概要・あらすじ
ある日、八麻本アニスは父親の八麻本シュヴァルツからもらったおまもりをなくしてしまう。それを探しているうちに学園の特別書庫にたどり着いたアニスは、そこで魔物と対峙することになる。特別書庫で出会った鳴海イツシとニヌファに導かれるままにロザリオカードを使ったアニスは、薔薇の騎士の一人、緋賀楓を呼び出して窮地をしのぐ。
この時からアニスは、薔薇の騎士の支配者となり、過酷な使命を背負うこととなる。使命に立ち向かうアニスを支えるのは、楓を含む4人の薔薇の騎士たちであった。
登場人物・キャラクター
八麻本 アニス (やまもと あにす)
走るのが速いことが自慢の女子高校生。おまもりのチョーカーを校則違反だと責め立てる風紀委員から逃げ回っているうちに、いつの間にか人並み外れた足の速さを獲得した。元気で、自分より他人のことを大事にする優しさを持つが、少々おばかなところがあり、難しい説明をされると思考回路が停止する。ひょんなことから薔薇の騎士の支配者に選ばれてしまう。
緋賀 楓 (ひが かえで)
八麻本アニスのクラスメイトの男子高校生で口が悪い。薔薇の騎士、赤薔薇で「反手神社当主」と呼ばれる。神社の当主ということで、教会の代表である天上光琉とは何かと反目し合っている。アニスに対して愛情めいたものを抱きながら、薔薇の騎士としての覚醒が他の面々より遅いことを気にして、進んで彼女に愛情を向けようとはしない。 赤薔薇の力による攻撃を得意とし、手のひらから「ロザリオ」という名の剣を出すことができる。
天上 光琉 (てんじょう みつる)
八麻本アニスたちが通う学園の生徒会長を務める男子高校生。薔薇の騎士、白薔薇で「天極教会代表」と呼ばれる。ポエマーでちょっとMな性癖を持ち併せ、アニスに何をされても喜んでしまう。アニスに奉仕することこそが彼の喜びであり、4人の騎士のなかでも自ら進んで彼女に仕えている。白薔薇の力による、回復や防御が得意。蔵間無月を教会の地下の棺桶から出した人物。
浅木 晴嵐 (あさぎ せいらん)
幼い顔が特徴的な男子高校生。薔薇の騎士、青薔薇で「結社の落とし子」と呼ばれる。魔術的組織「結社」が作り出したホムンクルスで、それゆえに自己犠牲も厭わない。彼の能力は錬金術。常日頃から爆破に使うための薬品を持ち歩いているが、青薔薇の力により、さらに強力なものを作り出すことができる。
蔵間 無月 (くらま むつき)
クールでミステリアスな男子高校生。彼に関わると呪われるなど悪い評判が立っているため、あまり人は近寄らない。薔薇の騎士、黒薔薇で「亡族の末裔」と呼ばれている。闇の眷属であり、普段の状態でも跳躍力や体力は人並み外れている。クールだが、支配者である八麻本アニスに対しては、以前に黒薔薇であったヨクトが前支配者に抱いたものと同様の愛情を抱いており、彼女のためなら何をも厭わないという心を持っている。
八麻本 シュヴァルツ (やまもと しゅゔぁるつ)
ここ千年で比類なき全知と言われる、八麻本アニスの父親。元々は魔術的組織「結社」の関係者で、そのつながりから鳴海イツシとも面識がある。贋作の銀薔薇でもある。アニスの母親のことを愛していたが、自身が薔薇の騎士でないことを理由に彼女と引き離され、手元には彼女が託したアニスだけが残された。血は繋がっていないものの、アニスのことをとても愛している。
鳴海 イツシ (なるみ いつし)
魔術的組織「結社」の研究員であり、八麻本アニスたちが通う学園の教師の男性。八麻本シュヴァルツが「結社」にいた頃には親交があり、彼にアニスの敵である自分たち側にこないかと誘われたことがあるが、きっぱりと断っている。温厚で、生徒から人気の高い教師。
ニヌファ
