CLOVER

魔法使いと機械文明が融合した中国風の世界で、白花苜蓿計画(クローバー・リーフ・プロジェクト)という実験に翻弄された人物たちのSFファンタジー。元軍人にして今は探偵の琉・F・和彦が軍の評議会の依頼を受けて、ミステリアスな少女スゥを妖精遊園地にまで届ける過程と、登場人物らの過去が描かれる。

概要・あらすじ

ある日、主人公である琉・F・和彦は、政府を裏から牛耳る魔術士(ウィザード)の1人から奇妙な依頼を受ける。内容は、謎の少女スウ妖精遊園地まで送り届けよというもの。外国からの刺客や自国の軍人などが迫り来るなか、琉・F・和彦スウを守ってひたすら目的地へと向かう。

登場人物・キャラクター

琉・F・和彦 (りゅう・ふぇい・かずひこ)

元軍人で秘色(ひそく)部隊副隊長、現在は薄荷(ボーフー)にて探偵業を営む。恋人を何者かに殺害されたことを機に退官、裏社会で生きながら恋人を殺した犯人を捜している。軍の評議会である5人の魔術師(ウィザード)の1人紘将軍には、軍法会議にかけられたときに何度か助けられ、頭が上がらない。 謎の少女スウを妖精遊園地に送り届けろ、という依頼もそのため断りきれなかった。最初は嫌がった仕事だが、一度引き受けたからには己の身の危険も顧みず、盾になってスウを庇って守る正義感の強さを見せる。黒めがねと黒の上下を身に纏い、白いコートを着用。言葉遣いは悪く、態度も一見いい加減に見えるが、元上官である銀月に対して「もし面倒な事が起きそうなら俺に何をして欲しいのかだけはいえよ」というような誠実な態度を取ることも。 右手を失い、軍事技術で製作された魔法を使える義手を取り付けている。

スウ

琉・F・和彦が、評議会の1人である紘将軍から受けた依頼対象の謎の少女。10年前に発足した白花苜蓿計画(クローバー・リーフ・プロジェクト)によって、国中から集められた魔法が使える子供の1人にして、評議会の魔術師(ウィザード)たちを軽くしのぐ最強の力を持つため、軍の施設に一人閉じ込められていた。 それが、外界から隔絶された施設の中で電波に乗って届いて来た織葉というデビュー前の歌手(シンガー)の声を聞いたとき、彼女に会いたいと思い、外に出たいと願った。それが物語の発端だった。魔法使いの中でも最も能力の強いものが持つ四つ葉のクローバーの入れ墨を左腿に入れている。淡い色の髪をボブカットにして、常磐碧(エバーグリーン)の瞳を持つ小柄な少女。 幼い頃から施設に一人でいたため極度の世間知らずで、自分を閉じ込めた軍の評議会を怨むことも知らない。

銀月 (ぎんげつ)

琉・F・和彦が秘色(ひそく)部隊だった頃の上官であり、中佐の位を持つ。上下官の関係ではあるが和彦とはお互いに信頼しあう親友でもある。評議会の魔術師(ウィザード)から和彦が受けた依頼に対して銀月は、同居人の藍と共に協力を惜しまなかった。実は銀月は白花苜蓿計画(クローバー・リーフ・プロジェクト)によって選ばれた子供の一人で、左手首に二葉の入れ墨を持つ。 その関係から、施設から逃げ出した三つ葉の入れ墨を持つ、C(ツェー)を自宅に匿い、評議会との交渉を通して自分が引き取って監視し続けると申し出た。そのCが現在の銀月の同居人である藍その人だった。

(らん)

