Crimson-Shell

Crimson-Shell

プルミエの種を埋め込まれた黒薔薇と呼ばれる異能力者に対抗するための組織・紅薔薇の本部である館を舞台にした能力バトルを描く、ファンタジーサスペンス作品。望月淳の初の連載作品で、「月刊Gファンタジー」2005年9月号から2006年2月号まで連載された。

正式名称
Crimson-Shell
ふりがな
くりむぞん しぇる
作者
ジャンル
ダークファンタジー
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概要・あらすじ

紅薔薇とは、プルミエの種によって生まれた黒薔薇を捕らえるための組織。紅薔薇の本部はイギリス南西部のとある孤島に存在した。最近は黒薔薇による本部への襲撃が多く、組織内に裏切り者がいるのではないかと囁かれていた。そして、黒薔薇の突然変異である真紅の魔女・クローディアを護り、共に戦う紅薔薇内の特殊部隊・深紅の弾丸にも、不穏な影が忍び寄っていた。

登場人物・キャラクター

クローディア

紅薔薇の深紅の弾丸に所属する長い黒髪の少女。容姿が幼いのは、プルミエの種の影響で、5年ほど前から身体的な成長が止まっているため。通常、プルミエの種を埋め込まれた者は黒薔薇と呼ばれ、人の命を喰らうようになる。しかし、彼女は他者の命を喰らわずとも生きていられるため、黒薔薇と区別して真紅の薔薇と呼ばれている。 また、彼女の血は黒薔薇にとって猛毒で、彼女の血を混ぜて作った弾丸は対黒薔薇戦の要となっている。力の制御ができなかった頃、部屋を出たことがなかった彼女を、身体を張って外へと連れ出してくれたゼノを信頼している。彼女のプルミエの種は不老不死をもたらすと言われ、黒薔薇に狙われている。

ゼノ

紅薔薇の深紅の弾丸の副リーダーを務める青年。銃を使う他の団員とは異なり、日本刀のような武器を使う。その実力は確かで、組織内での信頼も厚い。1年ほど前、まだ力の制御ができていなかったクローディアと偶然出会った。部屋を出たがらない彼女に説教をしていたが、ある日無理矢理彼女を外へ連れ出した。その際クローディアの力が暴走し死にかけるが、彼女が力の制御に成功したため事なきを得た。 また、クローディアととある約束をしており、その証として腕輪を渡している。ある極秘任務で半年ほど本部を離れていたが、突然組織を裏切り、クローディアや紅薔薇の仲間を傷つけた後、謎のフロッピーディスクと共に姿を消す。

シオン=リデル (しおんりでる)

紅薔薇の深紅の弾丸の新入隊員の少年。クローディアとゼノのやり取りを見て、素敵なカップルだと思っていた。その後クローディアに「純バカボーイ」と罵られる。第二書庫の機材で何かを調べていたゼノと遭遇して重傷を負わされ、その後死亡が報告された。

ラスキン

紅薔薇の深紅の弾丸のリーダー。読唇術が得意。ゼノの無実を証明しようとするが、ゲーハルト=バスラーの反証によって失敗に終わる。組織に長年携わっていて、他の者が知らないような情報を持っているのではないかと噂される。戦闘能力には乏しい。

ベインズ

紅薔薇の幹部の男性。穏やかな雰囲気をまとっているが、若くして幹部になっただけのことはあり、優秀な人物。組織内に裏切り者がいることを確信し、部下を調査に当たらせていた。第二書庫でゼノに斬られた後、クローディアの薔薇の暴走により死亡する。

ヴィルヘルム

クローディアと血の契約を交わした守護者。「荊(ソーン)」と呼ばれる存在。眼鏡をかけた美青年で、クローディアのことを「ディア」と呼んでいる。クローディアと同じく、5年ほど前から成長が止まっている。クローディアがゼノに外へ連れ出され、力の制御ができるようになるまで、彼女の身の回りの世話をしていた。ことあるごとに「ゼノは信用ならない」と彼女に言っていた。 離れていても、クローディアの異変を察知することができる。

ロヴィン=ウイングフィールド (ろゔぃんういんぐふぃーるど)

紅薔薇の深紅の弾丸に所属する少年。紅薔薇の組織形態を理解していなかったため、メリッサ、レスと共に「勉強」と書いて「拷問」と読む勉強会に参加していたが、ボイコットして本部に帰還した。ゼノを信じており、彼の裏切りに落ち込むクローディアに対し、「ゼノは絶対にそんなやつじゃない」と断言する。 クローディアのことを「姫さん」と呼び、メリッサと共に過度なスキンシップが目立つ。

メリッサ

紅薔薇の深紅の弾丸に所属する少女。紅薔薇の組織形態を理解していなかったため、ロヴィン=ウイングフィールド、レスと共に「勉強」と書いて「拷問」と読む勉強会に参加していた。ロヴィンと仲が良く、ゼノのことも信頼している。ロヴィンと同じく、クローディアに対し過度なスキンシップが目立つ。

