A-BOUT!! 朝桐大活躍編

A-BOUT!! 朝桐大活躍編

市川マサの『A-BOUT!』の続編。2年生になった朝桐真之輔の、光嶺高校での新たな戦いを描くヤンキー漫画。光嶺高校内部の勢力争いが中心だった前作と異なり、外部の他勢力との抗争がストーリーの中心となる。「週刊少年マガジン」2013年28号から2014年15号、「マガジンSPECIAL」2014年No.5~No.6にかけて連載された作品。

正式名称
A-BOUT!! 朝桐大活躍編
ふりがな
あばうと あさぎりだいかつやくへん
作者
ジャンル
不良・ヤンキー
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あらすじ

第1巻

不良達が県内外から集まる光嶺高校では新年度が始まり、新たな1年生が入学して来た。その中に朝桐真之輔を執拗に狙う男がいた。彼の名は依永庸平。当の朝桐は進級できずに留年していたが、自分の人生をメチャクチャにしたという朝桐を依永はいきなり襲撃する。辛くもその場を脱した朝桐だったが、依永以外の1年生達も光嶺高校で名を上げるために、朝桐を倒す事を宣言する。1年生達の攻撃をかわしながら再び依永と対決した朝桐は、中学時代の事を思い出す。かつて依永は中学野球で名の知れた選手だったが、朝桐とのケンカに巻き込まれて逮捕され、少年院に入れられたという過去があった。それを恨み、復讐のため朝桐に挑む依永に対し、朝桐も全力でそれに応える。その頃、朝桐の仲間である砂原竜介柾木千春は、依永が少年院で知り合ったという奥津暁という男が、光嶺高校に向かっている事を知る。果たして奥津は仲間を引き連れて光嶺高校に現れ、2年生の綾瀬遥を退けた後、3年生の東郷と対峙していた。

第2巻

光嶺高校に侵入して来た奥津暁は、東郷の登場に引き下がったものの、標的を朝桐真之輔に定め、再び戻って来ると告げる。その直後、光嶺高校1年生の阿部泰治が奥津に襲われて重傷を負うという事件が起こる。光嶺高校のメンツをかけて犯人を探す東郷だったが、既に朝桐は奥津のもとへ向かっていた。少年院で奥津と出会った依永は、奥津の底知れない強さに恐怖心を抱いて否応なしに従っていたが、朝桐と改めてタイマンを張る事で、自分が抱えていた不満をすべて吐き出し、奥津との決別を誓う。しかし、奥津は事前に警官を襲って拳銃を手に入れており、その銃口を朝桐と依永に向ける。とっさの機転で拳銃を奪った朝桐は強烈なパンチで奥津を倒し、残された奥津の仲間もまた東郷によって倒された。この戦いで改めて光嶺高校最強は朝桐であるという認識を新たにする依永だったが、その後、大門寺裕次郎より朝桐の留年が間違いである事を知らされる。

第3巻

晴れて2年生となった朝桐真之輔は、新たに舎弟となった阿部泰治から金子信長という男を紹介される。不良の巣窟である光嶺高校の中では珍しく腕っ節が弱い信長だったが、「マネー」とあだ名される通り、つねに懐には札束を忍ばせており、金の力にものを言わせて光嶺高校でのし上がろうとしていた。そして信長は朝桐に、どちらが多くの人数を集めた派閥を作る事ができるかという勝負を挑む。そんな信長に対し、朝桐は自身の人間的魅力で人を集め、この勝負に勝利する。

そんな矢先、光嶺高校を狙う新たな勢力である蓮上高校が「光嶺討伐隊」を結成し、周囲の高校を取り込んで光嶺高校を倒そうと動き始める。この動きの中心にいるのは信長の兄、金子統昭。統昭をはじめとする蓮上高校の動きを察知した光嶺高校3年生の東郷は、ほかの3年生達と共にこれを迎え撃つ体制を整えようとするが、そんな3年生達の動きをよそに、朝桐は統昭との直接対決に向かっていた。

第4巻

蓮上高校に乗り込み、金子統昭と対峙する朝桐真之輔だったが、阿部泰治金子信長がそれを制止。朝桐はひとまず、その場を離れる事となった。なぜ止めたと憤る朝桐に対し、信長は、統昭の弟である自分に、この件の対応を任せてほしいと願い出る。その後、蓮上高校に出向いた信長は、統昭に光嶺高校と戦う道を避けるよう頼むが、統昭はそれを拒否して信長を病院送りにしてしまう。その姿を見た朝桐は再び蓮上高校に行こうとするが、そんな朝桐を今度は東郷が制止する。東郷は、これは3年生のケンカであり、朝桐が手を出すのは筋が違うと語るが、朝桐はそんな忠告を振り切り、統昭とのタイマンに臨む。そこへ病院から抜け出して来た信長が現れ、この件は自分がケリをつけると再び統昭と向き合う。そんな彼の姿に、統昭は光嶺高校で成長したいと願う信長の意思を感じ、自分の負けを認めて光嶺高校から手を引くのだった。

