あらすじ
旧校舎のディアボロス
兵藤一誠は初めてできた彼女、天野夕麻とのデートに舞い上がっていたが、いきなり豹変した彼女に殺されてしまう。死に瀕するものの、一誠は偶然、悪魔であるリアス・グレモリーを召喚する。そして一誠に興味を覚えたリアスは、一誠を悪魔の駒で悪魔に転生させて復活させるのだった。一誠は一連の出来事を夢だと思っていたが、自分の通う駒王学園の先輩で、有名人でもあるリアスから直々に説明され、自分が悪魔になってしまったことを受け入れる。また、今は下っ端に過ぎないが、上級悪魔になればハーレムを作るのも夢ではないと知った一誠は奮起し、悪魔としての日常に順応していく。そんなある日、一誠は街中で道に迷っていたシスター、アーシア・アルジェントと知り合う。一誠はかわいらしいアーシアに好意を抱くが、シスターの彼女に悪魔である一誠が近づくことは危険だと仲間から諭される。そんな中、一誠は悪魔としての仕事中に悪魔祓いのフリード・セルゼンの襲撃を受けた際、再びアーシアに助けられることとなる。一誠は、自分の立場が悪くなるのも厭(いと)わず自分を救ってくれたアーシアを助けようと決意するが、そこで彼の前に立ちふさがったのは、一誠の彼女の夕麻だった。夕麻の本当の名は「レイナーレ」で、堕天使の側に属する者であり、一誠の中に眠る力を危険視して、彼を殺したと語る。一誠が悪魔として復活したのは計算外だったが、レイナーレは再び一誠をいたぶり、彼の努力を嘲笑(あざわら)いながらアーシアをさらっていく。辛うじて一命を取り留めた一誠は、リアスの警告も無視して、アーシアを助けに向かう。リアスも口では反対していたが、塔城小猫と木場祐斗に一誠のフォローを任せており、一誠は二人を引き連れ、レイナーレが拠点としている教会を襲撃する。仲間たちの助けを借り、アーシアのもとにたどり着くも、すでにレイナーレの目的は達成され、アーシアは死に瀕しているところだった。一誠は怒りによって自らに眠る神滅具「赤龍帝の籠手」の力に目覚め、レイナーレを打ち倒す。アーシアの死を悲しむ一誠だったが、リアスが現れ、彼女に悪魔の駒を使うことで悪魔として復活させる。こうして一誠はアーシアを連れ、新たな悪魔としての日常を過ごすこととなるのだった。
戦闘校舎のフェニックス
悪魔となった兵藤一誠は、主であるリアス・グレモリーにかわいがられつつ、アーシア・アルジェントとも仲睦まじい生活を送っていた。しかしそんな中、リアスの婚約者騒動が巻き起こる。リアスに婚約者がいたことにショックを受ける一誠だったが、それ以上にリアスも婚約者であるライザー・フェニックスを嫌っており、空気は一触即発。一誠もライザーの態度に怒りを覚えるが、彼らに手も足も出ず敗北してしまう。そしてライザーは、リアスとの婚約騒動はレーティングゲームで決着をつけるといって、去っていくのだった。神滅具の使い手にはなったが、未だ未熟な一誠は力をまったく使いこなせていなかった。それを実感した一誠は過酷なトレーニングを自らに課し、徹底的に己をいじめ抜く。リアスの指導と仲間たちの協力もあり、一誠は新たな力に目覚め、ライザーとのレーティングゲームに挑む。リアスたちは善戦するものの、不死鳥の力を持つライザーには及ばず敗北してしまう。敗北の中、一誠は「赤龍帝の籠手」に宿るドライグの魂が語り掛けてくるのを聞く。一誠が赤龍帝の力を覚醒させたのをきっかけに目覚めたドライグは、一誠が強くなるのを望んでおり、彼に取引を持ち掛ける。後悔と自身の不甲斐なさに打ちのめされていた一誠は取引を受け入れ、ドライグに左腕を捧げることで、新たな力を手にする。そしてライザーとリアスの婚約式に乗り込んだ一誠はライザーに一騎打ちを申し込む。代償を支払い、捨て身の攻撃を行うことでライザーを圧倒するも、身の丈に合わない力はすぐに失われ、一誠は再び敗北の危機に陥る。しかし、仲間たちのアドバイスで悪魔の弱点を教えられていた一誠は、最後の最後に逆転の一手をつかむことに成功し、ライザーに勝利する。こうして一誠たちはリアスを取り戻し、元の日常に帰還するのだった。
月光校庭のエクスカリバー
ライザー・フェニックスとの試合を経て、兵藤一誠は仲間たちと一層絆を深める。また、ドライグとのかかわり合いが深くなった一誠は、そこで宿敵である白龍皇の存在を知ることとなる。落ちこぼれながら眷属(けんぞく)の中で着々と存在感を増していく一誠だったが、そんなある日、リアスと教会からの使者の話し合いに参加する。教会の使者であるゼノヴィアと紫藤イリナはエクスカリバーを所持しており、奪われた聖剣の奪取のため駒王町を訪れていた。神と悪魔の勢力は不倶戴天の天敵同士であるものの、不要な争いを繰り広げないため、不戦の約束を交わす。しかし、聖剣にかかわる存在を憎む木場祐斗は、彼女たちを見て以来、復讐に囚われて独断専行しようとする。一誠はそんな木場を見かね、助力を約束。リアスには秘密にし、独断でゼノヴィアに力を貸す。そして神父に扮して囮(おとり)となることで、主犯であるパルパー・ガリレイをおびき寄せることに成功するも、ガリレリと手を組んでいた堕天使、コカビエルによってゼノヴィアたちは返り討ちに遭ってしまう。戦争を望むコカビエルはリアスに宣戦布告、またパルパーの行った儀式の影響で駒王町は消え去ると宣言される。一誠たちはリアスたちと合流し、儀式の中断を試みる。木場はパルパーとの戦いで、かつての仲間たちの声を聞き、過去を振り切り、新たな力「双覇の聖魔剣」に目覚める。相反する聖と魔の融合を果たすも、それは重大なイレギュラーで、パルパーはシステムを司る「神の不在」に思い至り、それはコカビエルによって肯定される。そしてコカビエルは神の不在によって疲弊した世界を堕天使の掌中に収めるべく、戦争を引き起こすことを画策。その手始めにリアスを殺すため、一誠たちに襲い掛かる。グレモリー眷属は総力を結集してコカビエルと戦うも、圧倒的な力を持つコカビエルには敵わず、次第に劣勢に追い込まれる。一誠たちは危機に陥っても闘志を燃やしていたが、そこに現「白龍皇」、ヴァーリ・ルシファーが乱入してくる。堕天使の総督、アザゼルは暴走したコカビエルの粛清を決定し、ヴァーリを送り込んだのだった。ヴァーリの力でコカビエルは瞬く間に力を失っていき、敗北。戦いが終わるとヴァーリも去っていき、戦いは一応の決着を見せる。
停止教室のヴァンパイア
ゼノヴィアはコカビエルとの戦いで神の不在を知ったため、信仰を失い、リアス・グレモリーに相談した結果、彼女の眷属となる。また木場祐斗が禁手に至ったことで、リアスは主としての力量が再評価され、封印された眷属、ギャスパー・ヴラディの解禁が認められる。ゼノヴィアとギャスパー、新たな仲間を加えたことでオカルト研究部はますます賑やかとなるが、そんな中で兵藤一誠は堕天使の総督を務めるアザゼルと出会う。これまで戦ってきた堕天使のトップの立場にありながら、意外にも友好的なアザゼルは、現四大魔王の一人であるサーゼクス・ルシファー、天使の長であるミカエルと駒王学園で会談を行うため、駒王町に訪れていたのだ。アザゼルは敵意がないことを宣言し、束の間、一誠たちと行動を共にする。また一誠はヴァーリ・ルシファーとも邂逅(かいこう)を果たし、宿敵と自分との力の差に歴然とする。一誠たちは各勢力の思惑に翻弄されながら会談の日を迎える。アザゼルは各勢力の疲弊具合から、これ以上の戦争は不毛だと断じ、和平をサーゼクスとミカエルに打診する。両陣営も利害の一致からこれを受け入れ、長き戦争に終止符が打たれるが、そこに和平を快く思わないテロリスト集団、禍の団が襲撃を始める。禍の団はギャスパーを捕らえ、その力を意図的に暴走させることで、会談の場に時間停止空間を作り出す。辛うじて時間停止空間から逃れた一誠たちはギャスパー救出のため動き出し、無事に彼を救い出すことに成功する。一方、襲撃者の一人であるカテレア・レヴィアタンの攻撃でアザゼルは左腕を失うものの、カテレアを返り討ちにする。襲撃者を撃退し一息つく一行であったが、そこで突如、ヴァーリがアザゼルに反旗を翻す。騒乱を求めるヴァーリは禍の団に寝返り、一誠との戦いを望む。一誠はヴァーリの挑発によって限界以上の力を引き出し、さらにヴァーリの白龍皇の力の一部を奪うことに成功する。そしてヴァーリは一誠の想像以上の奮闘に満足し、去っていくのだった。
