世界観
地球とは別の銀河、あるいは別の次元の、テーラという惑星が存在する世界が舞台。テーラは地球と同じく人間が存在する惑星で、高い科学技術を誇っていたが、15年前に起きた大災厄と呼ばれる事故で多くの文明が失われている。この大災厄によって、とある実験の被験者となっていた死刑囚たちが身体を失い、精神のみの存在となった。彼らは、同時にたまたま次元の繋がった地球人の夢の中に潜り込んで、その意識を乗っ取ろうとしているという設定のもと、物語は描かれる。
あらすじ
猫好きシュリンカー編(第1巻)
道子は夫と一人娘とともにマンション暮らしをしている何の変哲もない主婦。とある日、家事の最中にうたた寝をしてしまった道子は夢を見る。夢の中で道子は化け物に襲われながらも、謎の青年に間一髪命を救われた。よくある悪夢と片づける道子だったが、その後、同じ夢を娘の真由も見ていたことが判明。さらに夢には毎回同じ青年が現れ、「これはただの夢ではない」と道子に真実を語りだす。
子育てグロッカー編(第2巻)
本村伸吾は父親の入院がきっかけとなり、自分と両親の血が繋がっていないことを知ってしまう。思わぬ事実に思考を奪われつつも伸吾は帰路につく。その道すがら、赤ずきんの姿をした少女を目にした瞬間、彼は夢の中へと誘われていた。その夢の中で化け物に襲われた伸吾を助けたのはシェンと名乗る青年。シェンは「これはただの夢ではない」と言い、悪夢の真相を語りだす。
スタン・ワッツ編(第3巻)
ドリームバスターのシェンとマエストロは次なる標的であるスタン・ワッツを捕獲するため、村野理恵子の夢の中へと入り込む。いつも通り悪夢の原因を探し、ついにワッツへとたどり着いたシェン。しかし、いざ捕獲という段になると理恵子はシェンに刃物を突き付け、ワッツをかばうような行動に出る。
原作
本作『ドリームバスター』は宮部みゆきの同名小説『ドリームバスター』を原作としている。小説は2001年11月から2007年5月にかけて第4巻まで発行されている。なお、宮部みゆきら3人の作家の公式サイト「大極宮」上で発表されたファンとのQ&Aコーナーでは、続編について「10巻程度で完結する予定だが、10年以上かかると思う」と回答している。そのためストーリーは未完のままだが、コミックスは原作4巻までの内容で完結とされている。
登場人物・キャラクター
シェン
金髪碧眼、赤いハチマキにカウボーイ風の出で立ちの少年。惑星テーラの生まれで8歳まで孤児院で育った後にマエストロに拾われ、12歳でドリームバスターとなる。若輩ながら腕も立ち、銃の扱いはもちろん、近接戦闘もそれなりの腕前を誇る。いつでも軽口を叩き、悪ガキのように振る舞うが、さまざまな修羅場を潜り抜けた経験から、基本的には何事にも冷静に対処できる強い精神力を持つ。 実は大災厄で精神体となった死刑囚のうちの1人であるローズの子。顔もよく覚えていない母親に対しては愛憎渦巻く複雑な感情を持っており、他人に親についての話を振られると動揺したり、逆上することもある。
マエストロ
筋骨隆々の体つきに頭は剃髪、顎鬚を蓄えた厳めしい相貌を持つ年齢不詳の大男。惑星テーラでベテランのドリームバスターとして活躍している。まだ幼かったシェンを拾って育て、戦闘技術やドリームバスターの仕事を教えながら、現在は良き相棒としてともに働く。見た目に反して性格は紳士的。よく頭も回り、態度も穏やかだが、一度として初対面の子供に懐かれたことはない。 語尾に「~ですじょ」などと付ける特徴的なしゃべり方をする。
カーリン・パーカー (かーりんぱーかー)
伯父を訪ねてミクバ市に来たという少女。そばかすのある顔に金髪を太い2本の三つ編みにしており、世間ずれしていない無垢な性格。実はドリームバスターのパーカーの姪で、パーカーのことを尊敬している。父親は兵役に行って戻らず、一緒に暮らしていた母親が急死。今後の自分の生き方に尊敬する伯父からアドバイスをもらうために来たと語る。 家事全般に精通しており、特に料理の腕は一流。カーリンが訪ねてくる直前に姿をくらませたパーカーが見つかるまでシェンたちと一緒に暮らすことになる。
マッキー
惑星テーラのドリームバスターで、シェンたちの同僚。黒髪長髪、眉目秀麗な若い男性で、単独任務をメインにめざましい活躍を見せており、若手ナンバーワンの稼ぎ頭とされている。普段は飄々としながらも頭脳明晰なやり手だが、時にちょっと抜けた発言をすることもある。チートシステムを搭載した強襲型のバレンシップを駆る。
パーカー
ドリームバスターの1人。全身真っ黒のフロックコートにつばの広いハットをかぶった独特の出で立ちに、口髭を蓄え、鋭い眼光を放つ初老の男性。いつも片手に瓶を担ぎ、酒をあおっている。ドリームバスターになる前は警察機関に所属しており、過去にはシェンの母親であるローズと大立ち回りを演じた末に、逮捕したという功績を持つ。 なおその際、ローズがシェンを背負っていたため、迂闊に攻撃ができず多大な被害を出してしまった経緯がある。そのためシェンに対しては特に複雑な感情を抱いており、非常にぶっきらぼうで何かにつけて絡んでいる。
