概要・あらすじ
ある日、ウィリアム=トワイニングは屋敷の地下の魔法陣から現れたダンダリオン=ヒューバーと名乗る悪魔と出会う。ダンダリオンはウィリアムのことを、ソロモンの末裔であり、魔界の代理王を決める選定公だと告げる。超リアリストなウィリアムはその言葉を信用せず、悪魔などいないと言い張っていたが、ダンダリオンを含め、さまざまな悪魔が彼のもとを訪れるうちに、少しずつ悪魔と親しくなり、彼らの存在を否定できなくなっていく。
そんななか、選定公であるはずのウィリアムの考えとは別に、魔界では代理王を決めるための駆け引きが行われていた。
登場人物・キャラクター
ウィリアム=トワイニング (うぃりあむとわいにんぐ)
パブリックスクール「ストラドフォード校」に通う男子学生。成績優秀の超リアリストで、人生設計もしっかり考えている。自分の屋敷の地下に魔法陣を見つけ、ダンダリオン=ヒューバーを召喚してしまう。当初は自分の前に現れる悪魔に否定的だったが、彼らと接するうちにその存在を認めるようになる。悪魔たちからは悪魔を総べる「ソロモンの末裔」として認識されており、その自覚が出てくるに伴い、魔法も扱えるようになっていく。
ダンダリオン=ヒューバー (だんだりおんひゅーばー)
ウィリアム=トワイニングに召喚された悪魔の男性。「異相の大公爵」の異名を持つ大悪魔。ルシファーの眷属で、バフォメットを眷属に持つ。代理王候補の一人。基本的には熱血だが、ウィリアムには強く出られず、へたれな一面もある。ウィリアムの傍にいるため、パブリックスクール「ストラトフォード校」に通う。ソロモンには並々ならぬ気持ちを抱いているが、ダンダリオン=ヒューバー自身がソロモンを殺したとされている。
シトリー=カートライト (しとりーかーとらいと)
美しい少年の悪魔。別名「地獄の貴公子」と呼ばれる。元天使で、堕天してきた。アイザック=モートンによって召喚された悪魔で、代理王候補の一人。容姿が女の子のようであるため、パブリックスクール「ストラトフォード校」では、よく女装させられたりしている。甘いものが好き。
カミオ
普段は、パブリックスクール「ストラドフォード校」の総代として、「ネイサン=キャクストン」の名で学生をまとめあげている男子生徒。マリア=モリンズの恋人。その正体は「カミオ」という名前の悪魔であり、ジョン=ディーを眷属にしている。代理王候補の一人で、代理王となるため積極的に活動し、ジョンと共にいくつかの計略も行っている。 代理王となることが決まれば、マリアを正式に眷属にしようと決めている。
ウリエル
普段は、ウィリアム=トワイニングの家令「ケヴィン=セシル」として働いている男性。アイザック=モートンがパブリックスクール「ストラトフォード校」の神父をやめた後に、後任の神父として働くようになった。ウィリアムに忠誠を誓っているが、賭博癖があり、時にはウィリアムをも賭けの対象にする。実の正体は「ウリエル」であり、ミカエルの指示により、ウィリアムに法悦を与えるためにやってきた。 しかし、のちにウィリアムに情が移り、法悦を与えることをやめる。
アイザック=モートン (あいざっくもーとん)
ウィリアム=トワイニングの数少ない友人の一人。黒魔術などのオカルトが好きで、リアリストのウィリアムとはよく衝突している。楽天家だが、成績が悪いため、よく課題をウィリアムに頼っている。シトリー=カートライトを偶然召喚した魔法陣を作った人物。
マイクロフト=スワロー (まいくろふとすわろー)
パブリックスクール「ストラトフォード校」のミドルクラスの監督生の一人。ウィリアム=トワイニングと並んで監督生を務めている。実直な男子学生で、ウィリアムにも物怖じせずにものを言う良き友人。
アーネスト=クロスビー (あーねすとくろすびー)
パブリックスクール「ストラトフォード校」の元神父の男性。神の御手の一員で、ダンダリオン=ヒューバーを悪魔だと見抜き、彼を浄化しようとしたが失敗。その後、ウリエルの指示を受けて暗躍する。
マリア=モリンズ (まりあもりんず)
ウィリアム=トワイニングたちの住む寮の寮母。パブリックスクール「ストラトフォード校」では寮母が校長より強い権力を持っているため、ウィリアムたちは逆らえない。カミオとは相思相愛の仲。肺の病気を患っており、自分の命が残り少ないことを知っている。
ミカエル
魔界王・ルシファーの弟で、神の代わりに天界を治めている男性。地上に降りてくる時は「エリオット=イーデン」の名を名乗る。ウリエルの上司であり、彼にウィリアム=トワイニングに法悦を与えるように指示した人物。
サミュエル=リドル=メイザース (さみゅえるりどるめいざーす)
