あらすじ
第1巻
幼い頃から未来島で育った池永風夫は、両親がいないながらも仲間達に囲まれて楽しく平和に暮らしていた。そして風夫は、両思いの泳子に正式に交際を申し込もうとしていた。だがある日、風夫は雨宮に、風夫の両親が見つかったので、今すぐ街で暮らすようにと告げられる。泳子に告白をする間もなく、風夫は未来島から遠く離れた都会の街へ行き、風夫の父、風夫の母と対面する。しかし二人に違和感を覚える風夫は、なかなか打ち解ける事ができないでいた。そんな中、風夫は街にやって来た際に偶然知り合い、同じクラスになった辻山ユウと親しくなり、積極的なアプローチを受ける事となる。ある日、そんな二人が遊園地でデートをしていると、すぐ近くの道を泳子そっくりの少女、街の泳子が通りかかる。以降、風夫は日常生活の中で何度も泳子を見かけるようになる。そしてやっと街の泳子と言葉を交わすチャンスが訪れた時、風夫は後ろから何者かによって殴られてしまう。
第2巻
何者かの妨害により、池永風夫は街の泳子と言葉を交わせずにいた。辻山ユウが街の泳子との接触を邪魔しているように感じた風夫は、ユウの眼を盗んで街の泳子が通う高校へと会いに行く。そこで初めて二人は言葉を交わすが、街の泳子は風夫の事はもちろん、未来島についてもいっさい知らなかった。しかし風夫と話しているうちに、街の泳子は、自分の記憶の中に未来島に似た場所がある事を思い出し、未来島にもう一人の自分がいるのではないかと、疑問を抱くようになる。一方の風夫は、ユウの父親で私立探偵の辻山勇作に監視されており、ユウは街の泳子と風夫を出会わせないように仕向けられた存在である事が判明する。そして、慣れない環境で疑問だらけの風夫の境遇を不憫に感じた勇作は、街の泳子だけでなく、未来島に住んでいたクラスメイトとそっくりの人達が街に存在しており、風夫と出会わせないように依頼を受けた事を彼に打ち明ける。これを受けて、風夫は自分に似た人物もいるのではないかという疑問を覚える。そして風夫は、同時に街の泳子と未来島の泳子の関係性を探る事も視野に入れ、調査を開始する。
第3巻
池永風夫と街の泳子が辻山勇作に教えられた住所に向かうと、そこには風夫の墓があり、「風夫の彼女」だと名乗るルナがいた。そしてルナは、街に住んでいた風夫がバイク事故で亡くなった事を二人に告げる。そして、風夫が未来島から街に呼ばれたのは、街の風夫が事故に遭ってすぐのタイミングであった。すべての謎を明らかにするため、風夫は勇作と辻山ユウの手助けを受け、街の泳子と共に未来島へと向かう。そこで待ち受けていた雨宮は、自分が遺伝子学の研究者だと語る。そして、未来島に住む子供達の全員が人工的に生み出された双子のクローンの一人であり、研究とデータ取得のために互いの存在を隠して、未来島と街で暮らしていたという事実を明かすのだった。
登場人物・キャラクター
池永 風夫 (いけなが かざお)
未来島に住む高校1年生の男子。泳子らと楽しく暮らしていたが、雨宮より両親が見つかったとの連絡を受け、急遽未来島を離れる事となった。泳子とは両思いだったが、互いに気持ちを確かめ合えずに別れてしまった事が心残りとなっている。街の泳子と出会ってから、未来島の泳子はもちろん、自分の存在にも疑問を抱くようになる。
泳子 (えいこ)
未来島に住む高校1年生の女子。特技はバイオリンで、池永風夫の前でたびたび披露していた。風夫とは両思いだったが、互いに気持ちを確かめ合う時間もなく、島を離れる事になった風夫を静かに見送った。明るく穏やかな性格のしっかり者だが、たまにパンツを穿き忘れるなど、抜けているところもある。
街の泳子 (まちのえいこ)
高校1年生の少女。池永風夫が引っ越した街に住む。外見も話し方も泳子とそっくりだが、未来島や風夫については何も知らない。泳子と同じくバイオリンが趣味で、演奏する時にはいつも海をイメージしている。基本的に未来島の泳子と同じで、性格も明るく穏やかだが、泳子よりもやや気が強い一面を持っている。
