友同士。

朝比奈 小春 (あさひな こはる)

朝比奈元春の娘。小学校1年生。一見、礼儀正しく、大人びてみえるが、かなり我儘で口が悪い。母が病死する前、父が自分に少しでも辛い思いをさせたくないと、「ママはすぐに帰ってくる」と嘘を告げたことにより、母と最後の別れがちゃんとできなかった。このことが溝になっており、父がどうして嘘をついたかの気持ちを察しつつも、父に反発している。 杉崎桃子が病児保育に来た際、彼女の不器用だが裏表のない接し方に心を許した。また、発熱から自分が倒れた時、我を失って慌てる父と桃子のやり取りを見て、父と仲直りする。

関 めぐみ (せき めぐみ)

病児保育サービス施設・リトルスノーに勤務する女性保育士。杉崎桃子の先輩。森海翔の担当をしたことがある。胸が大きいため子供から人気。過去に依頼人の家庭に口を出し、母親と口論となり、子供を傷つけ、さらにはその児童が母親から扼殺されかけるという事件を経験。以来、必要以上に依頼人に深入りしないようにしている。 依頼人に深入りしがちな桃子に対して、これをしばしば窘めている。姐御肌で本質的には面倒見が良い人物で、桃子から懐かれるようになり、たびたび彼女の面倒を見ている。

(やなぎ)

病児保育サービス施設・リトルスノーのマネージャーで、杉崎桃子の上司。朝比奈元春の友人で、元春がもっとも信頼している人間。規則にうるさく、マニュアルに則って依頼人と関わることを桃子たちに口うるさく言っている。あまり笑顔を見せずクールなところがあるが、依頼人やスタッフのことは、元春に負けず劣らず気にかけている。

新田 涼 (にった りょう)

病児保育サービス施設・リトルスノーの男性保育士。杉崎桃子の後輩。身長は187cmと大柄でイケメン。髪は金髪でアクセサリをつけて出勤するなど、保育士としては問題児的な風貌だが、気さくで仕事ができるため、すぐにリトルスノーのスタッフとも、児童たちとも馴染んだ。六人兄弟の二番目であり、両親が共働きであったため、弟妹の面倒を見ており、育児に慣れている。 以前は保育園に勤めていたが、男性保育士に対し、小児性愛者の疑惑をかけ、嫌悪を示す保護者の言動と保育園の過敏な動向に嫌気がさして辞めている。威圧感があるため、周囲から注意されることが少なく、自分の悪い点を顧みることができなかったが、基本的には素直で情熱的な人間。 朝比奈元春のさり気ない注意から自分の悪い点に気付き、桃子のアドバイスもあって、自分を改めるようになった。

小野 慎太郎 (おの しんたろう)

杉崎桃子の幼馴染で、初恋の相手。8人兄弟の長男。祖母の家に預けられることが多かった桃子と知り合い、桃子を遊びに誘って仲良くなった。屈託のない性格をしており、家族から構われることのなかった幼い桃子の心を癒すこととなる。中学で桃子と再会し、再び仲を深めるが、慎太郎自身、女性関係が派手だったこともあって幼馴染以上の発展はなかった。 板前になるという夢を抱いて東京に出たが挫折。街でスカウトされて芸能界入りし、映画の主演を務めたり、抱かれたい男No.1になるほどの成功を収めた。現在は女優の水城藍と結婚しており、1児の父となっている。街中で桃子とスキンシップを取っていた写真を撮られ、スキャンダルになった。

森 海翔 (もり かいと)

初めて杉崎桃子が1人で病児担当した児童。5歳2か月。母親の前ではいい子に振舞っているが、保育士の前では生意気になる。母親想いで優しい男の子で、母親を困らせたくないため、サンタさんに元気な体が欲しいとお願いしていた。大きな胸が好き。真剣に自分の事を見てくれた桃子を好きになった。

森海翔の母 (もりかいとのはは)

森海翔の母。シングルマザー。森海翔の事を大事に思っているが、自分ひとりで海翔を育て、より良い生活をさせてあげたいと奮闘するあまり、息子を寂しがらせていた。海翔が熱性痙攣を起こし、救急車で病院に運ばれた際、海翔の痙攣時の様子が書かれたレポートによって、自分がちゃんと息子を見ていないことに気づいた。