魔法使いの男性。神の御手を抜けて、ウィリアム=トワイニングに魔術を教えるために、パブリックスクール「ストラトフォード校」の教師としてやってきた。ウィリアムが自衛できるように、ソロモンの力を用いた悪魔を召喚する技術などを指導している。教育方針はスパルタだが、明るい性格で学内の評判はいい。
ソロモン
古代イスラエルの王。神と謁見をし、72の悪魔を従えた男性。現在はウィリアム=トワイニングに魂を移しており、ウィリアムからは「大迷惑じじい」と呼ばれている。ダンダリオン=ヒューバーをはじめ、彼に使役されていた悪魔から一様に慕われている。
バフォメット
ダンダリオン=ヒューバーに仕える羊頭の執事。本来はひげを生やした壮年の男性の顔をしている。ダンダリオンと眷属契約をし、仕えているうちにどんどん執事のスキルが上がっていった。穏やかな物腰で、ウィリアム=トワイニングにも紳士的に接する。執事として仕えている時は羊頭で、悪魔と対峙する時は元の壮年の男性の顔に戻る。
ジル・ド・レイ (じるどれい)
バアルベリトの配下で、元人間のネフィリム。人間だった頃はジャンヌ・ダルクと共にあり、天界にジャンヌが召されてしまった今は、ジャンヌを殺すことで、悪魔である自分の愛を示そうとしている。面白いことが大好きで、代理王候補のシトリー=カートライトに助言をすることもあるが、基本的には彼を貶めたり、彼の周囲を引っ掻き回すことが多い。
アシュタロス
ベルゼビュートを元夫に持つ女悪魔。ダンダリオン=ヒューバーを代理王に推す。ベルゼビュートの再婚の申し出をことごとく断っているが、彼との間にできた子であるラミアには愛情を注いでいる。ダンダリオンに対してはおおらか。
ラミア
少女の姿をした悪魔。ベルゼビュートとアシュタロスの子供。ダンダリオン=ヒューバーのことが好き。ウィリアム=トワイニングを騙して魔界に連れてきて、それぞれ領地を持つ四大四方王の会議の間へ連れてくるなど、悪知恵を働かせるのが得意。
バアルベリト
シトリー=カートライトの叔父。シトリーを代理王候補に立てている悪魔。残忍な性格で、計略を練るのが得意。シトリーが元天使なのを知って、手の内に引き込んだ。彼を傀儡として、裏で自分が皇帝になろうと画策している。
ベルゼビュート
四大四方王の一人。「蠅の王」を名乗る。カミオを代理王候補に立てている悪魔の男性。一度別れたアシュタロスとの間にラミアという子供をもうけており、アシュタロスには常々再婚を迫っている。カミオを代理王にするためならば、少々狡い手を使うこともある。
サマエル
魔界の宮廷宰相をしている悪魔の男性。それぞれ領地を持つ四大四方王のなかで、唯一代理王候補を立てていない。あまり感情を表に出すことがなく、ウィリアム=トワイニングも彼の思考は読めない。ルシファーに一番近い存在。
ジャンヌ・ダルク (じゃんぬだるく)
天界の将軍の一人で、元人間。法悦を与えられて天界に召された。少女の見た目をした明るい人物で、天使の言いなりになっている。悪魔と戦うことを本懐としており、かつて共にあったジル・ド・レイのことは忘れている。
メタトロン
天界で暇を持て余していた天使の少年。地上でまた人間のように過ごしたいという気持ちと共に、ウィリアム=トワイニングにウリエルが法悦を与えられるかどうかを見届けるために、地上に降りた天使。「シオン=クリスチアン」という名前でファグ制度を利用し、ウィリアムに近づく。
ルシファー
ほとんど眠ったままでいる魔界の王。カミオを息子に持ち、ダンダリオン=ヒューバーを眷属にしている。カミオの母親を半ば捨てたような過去があるため、カミオには憎まれている。言葉を発することも少なく、時折サマエルと少し言葉を交わす程度。
エンプーサ
記憶を操る女悪魔。共通の記憶さえあれば、誰の記憶の中にでも入り込むことができる。バフォメットのことが好きで、愛されるより、殺すことで愛を表現したいと考えている。バフォメットが眠りについて辺獄へ行ってしまわないように画策する。
ギルガメッシュ
何事にも無関心な悪魔の男性。元人間のネフィリム。バフォメットが亡くなった後、ダンダリオン=ヒューバーと眷属契約を結んで従者となり、「ギルバート=アリンガム」を名乗ってダンダリオンと共にパブリックスクール「ストラトフォード校」にやってくる。
アーサー=クリスチアン (あーさーくりすちあん)
ファグ制度でウィリアム=トワイニングのファグ・マスターだった男性。その知能と実家の権力を駆使して合理主義恐怖政治を行い、学生たちを徹底的に管理した。これによりパブリックスクールは、さながら修道院のようになった。パブリックスクール「ストラトフォード校」に来てからは、監督生より偉そうに振る舞い、恐怖政治の再来を引き起こす。
ジョン=ディー (じょんでぃー)
カミオの眷属の悪魔の男性。元人間のネフィリム。カミオとは長い付き合いで、魔女狩りの時代に出会い、眷属契約を交わしてカミオの従者となった。ウィリアム=トワイニングをもてなしたり、カミオの心配をしたりと、何かと人間らしい面を見せる。