エムリン
ミクバ市を中心に活動を行っているドリームバスターの1人。豊満な肉体を露出の多い服装で包んだ妖艶な女性。片目を隠すようにした前髪と後ろで1つにまとめた菫色の長い髪がトレードマーク。ドリームバスターとしての経験はそれなりに長く、マッキーやシェンからは「姉御」などと呼ばれ、エムリンはシェンたちを「坊や」と呼ぶような関係。 しかしパーカーに年増呼ばわりされた際には激昂していた。非常に気の強い性格だがその分面倒見も良い。過去にマエストロと組んで仕事をしていたことがあり、エムリンはあわよくばよりを戻したいと考えている。
ペグソン
ミクバ市でドリームバスター兼情報屋を営む男性。マエストロの腰にも満たないような小さくやせ細った体躯に、目元まで隠れてしまうほど巨大な帽子状の機械をかぶっている。頭部の機械はレーダーを備えており、周囲の反応などを敏感に察知することができる。一応それなりの信用はあるものの、扱う情報にはガセネタも多く、なぜかマッキーはガセネタをつかまされることが特に多い。
ドレクスラー
ロッジに所属している科学者で、薄い頭髪を七三に分け、長い口髭を蓄えた小柄な老人。惑星テーラ屈指の天才科学者と言われており、かつてプロジェクトナイトメアに関する理論を提唱し、また大災厄の後のグランド・ゼロ調査で巨大なスタッフを発見した功績を持つ。その評価に違わず科学者としては非常に優秀だが性格は変人で、シェンの健康診断を行っておきながらいたって健康であることに舌打ちし、「ジャック・インの繰り返しで超能力に目覚めたりする非日常がほしい」と嘆いたりする。
ローズ
シェンの母親であり、かつてプロジェクトナイトメアの実験体となった死刑囚のうちの1人。シェンがまだ幼い頃に別れているため、シェンからすれば母親という実感もあまりなく、顔も手配書に載っているものしか知らない。しかし、自分の母親であるという執着と、死刑囚でドリームバスターの標的であることから複雑な思いを抱いている。
道子 (みちこ)
真由の母親で、シュリンカーの標的に選ばれてしまった地球人の女性。至って普通の主婦であり、特に問題もない幸せな生活を送っているが、実はあるトラウマを抱えており、そこをシュリンカーに付け込まれてしまう。
真由 (まゆ)
道子と定之の一人娘。髪型は両サイドの高い位置で髪を結んだピッグツインテール。道子に内緒でミュウという野良猫の世話をしており、何とか家で飼えないかと、日々母親にお願いしている。シュリンカーによって支配された道子の夢に一緒に紛れ込み、ともにシュリンカーに相対する。
定之 (さだゆき)
道子の夫で真由の父親。ナイロールのメガネをかけている。優しい性格で、真由が道子に隠れて野良猫のミュウの世話をしていることを知り、家でミュウを飼えるようそれとなく後押しする。システムエンジニアとして働いており普段はかなり多忙だが、道子から夢の話を聞かされた際にはともに実家に避難するなど家族を大事にしている。
ミュウ
真由が母親の道子に内緒で世話をしている野良猫。黒と白のハチワレ模様が特徴。シュリンカーとの対決時に道子の夢に真由とともに現れる。
本村 伸吾 (もとむら しんご)
地球人の男性で27歳。至って普通のサラリーマンとして平凡な生活を送っていたものの、父親の入院と血液検査の結果、自分が両親と血が繋がっていないことを知る。それを知った時からグロッガーに付け込まれ、悪夢を見せられることになる。血液型はAB型。
伸吾の父 (しんごのちち)
本村伸吾の父親。それまで病院にかかるほどの大きな病気をしたこともないほど健康だったが、伸吾の27歳の誕生日の晩、酒を酌み交わしている時に突然倒れる。命には別状はないが手術が必要となり、血液検査をしたところ、伸吾との血の繋がりがないことが判明する。その後は無事に退院しており、のちに別のエピソードにも登場する。普段は、非常に豪快で行動的な性格で「典型的な下町のオヤジ」風の人柄。 町内会の会長を務めている。血液型はO型。
伸吾の母 (しんごのはは)
本村伸吾の母親。非常に温厚で優しく、穏やかな性格の人物。実は子供を授かることができない体であることから、伸吾をある人物から引き取り、育てることにした。血液型はA型。
村野 理恵子 (むらの りえこ)
長いストレートの黒髪が特徴の地球人の女子高生。控えめで引っ込み思案な性格で、動揺したり情緒不安定になると頭を小刻みに揺らす癖がある。あまり深い関係の友人はおらず、どちらかというと孤立気味。一方でアニメや漫画などに並々ならぬ興味を持っており、その話になると途端に饒舌になる。そんな性格が災いしてか、母親からもらったオルゴールから空想上の生き物が出てくるという妄想癖を持ち、オルゴールという共通点からスタン・ワッツの侵入を許してしまう。 ワッツと接触する前には柿本均による殺人現場を目撃しているが、それを警察に告発したことを「もしかしたら冤罪なのでは」と思い悩んでいる。
