概要・あらすじ
天狗が住んでいるといわれる子毬山に興味本位で立ち入った弥栄京太は、そこで天狗と暮らしていた精神獣使いの蝶子と出会い、引き取ることになってしまう。保育園に通い、地域の人と色々な交流を深めていく蝶子は、たびたび子供らしい問題行動を起こして京太を困らせる。やがて、蝶子の力を狙う謎の精神獣使いの一派が出現、2人はさまざまな問題や試練に巻き込まれ始める。
騒動のきっかけになった蝶子のことを始めは疎ましく思っていた京太は、共に一緒に過ごす時間が長くなるにつれて、少しずつ彼女に情を移し始める。
登場人物・キャラクター
弥栄 京太 (やさか けいた)
14歳。中学2年生でサッカー部に所属している少年。興味本位で子毬山に入り、そこで蝶子と出会った。常識や分別もあって、それなりにしっかりした少年だが、彼の周りにはトラブルが絶えず、その被害を一番に浴びているので気苦労が絶えない。また短絡的なところがあり、トラブルを回避したいあまり思慮の浅い行動に出て、さらなるトラブルを生んでしまうことも多い。 とはいえ何だかんだで面倒見は良く、蝶子のことは気にかけている。情に訴えられると弱い。
蝶子 (ちょうこ)
精神獣使いの女の子。ずっと子毬山の山奥で天狗に育てられてきたため、運動神経は並外れて良い。反面、人間社会での常識に乏しく、理解力や状況把握能力などもないに等しい。良い事も悪い事もすべて素直に信じてしまう純真な子。弥栄家に引き取られてからは、「弥栄蝶子」として保育園に通うようになる。指をくるくる回して自分の精神獣ガァを召喚できる。 弥栄京太には、騒ぎになるから人前ではガァを出すなと言われているが、気にかけることもなくほいほい出そうとする。腕にはめている数珠が外れると、力の制御が出来なくなって精神獣が巨大化してしまう。
ガァ
蝶子の精神獣。平時は頭に角が生えた小さな犬の姿で、よく蝶子の頭の上に乗っている。蝶子の感情とシンクロしており、彼女の意思通り動く。蝶子の力が解放されると巨大化する。
飛鳥 (ひどり)
子毬山に住む天狗で、羽鳥の双子の弟。真面目な熱血タイプだが、蝶子への溺愛っぷりが酷く、基本的に天狗としての卓越した能力はいつも空回りしている。また、蝶子のちょっとした言葉にいちいち酷く傷つき、振り回されている。蝶子を人里におろすことに強く反対しているため、蝶子を連れて行った弥栄京太に対して敵対心を持っている。
羽鳥 (はどり)
子毬山に住む天狗で、飛鳥の双子の兄。飛鳥とは正反対のいい加減な性格。とりあえず言われた役目だけを最低限こなして、後はのんびりやればいいという態度の楽天家。反面、天狗としての優れた能力を持ち、何より暴走した飛鳥とまともに対峙できる数少ない貴重な人物。頭に血が上りやすい弥栄京太や飛鳥たちの中で、一歩引いた視点から状況を見られる、冷静な人物でもある。
住職 (じゅうしょく)
子毬山に住む天狗の長老的な存在で、蝶子を弥栄京太に預けることを決断する。長年生きてきただけに、落ち着きや思慮深さを持つが、人の良い小柄なお爺さん然とした見た目どおり、おちゃめなところも多い。天狗としての力の他、色々な術も扱える。普段は水道や電化製品を使ったり、「たまごっち」などのホルダーゲームを集めていたりと、人間と似た暮らしをしている。
鴉 (からす)
子毬山に住む天狗で、飛鳥や羽鳥の兄貴分。感情の起伏に乏しく、いつもボーっとしたまま喋っている。天狗としての能力は未知数だが、ゲームの腕はかなりのもの。
京太の母 (けいたのはは)
男勝りな性格で、他者を寄せ付けない凄み、勢い、威圧感を持つ母。娘が欲しかったという理由で、蝶子のことを家族としてあっさり受け入れる。蝶子への溺愛ぶりは飛鳥にも匹敵し、その行動がまた弥栄京太の心労を増やすこととなっている。天狗の存在を恐れ敬ってはいるが、いざとなると拳一発でその天狗を倒すことも。
弥栄 拓三 (やさか たくぞう)