ロザリオカードの守護獣。鳴海イツシと共にいることが多い、おしゃべりな魔物。ロザリオカードが八麻本アニスの手に渡ってからは、彼女らに情報を渡したり、イツシがいるところへの道案内をしたりすることがある。
来生 ハルト (きすぎ はると)
嫉妬を冠する黄薔薇の騎士。その正体は、贋作の金色の薔薇だと判明する。大阪出身の明るく気さくな性質で、八麻本アニスとはアニスが大阪にいた頃の幼なじみ。当初、魔神の封印にアニスの代わりに吸い込まれたと思われたが、その後、台湾に飛ばされていたことが判明する。そして、贋作騎士としてアニスたちの前に立ちはだかることになる。
鈴村 イデル (すずむら いでる)
橙薔薇の贋作騎士。声を使って風圧を作り出し、人を吹き飛ばすほどの力を有する青年。アイドルユニット「RHODECIA」のメンバーで、もう一人のメンバーである蓮崎夜香のことをとても大事に思っている。
蓮崎 夜香 (はすざき やこう)
緑薔薇の贋作騎士。声による催眠能力を使うことができる青年。ただし、催眠能力を使いすぎると自分も催眠にかかってしまう。アイドルユニット「RHODECIA」のメンバーの一人で、穏やかな青年。
柊 みかげ (ひいらぎ みかげ)
贋作騎士たちの支配者の少女。普段は学園で三つ編みをした影のある少女として暮らしているが、支配者として八麻本アニスたちの前に姿を現す時は、ツインテールの髪型に豪奢な服を着ている。アニスと緋賀楓に執着しており、自分がアニスに成り代わって、楓たちを支配したいと考えている。
藤宮 史電 (ふじのみや しでん)
紫薔薇の贋作騎士。水を操る騎士で、柊みかげたるエラを憐れんでいるところもありながら、忠誠を誓っている。ヨクトや他の薔薇の騎士たちがみかげから離れていこうとも、彼だけはみかげのもとから離れることはなかった。
ヨクト
灰薔薇の贋作騎士。蔵間無月の実の兄でありながら、無月よりも見た目は若い。それは、彼が闇の眷属の力を使って目玉から肉体を再生し、まだ完全に再生しきっていないため。本来は無月より背が高い。先代の薔薇騎士、黒薔薇であり、先代の支配者とは恋仲だった。
集団・組織
結社 (けっしゃ)
表向きは魔神を封印するために結成された魔術的組織。支配者と薔薇の騎士の婚姻を続かせ、より良い支配者を生み出そうとしてきた。しかし裏の目的は、魔神を復活させて、魔神の力を手に入れることであった。
RHODECIA (ろーでしあ)
鈴村イデルと蓮崎夜香の2人組の人気アイドルユニット。CDデビューしたてだが、高校生には絶大な人気を誇っている。アイドルの仕事を優先するため、2人そろってあまり学校には登校していない。
場所
リッサの鉄柩 (りっさのてっきゅう)
天上家最深部の研究施設。天上光琉が蔵間無月のホムンクルスを量産していた場所。薔薇の契約を解除して、魔神を手に入れるために、無月の体を素体として使っていた。のちにここに監禁された八麻本アニスを、ホムンクルスたちは代わる代わる助けようとした。
その他キーワード
おまもり
八麻本アニスが身に着けている、薔薇のモチーフが付いたチョーカー。父親である八麻本シュヴァルツからは、おまもりであると同時に、外すと恐ろしい罰が下るとも言われていた。実は、アニスを魔術的組織「結社」や薔薇の騎士から隠し、支配者にさせないでおくために渡されたもの。
騎士服 (きしふく)
魔道具の一種で、薔薇の騎士の力の増幅器。支配者と薔薇の騎士が真の契約を結ぶことで発現する。薔薇の騎士が魔法を使う際には支配者の血を必要とするリスクがあるが、騎士服があれば使用する血液の量を少なくできる。
ロザリオカード
薔薇の騎士たちを呼び出すことのできる、支配者だけが使えるカード。薔薇の騎士に応じてそれぞれ1枚ずつ有り、それらにキスをすることで、薔薇の騎士を呼び出すことができる。今代の支配者である八麻本アニスと、贋作の支配者である柊みかげが所有している。