第5巻

蓮上高校との抗争をおさめた朝桐真之輔だったが、これは結果的に東郷ら3年生のメンツを潰した事を意味した。東郷はこの件については沈黙していたが、それは朝桐に対する無言の抗議でもあった。そんな折、砂原竜介の前にかつて光嶺高校で舎弟だった松下好一朗が現れる。現在は光嶺高校を退学していた松下は、復学して再び砂原の仲間になろうとするが、砂原はそれを拒否。自分を否定された松下は、仲間を引き連れて光嶺高校に逆襲する事を画策する。その頃、朝桐はついに東郷との決着をつける事を決めていた。そこへ現れた松下は、東郷と朝桐を襲撃するが、その場に居合わせた柾木千春に敗れ、松下の連れてきた仲間もまた砂原によって壊滅させられる。邪魔者がいなくなった事を受け、朝桐は再び東郷と対峙し、互いのプライドをかけたタイマンに臨む。

登場人物・キャラクター

朝桐 真之輔 (あさぎり しんのすけ)

光嶺高校に通う男子。当初は留年していたと思われていたが、実は校長の手違いによるもので、現在は2年生となっている。数か月前に光嶺高校の当時の3年生と死闘を展開したあとは、燃え尽き症候群に陥ってケンカも弱くなっていた。新1年生からも、名を上げるための標的とされており、依永庸平ら新1年生との戦いを通じて少しずつ強さを取り戻していく。

砂原 竜介 (すなはら りゅうすけ)

光嶺高校に通う2年生の男子。不良美学の求道者であり、新1年生の中にも砂原竜介を慕う者が多い。朝桐真之輔とは過去に2回にわたって対決した事があり、いずれも敗れたため、朝桐の事を自分達の「大将」と認めている。ただし、砂原竜介自身は朝桐の舎弟ではなく、あくまでも「仲間」として彼に接する。

柾木 千春 (まさき ちはる)

光嶺高校に通う2年生の男子。かつてはつねにナイフを持ち歩く危険な人物だったが、朝桐真之輔と出会った事で心境が変化し、2年生に進級したあとはコミカルな一面も見せるようになった。光嶺高校の中ではイケメンである事から、周辺の女子高校生達からの人気も高い。朝桐に対しては強い仲間意識を持っており、朝桐が意識する東郷に対しては、嫉妬ともつかない複雑な感情を見せる。

瀬下 聖矢 (せした せいや)

光嶺高校に通う2年生の男子。朝桐真之輔からは「ハナノアナ」というあだ名を付けられている。よく朝桐と行動を共にしているため、事件に巻き込まれる事が多い。光嶺高校の中では穏健派で知られ、自分からはケンカを売る事は決してないが、いざケンカになれば、その実力は相当なもの。

大門寺 裕次郎 (だいもんじ ゆうじろう)

光嶺高校に通う2年生の男子。リーゼントのヘアスタイルで、夏でもつねに長ランを着込んでいる硬派。前時代的な不良スタイルながら、そのケンカの実力は光嶺高校の中でも屈指の強さを誇り、周囲からも一目置かれている。少年時代からサッカーを趣味としており、光嶺高校内でサッカー同好会を立ち上げようとするが、朝桐真之輔の妨害により失敗する。

綾瀬 遥 (あやせ はるか)

光嶺高校に通う2年生の男子。現在は東郷の派閥に所属し、東郷派の2年生を仕切る立場となっている。朝桐真之輔達とは1年生の頃に対立していたが、現在は表立って対立する事はなく、蓮上高校との抗争時には他の派閥と連携するなど、協調性のあるところを見せる。

東郷 (とうごう)

光嶺高校に通う3年生の男子。すさまじい威力のパンチに加え、「不死身」と呼ばれるほどの打たれ強さを誇る。光嶺高校の3年生の中ではトップクラスの存在。3年生になってから東郷自身の派閥を立ち上げたが、普段はあまり学校にが来ない事から、派閥の管理運営は山城邦男が担っている。朝桐真之輔とは1年前に戦っており、その時に敗れた事が、今でもしこりとなっている。

山城 邦男 (やましろ くにお)

光嶺高校に通う3年生の男子。自身の派閥を立ち上げず、東郷の友人として東郷派のNo.2として活動する。派閥のトップである東郷があまり学校に来ないため、綾瀬遥ら東郷派の2年生に直接指示を出す事も多い。

島村 発 (しまむら はつ)

光嶺高校に通う3年生の男子。2年生の頃には「破壊王」と呼ばれた実力者、童門醍醐の下についていたが、3年生への進級時に島村発自身の派閥を立ち上げた。派閥の後輩には「ジョゼ」と呼ばせており、自身の派閥も「ジョゼ派」という名前で通している。ロードバイクが趣味で、学生服の下にはロードバイクウェアを着込んでいる。

