概要・あらすじ
東京の某所にあるバーレモン・ハートを舞台に、酒に関わるささやかなドラマが展開する一話完結式の連作。物語の大半はバーの中での会話劇である。また、登場人物も非常に少なく、毎回レギュラーの3人にゲスト数名程度。必ずその回のドラマに関連する酒の容器と薀蓄が紹介され、それが問題の解決に繋がることが多い。紹介される酒は、ウィスキーなどの洋酒から、ビール、カクテル、日本酒、中国酒など多岐に渡る。
掲載誌を何度か変更しつつも、20年以上継続して描かれている長寿作品である。なお、作者である古谷三敏は「BARレモン・ハート」を冠した酒に冠する書籍も何冊か著している。
登場人物・キャラクター
マスター
BARレモン・ハートのマスターで、一流のバーテンダー。古今東西あらゆる酒に精通しており、訪れる客たちにさまざまな酒の薀蓄を語ることを喜びとしている人物。その語り口はあくまでも自然で押し付けがましいところはない。ただし、常連客であるメガネさんや松ちゃんには、バーマンとしての分を超える親しさを示すこともある。 四角い顔に短髪、ブタ鼻で、同作者の薀蓄漫画『減点パパ』の主人公と酷似した容姿を持つ。なお、主人公ではあるが、その主な役どころは知識の授け手、あるいはアドバイザーであり、各話でドラマの中心を勤めるのは別の人物であることが多い。
松ちゃん (まっちゃん)
レギュラーキャラクターその1。BARレモン・ハートの常連客で、フリーライターで生計を立てているチョビ髭の男性。酒場の常連であるにも拘らず酒音痴で、ウイスキーのウーロン茶割りばかり飲んでいる。気さくな性格で交友範囲もそれなりに広く、叔父や甥・姪などの血縁者から、仕事関係の友人や後輩など様々な知人をBARレモン・ハートに連れてくる。 ただし、恋愛には縁が無く、女性には振られてばかりである。年齢は明示されていないが、レモン・ハートに20年以上通っているというセリフがあるため、40代と思われる。下の名前は「二郎」だったがエピソードによっては別の名前だったこともあり、はっきりしない。
メガネさん
レギュラーキャラクターその2。BARレモン・ハートの常連客で、常にサンギラスをかけ、ソフト帽にトレンチコート姿の男性。本名は不詳、仕事も不明の謎の男である。カウンターの隅で、新聞を読んでいることが多い。かなりの飲み手で、酒に対する姿勢には筋が通っており、マスターも一目置いている。 スピリッツ(蒸留酒)党で特にジンを好むが、それ以外のいい酒・珍しい酒にも目がない。いくつかのエピソードで断片的に語られたところでは、アメリカ人宣教師に育てられた孤児であり、某国の外人部隊に所属していた過去もあるとのこと。
場所
BARレモン・ハート
『BARレモン・ハート』の主な舞台となるバー。そこそこの広さの店内に長いカウンター席といくつかのボックス席がある。カラオケなどは無く、非常に落ち着いた雰囲気の店となっている。店内の棚、および地下室の酒蔵には、入手可能な範囲のありとあらゆる酒がストックされており、客のオーダーにはほぼ確実に応えることができる。店名は、実在するラム酒の銘柄LEMON HARTに由来することが劇中で語られている。 なお、作者古谷三敏は、大泉学園駅前にて現実の「BARレモンハート」を経営している(ただし、なぜか現実の店名には中黒がない)。