上野 隆史 (うえの たかし)
地球人の8歳の少年。モズミ・ロスが逃げ込んだ夢の持ち主。夢の場として何もない荒涼な大地が広がるほど荒んだ心を持つ。実は現実世界で両親から虐待を受けており、その影響で心を閉ざしてしまっていたのと同時に、自分を助けてくれるヒーローを求め、モズミと精神を同調させてしまう。
伊藤 行男 (いとう ゆきお)
時間鉱山に向かったシェンたちが発見した3人の日本人のうちの1人。3人の中では最も年上の男性で、若干太り気味の体型に人の好さそうな顔立ちをしており、オーバルタイプの眼鏡をかけている。現実世界でキエと知り合いであり何らかの秘密を共有しているが、キエに口止めされておりシェンたちには話せずにいる。
キエ
時間鉱山に向かったシェンたちが発見した3人の日本人のうちの1人。ミディアムショートの黒髪の若い女性で非常に目つきが悪い。性格も排他的でトゲトゲしく、シェンたちに悪態をついてばかりいる。一方で一緒にいた伊藤行男とは現実世界でも知り合いということもあり、態度はある程度柔らかい。シェンたちに何かを隠しており、なかなか心を開こうとしない。 本名は「神崎紀江」だが、シェンたちにも行男が呼ぶ「キエ」というニックネームで呼ばれている。
ヒロム
時間鉱山に向かったシェンたちが発見した3人の日本人のうちの1人。クリッとした大きな瞳を持つ小学生の男の子。非常に利発で素直な性格を持つ。現実世界で車にはねられたという記憶を持っており、カーリン・パーカーから時間鉱山にまつわる話を聞き、自分はもう死んだのではないかと不安がる。
シュリンカー
惑星テーラでプロジェクトナイトメアの実験体となっていた死刑囚のうちの1人。過去に14人もの人間を殺害し、その遺体を猫に食べさせるという残酷な事件を起こしている。その経緯から「猫好きシュリンカー」とあだ名されている。また大災厄によって精神体となった後は地球人の意識を乗っ取り、最後には必ず焼き殺してしまうとされている。 道子の夢に登場し、道子の精神を乗っ取ろうと企む。
グロッガー
惑星テーラでプロジェクトナイトメアの実験体となっていた死刑囚のうちの1人。政府の援助金を目当てに孤児を引き取り、暴行を加えて虐殺した過去を持つ。赤ずきんの姿を模して本村伸吾の前に現れ、その意識を乗っ取ろうと企む。
スタン・ワッツ (すたんわっつ)
惑星テーラでプロジェクトナイトメアの実験体となっていた死刑囚のうちの1人。腕の良いオルゴール職人だったが、ある時突如銀行強盗を働き、失敗。さらに投獄された後、看守を殺害して脱獄を図っため死刑が確定した。村野理恵子の夢の中に逃げ込む。
柿本 均 (かきもと ひとし)
村野理恵子に人殺しの現場を目撃され逮捕された、ボサボサの髪に鋭い目つきをした男性。かねてより警察から危険人物としてマークされており、理恵子の証言が逮捕の決め手となった。理恵子は柿本の殺人現場を目撃して以来、スタン・ワッツと夢で会うようになったと語っており、何らかの関係性が示唆されている。
モズミ・ロス (もずみろす)
惑星テーラでプロジェクトナイトメアの実験体となっていた死刑囚のうちの1人。ロングコートを着てカウボーイハットをかぶった、鼻筋を横切る大きな傷を持つ隻眼の色男。2挺拳銃を巧みに操る早撃ちの名手である。超一流の殺し屋だが、当人をモデルにした冒険小説が書かれるほど高い人気を誇る。シェンはモズミ関連の情報ならなんでも知っていると豪語するほどの大ファンで、地球人の夢に入り込んだモズミの捕獲任務に名乗りを上げた。
リップ
惑星テーラで機械技師をしている女性。ロッジから新規通信システムの設置と調整を依頼され、グランド・ゼロで働いている。大災厄の被害に遭い、それまでの記憶と言葉を失っている。そのため、リップは難民キャンプで誰かに付けられた名前であり、本名は明らかになっていない。
レイモン
ザッツハウゼンでドリームバスターとして活躍している男性。トップリムのメガネをかけて真面目そうな顔立ちをしており、性格も見た目通り礼儀正しい好青年。休暇を取ってミクバにある母親の実家に来た際、穴でマッキーが失踪したという話を触れ回る。
トーガ
ザッツハウゼンでドリームバスターとして活躍している近接戦闘サイボーグ。忍者のような黒装束をまとい笠をかぶった出で立ちで、「拙者」という一人称で話す。マッキー失踪の謎に迫るべくザッツハウゼンに足を向けたシェンの前に現れ、レイモンの二重化現象とマッキーの失踪についての情報を伝える。
城田 (しろた)
