概要・あらすじ
奈落を統べる魔人の王の座を巡り、無垢な性質のアレクサンドル=パストゥール王子と冷徹なプラチナ=パストゥール王子の戦いが始まる。生まれて間もない2人の王子は、彼らそれぞれに就いた参謀の思惑にも振り回され、世間の荒波にも揉まれていく。それでも彼らは、王位に就くために全力を尽くす。
登場人物・キャラクター
アレクサンドル=パストゥール (あれくさんどるぱすとぅーる)
明るく快活な奈落の第一王子。奈落においては優しすぎる部分があり、甘いと舐められることも。ジェイド=デイヴィスからは、からかい半分で「兄上様」と呼ばれている。本人はプラチナ=パストゥールの方が王にふさわしいと思っているが、魔法など自分の不出来なところをしっかりと見つめ、改善しようと努力している。
プラチナ=パストゥール (ぷらちなぱすとぅーる)
冷徹で生真面目な奈落の第二王子。剣や魔法の腕前はアレクサンドル=パストゥールより上だが、虚弱体質で偏食家。そのため参謀のジェイド=デイヴィスには時折呆れられている。どこでも眠れる特技を持つ。普段は冷徹だが、感情的になることもあり、つめの甘さを露呈することも。
サフィルス=ホーソン (さふぃるすほーそん)
アレクサンドル=パストゥール(アレク)王子の教育係にして参謀を務める男性。料理を特技兼趣味とするが、作る量が尋常ではないため、アレクには不評。潔癖症で、頑固な一面もある。ジェイド=デイヴィスからは「坊ちゃん」と呼ばれており、アレク共々馬鹿にされていると思い、常々訂正を求めている。土の魔法を得意とする。本来は天使で、羽を切って奈落で生活している。
ジェイド=デイヴィス (じぇいどでいゔぃす)
プラチナ=パストゥール王子の教育係にして参謀を務める男性。魔法使いとして優秀であり、その面でもプラチナの教育を施していた。冷酷な部分があり、プラチナに対しても冷たく接している。土の魔法を得意とし、その腕前はサフィルス=ホーソンを上回る。本来は天使で、自ら羽を切り落とし、奈落で生活している。
ルビイ=ジャクソン (るびいじゃくそん)
天使狩りを生業とし「天使殺し」と呼ばれている。カロール=マルテルの腹違いの兄。一時的にではあるが、アレクサンドル=パストゥール(アレク)を天使狩りの一員にして殺しの技術を覚えさせようとした。兄貴肌で面倒見のよい反面、アレクに対しては王子として期待をあまりしておらず、当初はプラチナ=パストゥールが王位についたほうが良いと考えていた。 後にアレクがピンチに陥った際に「王様になるなら、俺らのことを考えてくれる優しい王様の方がええ」と考えを変えるような台詞を述べた。
カロール=マルテル (かろーるまるてる)
プラチナ=パストゥールが放った殺し屋で、半分天使。ルビイ=ジャクソンの腹違いの弟。プラチナが半分天使の自分にも居場所を与えてくれるという約束をしたため、プラチナの理想のために戦う。戦いに敗れてプラチナのもとに帰ったが、ジェイド=デイヴィスによって処分された。
ロード=クロサイト (ろーどくろさいと)
ジェイド=デイヴィスに雇われている殺し屋で、見た目は女性、心は男性。元々は女性の体ではなく男性の体であった。女性の見た目を活かしてサフィルス=ホーソンを騙し、ジェイドが命じるままに監禁した。権力者やそれに近いものを毛嫌いしている。
プラム
王都からの手紙を預かりアレクサンドル=パストゥール(アレク)の元にやってきた、アプラサスという種族の男性。アプラサスを滅ぼした魔人に対して激しい憎しみを抱いている。アレクとプラチナ=パストゥールに対して始めは友好的に接していたものの、兄弟で争わないという姿勢の2人に対して、「世界を統べる種たる資格はない」と言い放った。
ジル=ヒイラギ (じるひいらぎ)
ベリルの部下で寡黙な男性。魔法の力を持つ手を持ち、詠唱なしで魔法を行使することができる。ベリルを主と仰いでおり、彼の言うことはなんでも聞く。不老不死ではないが、長寿の命をベリルから与えられており、王都の地下にある研究施設の管理をしている。
ベリル
継承戦争の審判を名乗る謎の少年。実は不老不死で、本来の奈落王にして初代の奈落王でもある。アレクサンドル=パストゥールとプラチナ=パストゥールが殺し合うように仕向けた人物。ジル=ヒイラギを部下に持ち、現れる時はジルに抱えてもらっていることが多い。長い間、正しい奈落王の道を探して旅をしている。
セレス
ベリルに不老不死の石を与え、最初に奈落を作る礎としてベリルと共に頑張った男性。故人。6枚羽根の天使で、最初に奈落に落とされた天使。ベリルは彼を蘇らせるために、王都の地下の研究施設で何度も王子を作ってきた。
場所
奈落 (ならく)
魔人が暮らす世界。奈落王によって治められ、奈落王の力によって天使の攻撃の手を逃れている。そのため王都は守りが堅いが、他の町は度々天使に襲われており、住人は自警団や天使狩りの人々の手を借りて生活している状況にある。
天上 (てんじょう)
神や天使のいる世界。奈落にいる天使たちも、もとは天上にいた存在である。神と6枚羽根の天使が治めているが、神は奈落ができてからずっと天使の前に姿を現していないため、実質的に6枚羽根の天使たちに統治されている。
その他キーワード
継承戦争 (けいしょうせんそう)
アレクサンドル=パストゥール(アレク)とプラチナ=パストゥール、両陣営に分かれた王位争いのことを指す。アレクにはサフィルス=ホーソンが、プラチナにはジェイド=デイヴィスが参謀として就き、お互い戦い、勝った方の王子が奈落王になる。
魔人 (まじん)
奈落に暮らす人々のこと。昔は魔人の他にもアプラサスという種族がいたが、奈落が作られて以来淘汰されたため、今は奈落=魔人の世界となっている。天使に対して対抗策を持つ魔力持ちの人々と、まったく対抗できない人々で二分されている。
天使 (てんし)
天上から堕とされた羽を持つ人々のこと。天上から堕とされた際に気が狂うため、見境なく魔人を襲う。まれにサフィルス=ホーソンやジェイド=デイヴィスのように正気のまま堕ちてくる天使もおり、そういった天使は羽があるままでは生活できないため、自ら羽を手折る。