冥界合宿のヘルキャット
アザゼルは兵藤一誠たちグレモリー眷属に興味を覚え、強引にオカルト研究部の顧問となり、駒王学園に居座り始める。神器に詳しく、類まれな分析能力を持つアザゼルは、指導者としてグレモリー眷属を鍛えていく。また一誠たち駒王学園の生徒は夏休みに入り、グレモリー眷属はそのままリアス・グレモリーの帰省に付き合い、悪魔たちの故郷、冥界に長期旅行に行くこととなる。一誠はリアスの家族や若手悪魔たちと交流を重ねていき、同じく冥界を訪れていた匙元士郎とも再会する。しかし、若手悪魔の会合は突如としてあらぬ方向に話が転び、グレモリー眷属とソーナ・シトリー眷属とのレーティングゲームへと発展してしまう。一誠たちは20日後のゲームに向けて、アザゼル指導のもと特訓を開始する。一誠は、最上級悪魔であり元ドラゴンでもあるタンニーンに修行を付けてもらい、その力を着々と伸ばしていく。しかしそんなある日、一誠は塔城小猫と姫島朱乃の様子がおかしいことに気づく。それぞれ自身の血と宿業に苦しみつつも、その壁を乗り越えようとする姿を見て、一誠も強くなるという決意を新たにする。タンニーンの特訓を経て地力を上げると共に、彼の生きざまを聞いて、一誠は今まで曖昧だった上級悪魔になるという目標が明確となっていく。そして特訓も終わり、ゲームを明日に迎えた日、小猫の目の前には彼女の姉である黒歌が現れる。禍の団に所属する黒歌は、小猫をさらうべく、リアスと一誠に襲い掛かる。圧倒的な力を持つ黒歌にリアスは戦闘不能となるが、一誠は仲間を守るために特訓で得たすべてを昇華させ禁手へと至る。一誠は新たな力で黒歌を退け、小猫を守ることに成功する。そしてグレモリー眷属は、ソーナ眷属とのレーティングゲームに臨む。
体育館裏のホーリー
禍の団の襲来という予期せぬアクシデントはあったものの、グレモリー眷属とシトリー眷属とのレーティングゲームは開始される。グレモリー眷属はそれぞれが特訓によって新たな力に目覚め、塔城小猫と姫島朱乃も己の壁を乗り切り、それぞれの血に宿る力を使い始める。しかしシトリー眷属も、グレモリー眷属を研究し尽くしており、ソーナ・シトリーの指揮のもと一進一退の激闘を繰り広げ、兵藤一誠もまた匙元士郎と戦闘を開始する。似た境遇や似た神器、似た夢を持ちつつも、自分の先を行く一誠に匙は強いコンプレックスを感じており、己のすべてを投げ打って一誠に挑む。匙の覚悟に胸打たれた一誠は、彼と一騎打ちを決意。禁手を使って、全力で彼と戦う。一誠は匙を打ち倒すものの、匙の健闘によって一誠は満身創痍となる。一誠は奮闘するもゲーム半ばで倒れ、彼の意思を継いだ仲間たちはシトリー眷属と戦う。そしてゲームは終局を迎え、勝負の行方は両者の「王」であるリアス・グレモリーとソーナ・シトリーの手に委ねられるのだった。
関連作品
小説
本作『ハイスクールD×D』は石踏一榮の小説『ハイスクールD×D』を原作としている。原作のコンセプトは「夢も恋も戦いも青春だ!」で、ちょっとエッチな少年、兵藤一誠が、愛と欲望と情熱を原動力として成り上がっていく姿を描いている。富士見ファンタジア文庫より全25巻が刊行され、キャラクターデザインはみやま零が担当している。続編に『真ハイスクールD×D』がある。
メディアミックス
TVアニメ
2012年1月から3月にかけてTVアニメ版第1期『ハイスクールD×D』、2013年7月から9月にかけて第2期『ハイスクールD×D NEW』、2014年4月から6月にかけて第3期『ハイスクールD×D BorN』、2018年4月から7月にかけて第4期『ハイスクールD×D HERO』が、それぞれ放送された。TVアニメ版は本作と同じく、兵藤一誠がエロと根性を頼りに強敵たちと戦い抜いていくものだが、原作小説版のテイストが強く、際どいお色気シーンが多いのが特徴。そのため、地上波や独立局では修正したバージョンが放送され、AT-Xでのみ視聴年齢制限番組として未修正バージョンが放送されるという措置が取られている。キャストは、兵藤一誠を梶裕貴、リアス・グレモリーを日笠陽子、アーシア・アルジェントを浅倉杏美が演じている。
登場人物・キャラクター
兵藤 一誠 (ひょうどう いっせい)
駒王(くおう)学園高等部2年生の男子生徒。自他共に認めるドスケベな性格を除けば、人当りがよく、熱い情熱を持った好漢。親しい人からは「イッセー」の愛称で呼ばれる。生まれて初めてできた彼女、天野夕麻とのデート中に、実は堕天使側の人間だった夕麻に殺される。その後、たまたまオカルト研究部のチラシを持っていたのが功を奏し、リアス・グレモリーに助けられ、転生悪魔となる。「龍の手(トゥワイス・クリティカル)」と呼ばれる神器を持つとされ、短時間だけ所有者の力を倍にすることができる。しかし転生したての下級悪魔で、もともとの素質のない兵藤一誠では、倍になっても大したことがなく、実力は低い。また魔力もほとんどないため、オカルト研究部の活動では、一人だけ走って現場に向かっている。グレモリー眷属としての役割は「兵士(ポーン)」。実は宿している神器は龍の手によく似ているが別物で、その正体は神滅具の一つに数えられる「赤龍帝の籠手」。アーシア・アルジェントを助けるため、レイナーレとの戦いで赤龍帝の力を目覚めさせる。それ以降は籠手の中に封じ込められたドライグとも会話できるようになり、彼を相棒として共に戦うこととなる。神滅具を所持するが、もともとの力が弱いため、強化には時間がかかる。そのため「歴代最弱の赤龍帝」と呼ばれるが、それまで力に溺れる者しかいなかった赤龍帝の中で、初めて他者のために戦った赤龍帝であるため、塔城小猫からは歴代初めての「優しい赤龍帝」とも評されている。性欲の化身であるため、使う技は女性の服を破壊する「洋服崩壊(ドレス・ブレイク)」などエロに直結するものばかり。また、力を増大させるきっかけも、基本的に性欲が原動力となっているため、次第にドライグからもその様を呆(あき)れられていく。リアスたちからのスキンシップを楽しんでいるが、実は夕麻の一件がトラウマとなり、本能的に女性に恐れを感じており、積極的になれない部分がある。
ドライグ
神滅具「赤龍帝の籠手」に宿る「赤い龍」。「二天龍」のうちの1匹で、三大勢力が危険視するほどの力を持つ。かつてアルビオンと雌雄を決しようとしたが、その際の戦いがあまりに激しく、余波だけで天使、悪魔、堕天使に多大な被害をもたらした。結果的に三大勢力は彼らを倒すため一時休戦し、ドライグとアルビオンは三大勢力に倒され、その魂を神器に封じられることとなる。しかし神器に封じられてなお、お互いを宿敵と断じ、神器を宿した人間を介して何度も戦い合っている。現宿主の兵藤一誠に対しても当初は厳格な雰囲気を漂わせて接し、彼に強くなってアルビオンの宿主を倒せと唆(そそのか)している。ライザー・フェニックスとの戦いでも、代償を支払った一誠に己の力を貸し与えている。力に溺れるものが多かった歴代赤龍帝の中で、性欲に忠実な一誠を当初はおもしろがっていたが、ここ一番で性欲をきっかけに力を覚醒していく一誠を見て、段々呆れを通り越して心労を感じるようになり、最終的に「泣くぞ」と弱音を吐くまで追い詰められている。それでもなんだかんだで一誠に愛着は感じており、彼を相棒と呼ぶようになる。
リアス・グレモリー
駒王学園高等部3年生の女子生徒。炎のような紅い髪を長く伸ばしたスタイル抜群の美少女で、同性すら魅了する輝くような美貌を持つ。オカルト研究部の部長を務めているが、その正体は冥界の悪魔。悪魔の中でも指折りの名家であるグレモリー公爵家の次期当主で、リアス・グレモリー自身も「紅髪の滅殺姫」の異名で呼ばれるほどの実力を誇る。階級は上級悪魔で、オカルト研究部の面々を「王」として率いている。兵藤一誠が天野夕麻に殺された際に、彼に偶然呼び出される。そして一誠に興味を覚え、彼に悪魔の駒を与え転生させている。情に厚い人物で、一度懐に入れた相手には無償の愛を注ぐ。一誠が悪魔となったあと、才能がほとんどなく、落ちこぼれのような存在とわかっても、彼に分け隔てない愛情を注いでいる。当初は一誠のことを弟のようにかわいがっていたが、ライザー・フェニックスとの婚約騒動で一誠が尽力したのを見てからは、彼を異性として意識し始めている。悪魔としての才能は若手の中でも頭一つ飛び抜けており、レーティングゲームでは莫大な魔力をあやつるウィザードタイプとして戦う。彼女のあやつる「滅びの力」は対象を消滅させる凶悪な能力を持つ。
