概要・あらすじ
長い間無医村状態であった古志木島に、ある日ワケあり天才外科医五島健助が赴任してくる。高度な医療機器はおろか採血台さえもない診療所で、唯一の看護婦である星野彩佳と共に診療所をスタートさせるも、一向に患者が訪れる気配はない。この島の人々は医者をまるで信頼しておらず、早くも大きな壁にぶつかってしまう五島。
そんな中一人の少年が激しい腹痛を訴え、事態は大きく変わっていく。
登場人物・キャラクター
五島 健助 (ごとう けんすけ)
天津堂大学付属病院で敏腕外科医として活躍していたが、ある日研修医の起こした医療ミスの責任を取らされ病院を追われてしまう。古志木島には自らの希望でやってきた。医者は自分だけという厳しい環境の中で、以前にも増して命の重みを知ることとなる。ボンヤリして頼りない見た目からは想像できないが、高度な医療技術や強靭な意志力を併せ持っている。 年下の看護婦星野には頭が上がらず、医師の不養生をいつも叱られている。モデルとなったのは、鹿児島県下甑島で長年僻地医療に携わっている瀬戸上健二郎氏。
星野 彩佳 (ほしの あやか)
コトーの助手を務める優秀な看護婦。本土の看護学校を卒業し古志木島に戻って来て以来、診療所に来る医師は皆長続きせず、コトーのことも初めは期待していなかった。しかし、執刀する姿や患者と向き合う姿勢に心を打たれ徐々に意識するようになる。コトーの近くで高度な診療を見ているから故、自分の能力の限界を痛感しており、自らも医者になる決意をする。 慌ただしくも幸せな日々を送っていた星野は、ある日胸のシコリに気づく。
原 剛利 (はら たけとし)
コトーを最初に信用した島民。誤診で妻を亡くして以来、島に来る医師に対し強い反発心を持っていた。しかし、息子タケヒロが盲腸で危ない所を、本土に向かう船の上でコトーに助けてもらってからは、全幅の信頼を寄せている。漁師仲間の間では多少浮いた存在だが、その腕の良さは誰もが認めている。 義理堅く一本筋の通った性格。
原 健裕 (はら たけひろ)
コトーが島に来て初めに救った患者。小学生ながら空気を読んだり気を遣ったりするタイプで、同級生たちには弱虫だと思われていた。コトーに命を救ってもらったことで、自分も将来は医師を志す事を決める。唯一の家族である父剛利を尊敬しているが、話しにくい悩みや相談などはコトーに打ち明けている。
安藤 重男 (あんどう しげお)
コトーに何かとちょっかいを出したがる島の漁労長。噂話にはすぐ飛びつき、儲け話があれば一番乗りをたくらむが、結局いつも損をして終わる愛されキャラ。お調子者で所構わず無神経な発言をするため、看護婦である星野にいつも怒鳴られている。仲間に対する情は深い。
内つる子 (うちつるこ)
コトーの診療所を支える老人。島に来る医者たちを一切信じず、島民たちには薬の代わりに自家製煎じ薬を振舞っていた。しかし、命の危ない所をコトーに助けてもらって以来、人手不足の診療所を手伝っている。自称産婆歴50年のベテランで、これまでも多くの赤ん坊を取りだしてきた。 特に島の女性たちからの人望が厚い。
巽謙司 (たつみけんじ)
コトーに復讐を誓い追いかける週刊誌記者。妹の死はコトーの治療放棄によるものだと言い張っており、古志木島までコトーを失脚させにやってくる。しかし、土砂崩れに巻き込まれた自分や子供たちを、危険を顧みず治療する彼を目の当たりにしてしまい動揺する。復讐を思い留まり東京に戻ってからは、今までとは打って変わりコトーの活躍を記事にするようになる。
江葉 都怜 (えば とれい)
コトーの最大のライバルであり良き同志。コトーが北海道でのシンポジウムに向かう際、乗っていた飛行機で共に急病患者を助けた事が出会いのきっかけ。コトーの腕に絶対の信頼を置いていながら、医者としてのスタンスが違うと主張し何度となく対立する。幼い頃に受けた虐待で心に重度の闇を抱えており、一時はアルコール中毒で廃人同様まで落ちぶれてしまう。 しかし根気強く治療に当たったコトーの計らいによって、とある離島の診療所に再就職が決まる。人を寄せ付けない冷酷なオーラを放っていながら、やさしさも併せ持つ。
三上 新一 (みかみ しんいち)
コトーを師として尊敬する若き医師。コトーが務めていた大学付属病院の研修医で、プレッシャーから急患の治療を投げ出し死なせてしまう。以来、自分に患者を任せ他の治療に当たっていたコトーをずっと憎んできた。しかし、事故の責任を取らされ第一線を退いても、三上を責めることなく辺境の地で更に腕をあげているコトーに、自分の小さを思い知る。 いつの間にか目標の人として尊敬するようになり、自らも志願して離島に赴任することとなる。
