HANDS

HANDS

陰謀に巻き込まれ、総理大臣殺害の容疑者として指名手配された元刑事の鮫島正春と、「魔法の手」と呼ばれる超能力を持つ少女ユキの逃亡劇を描くSFクライムアクション。「週刊ヤングジャンプ」2020年10号から43号にかけて掲載された作品。

正式名称
HANDS
ふりがな
はんず
作者
ジャンル
異能力・超能力
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あらすじ

愛する妻と娘を事故で亡くし、無為に日々を送る元敏腕刑事の鮫島正春は、旧友である指原ケンジからの依頼で、見知らぬ少女ユキを保護する。ユキは「魔法の手」と呼ばれる超能力の持ち主で、政府の組織からその身柄を狙われていた。そんな折、総理大臣がパレード中に殺害される事件が発生。鮫島は総理殺害の容疑者として全国に指名手配され、ユキといっしょに逃走生活が始まる。ユキの魔法の手を使いながら追っ手から逃げる鮫島は、元同僚の犬井陽子と合流。指原の残した情報から、衆議院議員の津田幸一がこの事件に関与していることをつき止める。事件を解決するために津田を誘拐した鮫島たちは、魔法の手の研究施設が北海道にあることを聞き出すことに成功。そんな中、これまで鮫島たちを追っていた特殊部隊の一員である鹿間が現れ、興味本位から鮫島たちの仲間になる。北海道へ向かった鮫島とユキ、鹿間のもとに玉城と名乗る人物から連絡が入る。玉城は、ユキを届けてほしいという指原からのメッセージに残されていた人物だった。玉城の待つ、魔法の手の研究施設にユキを送り届けた鮫島だったが、玉城を名乗るその女の正体は、魔法の手の研究者である岩戸で、彼女自身も魔法の手の能力者だった。

登場人物・キャラクター

鮫島 正春 (さめじま まさはる)

元警視庁捜査一課に所属していた刑事の男性で、年齢は35歳。犯人の行動に対しての嗅覚が異常に鋭く、どんなにうまく逃げたとしても微かに残った痕跡から犯人を捕まえる、逃亡や追跡調査のプロ。現役時代は、事件の検挙率は断トツの高さを誇った。しかし交通事故で、妻と最愛の娘を亡くして現場に立つ気力を失い、7年前に刑事を辞めた。現在は無職で、家族を失った喪失感もあって無為な日々を送っている。旧友である指原ケンジからの依頼で、見知らぬ少女ユキを保護することになり、総理大臣殺害のぬれぎぬを着せられ、ユキを守りながら事件の真相を暴こうとしている。娘の手を離したことが交通事故を招いたと後悔しており、ユキにどこか娘の姿を重ねている。ユキやケンジからは「ハル」と呼ばれている。

ユキ

「魔法の手」と呼ばれる超能力を持つ少女で、政府組織から追われている。年齢は4、5歳。指原ケンジによって北海道にある魔法の手の研究所から救出されたのち、ケンジから保護の引き継ぎを依頼された鮫島正春と共に逃亡する。鮫島には心を許しており、よく懐いている。ユキは、研究所で岩戸の実験によって後天的に魔法の手の能力を付与された唯一の成功例であり、総理暗殺をもくろむ組織に貸し出される予定だった。

指原 ケンジ (さしはら けんじ)

厚生労働省に勤めるエリートの男性。鮫島正春とは高校入学時からの友人。正義感が強く、先輩の玉城から魔法の手の研究と政府との癒着の秘密を聞き、調査に乗り出した。研究所で実験材料にされていたユキを救出したが政府から命を狙われ、その保護を信頼できる鮫島に託した。

玉城 (たまき)

厚生労働省に勤める男性で、指原ケンジの上司。魔法の手の研究と政府との癒着情報をつかみ、調査していた。信頼できる指原にも協力を依頼している。研究チームのリーダーである岩戸に接触するが、ユキを救出したことが岩戸に知られ、自ら命を絶った。