アーシア・アルジェント
イタリアから駒王町にやって来たシスターの少女。やわらかな雰囲気を漂わせた金髪碧眼の美少女で、信心深く、優しい性格をしている。あらゆる者を癒やす神器「聖母の微笑(トワイライト・ヒーリング)」を持ち、かつてはその力で「聖女」と評されていた。しかし、悪魔すら癒やせることがわかったため、一転して「魔女」として教会から追放された。その後、その力を欲した堕天使に拾われ、彼らの巣窟である駒王町の教会に派遣される。初めて町を訪れた際、道に迷っていたところを兵藤一誠に助けられ、彼と交友を育んでいく。アーシアの境遇に同情した一誠によって助けられるも、レイナーレによって神器を抜かれて死亡する。だがその後、リアス・グレモリーの計らいで転生悪魔として復活し、グレモリー眷属の「僧侶(ビショップ)」となる。駒王学園高等部にも編入され、一誠のクラスメイトとなり、一誠の両親を説得し、彼の家に居候する。リアスに張り合って大胆なスキンシップをするほど、一誠に強い好意を抱いている。日本語はまったくしゃべれなかったが、悪魔に転生してからは、翻訳能力を得て日本人ともふつうに話せるようになっている。レーティングゲームでは癒やし役を担当している。強力な回復能力をあやつるが、体力や失った血までは回復できない。また、悪魔になっても信心深い性格は変わらずだが、悪魔であるため神に祈ると頭痛を感じるようになってしまう。しかしそれでも神に祈っているため、見かねた一誠がのちにミカエルに直談判し、それ以降は頭痛を感じなくなっている。
姫島 朱乃 (ひめじま あけの)
駒王学園高等部3年生の女子生徒。長く伸ばした黒い髪をポニーテールにセットした美少女で、大和撫子風のお淑やかな雰囲気を漂わせている。駒王学園ではリアス・グレモリーに並ぶ女性として有名で、二人合わせて「駒王学園の二大お姉さま」と呼ばれている。リアスとは公私を共にする相棒のような存在で、オカルト研究部の副部長、グレモリー眷属の「女王」を担当する。魔力の扱いに長けたウィザードタイプで、戦闘では雷を使った遠距離攻撃を得意とする。ふだんはおとなしく気遣いのできる人物だが、その本質は「究極のS」で、戦闘ではタガが外れ、相手をいたぶるサディストな一面を見せる。父親は神の子を見張る者の幹部を務める堕天使、バラキエルで、人間の母とのあいだに生まれた堕天使のハーフ。堕天使の血のせいで悲惨な過去を送ってきたため、己の血を憎み、堕天使の力を否定している。リアスの眷属となったのも、悪魔となることで堕天使であることを否定するためだったが、堕天使の力を完全に消すことはできず、ふだんは隠しているが悪魔の翼のほかに、堕天使の黒い翼を同時に生やすことができる。ライザー・フェニックスとの戦いで、体を張ってリアスを取り戻した兵藤一誠に何かとスキンシップを取るようになり、そのあまりの大胆さからリアスとはよくケンカするようになる。一誠と触れ合うにつれて入れ込むようになり、一誠の言葉を受けて自らの血も受け入れ、堕天使の力に目覚め始める。堕天使の「光」の力を雷の魔力に上乗せすることで、悪魔が嫌う光の力を宿した雷「雷光」をあやつるようになる。
塔城 小猫 (とうじょう こねこ)
駒王学園高等部1年生の女子生徒。真っ白な髪をボブショートに整え、小柄な体型をしている。愛らしい外見から学校内ではマスコットのような存在としてかわいがられているが、クールで無口、無愛想なキャラクターとして有名。オカルト研究部に所属し、グレモリー眷属の「戦車」を担当する。身内には大らかな性格の者が多いグレモリー眷属の中では一番辛らつな性格をしており、新入りでエッチなことばかり考えている兵藤一誠に対してよく毒舌を吐いている。戦車の特性を色濃く持ち、見た目に反してパワーと頑丈さに優れる。塔城小猫自身よりはるかに大きい悪魔を投げ飛ばしたり、拳銃の弾程度なら生身の部分に受けてもあっさり弾(はじ)いたりと、強くて頑丈。過去の名前は「白音」で、猫の妖怪である猫又の中でも最も強い力を持つ「猫魈(ねこしょう)」から悪魔に転生した過去がある。幼い頃、姉の黒歌以外に身寄りのない生活を送っていたが、とある悪魔の眷属となったことで生活していた。しかしある日突然、黒歌が主人を殺して行方不明となった。その後、疑心暗鬼に陥った周囲に罪を問われ、迫害されていた。苦難の日々を送っている中、サーゼクス・ルシファーに拾われてリアス・グレモリーに預けられ、彼女に「小猫」の名と眷属としての地位を与えられ、現在に至る。この経緯から自分が本来持つ妖怪としての力を封じていたが、一誠が急成長をしていくのを見ているうちに次第に強い葛藤を抱くようになる。黒歌との再会と戦闘をきっかけにして、自分の力を受け入れ、猫魈の力も開花させていく。また黒歌との戦いで獅子奮迅の活躍を見せた一誠のことを少しずつ異性として意識し始める。
木場 祐斗 (きば ゆうと)
駒王学園高等部2年生の男子生徒。涼しげな風貌をした金髪の美少年で、品行方正な性格もあって学校内では女子人気が非常に高い。美形で才能もあってモテるため、兵藤一誠たち男子生徒からは嫉妬から一方的に嫌われている。オカルト研究部に所属し、グレモリー眷属の「騎士」を担当する。根っからの騎士気質で、リアス・グレモリーを主として慕い、忠義を尽くしている。リアス含めオカルト研究部のメンバーのことも、異性として意識しておらず、家族に近い親愛の情を抱いている。一誠のことも何かと気に掛けており、当初は一誠から一方的に嫌われていたが、戦場を共にするうちに次第に戦友ともいえる関係となっていく。機動力の高い騎士の適性を高く持ち、高い機動力と得意の剣技を交えたテクニカルな戦いを得意とする。魔剣を作り出す神器「魔剣創造(ソード・バース)」を所持しており、汎用性が高く、あらゆる状況に即座に対応できる。元人間でかつての名前は「イザイヤ」。幼い頃は、パルパー・ガリレイによって聖剣計画の候補者だった過去がある。しかしいっしょに生活していた仲間諸共、失敗作の烙印を押され、毒ガスで殺されかかってしまう。仲間たちの献身で唯一生き残り、その後はリアスに拾われ、悪魔となった。このため聖剣とそれにかかわる者を憎悪しており、聖剣を目にするとふだんの温厚さからは考えられないほど、冷たい表情となる。コカビエルの陰謀にパルパーがかかわっているのを知った際には復讐心に囚われるが、バルパーがかつての仲間から抜き取った聖剣使いの因子を取り込み、仲間たちの遺志と願いを受け取ったことで過去を振り切っている。因子を取り込んだことで「聖剣創造(ブレード・ブラックスミス)」の神器を獲得し、さらに魔剣創造を禁手化に至らせることで、聖剣と魔剣の力を併せ持つ「双覇の聖魔剣(ソード・オブ・ビトレイヤー)」の力を編み出している。コカビエルの事件後は、事件解決に尽力した一誠に入れ込むようになり、周囲から同性愛の疑惑を持たれるほど、彼に熱烈な視線を向けている。
ギャスパー・ヴラディ