姫華 (ひめか)

杉崎桃子が病児保育にあたった女の子。叱られずに育てられていたため、自分がしていることが悪いこと、相手が嫌がることであるとわかっていなかった。家の2階から落ちた際、桃子から身を挺してかばわれ、桃子が怪我をしたにもかかわらず、自分の事を優先して心配してくれたことから、人の痛みに気づけるようになった。

美咲 (みさき)

奨馬の母で化粧品販売店の美容部員。夫の高志が、自分が思っていたほど育児に協力してくれないことに苛立ちを覚えている。仕事と育児を両立させようとしていたが、夫の無理解・非協力もあり、病気がちな息子の奨馬の世話にノイローゼ気味となった。奨馬を病院に連れて行った際、吐瀉した息子を見て、感情を爆発させ、自失していたところを杉崎桃子や居合わせたママたちに助けられ、元気を取り戻す。 TVに出演していた朝比奈元春の話を聞き、男と女の感覚の違いを理解し、夫への接し方を工夫するようになり、夫婦関係が少し良くなった。

朝比奈 小雪 (あさひな こゆき)

朝比奈元春の妻。故人。3年前に病死した。元春から何度もプロポーズをされた末に、了承して結婚している。

杉崎 優樹 (すぎさき ゆうき)

杉崎桃子の兄。医師であり、病院長の娘を妻としていた。一男一女の父で、娘は生まれたばかりであり、娘は妻とともに病院に居た。小さい頃から桃子に対して暴力で言うことをきかせており、桃子にトラウマを抱えさせることになった人物のひとり。偶然、桃子が息子の病児保育に来た際、食事を作るように命令。 規定によりできないと拒否した妹に対し、暴力を振るって言うことをきかせた。これを見ていた息子の衛は、兄と妹の関係性をこのようなものだと理解し、自分の妹に同じようなことをしてしまう。これにより、優樹の本性が妻をはじめとした家族に知れ渡り、離婚となった。

篠原 健太 (しのはら けんた)

父母が喧嘩が多く、それにより離婚したため、父が誰かと言い合いをすると不安がる。父母の離婚後、心を閉ざしがちだった。父の事も母の事も大好きだが、母の事を話すと、父が不機嫌になるため、これを我慢していた。病児育児の際、杉崎桃子に面倒を見てもらい、桃子が母との思い出を上手に聞きだしたことにより、桃子に心を許すようになる。 桃子に母性を感じ、自分の5歳の誕生日を、父と一緒に桃子に祝ってもらいたいとお願いした。

篠原健太の父 (しのはらけんたのちち)

妻と離婚し、シングルファーザーになった男性。病児保育でリトルスノーに依頼を出し、杉崎桃子に息子の篠原健太を預けることになる。短気で感情をストレートに出すため、桃子から怖がられていた。強引で相手のことを考えずに自分の気持ちを押しつけるところがある。両親の離婚で人に心を閉ざしがちだった健太が、1日で桃子に対して心を開いたことに驚愕。 デリカシーに欠ける桃子を嫌っていたが、息子の誕生日を一緒に祝った際、その素直で裏表のない、良く笑う姿を見て、桃子のことを気にしはじめる。その後、頼もしく健太の世話をしてくれた桃子を見て、彼女に惚れ、結婚を前提に交際を申し込んだ。 桃子もこれを了承し、順調に付き合いが進んでいたが、桃子自身が気づいていなかった彼女の朝比奈元春に対する気持ちに気づき、また、健太の母親に対する気持ちを尊重し、一人の男ではなく、父親であることを選択。桃子と別れた。

佐々木 杏珠 (ささき あんじゅ)

杉崎桃子が担当した病児保育の児童。両親にあまり構ってもらえず、寂しくて仮病を使っていた。自分の事を真剣に見つめてくれた桃子に心を開き、自分が仮病を使っていたことを告白。父母にもそのことを謝った。

杏珠の母 (あんじゅのはは)