白花苜蓿計画(クローバー・リーフ・プロジェクト)によって選ばれた子供の一人で、左肩の後ろに三つ葉の入れ墨を持つ。藍(C)は弟のA(アー)を独り残して研究所から逃げ出した。そこを、評議会の魔術師から下された任務で探していた銀月に見つけられ、確保される。3人の三つ葉の1人であるAは 、兄のCを独占したいがために同じ三つ葉のB(ベー)を殺し、自分を残して一人施設を出た兄の藍(C)を引き戻そうとする。 だが、2人が別々であれば評議会の魔術師にも制御可能であることから、2人は離れていた方がいい、と判断した藍(C)は弟との決別を決意していた。 施設を出たら急速に成長する三つ葉は寿命が短いといい、あと5年しか保たない。

紘将軍 (こうしょうぐん)

軍の最高機関、5人の評議会の一人で魔術師(ウィザード)でもある老婆。白花苜蓿計画(クローバー・リーフ・プロジェクト)を手がけた当事者。軍法会議にたびたびかけられた主人公の和彦に何度か手心を加えたり、外に関心を持たぬよう一人で施設にいることを約束したスウを最後まで信じたり、と何かと人情味のある様を見せる。 また、評議会の決定を破って、スウが外部の歌手(シンガー)と交流することを許したのは、少女に対して並々ならぬ愛着を抱いたから。皺深い容貌に、古風に結い上げた白髪の持ち主。

バルス

外国アズライトの軍人で、特殊諜報部隊長。和彦が軍に在籍していた時から和彦に対して異様な執着心を見せ、彼をふざけ半分に「王子様」と呼ぶ。また、和彦の右手を切り取った張本人であり、その右手を剥製にして自室に飾っているという変態ぶりだ。尋常ではない能力を持つ四葉を欲しがるアズライト軍が、外に出たスウをここぞとばかりにさらいに来るとき、その先頭に立つ男。 髪を短く刈り込み、無精髭に色付きの丸眼鏡を掛けているのがトレードマーク。

子猫の首領 (しゃおまおのしゅりょう)

裏界隈で義賊を気取る子猫。その首領は車椅子に腰掛けた10歳前後の子供だった。藍が改造した移動装置が何者かによって干渉され、送り出された和彦とスウが意図しない場所に降り立ったのが、彼らの縄張りだった。一度は2人を捕らえたが、和彦が裏界隈で有名な探偵だと知ると、追跡者を足止めして2人を逃がしてくれた。 坊ちゃん風のカリアゲにゴツいゴーグルを身に付けて、この世界では珍しい本物の猫を飼っている。

桃花 (たおふぁ)

裏界隈で義賊を気取る子猫(シャオマオ)の首領のそばにいつもいて、副官か用心棒のような役割を果たす。子猫の縄張りを出て行くスウに「デートの続きを」と行って祝福するように桃の花を差し出す。切れ長の瞳に、ツインテールを団子にしたヘアスタイル。そしてチャイニーズドレスのような衣裳を纏った少女。

織葉 (おりは)

デビュー前の歌手(シンガー)で主人公琉・F・和彦の恋人。和彦が3ヶ月かけて口説き落とした。人気歌手になることを夢見てライブハウスで歌う日々。そんななかで、謎の少女スウに「貴女のファンなの」という電話をもらってから、電話越しの付き合いが始まる。それは2人で歌を作るような親友の関係にまで発展し、やがて織葉は自分の正体もスウに告げる。 実は彼女も白花苜蓿計画(クローバー・リーフ・プロジェクト)によって見出された魔法使いの子供の1人だったが、能力が弱かったため、胸元に一つ葉の入れ墨を入れられた後は家に帰された。彼女の能力は「自分の死ぬ日がわかる」それだけだ。彼女は自分の誕生日に何者かに狙撃され、命を落とした。 見事な長い黒髪を細かな縦ロールにして、黒いボンテージ風の衣裳を好んで身に纏う。まもなく恋人の和彦とさよならしなければならない身を「彼の四葉のクローバーになれなかった」と申し訳なく思っていた。

A (あー)