駒王学園高等部1年生の男子生徒。やわらかい色の金髪に、血のような紅い瞳を持つ美少年。つねに女装をしており、少女と見まごうばかりの可憐な姿をしている。臆病な性格の人見知りで、いつも引きこもってばかりいる。グレモリー眷属の一人目の「僧侶」。能力自体は眷属の中でも姫島朱乃に次ぐとされ、契約件数もパソコンを使って、悪魔と直接会いたくない人間をメインターゲットに契約を結ぶことで眷属内トップの成績を誇る。「デイライトウォーカー」と呼ばれる、日中でも活動できる吸血鬼と人間のハーフで、吸血鬼としての能力を使うことができる。吸血鬼の名家の出身であるため、魔術の適性も高い。また時間を止める神器「停止世界の邪眼(フォービトゥン・バロール・ビュー)」を持っており、潜在能力はかなりのもの。本来であれば転生には複数の悪魔の駒が必要だったが、運よく「変異の駒」があったため一つで済んでいる。ポテンシャルだけは高いが、臆病な性格と高すぎる素質のため、能力の制御がひどく不安定で、レーティングゲームの運営上層部にリアス・グレモリーには御せないと判断されて封印されていた。コカビエルの事件解決後、木場祐斗の禁手化の件でリアスが再評価され、封印処置が解除され、眷属に復帰する。ただもともと引きこもり気質なため、封印解除されたのはかなり不服に思っており、当初は外に出るのを嫌がっていた。外に出る際には段ボールをかぶり、人と顔を合わせようとしないほどの徹底した引きこもりぶりを見せる。眷属入りしたのは兵藤一誠より前だが、引きこもってばかりいたため、一誠やアーシア・アルジェントとも顔を合わせていなかった。美少女と思ったら男性だったため、一誠からは怒りの感情を向けられるが、なんだかんだで面倒見のよい一誠に懐き、少しずつ前向きな性格となっていく。アザゼルの指導によって神器の制御も上達している。
ゼノヴィア
イタリアから駒王町にやって来たカトリック系宗派の教会所属の少女。青い髪をショートボブに整えている。目つきが鋭く、信心深い分、他者に対して厳格な性格をしている。紫藤イリナと共に奪われた聖剣を回収するため、駒王町に来訪する。悪魔にはよい印象を持っていないが、任務を果たすためリアス・グレモリーのもとを訪れ、一時的に休戦を要請する。ただ神の教えに忠実な分、シスターから悪魔となったアーシア・アルジェントのことはよく思っておらず、彼女に対しては辛く当たっている。コカビエルとの戦いでは任務を果たすためグレモリー眷属と共闘するも、そこでコカビエルから「神の不在」を聞き、信仰を失ってしまう。その後は破れかぶれになって、リアスに頼み込んで悪魔に転生。グレモリー眷属の二人目の「騎士」となり、駒王学園高等部2年生に編入し、オカルト研究部に所属する。アーシアとは同じ境遇になったうえで、かつての態度を謝罪し、和解している。近代の聖剣使いは人工的に因子を移植されるものが多いが、彼女は先天的に因子を持っていた天然の聖剣使い。強力な破壊のオーラをまとった聖剣「デュランダル」を受け継いでいるが、大ぶりで高い攻撃力を持つデュランダルは取り回しが悪いため、ふだんは別の剣を使っている。シスター時代はエクスカリバーのうちの1本「破壊の聖剣(エクスカリバー・デストラクション)」を使っていたが、教会を離反する際に返却しているため、兵藤一誠からアスカロンを借りて使用している。また、特訓後はデュランダルのオーラを別の剣にまとわせて戦う方法を編み出しており、スピードとテクニックに秀でる木場祐斗に対して、パワーに特化した戦い方に秀でる。人生の大半を神への信仰で生きてきたため、どこかズレた部分があり、強い子供を産もうと一誠に子作り宣言をしては周囲を騒然とさせている。またアーシアと同じく神に祈る癖があって、そのたびに頭痛を感じていたが、それを見かねた一誠がミカエルに直談判して、頭痛を感じなくしてもらった。それ以降は一誠に強い感謝と好意を感じるようになる。
紫藤 イリナ (しどう いりな)
イギリスから駒王町にやって来たプロテスタント系宗派の教会所属の少女。栗毛色の髪をツインテールにし、明るく無邪気な性格をしている。ゼノヴィアと共に、奪われた聖剣を回収するため、駒王町に来訪する。悪魔にはよい印象を持っていないが、任務を果たすためリアス・グレモリーのもとを訪れ、一時的に休戦を要請する。ただ信心深い分、シスターから悪魔となったアーシア・アルジェントのことは快く思っておらず、彼女に対しては辛く当たっている。また兵藤一誠とは幼なじみの関係で、仲のよかった彼が悪魔になっているのも残念に思っている。「擬態の聖剣(エクスカリバー・ミミック)」を所持しており、日本刀の形にした聖剣を振るう。神に対して敬虔だが、信仰を妄信しているきらいがあり、悪徳セールスに騙されて怪しい宗教画を買って、路頭に迷いかけたりしている。パルパー・ガリレイを追跡するも、コカビエルに敗北し、重傷を負ったため戦線離脱する。コカビエルとの決戦の場には不在だったため、神の不在について聞いておらず、教会を離反したゼノヴィアからエクスカリバーを預かり、帰還している。
レイヴェル・フェニックス
フェニックス家の令嬢で、ライザー・フェニックスの妹。金髪ツインテールを縦型ロールにセットした少女で、育ちがいいが高飛車でツンデレな言動が多い。ライザーの眷属の「僧侶」を務めるが、兄のことは尊敬しつつも、女にだらしないところには辟易(へきえき)している。名門のフェニックス家の令嬢であるため、悪魔としての素質はかなりのもの。しかし、ライザー眷属には兄の願いで「形だけ」という約束で入っているため、基本的に戦闘はしない。グレモリー眷属とライザー眷属との戦いでも、直接戦闘は行わずに仲間への指示に留めている。戦いの中で兵藤一誠と知り合い、彼を何かと気に掛けており、一誠とライザーの戦いも最後まで見届けている。その戦いに思うところがあり、一誠と再会した際には、彼を交流を深めようとしている。また母親にお願いしてライザー眷属からは脱退しており、実質的にフリーの悪魔となっている。
アザゼル
堕天使の組織「神の子を見張る者(グリゴリ)」の総督を務める男性。金と黒が混じった特徴的な髪に、無精ひげを生やした中年の男性の姿をしている。ふだんは翼を隠しているが、本性を現した際には闇そのもののような4対の黒い翼を背中から生やす。三大勢力の一角を率いる者として、かつては神や悪魔と争いを繰り広げた。また近年では神器使いを秘密裏に保護したり、処分したりと暗躍を繰り返しており、他勢力から警戒されている。ただアザゼル本人は最近では戦争に興味がなく、神器の研究に没頭している。根っからの研究者気質で、コカビエルからは「研究バカ」といわれ、消極的な態度に不満を抱かれている。コカビエルを処分したのをきっかけに、天使や悪魔と休戦協定を結ぶが、禍の団の襲撃を受けて左腕を失い、配下のヴァーリ・ルシファーにも反旗を翻される。襲撃事件後は神滅具を含め、興味深い存在が集うグレモリー眷属に目を付け、半ば強引にオカルト研究部の顧問に就任する。その後、左腕には高性能な義手を付け、生身と変わらない見た目となっている。冷静な分析力と的確な判断能力を持ち、指導者としては超一流。その指導力で、グレモリー眷属に適切なトレーニングを課し、彼らの力を底上げしている。また神器研究に関しては第一人者で、研究成果として人工神器「堕天龍の閃光槍(ダウン・フォール・ドラゴン・スピア)」を生み出している。
サーゼクス・ルシファー
四大魔王の一人、2代目「ルシファー」の座に就く男性。魔王就任に当たって名を改めているが、グレモリー家の出身で、リアス・グレモリーの実兄。リアスとよく似た風貌の赤毛の青年で、冥界の頂点に立ちながら、気さくな性格でノリが軽い。情愛が強いグレモリー家の人間の例にもれず家族愛が強く、リアスを溺愛している。また眷属のグレイフィアは妻で、彼女とのあいだに息子のミリキャス・グレモリーを設けている。ミリキャスとは家名が違うが、これは「ルシファー」の名は魔王を継承したものしか名乗れないから。兵藤一誠のことも気に入っており、彼に「お義兄さん」と呼ばせようと画策している。
グレイフィア
サーゼクス・ルシファーの妻。銀色の髪に銀色の瞳を持ち、凛とした雰囲気を漂わせている。サーゼクス眷属の「女王」で、ふだんは彼の傍にメイドとして仕えている。冷静沈着で、大らかで身内に甘い人間が多いグレモリー家の中では、風紀や礼儀を重視する厳格な性格をしている。小言が多いが、相手を思って注意しているため、グレモリー家の人間は彼女に頭が上がらない。
セラフォルー・レヴィアタン
