概要・あらすじ
東京の広告代理店で働いていた佐伯夏子は、ある日、兄である佐伯康男の訃報を聞く。日本一の酒を造る夢を聞かされていた夏子は、仕事を辞めて実家に戻り、兄の遺志を継いで佐伯酒造で酒造りを始める。兄が遺した幻の酒米龍錦の無農薬栽培や、杜氏の山田信助の加齢による衰えなど、夏子は多くの難関を乗り越えていく。
登場人物・キャラクター
佐伯 夏子 (さえき なつこ)
顎の下あたりで切り揃えた黒髪の女性。2月7日生まれ。佐伯酒造の娘で、たいへんな酒豪。一度飲んだ酒の味は忘れない。短大卒業後、2年間東京の広告代理店で働いたが、兄佐伯康男の死を契機に帰郷し、兄の目指した酒造りを志す。後日、佐伯酒造専務になる。頑固で自分で決めたことは曲げようとしない。 恋愛には疎いが、内海英二には惹かれている。
佐伯 康男 (さえき やすお)
佐伯夏子の兄。佐伯酒造の専務。日本一の酒を造るため、幻の酒米龍錦を求めていた。志半ば、ガンのため30歳で早世。死の直前、杜氏の山田信助に龍錦の種籾を託す。目指す酒の試作品を吟醸Nとして残していた。
草壁 渡 (くさかべ わたる)
佐伯酒造の新米従業員で、2年めに杜氏を任される。佐伯康男の後輩でT大学醸造学科卒業後、各地を放浪していたらしい。康男と佐伯夏子に共感して酒造りに専念する。夏子が好きであることを認めているが、彼女につきあいを求めるようなことはしなかった。
山田 信助 (やまだ しんすけ)
佐伯酒造で30年働いている杜氏。杜氏としては50年の経験がある。老齢のため、衰えが目立つようになっており、草壁渡を杜氏に推薦し、自分の技術を伝える。引退を勧告されるが龍錦での酒造りは完遂する。
佐伯 浩男 (さえき ひろお)
佐伯酒造社長。佐伯夏子と佐伯康男の兄妹の父。酒造りには妥協しない頑固な蔵元。
佐伯 和子 (さえき かずこ)
佐伯康男の未亡人で佐伯夏子の義姉。康男の死後も佐伯酒造に残り、事務を担当。隆男という息子がいる。
宮川 輝 (みやかわ てる)
佐伯酒造のある河島町に住む米作りの名人。息子からの送金や減反で収入があるため、耕作を放棄している。いつも酔っていて、一升瓶を手放さない。佐伯康男から龍錦栽培の相談を受けていた。佐伯夏子の説得を受け、龍錦の耕作を指導する。
内海 英二 (うつみ えいじ)
福井にある内海酒造の若社長。メガネをかけた若い蔵元。佐伯康男と21世紀に残す酒を造ろうと誓い合った仲。佐伯夏子と数回しか会わなかったが、気持ちは通じ合い、さりげなく求愛してくる。全国新酒鑑評会で連続入賞した銘酒「美泉」の蔵元。康男の呪縛から離れて夏子の酒を作れとアドバイスした。
豪田 誠 (ごうだ まこと)
佐伯酒造のある河島町の町外れに住む農家。ヒゲ面で不機嫌な顔をしている。農家は農作物を金で売ってはいけないと主張する、偏屈な有機農法推進家。
橋本 冴子 (はしもと さえこ)
佐伯夏子の友人で河島町の農家の娘。小学校から一緒だった。上京したが不倫騒動の果てに帰郷し、佐伯酒造で事務員を務める。不倫相手から上京の誘いがあって退職したが、農家になることを決意。豪田誠のところに比す見込みで農業を学ぶ。
黒岩 慎吾 (くろいわ しんご)
河島町にあるもう一軒の酒造所黒岩酒造の息子。佐伯夏子とは小学校からの同級生。夏子にアタックするが見向きもされない。夏子の熱意に打たれ、自分もいい酒を作りたいと思うようになる。黒岩酒造の主力は「桃娘」。
上田 久 (うえだ ひさし)
日本酒の元鑑定官。広島国税局を退官し、指導員として活動している。酒には妥協しない人物で、佐伯夏子をうならせる味覚を持つ。杜氏の山田信助と相談して、龍錦の醸造用に上田酵母を提供した。
場所
佐伯酒造 (さえきしゅぞう)
新潟県の河島町にある小さな酒造所で、佐伯夏子と佐伯康男の実家。主力商品は「月の露」。
その他キーワード
龍錦 (たつにしき)
佐伯夏子の兄康男が日本中を駆け回って探し出した、幻の酒米。病虫害に弱く、倒伏しやすいため、栽培が難しい。
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