まだ道子が幼い頃、近所に住んでいた老年の男性。いつもニコニコしている優しい人物で、当時近所に住んでいた野良猫たちの面倒をまとめて見たりしていた。しかし、いつしか態度が急変し、野良猫たちをすべて家に閉じ込め引きこもるようになった。その後、住居が火事になり、猫ともども死亡してしまう。
キャミー
まだ道子が幼い頃、近所に住んでいた野良の黒猫。道子に懐いており、よく一緒に遊ぶ仲だった。しかし、城田家が火事になった際に煙を吸い込んで死亡。城田家の火事を聞いた道子が駆け付けた時には死亡しており、道子はその死体を目撃している。
森田 奈津子 (もりた なつこ)
本村伸吾の実の母親。当時勤務していた会社の上司と不倫の末、伸吾をお腹に宿した。その後、不倫相手に捨てられて会社をクビになり、堕胎を考えていたところ、不妊で悩んでいる伸吾の母と出会い、子供を譲る決断を下す。
風船頭 (ふうせんあたま)
村野理恵子の夢の中に登場する謎の生物。名前のとおり頭部が風船で、体がペラペラの薄い紙でできている。実はシェンも過去に同じような幻覚を見たことがあるが、あまり良い思い出ではない。
ロンダ、ヴィン
惑星テーラのエイロン市を拠点にしているドリームバスターの姉弟。姉のロンダはショートボブの黒髪、弟のヴィンは糸のように細い目が特徴で、姉弟ともに筋肉質な体躯を持つ。地球人の夢にジャック・インした際、搭載している探査ドローンを丸ごと夢の中で失ってしまい、規定を超えたデータ損失状況のため、グランド・ゼロの封鎖に引っかかった。
ザッツハウゼン知事 (ざっつはうぜんちじ)
ザッツハウゼンを治めている政治家。次元の穴が開き、その影響で壮絶な電磁波嵐に襲われているザッツハウゼンの状況を鑑み、それまで秘密裏に開発を進めていたミシンを使用することを決定した。しかし、次元の穴の向こう側にある時間鉱山に捕らわれている仲間を救出したいドリームバスターたちに、ミシン起動に不可欠なチップを奪われてしまっている。 次元の穴周辺を武装占拠しているドリームバスターを説得し、チップを奪還するため、マエストロに救援を要請した。
ヒロムの母 (ひろむのはは)
時間鉱山に現れたもの。時間鉱山内のトンネルはその中にいる者の願い通りに姿を変える性質を持っており、無意識化で時間鉱山からの脱出を望んだヒロムの前に現れた。ヒロムには母親の姿に見えていたが、シェンと伊藤行男には巨大な泥の塊に見えていた。思わず銃口を向けたシェンに向かって反撃を行い、そのまま消滅した。 ヒロムに対して「帰りたいなら結晶の城に向かい光の山を登りなさい」と助言を残す。
リン
大災厄で滅びた種族の最後の生き残りで、子供の頃にマッキーと婚約をしていた若い女性。16歳の時に交通事故で死亡してしまったはずだったが、時間鉱山の地底湖に現れ、シェンにマッキーの居場所を教える。
キエの元彼 (きえのもとかれ)
キエの元彼氏だった男性。日本ではかなり名の知られているイケメン俳優。付き合い始めた当時はキエとの仲も良好で婚約に至るほどだったが、キエの独占欲などがきっかけとなり、徐々に関係が悪化。同時にキエの元彼の性格も荒んでいき、最終的にはキエに日常的に暴力を振るうまでになってしまった。これがキエに自殺を決心させた原因の1つとなった。
メイビー
安全保障局の作戦によって、パーカーの精神の器となった地球人の老人。世界的に有名な売れっ子の作家だという。同じく地球人の体の中に入ったシェンを見つけ出した際、パーカーが「メイビー氏の勘を使わなければ見つけることが困難だった」と語っており、メイビーの精神をパーカーが乗っ取ったのではなく、1つの体に2つの精神が融合して同居している。
17歳の少年 (じゅうななさいのしょうねん)
地球の英語圏のどこかに住んでいる17歳の少年。父親の車を勝手に持ち出し、暴走した挙句、巨木に追突。衝撃で車体から投げ出されて意識不明の重体を負った。その後、奇跡的に復活を果たすも、過去の記憶を完全に失ったうえ、それまで使えていた英語を話すことができなくなり、日本語のような謎の言語を話すようになってしまっている。
集団・組織
ドリームバスター
大災厄のどさくさに紛れて地球へ逃げ込んだ死刑囚たちを追う賞金稼ぎのこと。死刑囚たちは事故の影響で精神のみの存在となっており、地球へ行った後は地球人の夢の中に入り込んで意識を乗っ取ろうとしている。このため、賞金稼ぎも必然的に地球人の夢の中へと潜り込む必要がある。このことから「ドリームバスター」と呼ばれている。
ロッジ
惑星テーラでドリームバスターたちに死刑囚捕獲の任務を与え、その賞金を支払っている組織。またグランド・ゼロを管理しており、ジャック・インなどのサポートも行っている。シェンいわく「賞金稼ぎの胴元」。ミクバ市においては大災厄によって上部が倒壊したミクバタワーという施設の一角に支部を構えている。
ドリームバスター地球支部 (どりーむばすたーちきゅうしぶ)