白花苜蓿計画(クローバー・リーフ・プロジェクト)によって見出された魔法使いの子供の一人で、3人いる三つ葉の1人。同じ三つ葉で、施設を出た後藍と名を変えたC(ツェー)の双子の弟でもある。独占欲がかなり強く、三つ葉の残りの一人であるB(ベー)に対して兄が優しくした、というだけの理由で殺してしまうほど。 2人が一緒にいると施設に閉じ込められたままだから、といって1人施設を出て行った兄のC(藍)を追って、彼を匿っていた銀月の元にやって来る。だが、もし無理やり連れて帰ったら藍は自死する覚悟だと知って、連れ帰るのはやめた。ただし「もし藍が他の誰かを一番に好きになったら、そいつを殺す」とAは最後まで兄を諦めなかった。 双子なので兄とそっくりの容貌に黒髪の少年。子供の頃は襟足を伸ばして1つに括っていた。

場所

妖精遊園地 (ふぇありーぱーく)

現在は廃業している遊園地。生前の織葉が一番好きだった場所であり、主人公琉・F・和彦がスウを連れて行く最終目的地。スウは紘将軍にお願いして、そこに織葉の像を建ててもらっていた。といっても、スウは織葉と直接会ったことがないため、イメージとして「妖精のような」像になった。 そこでスウは、「自由と幸せ」の引き換えに自ら命を絶った。また、それに乗じて評議会の魔術師(ウィザード)の1人が、スウが想いを寄せるようになった和彦を殺そうとした場所でもあった。魔術師たちの手によって、織葉の像もろとも遊園地は破壊された。

施設 (しせつ)

四葉であるスウが閉じ込められていた鳥籠風の場所。人の出入りには厳重な認識表を必要とし、そこの管理と護衛には、見た目には可愛らしい動物たちを模した最新式の殺人兵器(オートドール)が配置されていた。内部は広々とした植物園を彷彿とさせ、機械仕掛けの小鳥たちが鳴き交わす。外部から完全に隔離されたここでスウは、ライブハウスで歌う織葉の歌声をキャッチした。 それもまた四葉の能力の一端でもあった。

アズライト

国境である峠を越えたところにある外国。国交や戦争があるかは物語の中で描かれていないが、特殊諜報部員が魔法使いである四葉を虎視眈々と狙っているのは昔から。特殊諜報部のバルスが属する国家であり、武器に活用される機械技術は兵士が持つ手動光銃(ビーム)や、兵器召還装置を使った後を追跡できる兵器などから、超常能力者(ソーサラー)を相手にとって引けを取らないもの。

その他キーワード

白花苜蓿計画 (くろーばー・りーふ・ぷろじぇくと)

『CLOVER』に登場する用語。政府が企画し軍部(特に、裏の権力者である評議会の5人の魔術師(ウィザード)たち)がその主導権を握っていた。10年前、国中から魔法を使える子供を探し出し、様々な試験を施した。その中でも最も力の強いものが四葉と呼ばれ、あまりにその能力が予測不能なため施設に閉じ込められている。三つ葉は3人だったのが、1人は殺され、1人は銀月中佐の元に身を寄せ、残る1人は姿を消した。 二葉である銀月は自らの体内に自爆装置を埋め込み、残る寿命が5年と言う三つ葉の藍を管理する役を買って出た。そして、一つ葉である織葉は何者かに射殺されて死亡。四葉であるスウも妖精遊園地で自ら命を絶った。 彼らは皆その刻印としてクローバーの入れ墨を持つが、この計画はほぼ頓挫したといってもいい。

書誌情報

Clover 全4巻 講談社〈Amie KC〉 完結

第1巻

(1997年6月発行、 978-4063400014)

第2巻

(1997年8月発行、 978-4063400021)

第3巻

(1998年5月発行、 978-4063400182)

第4巻

(1999年8月発行、 978-4063400342)

Clover 全2巻 〈講談社コミックスDX〉 完結

第1巻

(2008年7月発行、 978-4063755084)

第2巻

(2008年7月発行、 978-4063755091)

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