佐々木杏珠の母親。病児保育サービス「リトル・スノー」に登録している。杏珠に対しては優しく接しているものの、仕事をしているためになかなか向き合えずにいた。杏珠が仮病で腹痛を訴えていると気づいていたが、原因が母親と離れる寂しさではなく、保育園のクラスが変わったストレスからだと勘違いしていた。杏珠とは根気強く接していたものの、度重なる仮病の腹痛に怒りを爆発させ、本当に胃腸炎を患ってしまった杏珠に冷たく当たる。杉崎桃子を介して杏珠の寂しさに気づき、向き合う事にした。

藤堂 大和 (とうどう やまと)

藤堂香織の長男で、藤堂櫻子の兄。同じマンションに住む優奈の母が病児保育サービス「リトル・スノー」を利用しており、櫻子と杉崎桃子が偶然話しているところを見かけ、桃子と顔見知りになった。大和の母親は桃子の絶縁した実姉なため、藤堂大和からすると桃子は叔母にあたる。成績優秀で、香織の期待通りに育っている。一方で周囲を見下している節があり、やや言動に問題はあるものの、妹の櫻子が病気の時は全力で看病するなど妹を大切にしている。香織からつねに「できの悪い嫌われ者の妹の話」を聞かされており、話のような嫌われ者の落ちこぼれにはなりたくないと思っている。なお、出会った当初は「できの悪い嫌われ者の妹」が桃子だとは知らなかった。嫌われ者の妹が桃子だと判明した際には、一時はかかわり合いを拒絶したものの、のちに桃子の人柄を認め、香織にも桃子はいい人だと反論している。

小野 藍 (おの あい)

夫に小野慎太郎を持つ女優。一人息子に小野翼がいる。旧姓は水城で、芸能界では現在でも「水城藍」の名前で活動中。夫の慎太郎が大成していくにもかかわらず自分はいま一つ芽が出ないままで、さらにインターネット掲示板で「売名女優」「離婚秒読み」などと一方的に叩かれ、やや情緒不安定になっている。病児保育サービス「リトル・スノー」に登録しており、派遣されて来た杉崎桃子と慎太郎の距離の近さが気になりつつも、なにも言い出せずにいた。

後藤 (ごとう)

関めぐみと共通の知人の結婚式に出席した男性。めぐみが小さな子と接している場面を見て一目惚れし、猛アプローチを仕掛けた。帰宅途中に声を掛けたり、一方的な愛のメッセージを添えた花束を渡したりと、ストーカーまがいな接近を試みる。しかしめぐみからはっきりと拒絶されたあとは、潔く身を引いた。実は五人の子持ちのシングルファザーで、妻は病気で死去している。

福井 千尋 (ふくい ちひろ)

一人息子の拓真の母親。夫は福井弘一郎。看護師としてフルタイムで勤務しており、病児保育サービス「リトル・スノー」に登録している。仕事は忙しいものの看護師の仕事にやりがいを感じており、辞める気はない。義理母にあたる弘一郎の母から干渉を受けて悩んでいたものの、のちに一番悪いのは弘一郎だと気づき、弘一郎の母と和解した。

藤堂 櫻子 (とうどう さくらこ)

藤堂香織の長女で、藤堂大和の妹。厳しく育てられており、幼児らしい感情に乏しく、ほとんど笑顔を見せる事はない。香織は杉崎桃子の絶縁した実姉なため、藤堂櫻子からすると桃子は叔母にあたる。同じマンションに住む優奈の母が病児保育サービス「リトル・スノー」を利用しており、偶然桃子と顔を合わせた。大和は成績優秀であるが、櫻子は今一つふるわない。のちに桃子が櫻子と真剣に向き合う姿を見て改心した香織が態度を改め、子供らしい振る舞いを見せるようになった。桃子に非常に懐いている。

水谷 悟郎 (みずたに ごろう)

シングルマザーだった水谷静香と結婚した男性。義理の息子の水谷響と新しい生活を始めた。心優しく穏やかな性格の持ち主で、なかなか響が懐かず、響から殴る蹴るをされても笑顔で受け止めている。響との向き合い方を知りたいと、杉崎桃子に、病児保育サービス「リトル・スノー」の保育を見学させてほしいと依頼した。仕事はアニメーターで、在宅勤務している。