村野理恵子が主導して結成された組織。地球で現実のドリーム・パーソンを支援し、間接的にドリームバスターの活動も支援する目的で作られた。組織といっても人員は道子が作成したドリームバスター関連のブログを見た数人のみ。しかし、シェンやマエストロがどうにもできなかった地球での活動の、大きな助けとなる。
安全保障局 (あんぜんほしょうきょく)
テーラの現政権である新連邦政府の下部組織。テーラの首都ゴリアテに本部を置く組織で惑星テーラ全体の治安維持を目的とする。エンブレムのデザインが檻に見えるため、通称「檻」と呼ばれている。地球に逃げた死刑囚たちを確保するために、夢へのジャック・インだけではなく、テーラの人間を地球に送り込むべきと主張する急進派。 新規通信システムの運用が始まったのと同時に、本格的にその計画を進めるため、テーラと地球の仲立ちをしている村野理恵子を地球で警護する人員としてシェンをスカウトした。
場所
テーラ
シェンやマエストロの住む惑星。地球とは遥か離れた地、別の次元や位相にあるとされている。地表の94%は海で構成されており、海上は生存に適した環境ではない。また少ない陸地もやせ細っており、人類の生存率は極めて低い。かつては地球を超える規模の技術や文明を誇っていたが、プロジェクトナイトメアの実験中に起きた事故によって惑星全土が焦土と化し、現在は生き残った人々によって復興が進められているものの、多くの地域が半無法地帯となったままである。 またその大災厄の反動で地球との次元の穴が通じ、プロジェクトナイトメアの実験体であった凶悪な死刑囚が地球に逃げ込むという問題も抱えており、これらを解決すべくロッジを含めた自治組織によって統治が進められている。
ミクバ市 (みくばし)
テーラに存在する自治区の1つ。シェンによれば大災厄で最も大きな被害を被った街。天を衝くような巨大なビル群が立ち並ぶ街並みで、大災厄以前は最も栄えた街でもあったが、現在はその面影もなく、治安の悪化も深刻な状態に陥っている。
ゴリアテ
惑星テーラにおける首都。ミクバ市とは比べ物にならないほどの都会であり、テーラの現政府など主要施設はすべてこのゴリアテに収束されている。そのため、他市から移住するにはかなり強力なコネが必要となり、市民権は滅多に手に入らない。
ザッツハウゼン
惑星テーラに存在する自治区の1つ。ミクバ市とグランド・ゼロを挟んで北東の位置に存在する。文化都市として名高く、温泉も噴出することから人気の高い都市の1つだが、現在は大災厄の後遺症である電磁波嵐に侵されており、街中に防護テントが張り巡らされ、その下でしか生活することができなくなっている。
グランド・ゼロ (ぐらんどぜろ)
かつてプロジェクトナイトメアの実験機であるビッグ・オールド・ワンがあった場所で、大災厄が起きた中心地。また地球へと繋がる次元の穴が開いており、ドリームバスターたちはこの場所から地球人の夢にジャック・インする。現在はロッジの管理下にある。
穴 (ぴっと)
シェンやマエストロをはじめとした、ドリームバスターたちの溜まり場となっている飲食店。ミクバ市にある。提供している特製野菜スープは絶品だが、数量が限られているため、すぐに売り切れてしまう。アルコールも提供している。
旧工業地区 (きゅうこうぎょうちく)
行方不明となったパーカーの、かつてのねぐらがあった場所。ミクバ市の外れに位置しており、大災厄ののち、まだ復興が十分ではないため、野盗たちのたまり場となってしまっている。
嘆きの波止場 (なげきのはとば)
テーラのミクバ市にある波止場の1つ。シェンのお気に入りの場所で、何か思い悩むことがあったり、1人になりたい時には必ずと言っていいほどこの波止場に来る。このことはマエストロを含め多くのドリームバスター仲間に知られており、それを揶揄されてこの名で呼ばれている。
通信中継ボックス (つうしんちゅうけいぼっくす)
テーラで新たに運用を開始した新規通信システムを使用する場所。新規通信システムは新たに使用が検討されている機密の実験運用中なため、通信中継ボックスもグランド・ゼロの地下に新設されたばかり。そのため外界とは隔離された場所にある。つまりは軟禁するのに都合のいい場所であり、モズミ・ロスの転生ミッションの後、シェンがその通信中継ボックス内での任務を課せられている。
時間鉱山 (じかんこうざん)
遥かな昔から惑星テーラで冒険者を中心に語り継がれている伝説の場所。深い海の底にあるとされ、人生を終えた死者の魂が集まり、そこで人生を石に変えた後、「晴の海」と呼ばれる別の世界に旅立っていくとされている。シェンはそれを「日本でいう三途の川」と表現している。ザッツハウゼンに突如出現した次元の穴の先にあり、マッキーが失踪したとされる場。 失踪したマッキーたちの捜索のために幾人ものドリームバスターが足を踏み入れているが、その半数以上に二重化現象が確認されており、帰還したドリームバスターの情報から内部での行動限界が6万歩程度であると推測されている。