辻山 ユウ (つじやま ゆう)
高校1年生の女子。池永風夫が引っ越した街に住む。ボーイッシュながらもかわいらしい容姿をしており、明るくさっぱりとした性格の持ち主。両親は離婚しており、今は父親の辻山勇作と二人暮らしをしている。未来島から街にやって来た風夫とは、道でぶつかった事で知り合う。その後、風夫の転校先で再会し、偶然にも同じクラスになった。 街での生活に慣れていない風夫の面倒を見つつ、自分の事を好きになってもらおうと積極的にアプローチをする。実は勇作の仕事を手伝い、風夫と街の泳子を会わせないように画策していた。しかし、風夫と接するうちに本当に恋心を抱くようになってしまい、風夫の心が泳子にある事を知ってもあきらめられずにいる。
ルナ
クールな大人びた容姿の少女。街で暮らしていたもう一人の風夫の彼女であった人物。風夫をバイク事故で亡くし、落ち込んでいた。未来島から街にやって来た池永風夫と墓前で偶然顔を合わせ、故人の風夫を思い出す。
委員長 (いいんちょう)
未来島に住む高校1年生の女子。池永風夫ら高校生達のリーダー格であり、まじめでしっかりとした性格の持ち主。先生からの信頼も厚く、周囲からも尊敬されている。
一子 (いちこ)
未来島に住む高校1年生の女子。周囲からは「ワンコ」と呼ばれている。ボーイッシュな雰囲気の少女で、明るくサバサバとした性格の持ち主。委員長や泳子と比較すると胸が小さく、その事をよくカッキィーにからかわれている。密かにカッキィーに恋心を寄せている。
ハマ
未来島に住む高校1年生の男子。おっとりとした性格で、委員長や一子からはいつも押されがち。クラスの中ではいちばん背が高く、がっしりした体格をしている。恋をしている自覚はないものの、委員長が気になっている。
カッキィー
未来島に住む高校1年生の男子。明るくノリのいい性格の持ち主であり、クラスのムードメーカー的存在になっている。小柄な体格をしており、小学6年生から身長が変わっていない。泳子の事が好きだったが、池永風夫の手前ずっと言い出せずにいた。風夫が未来島を離れてから泳子にアプローチを開始するが、受け入れてもらえずにいる。
雨宮 (あまみや)
未来島に住む女性。島の中心人物で、住民からは「所長」と呼ばれ、子供達からはまるで親のように慕われている。
風夫の父 (かざおのちち)
池永風夫の父親。街に住んでおり、未来島から風夫を迎え入れた。口数の少ない寡黙な人物ではあるが、風夫の事は気にかけている。しかし、自ら距離を縮めようとはせず、その姿勢に風夫は違和感を覚えている。
風夫の母 (かざおのはは)
池永風夫の母親。街に住んでおり、未来島から風夫を迎え入れた。風夫に対して優しく接するが、過剰に気を使っているところがあり、風夫もその不自然さに疑問を抱いている。
辻山 勇作 (つじやま ゆうさく)
辻山ユウの父親。仕事は私立探偵をしている。妻とは離婚しており、現在はユウと二人暮らし。池永風夫と街の泳子を出会わせないように管理・監視してほしいと依頼を受けているが、依頼主の事は詳しくは知らない。慣れない環境で疑問だらけの風夫を不憫に思い、依頼主を裏切って、風夫に自分の知る情報をすべて打ち明けた。以降、風夫が困っている時には手を貸すようになる。
場所
未来島 (みらいじま)
瀬戸内海に浮かぶ自然豊かな島。島内は居住区、学園区、医療区の三つに分かれている。遊園地など娯楽施設はいっさいない。住民は「所長」と呼ばれる雨宮を中心に、大人が34人、そのほかに、下は幼稚園児から上は高校1年生までの子供達が72人住んでいる。子供達はいずれも両親がおらず、島の外に出た事もない。池永風夫や泳子らは島の子供の中では最年長の高校1年生である事から、年下の子らの面倒を積極的に見ている。
クレジット
- 原作