水谷 静香 (みずたに しずか)

水谷響の実母。シングルマザーとして響を育てて来た。病児保育サービス「リトル・スノー」に登録し、響と相性のいい杉崎桃子を指名している。響の事を非常に大切にしており、強い絆で結ばれている。しばらく響との二人暮らしだったが、水谷悟郎と縁があり再婚する事となった。しかし、響がなかなか悟郎に懐かずに悩んでいる。

水谷 響 (みずたに ひびき)

杉崎桃子が担当した、病児保育サービス「リトル・スノー」の男の子。4歳で、特撮ヒーローが好き。桃子に懐いており、熱が出ても元気に走り回るパワフルな性格の持ち主。シングルマザーとして自分を育ててくれている水谷静香を大切に思っており、小さいながらも守ろうとしていた。しかし再婚相手としてやって来た新しい父親の水谷悟郎に対しては暴力を振るうなど、心を開けずにいる。

田所 武史 (たどころ たけし)

二人の兄を持つ男の子。武史の母から兄達の待遇と大きな差をつけられている。風邪で寝込んでいるものの存在を無視されており、病児保育サービス「リトル・スノー」から派遣されて来た杉崎桃子と関めぐみの目に止まった。その際、人目のあるところでは武史の母に甘い言葉を掛けられていたものの、虐待が疑われたため、リトル・スノーの朝比奈元春を介して児童相談所に連絡された。風邪でも看病してもらえず、夜遅くに一人で薬を買いに行くなど、武史の母に「いい子」だと言ってもらうために涙ぐましい努力をしている。

武史の母 (たけしのはは)

三人の男の子の母親。普段は会社員として勤務している。末っ子の田所武史が風邪を引き、上の二人の兄にも風邪が移ったために、病児保育サービス「リトル・スノー」を利用する事にした。しかし、リトル・スノーには上の兄二人の事しか伝えておらず、杉崎桃子と関めぐみが派遣されて来たものの、武史がいる事で保育できずに終わる。めぐみが朝比奈元春に武史に対する虐待の疑いを報告し、児童相談所に通報されてしまった。武史に対しては甘い言葉をささやくものの、二人の兄とはあきらかに差をつけて育てている。

西村 良太郎 (にしむら りょうたろう)

杉崎桃子が担当した、病児保育サービス「リトル・スノー」の男子児童。実家は千葉県で、良太郎の母と父親の二人で定食屋を営んでいる。普段は元気でやんちゃだが、喘息の影響で、風邪を引くと必ず気管支炎になって長引く。医師からは喘息の症状のレベルを表す4段階のうち、一番軽いステップ1と診断されていたが、最終的にはステップ3になってしまった。

良太郎の母 (りょうたろうのはは)

西村良太郎の母親。千葉県内で定食屋を夫婦で営んでいる。病児保育サービス「リトル・スノー」に登録しており、杉崎桃子に信頼を寄せていた。良太郎の喘息は症状のレベルを表す4段階のうち、一番軽いステップ1と診断されていたものの、リトル・スノーの柳からはステップ3以上になってしまった場合は、保育士を派遣できなくなるとプレッシャーをかけられ、大いに悩む。本来はつねに笑顔で、明るく前向きな性格の持ち主。

小向 幸子 (こむかい さちこ)

杉崎桃子が住むアパートのとなりの部屋に引っ越して来たシングルマザー。息子の小向俊平を一人で育てている。前夫は借金などの多くの問題があり、離婚が成立するまでは毎日泣いて暮らしていた。昼間は介護施設、夜はスナックに勤務している。となりに住んでいる桃子が保育士だと知ると、勝手に俊平を遊びに行かせて託児所代わりにしていた。非常識な行為ではあるものの、お金が入ったら桃子にお返しをしようと計画しており、桃子に対しては心から感謝している。一度は桃子と仲違いしたものの、お互いに心を開いて友達になった。

風間 (かざま)

