すりばちの国とは
本作の舞台は、文明崩壊から1000年後の世界。作者によれば我々が生きている世界の延長線上にあるという。無数の「天使」により3日で世界は壊滅。生き残ったわずかな人類は、急激な海面上昇により土地を追われ、唯一の陸地となった世界最高峰、ブラフォンの火口にベルソー王国を築いた。火口の王国はその形状から「すりばちの国」とも呼ばれる。人々の希望は、すりばちの国の外にあると伝えられる夢の島「外の世界(ユートピー)」。しかし、火口の外縁には、「天使」が生息しており、人類は外に出ることはできない。そのため、限られた資源の奪い合いから治安は乱れ、貧富の差も激しい。政府は否定しているが、海面は上昇し続けており、王国はやがて海に沈む運命にあった。
空から降ってきた救世主
王国の元第1皇子ザビは、10年前父である国王が何者かに殺されて以来、身分を隠して住民を守る護衛班(エスコート)に所属。「外の世界」の手がかりを探し続けるが成果はなかった。亡き父は外の世界は存在すると断言し、信じるものの眼前に「希望の星」が降ると言った。そんなある日、ザビの目の前に空から謎のカプセルが落下。カプセルの中から出てきた少年はガロと名乗った。ガロは記憶を失っていたが、ヘリコプターや飛行機という空を飛ぶ乗り物のことを語る。空を飛ぶ物があれば、外縁にいる「天使」を避けて、人々を王国から救い出せる。そう考えたザビは、ガロの記憶を取り戻すことを決意する。
天使VS護衛班、マグユーザーの戦い
「天使(アンジェ)の輪」と呼ばれる火口の外縁には、国の生命線である給水パイプがあり、整備班がメンテナンスを行う。その整備班を災害から守るのが護衛班(エスコート)である。「天使の輪」に住む天使たちは、人類を容赦なく殺す。唯一の弱点は左胸の心臓だが、巨大で人知を超えた身体能力を持つ天使を倒すのは難しい。そのため護衛班に所属するものは、基本的に「マグユーザー」という能力者である。「マグユーザー」は人類の0.01パーセントの割合で生まれる変異種で、体の一部を人工物化できる「マグ」という能力を持つ。「マグ」は刀やネジ、ムチなど、人によって様々だが、稀に「拡声器」といった過去の文明機器が発現することもある。
登場人物・キャラクター
ザビ
ベルソー王国の元第1皇子。3月3日生まれの20歳で、A型。護衛班(エスコート)に所属している。逆立った髪と軍服のような着衣、マントが特徴。仮面をつけていることもある。10年前、何者かに家族を殺されて以来、名前を変え、身分を隠している。父が死ぬ前に、この世界の海面上昇は止まっておらず、ベルソー王国はやがて海に沈むこと、決して沈まない夢の島「外の世界(ユートピー)」が存在すること、信じ続けた者の眼前に空から希望の星が降ってくることを教えられる。ある日突然空から降ってきた少年、ガロが「希望の星」だと信じ、ガロの記憶を取り戻してユートピーへの手がかりを得ようとする。幼少時より磨いた剣技はエスコート内でも1、2を争う。異能力者「マグユーザー」で、両腕を刀に変える「神度刀(カムド)」のマグ(能力)を持つ。
ガロ
ある日突然、ザビの目の前に落ちた卵型の容器から出てきた謎の少年。O型で、年齢は不明だが6月1日生まれらしい。試験を経て護衛班(エスコート)に入る。金髪で長いおさげがあり、カチューシャをつけ、能天気でポジティブな性格をしている。「飛行機」「ヘリコプター」といった、ザビが全くわからない乗り物について語ったことから「外の世界(ユートピー)」について、何かしらの情報を持っていると思われるが、記憶喪失状態に陥っている。異能力者「マグユーザー」で、身体のあらゆる部分をネジ化できる「黄金の螺旋(ゴールデンスパイラル)」のマグ(能力)を持つ。
書誌情報
GOLDEN SPIRAL 8巻 小学館〈少年サンデーコミックス〉
第1巻
(2022-08-18発行、 978-4098512263)
第2巻
(2022-09-15発行、 978-4098512652)
第3巻
(2022-11-18発行、 978-4098513871)
第4巻
(2023-03-16発行、 978-4098517756)
第5巻
(2023-06-16発行、 978-4098521289)
第6巻
(2023-09-15発行、 978-4098528448)
第7巻
(2023-10-18発行、 978-4098528578)
第8巻
(2023-11-17発行、 978-4098530151)