Fate/Apocrypha

Fate/Apocrypha

東出祐一郎の同名小説のコミカライズ作品で、『Fate/stay night』にはじまる一連の「Fate」シリーズ構成作品の一つ。それぞれ7騎ずつのサーヴァントを擁する、二つの魔術勢力の激突によって発生した、大規模な聖杯大戦の模様を描くバトルアクション。

正式名称
Fate/Apocrypha
ふりがな
ふぇいと あぽくりふぁ
原作者
東出 祐一郎
原作者
TYPE-MOON
作者
ジャンル
バトル
レーベル
角川コミックス・エース(KADOKAWA)
巻数
全16巻完結
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あらすじ

第1巻

ユグドミレニア家の魔術師であるダーニック・プレストーン・ユグドミレニアは、冬木の大聖杯と呼ばれる聖杯を手中に収め、ルーマニアの地において魔術協会に対し反旗を翻した。ユグドミレニア家の名に連なる五人の魔術師を仲間に加えたダーニックは、サーヴァント召喚の儀式を行い、アサシンを除いた六騎のサーヴァントを陣中に加えて、“黒”の陣営を結成する。一方、魔術協会はこれを討伐するために魔術師達を集め、“赤”の陣営を結成し、7騎のサーヴァントを陣中に加えた。そしてもう一人、この異形の聖杯大戦を監督するために「ジャンヌ・ダルク」が受肉してルーラーとして顕現、ここに総勢十数騎のサーヴァントが二つの陣営に分かれて闘争を繰り広げる新たな聖杯戦争が幕を開けた。

第2巻

“黒”の陣営の面々は真名の開示を含めた自己紹介を行っていた。そこに“赤”のランサーが、ルーラーを襲撃したという急報が入る。ゴルド・ムジーク・ユグドミレニアはルーラーとの共闘を期待して“黒”のセイバーを伴って現場に急行したが、ルーラーは自分は中立であるという態度を崩さず、“黒”のセイバーと“赤”のランサーは一対一でこの聖杯戦争の緒戦を戦う事になる。結局、この戦いは痛み分けで終わった。一方、獅子劫界離“赤”のセイバー“黒”の陣営の襲撃を受け、これを撃退する。これもまた小手調べの戦いであり、“黒”の陣営の目的は“赤”のセイバーの実力がどの程度であるかを分析する事であった。“赤”のセイバーが強力なのは当然の事であるとして、界離もまたその個人戦闘能力の高さを敵味方から賞讃される。そんな中、“黒”の陣営のホムンクルス(ジーク)は逃走を図り、“黒”のライダーに遭遇する。

第3巻

日本では、“黒”のアサシンが活動を開始し、ルーマニアに向けて移動を開始した。また騎士道精神からホムンクルス(ジーク)を助けた“黒”のライダーは、医術の心得を持っている“黒”のアーチャーに協力を求める。“黒”のアーチャーはジークに対し、使い捨てのホムンクルスとして作られたその命は、余命3年である事実を告げる。“赤”のバーサーカーは何の工作もなく策略もなく“黒”の陣営の本部に単騎で突撃し、これを好機と見たダーニック・プレストーン・ユグドミレニアは、“赤”のバーサーカーを討つのではなく、捕獲するための計画を練り始めた。“赤”の陣営のほかのサーヴァントが止めても突撃を続けた“赤”のバーサーカーは、結局“黒”のライダーの宝具と“黒”のランサーの力によって捕獲される事となる。一方、“赤”のライダーは謎の不死性によって大いに敵を苦戦させるが、“黒”のアーチャーの攻撃によって手傷を追い、撤退に追い込まれる。そして戦闘の混乱の最中、ジークは“黒”のライダーに手を引かれて逃走する事になった。

第4巻

逃走したホムンクルス(ジーク)と“黒”のライダーは、ゴルド・ムジーク・ユグドミレニア“黒”のセイバーに追いつかれてしまう。ゴルドはジークを半殺しの目に遭わせるが、自らの騎士道精神のもと、それを見かねた“黒”のセイバーはゴルドを裏切って失神させ、自らの心臓を捧げてジークを蘇らせ、そして聖杯戦争から脱落、消滅する。その後、ジークは“黒”のセイバーの真名の一部を取って「ジーク」を名乗る事にし、旅に出た。一方、ルーラーは“黒”のセイバーが戦闘外の状況で脱落するという異変に対して思うところがあり、その仔細について調査を開始する。そしてルーラーはジークと出会い、ジークから「自分と同じホムンクルス達を助けたい」という願いを聞いて、ジークと行動をともにするようになった。一方、“黒”のアサシンはルーマニアの首都まで到来し、そこで「魂喰い」のための連続殺人事件を起こしていた。