病児保育サービス「リトル・スノー」に登録しているシングルマザー。2歳の娘、香凛(かりん)を育てている。結婚歴はなく、香凛は、妊娠発覚当時は別れていた元彼氏とのあいだにできた子供で、認知してもらえなかった。いつもは関めぐみを指名しているが、めぐみがほかの児童の保育に入っていたため、代わりに杉崎桃子が訪問した。仕事はネイリストで、以前香凛がインフルエンザを患った際に必死で看病した事で風間自身も感染し、仕事を休んだ事で職場から厳重注意を受けたうえに指名客を何人も失ってしまった。それ以来香凛の病気が移る事を警戒しており、触られると突き放すなど冷たい態度を取ってしまう事に悩む。それを知った桃子から正しい病気の対処法を聞き、香凛と向き合う元気を取り戻す。本来は明るく人懐っこい女性で、トークスキルも高い。

小野 翼 (おの つばさ)

父親の小野慎太郎、母親の水城藍のあいだに生まれた息子。病児保育サービス「リトル・スノー」の児童。まだ乳幼児ながらも大人の反応を観察しており、慎太郎と藍が喧嘩をしていた際には慎太郎に怒るなど、優しい性格の一面をのぞかせる。

坂下 真央 (さかした まお)

杉崎桃子が担当した、病児保育サービス「リトル・スノー」の女子の乳児。重度の卵アレルギーで、卵を使った食品に触っただけで身体中に酷い湿疹ができてしまう。アレルギーに関心を示さない祖母の手によって、湿疹と呼吸困難を伴うアレルギー症状が発症し、救急搬送された。

真央の母 (まおのはは)

坂下真央の母親。病児保育サービス「リトル・スノー」に登録している。真央が重度の卵アレルギーにもかかわらず、自身の母親がまったく理解しようとしない事に嫌気がさしているものの、頑固で攻撃的な性格の母親に対して強く言えずにいた。アレルギーを理解してもらおうと、母親と向き合ってくれる杉崎桃子に信頼を寄せている。最終的に母親に抗議し、うまく距離を取って暮らす事に成功した。

川下 (かわした)

病児保育サービス「リトル・スノー」に登録している女性。娘の瑞希(みずき)と2歳の萌(もえ)の母親。職業は保育士で、娘二人を自分が勤務する保育園に入園させる事ができたものの、甘えたい盛りの萌によって保育園でも自宅でも仕事が進まず、ストレスが溜まっていた。評判のいい保育士だったものの笑顔がなくなり、園長から休職の打診を受ける。

剛田 (ごうだ)

市井の住むアパートのとなりの部屋で生活している高齢の男性。子供には恵まれず、妻に先立たれたために一人暮らしをしている。これまでは静かに落ち着いた生活をしていたが、市井家が引っ越して来てからは騒音に悩まされており、シングルマザーだから躾が疎かになっているなど苦言を呈した。ただ、子供との接し方がわからないだけで、嫌いではない。新田涼を介して、市井の子供と必死に向き合う姿を見て心を入れ替え、積極的に家具の配置を換えるなどして市井家に理解を示すようになった。

黒野 春子 (くろの はるこ)

人気少女漫画家の女性。黒野瑞樹の実母。普段は瑞樹を保育園に入れているが、急な発熱のために病児保育サービス「リトル・スノー」を利用した。自宅を作業場にしており、つねに修羅場状態になっている。忙しさのあまり、瑞樹と遊ぶヒマもほとんどなく、瑞樹が抱いている不満にも気づいていない。

優奈の母 (ゆうなのはは)

優奈(ゆうな)の実母。病児保育サービス「リトル・スノー」に登録している。正社員で働いており、美玖の母とはマンションのとなりの部屋同士のため仲がいい。しかしマンションの役員を仕事で忙しいからと理由をつけ、専業主婦である美玖の母に押しつけようとしたところ、美玖の母から激しく拒絶され仲違いに発展。美玖の迷子を機に、言いたい事を言い合える良好な関係へと戻った。

美玖の母 (みくのはは)

美玖(みく)と、さらに下の子の二人を育てている専業主婦。表向きはゆったりと主婦業を楽しんでいるように見えるが、夫はややモラルハラスメント気質なところがあり、育児も家事も協力せず、いっさい手を抜く事を許さない。マンションのとなりの部屋に住む優奈の母とは仲がよかったが、マンションの役員を頼まれた際、優奈の母から専業主婦でヒマだからと押しつけられた事に立腹し、仲違いに発展した。美玖の迷子を機に、言いたい事を言い合える良好な関係へと戻る。