四大魔王の一人、2代目「レヴィアタン」の座に就く女性。魔王就任に当たって名を改めているが、シトリー家の出身でソーナ・シトリーの実姉。長く伸ばした黒髪をツインテールにした美少女で、いつも魔法少女のコスプレをしている。ノリが軽い2代目四大魔王の中でも頭一つ飛びぬけて軽いノリで、いつもハイテンションで、魔法少女になりきった言動をする。兵藤一誠によればミルたんと同じ魔法少女のコスプレをしているとのこと。妹のソーナを溺愛しているが、彼女からはその言動を恥ずかしいと思われている。小国程度なら瞬く間に滅ぼせる力を持ち、妹を害する存在を目にすると自重せずその力を振るおうとするため、周囲の気苦労が絶えない。
ソーナ・シトリー
駒王学園高等部3年生の女子生徒。現生徒会長を務める。黒い髪を肩で切りそろえ、眼鏡をかけた理知的な人物で、学校では「支取蒼那」という名で通っている。表向きはふつうの人間として通っているが、その正体は上級悪魔の一人で、名家であるシトリー家の次期当主を務めている。生徒会のメンバーは彼女の眷属で、グレモリー家とは役割を分担して学校を治めている。リアス・グレモリーとは同年代で同性の友人であるが、同時にお互いを対等なライバルとして認め合った仲。自分にも他人にも厳しいストイックな性格をしており、学園を愛し、生徒たちの平穏を何より大切に思っている。また「王」として眷属に対しては特に厳しいらしく、匙元士郎からはその性格を「厳しくて厳しい」といわれている。ただ一方で、それだけ厳しいのは愛情の裏返しで、心の中では眷属のことを何より大切に思っている。姉は現四大魔王の一人であるセラフォルー・レヴィアタンだが、ノリが恐ろしく軽い姉のことを恥ずかしいと思っており、自分を溺愛する姉の姿を人に見られることを何より嫌う。将来の夢は身分を問わず通えるレーティングゲームの学校を作ることだが、厳格な身分制度がある冥界では賛同者がおらず、嘲笑の的になることも多い。しかしそれでも夢をあきらめず、実績作りのためレーティングゲームに励んでいる。名家の出身であるために魔力に長(た)け、水をあやつることができる。水を使った攻撃のほか、龍や獣を水から生み出し、一斉攻撃を行える。また、ソーナ・シトリーの本領はその徹底的な分析力と正確な指揮能力で、レーティングゲームでは的確に相手の戦力を削る。リアスとのレーティングゲームでは、激戦に次ぐ激戦の末に僅差で敗れるものの、その戦い様は上層部にも評価されている。
匙 元士郎 (さじ げんしろう)
駒王学園高等部2年生の男子生徒。暗めの金髪を短く刈りそろえた少年で、明るくノリのよい性格をしている。両親と死別し、経済的に困窮していたところをソーナ・シトリーに救われ、彼女の眷属となる。役割は「兵士」。そのため彼女のことを強く慕っており、将来の夢は彼女とできちゃった婚をすることだと語っている。五大龍王の一角である「黒邪の龍王」ヴリトラの力を宿した神器「黒い龍脈(アブソーブション・ライン)」を宿しており、兵士の駒四つ分が彼に注ぎ込まれている。黒い龍脈は黒い籠手状の神器で、紐状のラインを伸ばすことで、対象の力を吸収することができる。黒い龍脈はヴリトラの一部を封印されたものであるため、ほかにもヴリトラの一部が封印された「ヴリトラ系神器」が複数存在する。そのため赤龍帝の籠手とは違い、黒い龍脈はヴリトラの意識は完全には覚醒していない。また、神器としての格は赤龍帝の籠手に及ばない。お互いの主が新人同士の交流を望み、兵藤一誠と引き合わされる。似た者同士ということですぐなかよくなるが、似た夢や似た境遇、似た神器を持ちながら、先を行く一誠に強い焦りを感じるようになる。そのため、一誠に対抗するため死に物狂いの特訓を行って黒い山脈を強化し、グレモリー眷属とのレーティングゲームでは獅子奮迅の活躍を見せる。禁手に至った一誠相手に、自らにラインをつなぎ、自分の命を魔力に変換するという命がけの戦法を取って対抗。さらに神器を強化することで、血を抜き取る力を発現させ、格上の一誠相手に粘る。最終的に敗北したものの、格上の一誠を相手に健闘したその姿は上層部に評価され、勲章を贈られた。また一誠からのライバル認定を受けている。
ライザー・フェニックス
フェニックス家の三男で、レイヴェル・フェニックスの実兄。女好きの伊達男で、傲慢な性格をしている。リアス・グレモリーとは親が決めた婚約者同士で、リアスのことを気に入っているが、当のリアスからは蛇蝎(だかつ)の如く嫌われている。悪魔としての実力は本物で、ランクは上級悪魔。不死鳥であるフェニックスの力を持ち、炎をあやつる力と、重症からでも一瞬で復活できる回復能力を誇る。眷属を自分のハーレムと豪語し、気に入った女性のみ集めているが、それでも総合力が高いチームとなっている。また自分のチームには「妹属性」が足りないという理由だけで、レイヴェルを「形だけ」という約束で眷属入りさせている。下級悪魔を見下す差別意識が強い部分があるが、悪人という訳ではなく、リアスとのレーティングゲームでも最低限の公平性を保つため10日の猶予を与えたり、下級悪魔でも兵藤一誠の実力を認めたりと、相応の器量はある。リアスと婚約解消を賭けたレーティングゲームを行い勝利するも、婚約会場に乗り込んできた一誠に敗北する。下級悪魔に敗北した上に、リアスとの婚約を解消されたことに深いショックを受けて塞ぎ込んでいるが、もともと才能にあぐらをかいて調子に乗っていた部分があるため、両親と妹からは、いい薬だと放置されている。
タンニーン
かつて「六大龍王」の一体に数えられた元ドラゴンの悪魔。人型の体に龍の頭を持つ巨人といった姿をしており、背中から巨大な翼を生やして飛ぶことができる。その炎の吐息は隕石に匹敵する威力があるといわれ、「魔龍聖」の異名を持つ。龍王だった時代、とある龍族が主食とする「ドラゴンアップル」と呼ばれる果実が絶滅し、種の存亡の危機に立たされてしまう。その龍族は果実を食べなければ死滅してしまうが、地上にはすでに残っておらず、辛うじて残っているのは冥界のみ。しかし当時、悪魔から龍族は嫌われていたため、龍王だったタンニーンは悪魔となることと引き換えに、果実のなる土地を割譲され、龍族の危機を救うことに成功した。またタンニーンが悪魔となったため、六大龍王もそれ以降は「五大龍王」と呼ばれるようになっている。現在は冥界でも屈指の実力者に数えられるようになっており、上級悪魔を超える最上級悪魔の一体に数えられている。ドラゴンとしての戦い方を熟知しているため、サーゼクス・ルシファーに頼まれ、兵藤一誠の特訓相手を務める。ドライグとも旧知の仲で、彼が禁手に至るための下地作りに尽力する。また龍族を救うため悪魔となった彼の姿は、一誠からも尊敬され、彼に「王」としての在り方も教えている。
ミカエル
天界の「熾天使」のトップに君臨する天使の青年。金髪を長く伸ばした美青年で、背中からは光り輝くような翼を12枚生やしている。穏やかで丁寧な物腰で、悪魔に対しても礼をもって接する人格者。「聖書の神」が残した加護と慈悲を司る「システム」を受け継ぎ、現在はミカエルが調整を行っているが、システムは神以外には使いこなせず、さまざまな不具合が生じている。そのため疲弊していく三大勢力の現状を憂いて、和平を願って駒王学園で行われる会談に参加する。かつて三大勢力が協力して討伐したドライグを宿す兵藤一誠に一種の期待を抱き、ドライグ討伐の時のように三大勢力が再び手を取り合えるように、願掛けも兼ねて一誠に龍殺しの聖剣「アスカロン」を贈っている。アスカロンは聖剣だが悪魔でも使えるように、特別に調整を施して渡している。また、アーシア・アルジェントたちの境遇には罪悪感を抱いており、一誠に直談判されたこともあり、アーシアとゼノヴィアに謝罪し、特例として神に祈れるようにしている。
ヴァーリ・ルシファー
神滅具「白龍皇の光翼」を所有する青年。現「白龍皇」。目つきの鋭い銀髪の美丈夫で、騒乱を求める好戦的な性格をしている。悪魔と人間のハーフで、父親が旧魔王「ルシファー」の孫。魔王の血と神滅具を併せ持つ、現在、未来、過去において「史上最強の白龍皇」といわれ、すでに禁手の力を自由自在にあやつれる力量を持つ。アザゼルの世話になっており、彼の配下として堕天使陣営に属す。コカビエルの事件では、グレモリー眷属総出で戦って倒せなかったコカビエルを、戦いの場に乱入して瞬く間に鎮圧している。アザゼルが和平に向けて動き出したことで、堕天使陣営には自分の求める騒乱がないと判断し離反。禍の団へと寝返る。兵藤一誠のことはヴァーリ・ルシファー自身の宿敵としては未熟すぎると、当初は歯牙にもかけていなかったが、予想外の進化を遂げる一誠に強い興味を覚える。