トンネル
時間鉱山の中にある坑道。まだ掘り進めている最中のものと見られ、トロッコの線路が敷かれているほか、入り口には掘削のための工具が山積みされている。中には照明などがなく、長さも不明なために探索を躊躇していたが、キエが独断で中に入り行方不明に。またそれを追ったシェンは中でローズと出会うことになる。
地底湖 (ちていこ)
時間鉱山のトンネルをさらに地下に潜った場所にある湖。惑星テーラの希少金属であるスタッフが液状化したような液体で満たされている。失踪していたマッキーとシェンが再会した場所。
結晶の城 (けっしょうのしろ)
時間鉱山の中にある山のような結晶の塊。時間鉱山を象徴するような構造物で、どこにいてもその姿が見えるが、いくら歩いてもたどり着くことができない不思議な場所。しかし、シェンがマッキーを発見し、ヒロムがヒロムの母から助言をもらったことで状況が一変。地底湖付近あるトロッコを使ってすぐにたどり着くことができた。
光の柱 (ひかりのはしら)
時間鉱山の中、結晶の城を超えた先にある光の山の頂上にあるもの。地面から空に向かって垂直に光の帯が走っている。時間鉱山を抜け出し、地球へと戻るための場所であり、中に足を踏み入れると精神を地球の肉体に帰すことができる。
イベント・出来事
大災厄 (だいさいやく)
惑星テーラで15年前に起きた大破壊。プロジェクトナイトメアと呼ばれる実験の最中に、その実験5番機であったビッグ・オールド・ワンが大暴走を引き起こし、その膨大なエネルギーが惑星全土を襲った。爆発の余波は惑星の地表を17周したとされ、直接の死者はおよそ4千万人に達したとされる。今もなおその爆発の影響で各地が電磁波で覆われてしまっている。 またこの大災厄の影響でプロジェクトナイトメアの実験対象であった55人の死刑囚が精神のみの存在となり、時を同じくして開いた次元の穴を通じて地球人の夢に逃げ込んでしまう事件が起きた。なお、作中では「大厄災」とされている部分もあり、表記揺れが見られる。
その他キーワード
ドリーム・パーソン (どりーむぱーそん)
精神体になって地球人の夢に潜り込んだ死刑囚によって、精神を侵されようとしている対象人物のこと。死刑囚たちは対象のトラウマや弱みに付け込んで夢の中に居座り、その夢を自在に操る能力を持つ。ドリームバスターが死刑囚を確保・討伐するためにはドリーム・パーソンの協力を得て、そのトラウマの原因となる鍵を探して、夢の世界を取り戻す必要がある。 そのため、ドリーム・パーソンの心身のケアなどもドリームバスターの任務の一環とされている。
プロジェクトナイトメア
かつて惑星テーラで行われていた実験。人間の感情や記憶、思考などが電気信号で行われていることから、脳を含む身体すべてを機械で代替し、不老不死の人間を作ろうとしたもの。マエストロによれば実験は順調に進行していたものの、実用化寸前の段階で実験機の1つであるビッグ・オールド・ワンが暴走。結果、大災厄を引き起こす原因となった。
死刑囚 (しけいしゅう)
過去に惑星テーラで罪を犯し、死刑が確定していた者たちの中でもプロジェクトナイトメアという実験の被検体となり、その後精神体になって地球に逃げ込んだ55名のことを指す。
場 (ふぃーるど)
死刑囚に乗っ取られたドリーム・パーソンの夢の世界のこと。主にドリームバスターがこう呼称する。あくまでドリーム・パーソンの見る夢であるため、場の状況はドリーム・パーソンの感情や意識の変化で刻一刻と姿を変える。例えば死刑囚に襲われた際、それを脅威に感じると死刑囚はより恐ろしい姿となり、また何かのアイテムで場所や記憶を連想すると、新たな場が生まれたり、周囲の状況が変化することがある。
鍵 (かぎ)
夢の中において、ドリーム・パーソンが死刑囚に付け込まれた原因であり、夢の支配から抜け出すために必要となるもの。死刑囚はドリーム・パーソンのトラウマを確保して精神の乗っ取りを企んでいるため、多くの場合はドリーム・パーソンの悩みやトラウマに関するアイテムが鍵となっている。
ジャック・イン (じゃっくいん)
ドリームバスターが精神のみを飛ばして地球人の夢の中に入り込むこと。ジャック・インはかつて大災厄が起きたポイントであるグランド・ゼロから行われる。原理は不明だが、精神をデータ化して切り離し、地球に送るという技術は対象者に負担を強いるものであり、一度のジャック・インでも身体や精神に障害が残る場合があると言われている。 ジャック・インした夢の中で破壊・破損したものは夢の中では使い物にならなくなるが、現実世界には影響を及ぼさない。なお、ジャック・イン中の飲酒は厳禁という規則がある。
チートシステム
