概要・あらすじ
20XX年、活字離れや森林資源の不足によって起きた本の危機を守るため、「書店法」が成立。しかしこれは大型書店の独占を生みだし、それに対するテロ攻撃や本を巡る犯罪が日に日に増えてしまう。そんな中、文鳥堂書店は「20世紀雑誌展」の開催を決定。武器の携帯を許可された一級書店管理官の紙魚図青春は、イベントで起こり得る凶悪犯罪を防ぐため臨時で雇われたが、そこで彼を待っていたのはとんでもないテロリスト集団たちとの戦いだった。
登場人物・キャラクター
紙魚図 青春 (しみず せいしゅん)
敏腕の一級書店管理官。文鳥堂書店の一大イベント「20世紀雑誌展」の開催に伴い、書店内の犯罪を防ぐため臨時で雇われる。大きいスーツケースにショットガンを入れて持ち歩いている。19年前の幕張事件で左手を失い、ハイブリッド義手をつけている。
高橋 兎男 (たかはし うさぎお)
主人公・紙魚図青春のパートナー。文鳥堂書店警備主任。小太りなメガネの中年男性。19年前に起きた幕張事件で、爆心地にいながら奇跡的に命を取りとめる。その時下半身を失い、腹から下はサイボーグになっている。昔は同人誌に書いていた。
HAL子 (はるこ)
主人公・紙魚図青春の戦友。文鳥堂書店地下三階にある朗読バーのホステス。元は社長天地山冬木の遊び相手として作られたアンドロイドだが、すぐに飽きられてしまい、ロボットサーカスに売られそうになったところを高橋兎男に拾われた。紙魚図に協力してテロと戦う。
犬田 (いぬた)
文鳥堂書店のコントロールルームを一人で管理する女性オペレーター。他人からはベテランといわれているが、常に居眠りしている。テロリスト・安倍川一駿仁に追い詰められ屋上から転落死をとげる。
安原 (やすはら)
文鳥堂書店保安部長。先代社長の代からの唯一の生き残り。真面目で注意深い性格。書店で起きたゴンザレス島田による盗読事件は、テロリストたちのカモフラージュに過ぎないと社長に伝え、「20世紀雑誌展」の延期を願い出る。
安倍川 一駿仁 (あべかわ いっしゅんじん)
文鳥堂書店を襲ったテロリスト集団の中心的存在。ヤミ本ブローカーとして知られている。19年前に起きた幕張事件の犯人。かつて愛していた女性が紙魚図青春の恋人であり、その事で紙魚図にも因縁がある。
客家 一起 (はっか いっき)
文鳥堂書店を襲ったテロリスト集団のひとり。天才ハッカーとして悪名高い。おしゃぶりをくわえており、語尾に「ポ」とつけて話す。実の父は、文鳥堂書店の制御コンピューター、ミス・クリスチーナを開発した人物。
ブラック大尉 (ぶらっくたいい)
文鳥堂書店を襲ったテロリスト集団のひとり。おたく狩り専門の傭兵で、書店側に非合法で雇われることもある。まっ黒すぎて顔を認識できないほど。言葉を発さず、ひたすら銃を撃つ。
バッキー田中 (ばっきーたなか)
文鳥堂書店を襲ったテロリスト集団のひとり。本を崇める拝本教の原理派。他のテロリストと違い、本を傷つけるような爆弾やショットガンなどは使用せず、拳銃のみを持参している。「イイイイ」が口癖。
普安 吾郎 (ふあん ごろう)
文鳥堂書店を襲ったテロリスト集団のひとり。通称「大会屋」。書店関係のイベント・ゴロ。一時的に手を組んだ安倍川一駿仁が、他のメンバーに命令口調をきくのが許せず反発する。あくまで単独行動を取ろうとする。
天地山 冬木 (てんちやま ふゆき)
文鳥堂書店社長。体と全く違う動きをする影を持つ。自然破壊を危惧する民衆の反対デモにも関わらず、「20世紀雑誌展」を強行しようとする。
警部補 (けいぶほ)
牛曲署の警部補。立派な口髭をもつ紳士。19年前の幕張事件を防げなかった事を後悔しており、仕事に対する責任感や情熱が強い。文鳥堂書店前で女性の死体が発見されたと通報を受け駆けつけるが、到着した頃には既にテロリストは全員紙魚図青春によって始末された後だった。
霊能者 (れいのうしゃ)
文鳥堂書店のテレパス探査室の担当者。超能力を使って主人公・紙魚図青春に力を貸す。無くした物を引き寄せたり、透視が出来る能力を持つ。昔はJRの車掌をしていた。
ゴンザレス島田 (ごんざれすしまだ)
21歳で無職。浮浪者のような小汚い格好をしている。書店における立ち読み、盗み読みの常習犯。「20世紀雑誌展」の前日、本を音読して録音しているところを紙魚図青春に確保される。しかし実は、安倍川一駿仁たちが書店に罠を仕掛けるためのカモフラージュに過ぎなかった。
イベント・出来事
幕張事件 (まくはりじけん)
『DAI-HONYA』で起こった事件。19年前、幕張のコミケ会場で起きた爆破テロ事件。主人公・紙魚図青春は爆破に巻き込まれ左手を失うが、恋人はその時亡くなってしまった。犯人は、文鳥堂書店を襲ったテロリスト安倍川一駿仁であることが後に判明した。
場所
株式会社文鳥堂書店 (かぶしきがいしゃぶんちょうどうしょてん)
犬追者町3丁目に存在する。200階まである超巨大書店で、販売する書籍の数は5億冊を超える。
その他キーワード
ミス・クリスチーナ
『DAI-HONYA』に登場するコンピューターの名前。文鳥堂書店の設備、商品管理、警備などを全て管理する巨大コンピューター。この名前は職員たちから付けられたもの。店閉店後は犬田に代わり、クリスチーナによってビル全体が管理される。本体は200階のコントロールルームの奥にあり、人格モデルである外人風の女性がコントロールルームの画面に映る。