医師専門の転職仲介業「Dr.コネクト」
鳴木金成が経営する「Dr.コネクト」は、医師の転職斡旋を専門とする仲介業者だ。事務所には、現在の職場に不満や不安を抱えている医師や、家庭の事情で仕事を続けるのが難しい医師たちが訪れる。鳴木は、彼らのために高収入の仕事を斡旋したり、労働環境の改善が期待できる職場を紹介したりと、的確なアドバイスを送っている。その後も、医師としての経験や豊富な人脈、そして卓越した知識と交渉力を活かし、依頼者の転職を次々と成功へと導いていく。
鳴木を巡る対立劇
鳴木と夜長のもとには、さまざまな事情を抱えた医療従事者たちが訪れる。例えば、多額のローン返済のために年収2000万円を必要とする鳴木の後輩、葛葉圭祐や、激務のため夫婦の時間がほとんど取れず、心身共に疲弊している安楽悠人。彼らが求めているのは、通常の転職活動では到底実現不可能なほどの処遇改善だった。しかし鳴木は、誰もが無理だと匙(さじ)を投げるような難題をいとも簡単に解決し、着実に信頼と実績を積み重ねていく。一方で、鳴木の傍若無人な態度や、時には非倫理的ともいえる強引なやり方に反感を抱く者は少なくない。特に、かつて鳴木と因縁のあった石上道徳や、その姪で労働基準監督署職員の北見まもりは、彼に強い敵意を燃やし、鳴木を失脚させる機会を虎視眈々(たんたん)と狙っていた。
医療過誤と家族の絆
鳴木が医師を辞めて「Dr.コネクト」を立ち上げた背景には、父親の鐘丘将成と、今も寝たきりの女性、銅坂麻衣の存在があった。かつて父親の鐘丘は銅坂の手術を担当したが、その際に医療過誤が起き、銅坂は昏睡状態に陥ってしまう。さらに、鐘丘が勤務していた極東大学病院は1年間沈黙を続けたあとに会見を開いたものの、医療過誤を認めなかった。その結果、世間の非難は執刀医である鐘丘に集中し、彼は心ない言葉に耐えきれず、自ら命を絶ってしまう。石上は鐘丘の死後、金銭目的で医師の立場すら捨てた無責任な鳴木を激しく非難する。しかし、鳴木は銅坂のことを気にかけており、彼が莫大なお金を必要としているのは彼女を救うためでもある。さらに鳴木は、鐘丘が医療過誤を犯したという公式見解に強い疑念を抱き、その事件の真相を明らかにしようとしている。
登場人物・キャラクター
鳴木 金成 (なるき かねなり)
転職仲介業「Dr.コネクト」の代表を務める男性。年齢は34歳。両親は離婚しており、現在は母親の姓である「鳴木」を名乗っている。文武両道の天才肌で、高校時代には後輩の葛葉圭祐に対し、「将来はプロ野球選手か医者になる」と何気なく呟き、実際にプロ野球のドラフト指名を受けた。しかし、思ったほど収入がよくないという理由でドラフトを辞退し、医師の道へ進んだ。その後、「もっと稼げる職場を見つけた」として医師も辞め、医療専門の転職仲介業を立ち上げた。大胆不敵でありながらも慇懃(いんぎん)無礼な性格で、誰も口にしない本音をはっきりと言うため、周囲から反感を買うことも多いが、その正直さを信頼する人も少なくない。また、周囲を振り回し、悪人には容赦なく裁きを下す一方で、改心した者には手を差し伸べる優しさも持ち合わせている。口癖は「だが私なら可能だ」で、絶対に不可能と思える困難に直面した際によく口にしている。
夜長 亜季 (よなが あき)
転職仲介業「Dr.コネクト」で事務員を務める女性。年齢は24歳。かつては鳴木と同じ病院に勤務していたが、上司からのセクシャルハラスメントに遭った際、鳴木に助けられたことがきっかけでヘッドハンティングされ、「Dr.コネクト」で働くことになった。少女漫画が大好きで、以前は裕福で頼りがいのある男性との出会いを夢見ていたが、現在は仕事や自身の成長に生きがいを感じている。鳴木の、どんな状況でもひるまない強さと豪胆さにあこがれる一方で、彼の腹黒さや裏表の激しさには呆れている。しかし、夜長自身も要領のよさや腹黒さでは鳴木に引けを取らず、その点を鳴木からも高く評価されている。
クレジット
- 原作
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逆津 ツカサ
書誌情報
DOCTOR PRICE 4巻 双葉社〈アクションコミックス〉
第1巻
(2023-03-28発行、978-4575858259)
第2巻
(2023-07-27発行、978-4575858631)
第3巻
(2023-12-27発行、978-4575859232)
第4巻
(2025-06-26発行、978-4575861075)







