ヤクザの娘と話すパグとの出会い
ある日の午後、河原で1匹のパグが段ボール箱の中に入り、通りかかる人々をじっと観察していた。そこへ、女子高生のサリーが興味を持って近づいてくる。パグは人間の言葉で話しかけるが、サリーは驚くことなく自然な態度でそれを受け入れた。そんな彼女に好感を抱いたパグは、自分を飼ってもらおうと甘える素振りを見せたものの、結局サリーはそのまま立ち去ってしまう。別れを惜しむパグだったが、直後、猛スピードで通り過ぎた1台の車からサリーの匂いを感じ取る。危機を察知したパグは慌てて駆けつけ、みごとな手際で誘拐犯たちを撃退し、サリーを救出した。サリーは自分を救ってくれたことに感謝し、「家の中ではふつうの犬のように振る舞う」という条件で、パグを家で飼うことを承諾した。パグは「イッヌ」という名前をつけられ、こうしてヤクザが出入りするサリーの家で、刺激的な日々を送ることになる。
個性豊かな極道一家と規格外の同級生たち
新たにイッヌの飼い主となったサリーの周囲には、厳つい顔立ちながら詩を愛する父親の團蔵や、有能ながら時おり空回りしてしまう竹田など、ヤクザらしい迫力とユーモアを兼ね備えた人物たちが集まっている。一方、サリーが通う講談高校にも、高慢で嫉妬深いものの、一度心を許した相手には優しさを見せる松宮や、何事もギリギリのラインで秀才レベルにこなすクラス委員の福原由衣など、サリーに負けず劣らず個性的な生徒たちがそろっている。なかでもサリーの同級生である吉沢拓海は、表向きは礼儀正しい生徒だが、実は暗殺組織「鷹の眼」の一員という裏の顔を持つ。その腕前を買われ、実はサリーの暗殺を依頼されていた。しかし、それに気づいたイッヌによって阻止され、さらに彼自身の手で命を救われたことから、やがてイッヌを師匠として慕うようになる。
イッヌの過去を知る超人的なネコ
サリーの飼い犬となったイッヌは、山雅組に襲いかかる刺客を撃退したり、サリーの様子を観察するために勝手に学校へ通ったりと、自由気ままな生活を謳歌(おうか)していた。そんなある日、イッヌはサリーといっしょに訪れた祭りで、かつて秘密部隊で共に戦った仲間のネッコと再会する。ネッコもまた、イッヌと同様に伝説と称される霊長類「ッ」の因子を受け継ぐ存在だった。久しぶりの再会に2匹は昔話に花を咲かせる。現在、ネッコは軍のトップとして活躍しており、イッヌに戻ってくるよう誘うが、自由な暮らしを好むイッヌはこれを断る。2匹はそれぞれ異なる道を歩むことを理解し合い、別れた。ところが翌日、大統領から「よく考えたらネコが軍のトップっておかしくないか?」と言われ、そのまま解雇されたネッコは、無職の三毛猫になってしまう。
登場人物・キャラクター
イッヌ
サリーに飼われているオスのパグ。サリーからは「イッヌ」と名付けられ、仲間内では「パグヌス」と呼ばれている。かつて伝説と称された存在「ッ」の因子を受け継ぐ数少ない動物の一匹で、人間の言葉を自在にあやつるだけでなく、屈強なヤクザや警察、殺し屋さえも容易に制圧できる身体能力を誇る。さらに、あらゆる情報網に侵入可能なハッキング能力も備えている。やや乱暴な性格だが情に厚く、自分の信念を貫くために努力を惜しまない人間を好む。そうした相手にはさりげなくアドバイスをしたり、裏から助け舟を出すことも多い。口癖は「Shall We Dance?」で、悪事を働いた相手を懲らしめる時や、人間の女性を口説く際によく口にする。好物はアメリカンドッグ。
山雅 サリー (やまが さりー)
講談高校に通う1年生の女子。極道組織「山雅組」の組長、團蔵の一人娘。自宅にはつねにヤクザが出入りし、時には敵対組織との抗争に巻き込まれるなど、決して平穏とは言えない環境で育った。そのため、アルバイトの面接に着物で臨んだり、年齢制限を知らずにパチンコ店に入ろうとしたりと、世間知らずな一面を持つ。根は素直で優しく、自分に好意を向ける人や動物には丁寧に接している。イッヌとの関係も良好で、人前ではふつうの犬のように振る舞うよう厳しく言い聞かせつつも、誰よりも大切にしている。ロックンロールをこよなく愛し、自ら激しく楽器をかき鳴らし、叫ぶように歌っている。
クレジット
- 原作
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大沼 隆揮
書誌情報
INNU 6巻 講談社〈ヤンマガKCスペシャル〉
第1巻
(2024-12-06発行、978-4065376065)
第2巻
(2025-03-06発行、978-4065389171)
第3巻
(2025-06-06発行、978-4065399514)
第4巻
(2025-08-06発行、978-4065405369)
第5巻
(2025-10-06発行、978-4065411377)
第6巻
(2026-01-06発行、978-4065421338)







