作品の概要
基本情報
菊地昭夫の代表作の一つ。
要旨と舞台設定
現代日本を舞台に、内科医の青年、八雲をはじめとする災害派遣医療チーム、通称「DMAT」の活動を描いた物語。大規模災害や事故現場での医療活動が物語の中心となっており、医療資源や時間が限られた過酷な状況下で、一人でも多くの命を救うべく奮闘する医療従事者たちの姿が描かれる。
ストーリー展開
有栖川総合病院の内科医、八雲は血を見るのが苦手だったが、院長、伊勢崎の命令により、災害派遣医療チーム「DMAT」に派遣されてしまう。自分には無理だと苦悩する八雲だったが、交通事故や火災、地震などさまざまな災害現場で極限状態での医療活動に従事するうちに、医師としての使命感を強めていく。そして、一人でも多くの命を救うべく、消防士の桜庭や看護師長、長谷川と共に、極限状態での医療活動を展開する。
ジャンル的特徴と位置づけ
本作は、災害医療をテーマとした医療漫画。DMATの組織体制やトリアージの実施方法、災害現場の医療機器の運用は、いずれも実際の災害医療に基づいており、医学的な専門知識や災害対応の実務を融合させた描写が特徴となっている。
作品固有の表現技法と特徴
作中では、災害現場の緊迫感を表現するため、時間経過を明示する演出や医療用語の詳細な説明が用いられている。さらに、患者の症状や治療過程を図解で視覚的に示す手法も多用されており、読者が理解しやすい構成となっている。
世界観の構築と設定
本作におけるDMATの法的位置づけや医療機関の連携システムは、日本の災害医療体制を踏まえたものになっており、厚生労働省による災害医療政策や都道府県レベルでの医療機関の役割分担など、実際の制度に基づいて物語が展開される。また、東日本大震災をはじめとする実際の災害事例も作品の背景に反映されている。
連載状況
集英社「スーパージャンプ」2011年1号から2011年21・22合併号まで連載。その後、同社「グランドジャンプPREMIUM」VOL.1(2011年12月21日)からVOL.21(2013年08月28日)まで連載されたのち、「グランドジャンプ」本誌2013年12月4日号から同誌Web版の2016年2月17日号まで連載。
メディアミックス情報
テレビドラマ
『Dr.DMAT』:2014年1月から3月までTBS系列の「木曜ドラマ劇場」枠で放送。
あらすじ
血を見るのが苦手で内科を希望した医師・八雲響は、柔らかい物腰と鋭い観察眼で、患者からの人気を集めていた。そんな彼はある日、院長の伊勢崎の命令で、災害派遣医療チーム・東京DMATとして現場に行くよう言いつけられてしまう。凄惨な現場に、思わず足が竦んでしまう八雲だが、気を取り直すと冷静な指示と即興医学(インプロビゼーション)で多くの怪我人を救い、優秀なDMAT隊員としての片鱗を見せた。
その後、身近な人を救えずに落ち込む八雲は、救急(ER)の研修を受け更に成長していく。様々な現場を通し、仲間との絆を深めていく八雲。やがて、妹の春子が知人で消防士の桜庭周作と結婚し、子供も授かる。
そんな忙しいながらも幸せな日々を過ごしていたが、突如、首都直下型地震が東京を襲うのだった。
登場人物・キャラクター
八雲 響 (やくも ひびき)
柔らかな物腰と鋭い観察力で患者から人気の高い有栖川病院の内科医。両親を地震でなくし、妹の八雲春子のリストカット現場を見てしまったことにより、事故や血に対して恐怖感を持っている。看護師長・長谷川久美子の推薦を受けた院長の伊勢崎の命令により、東京DMATの隊員となる。 当初は凄惨な現場を直視できなかったものの、次第に冷静な判断力と即興医療技術によって頭角を現していく。
八雲 春子 (やくも はるこ)
八雲響の妹であり、都内にある24時間営業の保育園で働いている。響とは仲が良く、度々兄の家に泊まりにくるほど。料理の腕はあまり良くない。消防士の桜庭周作に一目ぼれされ、プロポーズの末に結婚、一人息子を生む。過去に、つまらない男の子供を堕胎した後、自殺を図ったことがある。
桜庭 周作 (さくらば しゅうさく)
消防庁第三方面救助機動部隊第一小隊隊長を務める、経験豊富なレスキューレンジャー。強面で、自他ともに厳しい性格。最初こそ凄惨な現場に慌てる八雲響に落胆するも、立ち直った後は的確で大胆な緊急医療を施す彼に期待をかけるようになる。響の妹とは知らず、八雲春子に恋をし、プロポーズの後におめでた婚を果たす。
吉岡 凛 (よしおか りん)
八雲響、春子兄妹の幼馴染。可愛らしい容姿をした女性だが、芯のしっかりとした性格。職業は看護師であり、後に東京DMAT・八雲チームに所属。的確なサポートで八雲をしっかりと支える存在であり、一人で悩みを抱えがちな彼のよき理解者でもある。