円城寺 弥生 (えんじょうじ やよい)

病児保育サービス「リトル・スノー」で保育士として勤務する女性。リトル・スノーの中では一番の新人。新田涼、杉崎桃子から新人研修を受けている。柳からは、個性的なリトル・スノーの保育士の中で、唯一まともに日本語が通じる相手として気に入られている。まじめで勉強熱心な反面、マニュアルに書かれている行動しかできない欠点がある。だが、のちにその欠点も新田や桃子の様子を観察する事で、克服していく。

(かなた)

病児保育サービス「リトル・スノー」で過去に関めぐみが担当した男子児童。喘息を患っており、奏の母が吸うたばこの煙のせいで症状が悪化していた。めぐみが長いあいだ担当していた事もあり、めぐみには強い思い入れがある。めぐみが担当を外れたあと、育児を面倒に感じていた奏の母に首を絞められ、意識不明の重体になってしまう。

吉森 麗華 (よしもり れいか)

杉崎桃子が担当した、病児保育サービス「リトル・スノー」の女の子。6歳で、名門私立幼稚園に通う。藤堂櫻子とは同じ幼稚園に通っており、誕生会に招待されるほど仲のいい友達。麗華の母の仕事に理解があり、仕事をしている時の母親はかっこいいと認めている。その一方で、麗華の母からかけられる過剰なプレッシャーに押しつぶされそうにもなっているものの、誰にも言えずにいる。

麗華の母 (れいかのはは)

吉森麗華の母親。病児保育サービス「リトル・スノー」に登録している。麗華の入学式の際に仕事が間に合わず、合い間を見計らって作業をしていた。それ以来、周囲のママ友に、仕事熱心で子育てが疎かになっているのではないかと疑いをかけられている。そのため、麗華を完璧な子供にするため、熱があってもドリルをやらせたり、些細なミスも許さなかったりと過剰なプレッシャーをかけている。リトル・スノーを利用している事も周囲に知られたら恥だと考えており、杉崎桃子にも誰にも知られないようにと注意していた。ついにストレスを爆発させた麗華が藤堂櫻子の誕生会から逃げ出した事で、やっと麗華自身の気持ちと向き合う事ができるようになった。

(みなみ)

病児保育サービス「リトル・スノー」に登録しているシングルマザー。夫が元彼女と浮気をした事で離婚し、娘の朱莉(あかり)と息子の陽向(ひなた)を一人で育てている。以前駅で朱莉の具合が悪くなった時に朝比奈元春に助けられた事があり、それ以来元春に片思いをしている。杉崎桃子に協力を依頼して奮闘したものの、交際へは至らなかった。しかし自分の気持ちを元春に伝えた事で満足し、あっさり身を引いた。

神取 清美 (かんどり きよみ)

病児保育サービス「リトル・スノー」に登録している母親。一人娘の奈美(なみ)を育てている。勉強熱心なまじめな性格の持ち主で、これまで自分の事はしっかりとこなして来たものの、生まれて初めて育児でつまずき、育児ノイローゼに陥っていた。周囲に頼る事のできない不器用な一面もある。周囲からの母親としてのプレッシャーに潰され、一時は自宅マンションのベランダから投身自殺しようとしたものの、同じくまじめで不器用な円城寺弥生と向き合う事で救われた。

千景 (ちかげ)

柳の実姉。双子の息子の伊吹(いぶき)と娘の葉月(はづき)の母親。柳とは異なり、つねにハイテンションで明るく人懐っこい性格の持ち主。夫が出張でヒマだからと、突然病児保育サービス「リトル・スノー」の事務所を訪れ、柳の家で居候をスタートさせた。しかし実際は夫の浮気に気づき、いたたまれずに家出をして来た。夫が迎えに来た事で、離婚はいつでもできるからと、自宅へ戻る事を決意する。

福井 弘一郎 (ふくい こういちろう)