レス

紅薔薇の深紅の弾丸に所属する性別不明な団員。紅薔薇の組織形態を理解していなかったため、ロヴィン=ウイングフィールドやメリッサと共に「勉強」と書いて「拷問」と読む勉強会に参加していた。いつもフードを被って眠たげな様子だが、高い戦闘力を持つ。ラスキンのことを慕っている様子で、すぐ帰ると言ったラスキンを待って、ベッドの上で徹夜で座っていた。 また、組織を裏切り姿を消したゼノを、信じるべきか悩むクローディアの迷いを、断ち切る後押しをする。

ゲーハルト=バスラー (げーはるとばすらー)

紅薔薇の幹部。髭を生やした彫の深い男性。ラスキンがゼノの裏切りを否定しようとした際に、裏切りの現場である書庫の映像を用いて反証した。

ヴィクトリア

ゲーハルト=バスラーの側近で、美しい女性。クローディアとの関係に不満を抱いているように見えるヴィルヘルムへ、怪しい話を持ちかける。

集団・組織

紅薔薇 (あかばら)

黒薔薇に対抗するための組織。イギリス南西部にある孤島に建つ屋敷に本部を置く。本部の屋敷は複雑な作りで、幹部でも知らないような部屋もある。かつてプルミエの種や黒薔薇について研究していた組織を前身としている。

深紅の弾丸 (くりむぞんしぇる)

紅薔薇内の組織のひとつ。対黒薔薇特殊部隊。胸に薔薇の紋章が彫られたバッチのようなものを付けている。「薔薇の魔女」・クローディアは対黒薔薇戦の要ではあるが、触れると命を吸われるのではないかという懸念から、紅薔薇内の研究者からは気味悪がられている。そんな彼女を理解し、共に戦うための組織である。

黒薔薇 (くろばら)

プルミエの種を埋め込まれた者、あるいはその集団。黒薔薇は体内に黒色の薔薇を保有し、その荊(いばら)を操る能力や、人をビクティムと呼ばれる化け物に変える毒を体内に有する。そのため主に軍事利用を目的として研究されていた。他者の命を食わねば生きていけず、また黒点と呼ばれる病気により長く生きられないなど、問題も多い。 黒薔薇の突然変異であるクローディアの血は天敵。

その他キーワード

プルミエの種 (ぷるみえのたね)

薔薇の種。かつて1人の天才にして狂人の男性が、あらゆる知識を使って作り上げた。この種を埋め込まれた者を黒薔薇と呼ぶ。プルミエの薔薇を作った男性が5年前に姿を消したことをきっかけに、黒薔薇と紅薔薇の戦いが始まった。

ビクティム

異形と化した狂気の化け物。その正体は、黒薔薇が体内に有する毒を送りこまれた人間の成れの果てである。力の強い黒薔薇は、ビクティムの意識を完全に操ることもできる。自我を失うほど毒に浸食されてしまうと、元に戻す方法はない。

真紅の薔薇 (くりむぞんろーず)

黒薔薇の突然変異種。体内に紅の薔薇を保有する。荊(いばら)を操る能力を持ちながら、他者の命を食わずに生き、黒点という死に至る病も持たない。具体的にはクローディアのことを指す。プルミエの種を作った男性が失敗作として隠していたが、当時の組織の中には彼女こそが成功作で、黒薔薇の方が失敗作ではないかと勘繰る者もいた。 クローディアに埋め込まれたプルミエの種は、不老不死をもたらすのではないかと噂されている。

漆黒の薔薇 (じぇっとろーず)

黒薔薇のボス。黒薔薇の中でもプルミエの種との適合性が最も高かった者。体に漆黒の薔薇の紋章が刻まれている。ビクティムにした人間の意識を操ることもできる。

(そーん)

プルミエの種保持者と血の契約を交わした魂の共有者。クローディアにとってのヴィルヘルムのこと。荊(ソーン)となった者には、薔薇の恩恵として、人を超えた特別な能力が授けられる。その代わり、プルミエの種保持者が念じるだけで体は灰と化し、プルミエの種保持者が死ぬ時は共に死ぬ。黒薔薇の操る薔薇の荊(いばら)とは読み方が違い、両者はまったく異なる意味を持つ。

隠された研究室 (しーくれっとらぼ)

紅薔薇の本部の屋敷にあるとされる秘密の研究室。プルミエの種の基となる薔薇を作った男性のもの。組織の幹部ですら見たことがない研究資料や秘薬が残されている、と言われている。

死神の鎌 (ですさいず)

隠された研究室にあるという薬。体を麻痺させて黒薔薇や真紅の薔薇の活動を抑え、ジワジワと肉と骨を溶かし、最終的にプルミエの種のみを残すという。黒薔薇が、クローディアの持つプルミエの種を手に入れるために探し求めている。

黒点 (こくてん)

すべての黒薔薇が持つ不治の病。この病があるゆえに、黒薔薇の命は短い。クローディアの持つプルミエの種を研究すれば、それを克服できるのではないかと考えられている。そのため、黒薔薇は死神の鎌を手に入れ、クローディアのプルミエの種を入手しようと企てている。

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