弥栄京太の父親で、弥栄の家には養子に入っている。会社での役職は課長。人が良く、何かと貧乏くじを引かされるタイプで、会社でも部下からは扱いやすい存在としてうまく利用されている。毎朝、京太の分も合わせてお弁当を作っている。
東山 檀 (ひがしやま まゆみ)
はぐれ者の1人。もともとは違う中学校に通っていたが、蝶子のことを調べるために弥栄京太と同じクラスに転入してくる。極端なネガティブ思考で自虐的。他人の言動をすべて自分を不幸にするものとして嘆き、大声で泣き叫んだり人に掴みかかったりする。そのせいで友達はできず、それがさらに彼の不幸志向に拍車をかけている。道端で肩がぶつかっても自分を責めなかった京太を慕う。
東山 楓 (ひがしやま かえで)
はぐれ者の1人。東山檀の姉。見た目はクールな美人で、弟の檀とは正反対に堂々とした振る舞いをする。すぐにカッとなる性質で、大声で泣き叫んで手が付けられなくなった檀を、躊躇なく殴って黙らせる。蝶子の力を確認したのち、身柄をさらうための刺客を差し向ける。ただし、この刺客はあまり役には立たない。大きな鳥の精神獣を召喚し、それに乗って飛ぶことができる。
堂上 蜂屋 (どうじょう はちや)
はぐれ者の1人。自信家で世の中はすべて自分の思い通りになると思っている、計算高く用意周到で優秀な人物。人を小バカにしたような態度で、東山楓をよく怒らせている。猫の精神獣を召喚し、自分の意志で豹くらいの大きさまで自在に変化させられる。
はぐれ者の老人 (はぐれもののろうじん)
東山楓や堂上蜂屋たちはぐれ者をまとめているボス的な存在。「箱」と呼ばれるものを開けるために蝶子の力を狙っている。
佐方 (さかた)
弥栄京太のクラスメートで同じくサッカー部に所属。教室でも京太とよく一緒にいる男子生徒。他の濃い面々と違い、これといった特徴のない普通の男子中学生。優柔不断で口が軽いが、丁寧に掃除をしたりとマメなところもある。
海原 (うなばら)
弥栄京太のクラスメートの女子生徒。密かに京太に想いを寄せており、いつもサッカー部の練習についていく。気が強くまじめな性格で、よく蝶子の相手をしている。蝶子のことを構わない京太には怒りをぶつけることも。
桂 健 (かつら たける)
蝶子と同じ保育園に通う男の子。自信家で少し生意気なところがある。冒険が大好きで、世界を股にかける大冒険家になるのが夢。オリエンテーリングでは保育士たちが仕掛けたトラップの数々を見抜いて掻い潜るなど、素質は抜群。
ゆうくん
蝶子と同じ保育園に通う男の子。蝶子をバカにするいじめっ子で、いろいろな嫌がらせをしてくる。
保育士さんたち (ほいくしさんたち)
蝶子の通う保育園の保育士さんたち。「子供の世話をしながら自分たちも楽しむ」がモットー。その行動のアグレッシブさは、保育士の枠に留まらない。
商店街の人たち (しょうてんがいのひとたち)
蝶子のことを可愛がり、たびたびお菓子などをくれる。みんないい人たちだが、騒ぎの舞台にされることも少なくなく、店に被害が出ることもある。それでも蝶子を可愛がってくれる、温かい人付き合いのある商店街。
門前の爺さん (もんぜんのじいさん)
蝶子が桃の匂いにつられて出会ったお爺さん。商店街の人たちもよく知っている人で、昔から子供たちに嘘をいって騙すのが趣味。
場所
子毬山 (こまりやま)
信州にある山。天狗が住む山だと言われ、周囲に住む人たちは滅多に立ち入ることがない。
その他キーワード
天狗 (てんぐ)
空を飛び、人智を超えた力を持つ。また、様々な術を使える者も存在する。普段は人と変わらぬ姿をしているが、変身すると肌は褐色になり、黒い翼が生える。
精神獣使い (せんしんじゅうつかい)
自らの精神力を獣の形で召喚できる能力を持つ人たち。それ以外は普通の人と同じだが、その異能の力を人目から隠すため、天狗の住む子毬山でひっそりと暮らしている。
はぐれ者 (はぐれもの)
もとは子毬山に住む精神獣使いだったが、隠れ住むことを嫌い、山を下りた者たちのことを指す。