バレンシップの中でも強襲型シップに搭載されている特殊機能。ジャック・インした場の中において、シップサイズの拡大縮小が可能で、可視・透明など変幻自在に姿を変えることができる。また、その状態での格闘戦も可能なうえ、火力は通常時とまったく遜色がない。しかし強襲型シップを愛機としているマッキーによれば「余りにも便利すぎるのであえて使わない」のがドリームバスターの腕の見せ所だという。 なお、習得やシステムの利用にはそれなりの知識や勉強が必要であり、マッキーの活躍を見たシェンも手をつけたが、まったく理解できず早々に投げ出している。
転生ミッション (てんせいみっしょん)
地球人の夢に逃げ込んだ逃亡犯を改心させ、地球人として正しく生きることをサポートするという任務。ドリームバスターが行う任務のほとんどは、凶悪な犯罪者を力でねじ伏せて捕獲するものばかりなため、必然的に荒事を得意をする人間ばかりが集まる。そういったドリームバスターたちにとって転生ミッションは難易度が高く、これまで一度も成功したことがない。
二重化現象 (にじゅうかげんしょう)
稀にドリームバスターが発症するという謎の奇病。本人とは別に、本人と同じ見た目で同じ記憶、思考を持つ幻が実体を持って現れる。その幻をどんどん消滅させていかない限り、本人は徐々に衰弱してしまう。幻に会った人物は軽い耳鳴りやめまいを覚えることがあり、これが判別方法の1つ。幻は強い衝撃を与えるとガラス細工のように粉々になって消滅する。 なお、発症する原因は完全に判明していないものの、特定の場にジャック・インすることが原因と目されている。
バレンシップ
ドリームバスターたちが搭乗する乗り物のこと。死刑囚を追って地球人の夢に潜り込む際、どんな夢の状況でも動けるよう、水・陸・空で活動できるように作られている。また死刑囚に対抗するため、物理的な各種兵器も備えているのが普通。
ビッグ・オールド・ワン (びっぐおーるどわん)
かつて惑星テーラで行われていたプロジェクトナイトメアで使用された実験機の1つで5番目の機体。実験中に暴走して大災厄を引き起こした。なお、その跡地はグランド・ゼロとなって次元の穴に通じている。
スタッフ
惑星テーラに存在する特殊な鉱石。膨大なエネルギーを有しており、風力発電に頼りっきりだったテーラにおける次世代型エネルギー源として注目を集めている。その出力は両手で持てるサイズのスタッフ数片でバレンシップを駆動させることができるほど。大災厄の後、グランド・ゼロでは直径2キロもの巨大なスタッフが発見されたが、大災厄によって電気信号の集合体と化した死刑囚たちを同化・吸収してしまい、現在は死刑囚たちにそのコントロールを奪われてしまっている。 このことが、テーラの上層部が死刑囚たちに賞金をかけドリームバスターに捕獲を依頼する理由の1つとなっている。
学習机 (がくしゅうづくえ)
道子が過去に使っていた子供用の勉強机。道子の過去のトラウマに関係しており、見つけた時もそのトラウマの影響で実際に使っていた時とはまったく別の記憶を作り上げてしまっていた。
青い星 (あおいほし)
まだ道子が幼い頃、近所に住む野良猫のキャミーと仲良くしており、そのキャミーが飽きずに遊んでいたものだった。その記憶はトラウマによって意識の隅に封じられていたが、大人になった後もクリスマスツリーの飾りに青い星を使うなど無意識下で影響を与えていた。
翻訳ネット (こんぱいるねっと)
シェンの持つ直刀の柄から噴出させることができる。このネットに囚われた捕獲対象は、構成する情報を分析され、データに翻訳・変換され、小さなキューブ上の物質へと圧縮される。しかし、死刑囚を捕獲するためにはドリーム・パーソンが夢の中の鍵を取り戻し、その正体が明らかになってからでなくてはならない。
ハイラムⅢ
惑星テーラで名器とされている重火器の1つ。過去に起きた大戦中に開発・運用されたもので、最新式の武器に比べると命中率では劣るものの、シンプルな構造にタフな設計が特長。現在も警察や軍で運用されている。シュリンカー捕獲任務で銃座を壊してしまったシェンたちが新たに搭載しようと狙っていたが、パーカーに先を越されて買われてしまっていた。
赤ずきん、ヘンゼルとグレーテル (あかずきん、-)
世界的に有名な同名の2つの童話そのもの。グロッガーに付け込まれた本村伸吾の夢として具現化。グロッガーが赤ずきんの姿を得て現れ、夢の場はヘンゼルとグレーテルの世界だった。ヘンゼルとグレーテルは童話の内容が親に捨てられた子供ということで伸吾の悩みと一定の共通点があるが、グロッガーが赤ずきんである理由は不明。
オルゴール
村野理恵子が母親からもらったもの。両手に収まる箱型の小さなもので、蓋を開けると音楽が奏でられる。友人のいない理恵子はこのオルゴールを開けると出てくる空想上の友人たちを心の拠り所としており、それに共鳴したスタン・ワッツを呼び寄せることになった。のちにあることで力を使い弱っていたワッツが夢の中での依代として宿ることになる。