アルカナカード
魔力を持ったカードで、封印の欠片の力を宿している。現実世界においては異質な存在で、あるだけで周囲にひずみを生み、人や物事を少しずつ狂い惑わせたり、トラブルを誘引する。また、アルカナカードを狙っている勢力は、八麻本アニス率いる薔薇の騎士たち以外にも存在している。
封印の欠片 (ふういんのかけら)
魔神を封印するための封印紋の一部の欠片で、魔神を封印した初代の支配者の魔力の結晶のこと。現在は封印の欠片が方々に散らばっており、アルカナカードの形で現出している。アルカナカードを見つけ、封印の欠片に戻した状態で封印紋にはめ込んでいくことが、今代の支配者たる八麻本アニスの使命。
薔薇の契約 (ろうぜっと)
4人の薔薇の騎士とロザリオカードを用いて、契約を結ぶことを指す。支配者のもとに騎士が4人そろっていない時は、薔薇の騎士候補に対して仮の薔薇の契約をすることも可能で、これにより支配者とつながることができる。
支配者 (どみにおん)
薔薇の騎士たちを束ね、薔薇の騎士たちに命令(オーダー)することができる存在。ただしその代償として、支配者の血を薔薇の騎士たちに提供しなくてはならないため、よく貧血を起こすこととなる。これを緩和するため、八麻本アニスはよく鉄分の入ったドリンクを飲んでいる。
薔薇の騎士 (ろーどないと)
支配者を守るためにロザリオカードから召喚される、騎士のこと。支配者の血がないと「力」の行使ができない。支配者の体内の血を使うため、薔薇の騎士を召喚したり「力」を使わせるたび、支配者が貧血を起こす恐れがある。
真の契約 (しんのけいやく)
支配者と薔薇の騎士が結ぶことによって、薔薇の騎士の本来の力を出せるようにするための契約。真の契約を済ませた薔薇の騎士には階級があり、第一階級、第二階級、第三階級、血婚の順に階級が高くなる。階級が高くなるほど、支配者の血の負担が軽減され、薔薇の騎士の魔力が強くなり、多くの技を使えるようになる。上の階級になるためには、支配者との絆を強める何らかのきっかけが必要。
血婚 (えんげーじ)
薔薇の騎士の誰かと支配者が愛で結ばれることを指す。薔薇の騎士の誰かと支配者が、血を交わすことも同義。薔薇の騎士たち、特に天上光琉は八麻本アニスに好意を抱いており、血婚に強い関心を示している。
贋作騎士 (がんさくきし)
八麻本シュヴァルツによって作られた薔薇の騎士のこと。サンプルとなる人間を素体として使っているため、元々の人間の部分が反発して、副作用を起こすことがある。蓮崎夜香はその副作用で、自分の力に影響されて眠りについてしまった。
贋作支配者 (がんさくしはいしゃ)
柊みかげのことで、八麻本シュヴァルツによって作られた支配者。人工的に作られた支配者のため、自らの薔薇の騎士を有しておらず、贋作騎士を擬似的な薔薇の騎士として扱っている。しかし、本物の薔薇の騎士のような忠誠心は得られていない。
闇の眷属 (だーくすとーかー)
闇の眷族は、魔神の封印を解放し、魔神の力を自分たちに取り戻すことを使命としている一族のことを指す。長寿で身体的能力が高い。その手段は、唯一の薔薇の騎士として、支配者を手に入れること。蔵間無月はその使命に反発しているが、兄であるヨクトは魔神の力を手に入れることに躍起になっている。
ページェント
八麻本アニスたちが通っている学園で行われるパーティーで、創立イヴの日に、生徒会が主催者となって他校の生徒会を招いて行う。参加者には仮装し、ドレスアップすることが求められる。生徒会メンバーのペアが2組欠席してしまったため、アニスたちが急きょ出席することになった。