美猴 (びこう)
猿の妖怪で、初代孫悟空の末裔に名を連ねる男性。たくましい体つきをした青年の姿をしており、ワイルドな雰囲気を漂わせている。禍の団に所属し、ヴァーリ・ルシファーと行動を共にしている。
黒歌 (くろか)
猫の妖怪「猫魈(ねこしょう)」の女性。塔城小猫の実姉で、黒い髪を長く伸ばした美女の姿で、黒い着物を羽織っている。妹の小猫以外に身寄りのない天涯孤独な身の上で、かつては放浪の末、とある悪魔に拾われる。しかし、潜在能力がかなり高かった黒歌は悪魔のもとで、その力を磨いて闘争本能に支配され、悪魔を殺害。そのまま妹を残して姿を消してしまう。その後、紆余曲折の末に現在は禍の団に所属し、ヴァーリ・ルシファーと行動を共にしている。黒歌の凶行で迫害を受けた小猫から恐れと嫌悪の感情を抱かれているが、黒歌は小猫に執着しており、小猫が冥界を訪れた際に姿を現し、自らの陣営に引き入れようとする。小猫と違い妖怪としての力を完全に使いこなし、幻術、毒など多彩な攻撃をあやつる。幼くして高い実力を持っていたが、現在は上級悪魔にすら匹敵する力を身につけており、兵藤一誠とリアス・グレモリーの二人を圧倒する。だが、禁手に目覚めた一誠に退けられ、そのまま退却する。
レイナーレ
堕天使の女性。黒い髪を長く伸ばした美女で、残忍で狡猾な性格をしている。兵藤一誠の初の彼女「天野夕麻」その人で、危険な力を宿した一誠がその力に目覚める前に殺すように指示を受け、一誠を殺害した。一誠の目の前ではお淑やかな少女を演じていたが、内心では彼を嘲笑し、偽名も夕暮れどきに殺すために「夕麻」と名乗ったと語っている。堕天使の組織「神の子を見張る者」の中ではかなりの下っ端で、下部組織を任されているにすぎない現状を憂いている。そのため、上層部に独断でアーシア・アルジェントから神器を抜き取り、それを自らに宿して、上層部に自分の存在を認めさせようと目論む。アーシアが殺したはずの一誠と知り合ったのは誤算だったが、そこでも一誠をいたぶり、アーシアを言いなりにするために利用している。その後はアーシアから神器を抜き取り、一誠を証拠隠滅のために殺そうとするも、見下していた一誠が実は神滅具の力を宿しており、怒りによって力を目覚めさせた一誠に敗北する。その際、無様にも命乞いをしたが、逆にそれが一誠が彼女を見限る最後の一押しとなり、リアス・グレモリーによって消滅させられる。偽りとはいえ一誠にとっては初めての彼女だったため、レイナーレにもてあそばれたという経験は、彼女の死後も一誠の中で苦いトラウマとなって残り続けることとなる。
フリード・セルゼン
非合法の悪払いをしている白い髪の少年。言動がやたらとハイテンションで、悪魔とそれにかかわる者を徹底的にいたぶる好戦的な性格をしている。レイナーレの部下として駒王町の悪魔たちを狩っており、兵藤一誠たちと戦う。レイナーレの野望が頓挫したあとは、いつの間にか姿を消し、行方不明となる。パルパー・ガリレイが聖剣を奪った際には、彼の部下として再び駒王町に来襲。パルパーによって聖剣使いの因子を埋め込まれ、エクスカリバーを使って暴れまわる。ゼノヴィア、木場祐斗を圧倒するが、ゼノヴィアにエクスカリバーを折られ、木場に切り伏せられて敗北する。
パルパー・ガリレイ
「皆殺しの大司教」の異名を持つ異端者の高齢男性。眼鏡をかけている。かつては教会に属していたが、非人道的な人体実験を行っていたため、その罪を問われ教会を追放された。木場祐斗が被験者として参加していた「聖剣計画」の責任者でもあり、木場にとっては仇敵。人工的に聖剣使いを生み出すため、木場を除く聖剣使い候補を殺し、その体から因子を抽出した。集めた因子を凝縮することで、高いレベルの因子の結晶を生み出しており、これを使ってフリード・セルゼンを人工的な聖剣使いにしている。幼い頃から聖剣にあこがれ、聖剣を追い求める聖剣マニア。聖剣を研究の末、自分が使えないことに絶望するも、妄執の果てに人工的に聖剣使いを生み出す術を作り出す。現在はコカビエルと手を組み、エクスカリバーを集めたうえで復元し、その力をもって自分を追放した教会に復讐しようと考えている。駒王町でエクスカリバーの復元の儀式を行い、街を崩壊一歩手前まで追い込むが、木場たちの活躍によって阻まれる。また禁手に至った木場の姿を見て、「神の不在」に気づくが、コカビエルに用済みとして抹殺される。
コカビエル
堕天使の組織「神の子を見張る者」の幹部を務める男性。ウェーブの掛かった黒い髪を長く伸ばし、背中からは10枚の黒い翼が生えている。神の子を見張る者の中では武闘派として知られ、アザゼルからは「戦争バカ」と評されるほどの好戦的な性格をしている。戦争を起こすため、独断でコカビエルに協力し、リアス・グレモリーの治める駒王町を崩壊させることを目論む。リアスたちが束になっても敵わない高い戦闘能力を持ち、「神の不在」をリアスたちに伝えることで、混乱の坩堝(るつぼ)に叩き落とす。しかし、乱入してきたヴァーリ・ルシファーに力を半減され、無力化されて敗北する。その後、アザゼルにコキュートスでの永久冷凍の刑に処される。
カテレア・レヴィアタン
旧魔王派に属する悪魔の女性。眼鏡をかけ、気の強そうな雰囲気を漂わせており、旧魔王のうちの一人「レヴィアタン」の血を受け継ぐ。魔王「レヴィアタン」の座を奪ったセラフォルー・レヴィアタンを憎悪し、自分たちが魔王の座に返り咲くべく、テロリスト集団「禍の団」に所属する。オーフィスから力の一部を与えられ、強化された力を用いて三大勢力の会談が行われる駒王学園を襲撃する。アザゼルの左腕を奪うものの、人工神器を発動させたアザゼルに敗北し、そのまま死亡する。
桐生 藍華 (きりゅう あいか)
駒王学園高等部2年生の女子生徒。眼鏡をかけて、茶色の髪を三つ編みにセットしている。人を食ったような性格をしており、性欲が強い兵藤一誠たちをからかい、アーシア・アルジェント編入後は二人の関係にちょっかいをかけつつ応援している。またコカビエルの事件後、木場祐斗が一誠に入れ込んでいる姿を偶然目撃し、二人の同性愛疑惑を噂で流している。
ミルたん
オカルト研究部の常連。どっからどう見ても筋骨隆々とした大男にしか見えないが、乙女を自称してアニメの美少女キャラクターのコスプレで、魔法少女を目指すと公言する謎の人物。語尾に「にょ」を付けて話す。魔法少女になるべく、魔法の力を得ることも目指しており、その一環としてオカルト研究会の「願いを叶えるチラシ」に申し込んでいる。兵藤一誠が担当となり、その見た目のインパクトから彼を驚愕させた。その後、一誠を魔法少女系のアニメ鑑賞に誘い、なんだかんだで交流を育んでいく。なお、見た目がほとんど同じ「お友達」が複数いるらしく、集まった際にはさらに強烈なインパクトを相手に与える。
集団・組織
オカルト研究部 (おかるとけんきゅうぶ)
駒王学園高等部に存在する部活動。現部長はリアス・グレモリーが務める。部室は旧校舎の一室にあり、リアスは部室を改造して、風呂を持ち込んでいる。表向きはオカルト愛好者の集う部活だが、その実態は上級悪魔、リアスの眷属が集う場所。部員は全員がリアス眷属の悪魔で、部活動を隠れ蓑に悪魔としての活動も行っている。主な活動内容は人間と契約し、代償と引き換えに願いを叶えるというもので、「願いを叶えるチラシ」を配って回っている。人間のもとにはチラシを介した転移を行って赴くが、兵藤一誠はほとんど魔力がないため、走って向かっている。またグレモリー家は、シトリー家と役割分担をして駒王町の治安を守っており、シトリー眷属は昼、グレモリー眷属は夜の警戒を担当し、警戒中は領土内で暴れる「はぐれ悪魔」などの討伐も行う。また特徴としてグレモリーの一族は情愛が深いことで有名で、眷属間は身分の上下なく、仲がよい。
禍の団 (かおす ぶりげーど)
