特殊な能力を持つ二人の出会い
両親を失った高校生の辰己は、弟の太郎と妹の幸を支えるため、新聞配達をはじめとしたさまざまなアルバイトを掛け持ちしていたが、右手が時おり痺(しび)れることに悩まされていた。そんな中、辰己の前に警視庁公安部の刑事の写楽が現れ、5年前の火事についての情報提供を求められる。しかし、当時警察が碌(ろく)な取り調べもせずに事件を処理したことに不満を抱いていた辰己はこの申し出を断る。家に戻った辰己は、突然二人組の謎の異星人に襲われ、その異様な力の前に辰己は為(な)す術なく窮地に陥るが、そこに写楽が現れたことで事なきを得る。そして写楽の手引きにより、警視庁公安部外事5課の第7班に所属し、写楽の相棒として活動することになる。
異星人と地球人の共存を守る特殊部署
写楽や辰己が所属する警視庁公安部外事5課は、日本で暗躍する異星人を取り締まるために結成された部署で、一般人にはその存在は知られていない。その目的は地球人と異星人が対等な立場で共存することで、活動内容は異星人の犯罪者の取り締まりや、さまざまな理由で地球に逃げ込んできた異星人難民の保護および支援、異星人犯罪者によって被害を受けた人々のアフターケアなど多岐にわたる。武装には反重力装置をはじめ、異星人から得た技術が多く使われ、技術的には異星人に太刀(たち)打ちできないものの、複数の兵装を組み合わせることで異星人すら圧倒する攻撃力を発揮する。
地球を脅かす異星人の犯罪者たち
本作の地球人は、生命のある星に進出するだけの技術が確立されておらず、逆に地球には多くの異星人が潜伏している。そのため、悪事を働いた異星人が地球から逃げた場合は追うことができず、銀河系では「エイリアンズエリア」と呼ばれている。異星人の犯罪者たちは、地球人を連れ去ってほかの異星人に売りつけたり、地球に逃げ込んだ異星人を殺害しようとしたりと、さまざまな目的を持って地球にやってきている。一方、異星人を利用して私利私欲を満たそうとする地球人の犯罪組織も存在するなど、混迷の一途を辿(たど)っている。写楽や辰己たちが所属する警視庁公安部外事5課は、こういった悪しき異星人や地球人から地球を守るため、日々活動を続けている。
登場人物・キャラクター
写楽 一 (しゃらく はじめ)
警視庁公安部外事5課・第7班の班長を務めている青年。身長は160センチで、体重は60キロ。額に×型の傷跡があり、つねに杖を持ち歩いている。ひょうひょうとした性格で面倒見がよく、部下たちからの信頼も篤(あつ)い。警察組織に入る前に、ある異星人から「暗黒細胞」と呼ばれる細胞を移植されており、その細胞と身につけている兵装を併用することで、宇宙屈指の殺し屋と恐れられるマウモキをも圧倒するほどの戦闘能力を誇る。同じ暗黒細胞を持つ者として辰己を気にかけており、周囲の反対を押し切る形で彼を警視庁公安部外事5課・第7班に勧誘したうえ、生活に困らなくなるよう援助している。
立浪 辰己 (たつなみ たつみ)
警視庁公安部外事5課・第7班の新入りの男性。年齢は18歳。身長は178センチで、体重は70キロ。額に縫った傷跡がある。5年前に発生した火災が原因で両親を失い、その時に異星人から「暗黒細胞」と呼ばれる細胞を植え付けられた。両親以外に身寄りがなく、幼い妹の幸と弟の太郎を支えるため、複数のアルバイトを掛け持ちしている。温厚篤実な性格で、妹弟を守るためなら自分の身が危険にさらされることもいとわない。成長するにつれて暗黒細胞の影響によって右腕に異変が起き、アルバイトの皿洗いにも苦労するようになる。そんな中、突如現れた異星人に襲撃され、その窮地を救ってくれた写楽に警視庁公安部外事5課に勧誘される。国家公務員のため家計の問題が解決したうえ、写楽の指導によって右腕も制御できるようになる。
書誌情報
ALIENS AREA 3巻 集英社〈ジャンプコミックス〉
第1巻
(2022-10-04発行、 978-4088832579)
第2巻
(2023-02-03発行、 978-4088833934)
第3巻
(2023-02-03発行、 978-4088833941)