犬井 陽子 (いぬい ようこ)

都内で個人探偵事務所を経営している女性。鮫島正春とは警察学校時代の同期。警視庁にも勤務していたが、2年前に退職している。ユキを連れて逃亡する鮫島を自宅のマンションにかくまい、事件解決に向けて協力した。鮫島たちが北海道へ向かったあとは東京に残り、事件について知っていると思われる猿橋に連絡を取る。

北村 (きたむら)

厚生労働省に勤める男性で、指原ケンジに奪われたユキの回収任務を指揮している。冷徹な性格でプライドが非常に高く、自尊心が傷つけられると激昂して感情をコントロールできなくなる。

中村 (なかむら)

政府からの依頼で、北村と協力してユキの回収任務にあたる男性。軍人のような威圧的な雰囲気を放ち、右目を負傷している。12名からなる特殊作戦部隊の指揮官を務める。「中村」という名前も作戦遂行上の偽名で、防衛省に所属する「中村三等陸尉」という肩書を持つ。

津田 幸一 (つだ こういち)

民英党の衆議院議員を務める男性で、年齢は57歳。魔法の手の研究施設の運営にかかわっており、施設の運営資金を調達するためにスポンサー企業とやり取りしている。鮫島正春に拉致されて尋問され、研究所が北海道にあることを話した。

蜂屋 (はちや)

中村が指揮する特殊作戦部隊に所属する男性。冷徹に任務を遂行し、ユキの情報収集にあたって民間人を五人も口封じのために殺害している。任務中に腕を負傷し、残りの仕事をバディの鹿間に託した。

鹿間 (しかま)

中村が指揮する特殊作戦部隊に所属する男性。同じ部隊員である蜂屋とバディを組んでいるが、ユキの回収任務では単独行動を取った。面白そうだからという理由で、部隊を裏切って鮫島正春の仲間になり、行動を共にするようになる。鮫島、ユキと共に研究所のある北海道へ向かうが、ユキからはまったく懐かれていない。

猿橋 (さるはし)

オタク少女で、丸眼鏡を掛けている。やたらとネットスラングを使ってしゃべる。総理殺害事件に関する一連のツイートが、犬井陽子の目に留まって声を掛けられる。実は魔法の手の超能力を持つ能力者で、魔法の手を使って団地を破壊したが、手を使った際の記憶はまったくない。

岩戸 (いわど)

北海道にある魔法の手の研究所でリーダーを務める研究者の女性。魔法の手を使える一族の中で、政府の手を逃れて唯一生き残った子孫。自らも魔法の手を使い、魔法の手に強い研究意欲を持っている。能力者であることを隠して、一研究者として研究所に忍び込み、研究を続けていた。遺伝で伝わる魔法の手を構成する因子の解明に成功し、ユキを実験材料として後天的な能力者を作り出した。

その他キーワード

魔法の手 (まほうのて)

ユキ、猿橋、岩戸が持つ超能力。他者には見えない半透明の手を空間に作り出し、自分の手のように動かすことができる。手の大きさは10センチほどから最大で5メートルほどまで伸縮が可能で、トラックをつかんで投げ飛ばせるほどの力を持つ。他者にはまったく見えないが、物理的に存在しており、銃撃を受けても無傷で弾丸を跳ね返す。「手」と操縦者のあいだに触覚の共有はないため、手を攻撃されても本人がダメージを受けることはない。能力には段階があり、まだ第1段階であるユキの場合は、他者と手をつなぐことで魔法の手を発現させ、手をつないだ第三者を通じて手を動かす。第2段階では、他者と手をつながなくても単独で魔法の手を発現できる。魔法の手の能力は遺伝によって受け継がれるが、岩戸は魔法の手の能力を構成する因子の解明に成功し、手の遺伝情報を持たないユキを実験材料として魔法の手の能力を付与することに成功した。

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