一人息子の拓真の父親。妻は福井千尋。病児保育サービス「リトル・スノー」を利用する事には否定的で、千尋が看護師としてフルタイムで勤務しているために家事が疎かになっていると不満を抱いている。弘一郎の母に千尋の愚痴を言い、その事が原因で千尋と弘一郎の母のあいだに確執が生まれてしまった。すぐに他人のせいにして自身の責任を回避する傾向がある。

弘一郎の母 (こういちろうのはは)

福井弘一郎の実母。福井千尋は義理の娘、拓真は孫にあたる。弘一郎から千尋が家事を疎かにしており、さらに拓真が病気になっても病児保育サービス「リトル・スノー」など外部に依頼して母親業を放棄していると聞かされており、千尋に対して不信感を抱いていた。しかし、リトル・スノーから派遣されて来た杉崎桃子の話や、千尋が置いていったびっしりと書き込まれた連絡ノート、手づくりの食事などを見て千尋の頑張りを認め、弘一郎を叱責した。最近の育児に興味があり、桃子に質問をするなど積極的な姿勢を見せた。

小向 俊平 (こむかい しゅんぺい)

杉崎桃子が住むアパートのとなりの部屋に引っ越して来た5歳の男の子。両親が離婚し、小向幸子と二人暮らしをスタートしたばかり。子供らしいやんちゃで自由奔放な性格の持ち主。非常に人懐っこく、桃子も気に入っている。その一方で幸子が深夜帰宅するまで桃子の家に遊びに行くように幸子から言われており、それに従っている。

黒野 瑞樹 (くろの みずき)

杉崎桃子が病児保育サービス「リトル・スノー」で担当した女子児童。母親は人気少女漫画家の黒野春子で、本当は春子と遊びたいものの、仕事優先で構ってもらえない事に不満を抱いている。春子が自宅を職場にしているため、相手にしてもらえない寂しさから絵を描く事をいっさい拒否していた。本来、春子譲りで絵はうまく、独自のこだわりもある。

五十畑 真紀子 (いそはた まきこ)

病児保育サービス「リトル・スノー」に登録している母親。一人息子の陸人(りくと)を育てている。現在は二人目を妊娠中。陸人の父が周囲から育児に積極的な夫、イクメンと呼ばれるのが気に入らない。陸人の父に家事を依頼するものの、手際と察しの悪さから彼への評価はよくない。切迫早産になり、急遽入院生活がスタートする。

藤堂 香織 (とうどう かおり)

美玖の母、優奈の母が住むマンションの高層階に住む主婦。杉崎桃子の実姉。旧姓は杉崎で、兄に杉崎優樹がいる。桃子とは絶縁しており、ほかの家族と同様に桃子を毛嫌いしていたが、のちに偶然の再会を介して桃子に謝罪し、態度を軟化させた。二人の子供、藤堂大和と藤堂櫻子には「できの悪い嫌われ者の妹の話」として過去の桃子の愚かさをつねに言い聞かせており、落ちこぼれになると大変な事になると脅している。大和は期待通りに育っているが、櫻子は成績が奮わないため、「できの悪い嫌われ者の妹の話」を大和よりさらに言い聞かせている。その事により、櫻子が子供らしい振る舞いをしなくなっている事も気にしていない。夫は有名企業の社長で、藤堂香織自身も姿勢と美貌を兼ね備えた女性として周囲から注目を浴びており、プライドは非常に高い。

白山 るな (しろやま るな)

朝比奈小春と同じクラスに所属している小学校1年生の女の子。母親がフルタイムで勤務しており、徒競走で1等賞になったら最後まで運動会にいてくれると約束していた。そのため、徒競走の際には小春にわざと負けてほしいと依頼した。気が強くわがままに振る舞うが、本来は寂しがり屋で、他人に対して素直になれないだけである。小春に対してはライバル意識をむき出しにしているものの、いっしょに夏祭りに行くなど友情を育んでいる。

陸人の父 (りくとのちち)