第5巻

シロウ・コトミネの謎の力によってあやつられた獅子劫界離を除く“赤”の陣営の五人の魔術師達は、シロウによって令呪を奪われてしまった。界離は“赤”のセイバーと共に、「魂喰い」を繰り返す“黒”のアサシンと遭遇し、開戦する。“赤”のセイバーが有利に戦いを展開し、“黒”のアサシンは撤退した。その直後、今度は“黒”のアーチャー“赤”のセイバーを襲撃する。弓術に優れるだけでなく体術まで使いこなす“黒”のアーチャーの前に、“赤”のセイバーは苦戦を強いられた。また、マスターである界離とフィオレ・フォルヴェッジ・ユグドミレニアも戦闘に突入した。この戦いも結果痛み分けに終わり、フィオレと“黒”のアーチャーは撤退した。その後、“赤”の陣営は“赤”のアサシンの宝具「虚栄の空中庭園(ハンギング・ガーデンズ・オブ・バビロン)」によって正面から“黒”の陣営の領域に突入し、これまでにない戦いが幕を開けようとしていた。

メディアミックス

小説

TYPE-MOONによる全5巻の小説『Fate/Apocrypha』が本作品の直接的な原作にあたる。著者は東出祐一郎、イラストは近衛乙嗣が担当している。2012年から2014年にかけ、TYPE-MOON BOOKSから刊行された。

TVアニメ

本作『Fate/Apocrypha』の原作小説版は、TVアニメ化され2017年の7月からTOKYO MXほかで放映されている。監督は浅井義之、アニメーション制作はA-1 Pictures。ジークを花江夏樹が、ルーラーを坂本真綾が演じている。

登場人物・キャラクター

ジーク

ユグドミレニア家によって造られた魔力供給用のホムンクルス。青年の姿をしている。本来、使い捨てのホムンクルスであるため、3年程度しか生きられない命であった。“黒”のライダーの手引きで脱走したあと、ゴルド・ムジーク・ユグドミレニアに捕えられ、瀕死の重傷を負わされるが、“黒”のセイバーから心臓を与えられて蘇る。 その後、ルーラーと行動を共にしている。

ルーラー

聖杯戦争の審判を務めるルーラーという特殊なクラスのサーヴァント。真名は「ジャンヌ・ダルク」で、その素性はフランスの国民的なヒロイン。若い女性の姿をしている。“黒”の陣営、“赤”の陣営のいずれにも与せず、またいずれの陣営からの助力も拒み、徹底的な中立を貫いている。すべてのサーヴァントの真名を把握するなど、さまざまな特殊能力を持つ。

ダーニック・プレストーン・ユグドミレニア (だーにっくぷれすとーんゆぐどみれにあ)

ユグドミレニア一族の長である魔術師。見た目は青年のようだが、実際には100歳近い年齢である。もともと魔術協会の一員であったが、大聖杯を手に入れ、自らの野望のために反旗を翻す。魔術師としての才能より政治力に長けたタイプであり、ユグドミレニア家を再興したのは彼の手腕の賜物。“黒”のランサーと契約している。

ゴルド・ムジーク・ユグドミレニア (ごるどむじーくゆぐどみれにあ)

ユグドミレニア一族の魔術師。中年男性の姿をしている。ホムンクルスの製造に長けたムジーク家はの出身で、その事からユグドミレニア一族の中でも高い発言権を有している。しかし、人間的には傲慢で浅薄な男である事から人望はない。“黒”のセイバーと契約している。

ロシェ・フレイン・ユグドミレニア (ろしぇふれいんゆぐどみれにあ)

ユグドミレニア一族の魔術師。少年の姿をしている。“黒”のキャスターと契約していて、お互いがゴーレム作りを得意としている関係上、自分より高い技能を持つ“黒”のキャスターを「先生」と呼んで慕っている。

セレニケ・アイスコル・ユグドミレニア (せれにけあいすこるゆぐどみれにあ)

ユグドミレニア一族の魔術師。若い女性の姿をしている。“黒”のライダーと契約している。サディスティックな性格で、“黒”のライダーの美しさに執着し、強引に性的関係を持っている。“黒”のライダーが執心しているジークに嫉妬し、彼の殺害を企てる。

カウレス・フォルヴェッジ・ユグドミレニア (かうれすふぉるゔぇっじゆぐどみれにあ)

ユグドミレニア一族の魔術師。フィオレ・フォルヴェッジ・ユグドミレニアの弟。魔術師にしては珍しく、お人好しな性格で、自らのサーヴァントに対しても優しい態度を取り、あまり戦いを好まない。“黒”のバーサーカーと契約している。