集団・組織
神の御手 (かみのみて)
ウリエルの手足となって動くエクソシストたちのこと。一般的な悪魔に対しては有効な力を有しているものの、相手がダンダリオン=ヒューバーほどの強さになると、対抗する術がない。ダンダリオンに敗れた後は、ウリエルの命を受けて暗躍する。
場所
ストラトフォード校 (すとらとふぉーどこう)
男子専用のパブリックスクール。ウィリアム=トワイニングやアイザック=モートンらが通う。寮が2つあり、薔薇戦争の時は寮ごとに戦うことになる。ウィリアムはここで監督生として、寮内のことを取り仕切っていた。
魔界 (まかい)
ダンダリオン=ヒューバーらの悪魔が存在する地。ダンダリオンの屋敷もここにある。強制的にではあるが、ウィリアム=トワイニングも何度か訪れている。その際には、ダンダリオンの眷属であるバフォメットにもてなされていることが多い。
天界 (てんかい)
ウリエルら天使の存在する地。ウリエルは長いこと人間界にいるため、天界にはいないものと見なされている。ウリエルがいない現在はミカエルが仕切っており、天界の兵士たちは彼の思惑通りに動いている。
辺獄 (りんぼ)
悪魔が眠る場所。魔界と人間界の境目にある。世界の門の外にある眠りの階層であり、ここで悪魔が眠りにつくと、天使はおろか悪魔も手が出せない。現在はルシファーをはじめ、多くの悪魔がここで眠りについている。
イベント・出来事
薔薇戦争 (ばらせんそう)
パブリックスクール「ストラトフォード校」の伝統行事で、寮ごとに分かれて戦う。まずはファグ制度を利用し、ファグを多く集めること。次に模擬店などで資金集めを行い、最後に胸のバッジをかけた対戦を行い、バッジの奪い合いをするという行事。
その他キーワード
ソロモンの指輪 (そろもんのゆびわ)
ソロモンが持っていた、72の悪魔を召喚するための指輪。今はウィリアム=トワイニングが所持している。この指輪を使うと一時的にウィリアムの意識は途切れるが、その代わりに莫大な力を有し、周囲を灰燼に化す。この指輪を頼りに、ダンダリオン=ヒューバーはウィリアムを見つけた。
法悦 (ほうえつ)
天使との契約で、天使の手によって対象者を意のままに操る儀式のこと。対象の人物に法悦矢を突き立て、天界の者とすることで、法悦したことと見なされる。ウリエルがウィリアム=トワイニングを法悦しようとしたが、ウィリアムにあまりにも神への信仰がなかったため、失敗に終わっている。
眷属契約 (けんぞくけいやく)
一般的に悪魔との契約によって悪魔の一員になることを指す。悪魔がより上位の悪魔の眷属となることもある。人間が悪魔と結ぶことが多く、ジョン=ディーなどが該当する。主人の魔力を従者に分け与えているため、眷属は悪魔にとって最大の弱点ともなる。
選定公 (せんていこう)
代理王を決定する者のことで、ソロモンの末裔のみが選定公となることを許される。現在の選定公はウィリアム=トワイニング。かつての選定公は、例に漏れず代理王を悪魔のなかから指名してきたが、ウィリアムは「誰も代理王に選ばない」と宣言している。
代理王 (だいりおう)
ルシファーが眠ったままであることを受け、ルシファーの代わりに皇帝として魔界を牽引していく存在のこと。ソロモンの末裔たちは選定公として、代理王を選ぶ決まりとなっている。しかし、今回の選定公であるウィリアム=トワイニングは、「誰も代理王に選ばない」と宣言している。
ネフィリム
人間から悪魔になった悪魔のこと。ダンダリオン=ヒューバーや、ジル・ド・レイなどが該当する。天使が堕天して悪魔になった者たちや、元々悪魔の者たちからは差別の対象になっているが、強い力を持つネフィリムが台頭してきている事実に戸惑っている悪魔も多い。
眠り (ねむり)
悪魔や天使たちが長生きするための行為。力が強いものほど眠りにつく時間が長く、ルシファーは長いこと眠りについている。なお、悪魔は辺獄において眠りにつく。
ファグ制度 (ふぁぐせいど)
パブリックスクール「ストラトフォード校」特有の伝統。上級生に特定の下級生が就き、奉仕をする制度のこと。お茶を淹れたり、掃除をしたりする代わりに、上級生たるマスターから、学校に慣れるまで援助を受けることができる。この関係は卒業後も続き、強い結びつきとなっている。
クレジット
- 原作
-
高殿 円
アニメ
魔界王子 devils and realist
名門貴族の子息であるウイリアムは、ある日、後継人である叔父が事業に失敗して財産を失う。名門の名を守り、学費を払うため、屋敷で金になりそうなものを探していたウイリアムは、意図せず悪魔を召喚してしまう。 ... 関連ページ:魔界王子 devils and realist