妻の五十畑真紀子、一人息子の陸人(りくと)の三人暮らしをしている男性。普段は会社員として勤務している。真紀子が二人目を妊娠中な事、子供とかかわるのが好きな事から、陸人の父なりに家事と育児に積極的にかかわるようにしている。しかし真紀子からの評価が芳しくない事に苛立ちを覚えている。そんな中、真紀子が切迫早産のために急遽入院してしまったうえに陸人がインフルエンザになり、病児保育サービス「リトル・スノー」の杉崎桃子と朝比奈元春の力を借りて奮闘する。

杉崎 衛 (すぎさき まもる)

杉崎優樹の4歳の息子。杉崎桃子にとっては甥にあたる。病児保育サービス「リトル・スノー」で、桃子が同じ苗字だからと担当する事になった病児保育の児童。子供らしい性格の持ち主で、自分の妹の遥(はるか)が生まれた際にどう接していいのかわからず桃子に相談するなど、桃子に懐いている。桃子自身は家族と絶縁しているため、杉崎衛という甥がいる事も知らなかった。

奏の母 (かなたのはは)

奏の母親。病児保育サービス「リトル・スノー」を利用している。奏が喘息である事は理解しているものの、奏の目の前で喫煙する習慣を改めようとしない。さらに奏は積極的に望んで生まれた子ではないため、母親として最低限の世話はするものの、思い入れは少ない。奏の目の前で、子供は不要などと暴言を吐いて、当時奏を担当していた関めぐみから注意を受けた際、逆上してリトル・スノーにクレームを入れ、めぐみを奏の担当から外した。その後、育児を面倒に感じて奏の首を絞め、意識不明の重体にさせた。

市井 (いちい)

病児保育サービス「リトル・スノー」に登録しているシングルマザー。担当は杉崎桃子と新田涼を指名している。三人兄弟の隆二(りゅうじ)、聖夜(せいや)、大河(たいが)を一人で育てている。必死で子育てをしているものの、アパートのとなりに住む剛田から子供の声がうるさいとクレームを受け、肩身の狭い思いをしている。

野々村 (ののむら)

関めぐみの恋人の男性。長身で容姿の整った美男子。家柄もよく、結婚相手としては最高の人物だとめぐみから思われている。しかしめぐみと結婚後は、専業主婦をしてくれる相手を欲しており、めぐみにも病児保育サービス「リトル・スノー」の仕事を辞めてほしいと思っている。

場所

リトル・スノー

子供のいる家に保育士を派遣する事業を行っている会社。熱が37.5度以上あるなど、病気を理由に保育園に登園できない際、保護者からの依頼を受けて派遣する。朝比奈元春、柳は本部のマネージャーを務めている。「子供を注意するな」「叱るな」「自分の価値観を押しつけるな」という三大マニュアルが存在している。

書誌情報

37.5℃の涙 24巻 小学館〈フラワーコミックス〉

第1巻

(2014-03-26発行、 978-4091358226)

第2巻

(2014-07-25発行、 978-4091363367)

第3巻

(2014-11-26発行、 978-4091364890)

第4巻

(2015-06-26発行、 978-4091374103)

第5巻

(2015-11-26発行、 978-4091380104)

第6巻

(2016-03-25発行、 978-4091383044)

第7巻

(2016-07-26発行、 978-4091385697)

第8巻

(2016-11-25発行、 978-4091387806)

第9巻

(2017-03-24発行、 978-4091391407)

第10巻

(2017-07-26発行、 978-4091394842)

第11巻

(2017-11-24発行、 978-4091396907)

第12巻

(2018-03-26発行、 978-4091398802)

第13巻

(2018-07-26発行、 978-4098701513)

第14巻

(2018-11-26発行、 978-4098702589)

第15巻

(2019-03-26発行、 978-4098704026)

第16巻

(2019-07-26発行、 978-4098706037)

第17巻

(2019-11-26発行、 978-4098706570)

第18巻

(2020-02-26発行、 978-4098708024)

第19巻

(2020-06-26発行、 978-4098710065)

第20巻

(2020-11-26発行、 978-4098712021)

第21巻

(2021-04-26発行、 978-4098712571)

第22巻

(2021-09-24発行、 978-4098714148)

第23巻

(2022-01-26発行、 978-4098715725)

第24巻

(2022-06-24発行、 978-4098716463)

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