フィオレ・フォルヴェッジ・ユグドミレニア (ふぃおれふぉるゔぇっじゆぐどみれにあ)

ユグドミレニア一族の一員である魔術師。カウレス・フォルヴェッジ・ユグドミレニアの姉。外見は車椅子に乗った少女の姿をしている。足が不自由なのは魔術回路の変質によるもので、魔術師をやめれば歩けるようになるのだが、魔術師である事と足を治す事を聖杯への願いとし、聖杯戦争に参加する。“黒”のアーチャーと契約している。

六導 玲霞 (りくどう れいか)

“黒”のアサシンのマスターである若い女性。魔術師ではないが、ユグドミレニアの魔術師を殺害し、自身が“黒”のアサシンのマスターとなる。ユグドミレニアの魔術師から得た情報によって聖杯戦争の事を知り、“黒”のアサシンと共にルーマニアに向かう。

“黒”のランサー

“黒”の陣営に召喚された、壮年男性の姿のサーヴァント。真名は「ヴラド三世」であり、ルーマニア出身の英霊であるため、今回の聖杯大戦の舞台がルーマニアである事から特別な強化を得ている。マスターはダーニック・プレストーン・ユグドミレニア。

“黒”のセイバー

“黒”の陣営に召喚された、青年の姿のサーヴァント。真名は「ジークフリート」。基本的には不死であるが、背中に一か所だけ弱点がある事実がよく知られているため、その真名を知られる事は即座に命取りにつながるという問題を抱えている。マスターはゴルド・ムジーク・ユグドミレニア。

“黒”のライダー

“黒”の陣営に召喚された、青年の姿のサーヴァント。真名は「アストルフォ」で、シャルルマーニュ十二勇士の一人。非常に能天気な性格の持ち主であるが、元が騎士であるためか正義感も強く、偶然に出会ったはぐれもののホムンクルス(ジーク)を自らの責任のもとで保護した。マスターはセレニケ・アイスコル・ユグドミレニアで、セレニケは彼を「美しい」と評している。

“黒”のアーチャー

“黒”の陣営に召喚された、青年の姿のサーヴァント。真名は「ケイローン」で、古代ギリシャ神話に登場するケンタウロス族随一の賢者。ただし、足は二足歩行になっている。アーチャークラスらしく弓を使うが、パンクラチオンと呼ばれる古代の格闘術にも長けている。マスターはフィオレ・フォルヴェッジ・ユグドミレニア。

“黒”のバーサーカー

“黒”の陣営に召喚された、少女の姿のサーヴァント。真名は「フランケンシュタイン」で、有名な「フランケンシュタインの怪物」をモチーフとしている。意思の疎通は可能なのだが、しゃべる事ができない。低コストでの連続稼働を得意とするほか、自分の命を犠牲とする事で発動する切札のような宝具も持つ。マスターはカウレス・フォルヴェッジ・ユグドミレニア。

“黒”のキャスター

“黒”の陣営に召喚された、覆面で素顔を隠した姿のサーヴァント。真名は「アヴィケブロン」、またの名を「ソロモン・イブン・カビーロール」とも呼ばれた11世紀の詩人・哲学者である。キャスタークラスだが、魔術を使うのではなく、高度なゴーレムを作成・使役して戦う。マスターはロシェ・フレイン・ユグドミレニア。

“黒”のアサシン

少女の姿のサーヴァント。真名は「切り裂きジャック(ジャック・ザ・リッパー)」。虐待された子供、堕胎された子供の怨念の集合体として生まれたサーヴァントであり、姿かたちは個体ではあるのだが、「わたしたち」という一人称を用いる。マスターは六導玲霞で、“黒”の陣営の勢力下にはおらず独自に行動している。

獅子劫 界離 (ししごう かいり)

長身巨軀の中年の死霊魔術師(ネクロマンサー)。もともとフリーランスで賞金稼ぎとして活動していた。魔術協会の依頼を受けて“赤”の陣営の側で聖杯戦争に参加した。“赤”のセイバーを召喚して、そのマスターとなる。シロウ・コトミネを警戒し、赤の陣営に属してはいるものの、ほかのマスター達とは距離を置いて活動している。

シロウ・コトミネ (しろうことみね)

聖堂教会から監督官兼マスターとして派遣された青年。契約したサーヴァントは“赤”のアサシン。謎めいた人物であり、獅子劫界離を除いた“赤”の陣営のマスター達を魔術であやつり、令呪を奪い取るなど、何らかの策謀を巡らせている。