三大勢力のいずれの勢力にも属さないテロリスト集団。三大勢力の協調路線を快く思っていない集団で、各勢力の過激派や不穏分子が集まっている。ただその実態は、各勢力の現体制を快く思っていない者や、独自の野心を抱く者、平和に馴染めず騒乱を欲する者など、さまざまな目的の者が入り混じった寄せ集めの集団で、ほとんどまとまりがない。現在は最強の龍神、オーフィスをトップに戴くことで辛うじてまとまっているにすぎず、各々が独自に行動している。ただオーフィス以外にも複数の神滅具所持者が所属しているなど、保有している戦力はかなりのもので、三大勢力から警戒されている。
場所
冥界 (めいかい)
悪魔たちの暮らす異世界。地球とは次元の異なる場所に存在し、基本的に悪魔以外は入れない。無理に入ろうとすると罰せられるため、兵藤一誠のように新しく悪魔となった者は正式なルートから入り、手続きを行わなければならない。冥界に入るための正式なルートはいくつか存在するが、一誠たちは夏休みに列車を使ったルートを通っている。また空はあるが日は差していないため、吸血鬼もふつうに活動することができる。広大な土地が存在するが、大戦以降は悪魔の数が減っていることもあり、手つかずの土地が有り余っている。中には地上では絶滅した希少な果実が実っている土地もあるため、タンニーンは種族の存続に必要なドラゴンアップルのある土地を引き換えに、悪魔となっている。
その他キーワード
赤龍帝の籠手 (ぶーすてっど ぎあ)
兵藤一誠の宿す神器。神滅具の一つに数えられる特別な神器で、二天龍のうちの一体、赤い龍、ドライグの魂を宿しているため、所有者は「赤龍帝」とも呼ばれる。見た目は緑色の宝玉が付いた赤い籠手で、「倍化」と「譲渡」の力を宿す。倍化は10秒ごとに所有者の力を2倍にするというもので、理論上は力を上昇させていけば神すら屠(ほふ)れるとされる。譲渡は倍化の効果を他者に受け渡すというもので、味方の能力を強化することができる。どちらも強力な能力だが、一誠は基本となる能力値が低いため、まともに戦えるまで倍化するのに時間がかかるのが欠点。禁手は「赤龍帝の鎧(ブーステッド・ギア・スケイルメイル)」で、赤い全身鎧といった姿となる。この状態では倍化と譲渡の力が大幅に上がり、一誠次第では一瞬で倍化を何度も完了することができる。ただし、禁手状態となるためには相応の実力が必要で、一誠はライザー・フェニックスとの戦いでは実力不足だったため、ドライグに左腕を代償に支払って無理やり発動させている。無理に発動させたために発動時間はわずか10秒で、以降左腕はドラゴンと同じものとなったが、下級悪魔の一誠が上級悪魔のライザーを圧倒するまでその力を強化した。能力が低かったため、自由に禁手することはできなかったが、のちにタンニーンとの特訓で力を底上げし、禁手の力を手にしている。赤龍帝の籠手と対を成す「白龍皇の光翼」の所有者とは戦う宿命にあり、歴代所有者は必ず戦うこととなる。今代の白龍皇、ヴァーリ・ルシファーとも戦う宿命にあり、一誠は最強の白龍皇であるヴァーリに手も足も出ずにいたが、一矢報いて白龍皇の力を奪い取り「白龍皇の籠手(ディバイディング・ギア)」を生み出している。一誠は一時的にヴァーリの力を白龍皇の籠手で無効化したが、もともとなかった能力を無理やり付加したため負担が大きく、力を使いこなせずにいる。
白龍皇の光翼 (でぃばいん でぃばいでぃんぐ)
ヴァーリ・ルシファーの宿す神器。神滅具の一つに数えられる特別な神器で、二天龍のうちの一体、白い龍、アルビオンの魂を宿しているため、所有者は「白龍皇」とも呼ばれる。兵藤一誠の宿す赤龍帝の籠手とは対を成す神器で、歴代の所有者は必ず戦う運命にあるといわれる。能力は「半減」と「吸収」で、10秒ごとに敵対者の力を半減し、その減った分の力を自分に吸収することができる。禁手は「白龍皇の鎧(ディバイン・ディバイディング・スケイルメイル)」で、光り輝く翼の生えた全身鎧といった姿をしている。光り輝く翼は吸収した余剰分の力を放出したもので、半減と吸収を使い続けることで、つねに最高のコンディションで戦い続けられる。また禁手状態であれば、半減の力を次元にまで作用させ、物体だろうが空間だろうがあらゆるものを半減させることができる。
悪魔 (あくま)
冥界に住まう種族。三大勢力の一つで、かつては天使、堕天使と三つ巴の戦いを繰り広げていたが、近年は小康状態となっている。人に近しい外見に、黒いコウモリの羽根を持つのが特徴で、「魔力」と呼ばれる超常の力をあやつる。人と変わらない見た目をしているため、近年は人に紛れて暮らす者も多い。また人間と契約し、魂を代価に願いを叶えるのを生業とする者が多いが、近年は魂だけではなく、物品や金銭を代価にしてビジネスを展開しているのが主流となっている。悪魔は寿命が長いが、出生率が低く、特に純潔の悪魔は子供ができにくい。かつての大戦によって数を減らしているため、近年は悪魔の駒を使い、転生悪魔を生み出している。ただし、基本的に悪魔は純血と階級を尊ぶ貴族社会であるため、転生悪魔や下級悪魔への風当たりは強い。悪魔たちはトップに四人の魔王「四大魔王」を戴いているが、初代魔王は大戦で死亡。現在はサーゼクス・ルシファーたちが、新たに2代目魔王となり冥界の秩序を形作っている。2代目魔王就任に当たり、魔王の名は役職名となり、現在はこの名を魔王以外の者が名乗るのは許されていない。しかし初代魔王の血筋に当たる者たちは、自分たちこそが正当な魔王と宣言し、あえてこの名を名乗っている。初代魔王の末裔は復権を目指す「旧魔王派」を組織し、2代目四大魔王陣営とは敵対している。悪魔は神の作り出したシステムによって、聖なる力に弱く、教会や神の存在を本能的に恐れるようになっている。アーシア・アルジェントもシスターから悪魔へとなったが、神への祈りをするたびに頭痛を感じている。
はぐれ悪魔 (はぐれあくま)
悪魔の中でのはみだし者の総称。主を裏切って単独で行動を始めた悪魔で、各々が好き勝手に行動し、人間を手当たり次第に食べため、非常に危険な存在とされる。そのため、はぐれ悪魔は見つけ次第駆除するのが決まりとなっており、つねに警戒して自身の領土のはぐれ悪魔を駆除するのが、上級悪魔の義務にもなっている。オカルト研究部も領土を警戒し、はぐれ悪魔の討伐を主要な活動の一つとしている。またはぐれ悪魔は他種族から転生した転生悪魔もいるため、異形の姿をしている者も多い。
転生悪魔 (てんせいあくま)
悪魔に転生した者たちの総称。ほかの種族の者が悪魔の駒を用いることで悪魔に転生することができる。種族は人間以外にも、堕天使やドラゴン、吸血鬼でも可能で、必要数の悪魔の駒が確保できれば、誰にでも処置することが可能。転生した者は、元の種族の特性に悪魔の特性を併せ持つこととなるが、同時に両種族の弱点も併せ持ってしまう。吸血鬼であれば日光やニンニクに加え、悪魔の嫌う聖なる力も弱点となる。また悪魔の駒を用いて転生するため、基本的に主に従属することとなる。神器を宿した人間を転生させることもできるが、消耗する悪魔の駒は使われる側の素質によって数を変えるため、強力な神器を宿していれば宿しているほど、多くの駒を消費することとなる。また、転生の副次効果でケガを癒やすことができ、死んだばかりであれば疑似的に蘇生させることもできる。悪魔となることでもともと魔力を持たない人間でも、魔力をあやつることができるようになる。ただし、魔力は元の素質に左右されるため、魔力がほとんどない落ちこぼれも存在する。このほかに悪魔は基本的にあらゆる言語に対して翻訳能力を持ち、転生悪魔もその能力を獲得し、未修得の言語も自由自在にあやつることができるようになる。
悪魔の駒 (いーゔぃる ぴーす)