番場 玄太 (ばんば げんた)

光嶺高校に通う3年生の男子。2年生の頃には「破壊王」と呼ばれた実力者、童門醍醐の下についていたが、3年生への進級時に番場玄太自身の派閥を立ち上げた。番場派は光嶺高校の中では東郷派に次ぐ勢力を持っているが、番場本人に東郷と戦うつもりはなく、校内での衝突は少ない。

依永 庸平 (よりなが ようへい)

光嶺高校に通う1年生の男子。中学野球では名の知れた存在だったが、中学時代に朝桐真之輔のケンカに巻き込まれた事で検挙され、少年院に入れられていた。その事で朝桐を恨み、光嶺高校に入学して復讐の機会を狙う。少年院で知り合った奥津暁が光嶺高校を襲撃した際、朝桐と共闘した事で依永庸平自身のわだかまりも解け、その後は光嶺高校で自分を見つめ直す事を決意する。

桑村 勝夫 (くわむら かつお)

光嶺高校に通う2年生の男子。1年生当時は砂原竜介のもとで砂原軍団の一員として活動しており、砂原軍団が解散したあとも砂原を慕って行動を共にしている。朝桐真之輔とは馬が合わず、つねに衝突を繰り返しているが、その心の底では朝霧の強さを認めている。

阿部 泰治 (あべ やすはる)

光嶺高校に通う1年生の男子。当初は依永庸平らほかの1年生と共に朝桐真之輔の首を狙っていたが、誰も勝てなかった奥津暁を朝桐が倒した事で、進んで朝桐の舎弟となる。朝桐の軍門に下っているものの、阿部泰治自身も中学時代には名を馳せた存在であり、周囲の1年生からは恐れられている。

奥津 暁 (おくつ あきら)

依永庸平が少年院で出会った男性。依永には、少年院を出所したあとはすぐに自分のところに来るように言っていたが、依永がそれを拒んだため、二人の仲間を連れて光嶺高校に現れる。強靭な肉体の持ち主で、綾瀬遥達を苦戦させるが、朝桐真之輔には勝つ事ができず、光嶺高校から手を引く。

金子 信長 (かねこ のぶなが)

光嶺高校に通う1年生の男子。富豪の息子で、つねに懐に札束をしのばせている。必要に応じ、その金の力を利用する事から「マネー」と呼ばれている。兄である金子統昭の持つ不良としての強さにあこがれ、統昭と同じく不良になりたいと願って光嶺高校に進学した経緯がある。

金子 統昭 (かねこ のぶあき)

蓮上高校に通う3年生の男子。金子信長の兄。光嶺高校の一強体制を覆すため、周辺の高校やチームを取り込んで「光嶺討伐隊」を結成した。信長が自分と同じように不良になりたいと願っている事を知りつつも、彼にはその素質がないとあえて突き放し、その目標をあきらめさせようとしている。

松下 好一朗 (まつした こういちろう)

かつて光嶺高校で砂原竜介が結成した、砂原軍団の一員だった男性。現在は光嶺高校を退学し、別の仲間と行動を共にしている。光嶺高校に復学し、再び砂原とトップを目指そうと持ちかけたものの砂原に拒否され、光嶺高校への復讐を考え始める。

三角 形一 (みすみ けいいち)

光嶺高校とは別の高校に通う2年生の男子。ひょんな事から朝桐真之輔達と出会い、さまざまな事件に巻き込まれるようになる。もともと三角形一自身は不良ではなく一般の生徒だが、交流のある朝桐の影響から、不良にも友人が多い。趣味は小説を書く事で、ライトノベルを書いて出版社に応募したところ入選した、という実績を持つ。

吉岡 (よしおか)

光嶺高校OBの男性。砂原竜介や柾木千春達に対する人望がない事に悩み、「強くて怖い人を倒せば人望が出る」と誤解した朝桐真之輔に、八百長試合を頼まれた。朝桐から指定された時刻に遅れたため対決する事はなかったが、朝桐を心配する砂原や柾木の姿に何かを感じとって去っていった。

場所

光嶺高校 (みつみねこうこう)

県内外から多くの不良生徒が集まる事で知られる私立高校。卒業するまでに、入学した半数以上の生徒が退学するといわれている。砂原竜介は、光嶺高校での生活を楽しむ事ができなかった人間から辞めていく、との論を持つ。周辺の高校からも恐れられている一方で、つねに逆襲の機会を狙われている。

蓮上高校 (れんじょうこうこう)

光嶺高校から少し離れた土地に建つ高校。不良の世界は光嶺高校の一強状態が続いているが、この状態を打破するため、蓮上高校の金子統昭が中心となって、光嶺高校に対抗する一大勢力を築いた。

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