錨 (あんかー)
村野理恵子が付けている腕時計に似せて作られたもので、ベゼルを引いて回すと特定の信号を送ることができ、いつでもシェンたちが場を特定して駆けつけることができるようになっている。
強襲型シップ (すとらいくしっぷ)
高機動・高火力を旨としたバレンシップのタイプの1種。また、チートシステムを搭載しているのが最大の売りで、目標への攻撃や制圧力に優れている。しかし、機能性を重視しているためか、搭乗部は非常に狭く、エムリンいわく「棺に入ったほうがマシ」というレベル。
新規通信システム (しんきつうしんしすてむ)
マエストロがドレクスラーに依頼して作られた錨のシステムを流用し、通信端末を持つ地球人が夢を見ていなくても、またテーラの人間からすると夢の中にジャック・インしなくても、互いに話ができるように改良したもの。
異文化間翻訳器 (みーむましーん)
すべてのドリームバスターにロッジから貸し出されている機械。チョーカーのような形をしたもので、首に装着するだけで自動的に言語を翻訳し、自分の話した言葉を伝えるばかりか、相手の話す言葉も理解できるようになる。カーリン・パーカーはまだドリームバスターの仮ライセンスを取得したばかりで日本語が話せなかったため、時間鉱山でドリーム・パーソンと出会った際に使用した。 なお、シェンにとってはまるで使えないアイテムだったようで、貸し出してもらったものであるにも関わらずに売り払い、その金で自転車を買った過去がある。
アヴァロン号 (あゔぁろんごう)
ザッツハウゼンのドリームバスターが所有しているバレンシップ。強烈な電磁波嵐の中、唯一残った機体。時間鉱山に捕らわれているマッキーを救出するため、出現した次元の穴と接続して急遽ジャック・イン可能な状態に仕立て上げている。
ミシン
惑星テーラの連邦政府によって秘密裡に開発されていた特殊な機械。起動すれば次元の穴を塞ぐことができるとされている。5年の歳月をかけて完成したが、実際に使用するには様々なしがらみがあり、権力者の中では厄介者扱いをされてたらい回しになっていた。ザッツハウゼンに突如次元の穴が開いたことを受け、ザッツハウゼン知事が初めて使用する覚悟を決めるも、起動に必要なチップを、次元の穴を閉じたくないドリームバスターたちに奪われてしまっている。
チップ
次元の穴を閉じることができるというミシンを起動するために必要な部品の一部。具体的にはミシンの演算増幅器。次元の穴の中の時間鉱山にマッキーが捕らわれてしまっており、ザッツハウゼンのドリームバスターたちがその救出を前にミシンだけは起動させてはならないと、ザッツハウゼン知事から奪い、保有している。
九九 (くく)
1桁同士の掛け算を語呂に合わせて覚える算術の基本。道子が夢の中で変なことを考えて場の様相を変えたり、シュリンカーに変な力を与えないため、他の思考を止めようと唱えていた。道子の母親によれば道子は昔から九九が苦手であまり覚えられていなかったという。なお、道子が夢で九九を唱えていた状況から、シェンは「恐怖を克服するおまじない」だと判断。 のちに別のドリーム・パーソンに物知り顔で教えたりしている。
舞踏殺法 (じむなすてぃっくあーつ)
エムリンが得意とする近接格闘術。全身を駆使して床運動のようなアクロバティックで俊敏な動きで目標に近づき、攻撃を加える。柿本均に対して使用した時は、人並み外れた身体能力を誇る柿本を完全に翻弄し、一瞬のうちに片腕と首を幾重にもへし折った。非常に効果的な戦闘技術だが、エムリン本人は残虐な技で、しかも大股を開かなくてはならないため使いたくないという。 また使った後は急激な動きで腰を痛めていた。
道子のブログ (みちこのぶろぐ)
道子がシェンとマエストロに出会った後に書き始めたもの。のちにシェンたちに助けられた本村伸吾や村野理恵子も見ることになり、ドリームバスターに関する情報交換の場になった他、ドリームバスター地球支部設立のきっかけにもなった。なお、理恵子いわくドリームバスターとは関わりのない一般人にも人気のブログに成長しており、情報収集目的としても十分な力を発揮するようになっている。
モズミ・ザ・ガンスリンガー (もずみざがんすりんがー)
モズミ・ロスをモデルにした冒険小説。正義の殺し屋モズミがその腕を活かして悪党たちを成敗するという内容で、それを見たカーリン・パーカーもモズミが正義の味方だと信じて疑わないほどだった。実際にはモデルとなった人物や事件は現実にあったものだが、脚色が加えられている様子。他にもモズミをモデルにした小説はいくつもあるが、シェンいわく「ガンプレイに関してはこの小説が一番よく表現できている」としており、レアな初版を所有している。
クレジット
- 原作
-
宮部 みゆき