伊勢崎 紅美 (いせざき くみ)
有栖川病院院長・伊勢崎の娘であり、アメリカで研究をしてきた脳外科医。東京DMATの強化のため、伊勢崎により帰国させられた。医者として確かな腕をもつものの、高飛車で自尊心が人一倍強い性格の持ち主でもある。髪をまとめるヒョウ柄の大きいリボンがトレードマーク。 八雲響のことは、当初冴えないキモメガネと見下していたが、彼の真剣なところや眼鏡を外した姿にいつしか恋心を覚えていく。
村上 (むらかみ)
有栖川病院の外科医。飄々とした性格の持ち主であり、合コンに積極的に参加するなど一見軽薄な人物だが、医師としての腕は確か。八雲響にとって救急の先輩であり、彼に様々な基礎知識を教える。
伊勢崎 (いせざき)
有栖川病院の院長。東京DMAT立ち上げ人の一人であり、首都直下型地震に備えるため、院内改革を強引に進めている。八雲響のことは、当初期待しておらず、看護師長・長谷川久美子の提案に従い東京DMATに配属させただけだったが、急激に成長していく八雲に信頼を置くようになる。 消防士の桜庭周作とは旧知の仲で、甘党仲間でもある。武道を嗜んでいる。
花田 大吉朗 (はなやまだ だいきちろう)
東京DMAT・八雲班の後方支援・ロジスティックスとして活動する男性。やや太めの体型をしており、柔和な顔つきと温厚な性格の持ち主。医療には詳しくないが、数々の資格を持つ資格マニアでもある。八雲班配属当初は保身的な言動があったが、その後八雲響に影響を受け積極的に救助に向かうようになる。
長谷川 久美子 (はせがわ くみこ)
有栖川病院の看護師長であり、東京DMATにも所属している女性。八雲響のことを評価しており、彼をDMATに推薦する。昔、ボランティア医師としてアフリカに渡ったことがあり、そこで恋に落ちたアメリカ人ジャーナリストとの間に子供がいる。
水野 幸子 (みずの さちこ)
有栖川病院に勤める女性看護師兼、東京DMAT隊員。そばかすが特徴的。若いながらも腕は確かであり、DMAT所属したての八雲響を長きにわたってサポートする。
仏原 裕次郎 (ほとはら ゆうじろう)
有栖川病院・副委員長兼、内科部長を務める肥満気味の男性。柔和な顔つきと医者として優れた腕を持つことから、「内科のブッダハンド」の異名を持っており、八雲響の憧れの的。院長の伊勢崎とは旧知の仲だが、彼からは腹の底が見えない、タヌキのような存在だと思われている。
相沢 みき (あいざわ みき)
有栖川病院に勤める若き女性看護師。整った容姿と明るい性格の持ち主であり、異性からの人気が高い。長くなりがちな八雲響の診察にもしっかり付き合うなど、心優しいところもある。
中島 山月 (なかじま さんげつ)
首都直下型地震の後、東京DMATに所属した男性看護師。飄々として、間が悪い所もあるが看護師としての腕は確か。震災の際に現代医療の現状に疑問を抱いており、迅速な救急で有名な八雲響に憧れを抱いている。しかし、時に非常な判断を下す八雲と対立してしまう。 両親がいない孤児であり、寺で育てられた経歴がある。
集団・組織
東京DMAT (とうきょうでぃーまっと)
『Dr.DMAT〜瓦礫の下のヒポクラテス〜』に登場する組織。八雲響らが所属している、災害時の現場医療に関するスペシャリスト。東京都のDisaster Medical Asistance Teamの頭文字を取ってこう呼ばれる。有栖川病院院長・伊勢崎らが発起人となり、2004年に設立された。実際に存在する組織であり、日本で最初に設立されたDMATでもある。
クレジット
- 原作
書誌情報
Dr. DMAT : 瓦礫の下のヒポクラテス 7巻 集英社〈ジャンプ・コミックスデラックス・GJ〉
第3巻
(2012-06-01発行、978-4088587905)
第4巻
(2012-11-01発行、978-4088587974)
第5巻
(2013-05-01発行、978-4088588025)
第6巻
(2013-12-01発行、978-4088588056)
第7巻
(2014-06-01発行、978-4088588094)
Dr.DMAT : 瓦礫の下のヒポクラテス 11巻 集英社〈ジャンプコミックスデラックス・GJ〉
第8巻
(2014-11-01発行、978-4088588117)
第9巻
(2015-05-01発行、978-4088588131)
第10巻
(2015-10-01発行、978-4088588155)
第11巻
(2016-04-01発行、978-4088588179)
Dr.DMAT : 瓦礫の下のヒポクラテス 1巻 集英社〈ジャンプ・コミックスデラックス〉
第1巻
(2011-06-01発行、978-4088598871)