芦田 ゆき (あしだ ゆき)
コトーに憧れる新米医師。辺境の地で、私利私欲に関わらず医師としての使命を果たしているコトーを心から尊敬している。自分も診療所で働かせてくれるよう強引に頼むが、コトーの勧めもあって再度アメリカ留学を決める。最先端の医療技術を身に着け帰国した芦田は、後に感染病でパニックになった島のピンチに駆けつける。 星野彩佳とはコトーをめぐって時々女の争いをする。
宮澤 邦夫 (みやざわ くにひお)
コトーを慕う島の子供。登場時は小学生。同学年の中でも人一倍正義感が強く、男っ気溢れる性格。突然現れた雑誌の記者にコトーが良からぬ噂を流されたときも、仲間を率いて抗議しに行くなど怖いもの知らず。同級生で親友のタケヒロとは、同じ相手を好きなってしまうも自ら身を引き応援に回る。 将来はタケヒロの父のような立派な漁師になりたいと思っている。
古川 公平 (ふるかわ こうけい)
コトーがやってくる来る40年以上も前に、島の診療所で医師をしていた男。末期癌を患っており、医者としての出発地点である古志木島を死に場所に決め戻ってきた。彼が昔石碑に刻んだ言葉は、コトーの医師人生における座右の銘となっている。
重野 秀之 (しげのひ でゆき)
島を訪れた際コトーの手術で命を救われる。幼い時に古志木島に住んいたことがある。海に溺れた自分を助けようとした父親と少年が亡くなってしまい、心に大きな闇を隠し持つ。大人になって島にリゾート開発プロジェクトを持ち込むが、そこには恐ろしい目的があった。
和田 範武 (わだ のりたけ)
コトーの患者の一人。島で小学校の校務員をするぱっとしない中年男。無類の猫好きで、猫を見つけては自分の家に招き入れている。たらこ口でパーマ頭という容姿をよくイジラれているが、お見合いで出会った女子大学生と結婚する事になり、たちまち勝ち組となる。
星野 正一 (ほしの しょういち)
コトーの元で働く看護婦星野彩佳の父親。幼い彩佳と妻を島に残し、若い女と駆け落ちして以来島には戻っていない。末期がんである事を耳にした娘と数十年振りの再開を果たし、コトーの診療所に連れてこられる。もって半年と言われた癌が奇跡的に完治し、彩佳の家で一緒に住むこととなる。
下山 恵美 (しもやま えみ)
コトーの診療所で働く看護婦。本土で務めていた病院で、ベテラン看護婦のミスを押し付けられ退職。村長である叔父のツテで診療所にやってくるも、同僚に対する不信感が消えず、わざと医療ミスを起こして看護婦の星野に罪をを擦り付けようとする。コトーの厳しい言葉を受け立ち直る道を選び、介護士という新しい夢も見つける。
場所
古志木島 (こしきじま)
大学付属病院を辞めたコトーが、診療所を開くためにやって来た島。本土までは船で片道6時間の孤島。人口は千人程で漁業が盛ん。
北志木島
『Dr.コトー診療所』に登場する島。コトーの診療所がある古志木島から船で3時間の場所にある。両島は漁獲量の違いから長い間絶縁関係にあったが、漁労長の娘をコトーが手術で助けたのをきっかけに、友好関係が戻っていく。
書誌情報
Dr.コトー診療所 14巻 小学館〈コミック文庫(青年)〉
第1巻
(2013-04-13発行、 978-4091962713)
第2巻
(2013-05-15発行、 978-4091962720)
第3巻
(2013-06-15発行、 978-4091962737)
第4巻
(2013-07-13発行、 978-4091962744)
第5巻
(2013-08-10発行、 978-4091962751)
第6巻
(2013-09-14発行、 978-4091962768)
第7巻
(2013-10-12発行、 978-4091962775)
第8巻
(2013-11-15発行、 978-4091962782)
第9巻
(2013-12-14発行、 978-4091962799)
第10巻
(2014-01-15発行、 978-4091962805)
第11巻
(2014-02-15発行、 978-4091962812)
第12巻
(2014-03-15発行、 978-4091962829)
第13巻
(2014-04-15発行、 978-4091962836)
第14巻
(2014-05-15発行、 978-4091962843)