“赤”のセイバー

獅子劫界離によって召喚され、“赤”の陣営に身を投じるセイバークラスのサーヴァント。真名は「モードレッド」で、アーサー王の円卓の騎士の一人。鎧兜をまとった若い女性の姿をしているが、自分が女性であるという事実を指摘されると、激昂する癖がある。

“赤”のランサー

“赤”の陣営に身を投じるランサークラスのサーヴァント。真名は「カルナ」で、インドの古代神話マハーバーラタに登場する英雄。青年の姿をしている。マハーバーラタの中では「黄金の鎧を身にまとい続ける限りは不死身」という設定になっており、現在も“黒”のセイバーにも匹敵する不死性を誇る。

“赤”のバーサーカー

“赤”の陣営に身を投じるバーサーカークラスのサーヴァント。真名は「スパルタクス」で、古代ローマの叛乱指導者。巨漢巨躯で年齢不詳な男性の姿をしている。言葉は話せるのだが、ほとんど意思の疎通は不可能で、マスターの指示すらも受けつけず、「圧制者に立ち向かう」という己の信念のみに従って行動する。

“赤”のライダー

“赤”の陣営に身を投じるライダークラスのサーヴァント。青年の姿をしている。“赤”のアーチャーを「姐さん」と読んで慕っているが、あまり相手にはされていない。ライダーであるのだが特に騎乗はしておらず、しかも武器は槍。真名は隠しているが、“黒”のアーチャーであるケイローンと同じく古代ギリシャ神話の登場人物であるので、“黒”のアーチャーには正体を悟られている。 真名は「アキレウス」。

“赤”のアーチャー

“赤”の陣営に身を投じるアーチャークラスのサーヴァント。真名は「アタランテ」で、古代ギリシャ神話に登場する“純潔の狩人”。若い女性の姿をしている。正統派のアーチャーらしく弓を武器とし、優れた聴覚と俊足を特徴とする。

“赤”のキャスター

“赤”の陣営に身を投じるキャスタークラスのサーヴァント。壮年男性の姿をしている。真名は隠しているが、詩や文章の執筆が得意。キーを叩いただけで文字を打ち込む事のできる機械、すなわちパソコンに興味を示し、それをほしがったりするなど俗っぽいところがある。

“赤”のアサシン

“赤”の陣営に身を投じるアサシンクラスのサーヴァント。真名は隠しているが、“赤”のキャスターからは「アッシリアの女帝」と呼ばれており、若い女性の姿をしている。「虚栄の空中庭園(ハンギング・ガーデンズ・オブ・バビロン)」と呼ばれる、巨大な空中要塞の宝具をあやつる。

集団・組織

“黒”の陣営

ユグドミレニア家の魔術師、ダーニック・プレストーン・ユグドミレニアが中心になって結成された、魔術協会に対する反逆組織。ダーニックのほか、ゴルド・ムジーク・ユグドミレニア、セレニケ・アイスコル・ユグドミレニア、ロシェ・フレイン・ユグドミレニア、フィオレ・フォルヴェッジ・ユグドミレニア、カウレス・フォルヴェッジ・ユグドミレニアらが、それぞれのサーヴァントを率いて参加している。 もう一人、アサシンクラスを召喚する担当の魔術師もいたのだが、六導玲霞によって殺害されている。

“赤”の陣営

“黒”の陣営に対抗するために魔術協会が結成した魔術師達の集団。獅子劫界離、シロウ・コトミネ、フィーンド・ヴォル・センベルン、「結合した双子(ガムブラザーズ)」ことデムライト・ペンテルとキャビィク・ペンテル、「疾風車輪」ことジーン・ラム、「銀蜥蜴(シルバーリザード)」ことロットウェル・ベルジンスキーの七人で構成されるが、界離以外の五人はシロウにあやつられ、その支配下にある。

その他キーワード

触れれば転倒! (とらっぷおぶあるがりあ)

“黒”のライダーの持つ馬上槍の宝具。カタイの王子アルガリアが愛用した事から「トラップ・オブ・アルガリア」の名がある。「触れたものをすべて転倒させる」という効果があり、サーヴァントに対して使用した場合は、膝から下を強制的に霊体化し行動不能にするという結果をもたらす。

クレジット

原作

東出 祐一郎 , TYPE-MOON

キャラクター原案

近衛 乙嗣

書誌情報

Fate/Apocrypha 全16巻 KADOKAWA〈角川コミックス・エース〉

第11巻

(2021-09-25発行、 978-4041116777)

第12巻

(2022-03-26発行、 978-4041116784)

第13巻

(2022-09-26発行、 978-4041129456)

第14巻

(2023-03-25発行、 978-4041129463)

第15巻

(2023-10-26発行、 978-4041139455)

第16巻

(2024-06-25発行、 978-4041139462)

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