上級以上の悪魔のみが持つ特殊なチェスの駒。主となる悪魔は、自らを「王」と見立て、チェスと同じく「女王(クイーン)」の駒が一つ、「騎士(ナイト)」の駒が二つ、「僧侶(ビショップ)」の駒が二つ、「戦車(ルーク)」の駒が二つ、「兵士(ポーン)」の駒が八つ与えられ、この駒を使って自身のチームを作る。もともとは大戦によって数が減った悪魔の数を補うための少数精鋭の制度で、悪魔はこの駒を使うことで、他種族の者を転生悪魔に転生させることができる。また、それに伴って「騎士」なら俊敏性、「戦車」であれば力と防御力といった具合に、駒の特性を眷属に与えることができる。「兵士」の駒は通常状態では目立った特性がないが、相手の陣地に深く入り込むことで「プロモーション」をし、ほかの駒の特性を得られるという特殊な特性を持つ。特性付与による強化は適性によって左右されるが、高い適性のものであれば驚くほどその力を増大させられる。基本的に転生に使う駒は、一人につき一つだが、能力や潜在能力、神器の格によっては複数の駒が必要となる。神滅具の所有者である兵藤一誠の場合、兵士の駒を八つ分消費している。「変異の駒(ミューテーション・ピース)」と呼ばれる、本来なら転生悪魔を生み出すのに複数の駒が必要なところ、たった一つで済むという特別な悪魔の駒も存在する。珍しい駒で、主となる上級悪魔の10人に一人くらいの割合で、この駒が与えられている。本来は偶発的に誕生したものだが、その仕様をおもしろがった悪魔たちに残され、現在も仕様として残っている。
レーティングゲーム
悪魔が眷属同士で戦い、競う競技。疲弊して数を減らした悪魔が、数を増やして眷属を鍛えるために行っている実践形式の競技で、冥界では非常に大きな影響力を持つ。下級悪魔であっても、レーティングゲームで活躍すれば成り上がることができるが、現在は悪魔の駒は上級悪魔にしか配られないため、下級悪魔は基本的に上級悪魔の眷属になるしか参加する方法はない。基本ルールは使い捨ての戦闘フィールドを作り出し、先に「王」を打ち取った方が勝ち。ある程度ダメージを受けた眷属は、そのまま強制的に退出され、治療を受けることとなる。また娯楽の側面も強いため、基本ルールに特殊なルールを加えた変則的な試合が開催されることもある。
天使 (てんし)
天界に住み、神に仕える種族。背中に白い翼を生やし、頭に光り輝く輪を持つ。現在は神が死んだため、ミカエルが実質的なトップに立っており、神亡きあとのシステムを管理している。システムは人々の信仰によって稼働し、信仰を守るため、異端や異教徒には厳しい処分を下している。しかし、神の不在によるシステムの不安定さは日々増しており、ミカエル自身も現状の在り方に限界を感じている。
堕天使 (だてんし)
神から離反した天使の成れの果て。天使の輪を失い、白い翼が黒くなっているのが特徴。アザゼルによると女性への誘惑に負けて、天界の知識を人間に教えて堕天したらしく、昔は今よりもずっと堕天しやすかったとのこと。現在はアザゼルがトップに君臨し、「神の子を見張る者(グリゴリ)」という組織を結成して活動している。三大勢力の中では神器の研究を最も精力的に行っており、人工神器の開発も行っている。研究や開発をメインで行いたい者が多く、これ以上の戦争行為は不毛だと否定的に考える者が多い。一方で天使たちほど規律に厳しくないため、コカビエルやレイナーレのように独断専行する者たちもいる。
神器 (せいくりっど ぎあ)
不思議な力を宿した道具の総称。「聖書の神」が作り出したシステムによって稼働しており、所有者の思いの強さに応えて、その力を発現させる。人間と、その血を引く者に先天的に与えられ、知らずに強力な神器を宿している者も多い。また神器は所有者と密接に結びついているため、宿した神器を摘出されると、所有者はたちまち衰弱して死亡する。摘出された神器であれば、堕天使や悪魔であっても後天的に宿すことができる。与えられる神器は千差万別で、戦闘能力が高いものから治癒をもたらすものまでさまざま。また神器の中でも「神すら滅ぼせる」とされる強力な神器は、「神滅具」の名で呼ばれる。その力は所有者の力量と思いによって成長していき、神器は成長の果てに究極の形として「禁手」に至る。基本的に神器の最終形態は禁手であり、禁手も鍛えていくことで、より強力な力を発揮していくようになる。ただし赤龍帝の籠手や白龍皇の光翼など、強力な人外の力を封じた神器には禁手とは別のリミッターが掛けられており、これを解放することで禁手に匹敵、あるいはそれ以上の力を発揮する神器も存在する。ただし本来、安全弁となるリミッターの解除は非常に危険だとされる。システムは人間の信仰によって稼働するが、神の不在によってその運用は不完全で不安定となっている。そのため強力な神器や、アーシア・アルジェントの聖女の微笑みのように悪魔すら癒やせる神器は、信仰の土台を揺るがすためにシステムにとって非常に危険だとされる。
禁手 (ばらんすぶれいかー)
神器の究極の形態。所有者の力と思いが行きついた果てに現れる神器の最終にして最強の姿で、本来の神器の力を大幅に超えた力を発揮するようになる。禁手を使うことを「禁手化(バランス・ブレイク)」と呼ばれる。その力の大きさは「世界の均衡を崩す力」ともいわれ、非常に強力ながら、その分負担も大きく、未熟者が無理に禁手を行おうとすると相応の代償を支払うこととなる。消耗も激しいため、実力者であっても乱用はできないなど、強力な反面、制限も多い。また、禁手は所有者の意思が反映して神器を進化させるが、基本的に禁手化した神器はその姿と能力がある程度決まっている。ただしごくまれに神器を独自進化させる者も存在し、それらは「亜種禁手」と呼ばれる。
神滅具 (ろんぎぬす)
神器の中でも特別強力とされる神器。その名は「神をも滅ぼせる具現」を意味し、使い方次第では神を滅ぼせると判断された神器が、この名を冠することとなる。神器は「龍の手」のように複数存在する者も存在するが、神滅具はすべて唯一無二の存在で、同じものは二つとして存在しない。またほかの神器が一つの能力しか持たないのに対し、神滅具は二つ以上の能力を併せ持つのが特徴。非常に謎が多く、神器が成長し、禁手に至ることで新たに神滅具に認定されることもある。神滅具はたやすく世界のパワーバランスを崩してしまうほど強力であるため、その存在は各勢力から危険視されている。
エクスカリバー
最強と謳(うた)われる伝説の聖剣。大戦によって破損し、現在は回収された破片から7本の新たな聖剣として生まれ変わり、これら7本の聖剣の総称として呼ばれる。「破壊の聖剣(エクスカリバー・デストラクション)」は攻撃力に特化し、「擬態の聖剣(エクスカリバー・ミミック)」は自由自在にその形を変えるなど、7本のエクスカリバーはそれぞれ独自の能力を持つ。現在、7本のうち6本のエクスカリバーの在り処(か)が判明しており、教会の各宗派がそれぞれ2本ずつ管理している。しかし、パルパー・ガリレイによって各宗派から1本ずつ強奪され、さらにその奪還のために動いた紫藤イリナの擬態の聖剣も奪われてしまう。パルパーは4本の聖剣を儀式によって統合したが、ゼノヴィアによって打ち砕かれ、その破片は教会に回収される。
クレジット
- 原作
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石踏 一榮
- キャラクター原案
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みやま 零
書誌情報
ハイスクールD×D 全11巻 KADOKAWA〈ドラゴンコミックスエイジ〉
第1巻
(2011-06-07発行、 978-4047127333)
第2巻
(2011-12-07発行、 978-4047127678)
第3巻
(2012-07-05発行、 978-4047128149)
第4巻
(2013-01-07発行、 978-4047128521)
第5巻
(2013-09-09発行、 978-4047129009)
第6巻
(2014-04-09発行、 978-4040700809)
第7巻
(2014-12-09発行、 978-4040704579)
第8巻
(2015-08-08発行、 978-4040705972)
第9巻
(2016-05-09発行、 978-4040708812)
第10巻
(2017-05-09発行、 978-4040722825)
第11巻
(2018-04-09発行、 978-4040726694)