Jドール

Jドール

旧友の青柳にフィアンセの京子と娘の絵美を奪われ、国籍をも抹消された男が日本に戻るために、青柳がトップを務める政府の情報機関に利用され、治外秘密工作員として世界各地に派遣されては殺し屋として指令を受け続ける。殺しの現場に和紙で作られた日本人形のしおりを置いていく事から、裏の世界ではJドールと呼ばれた男の活躍を描いた青年向けガンアクション漫画。辛い境遇とは裏腹に、女好きで陽気なキャラクターが、大口径の愛用銃44オートマグを使った派手なアクションを展開していく。

正式名称
Jドール
ふりがな
じぇいどーる
作者
ジャンル
アクション
 
バトル
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概要・あらすじ

殺しの現場に和紙でできたしおり人形を置いてくる事から、裏の世界では日本人形(ジャパン・ドール)を意味する、Jドールと呼ばれる男が世界各地で要人暗殺を行っていた。Jドールは自分が留守の間に、旧友で財務省に勤める青柳の裏切りに遭い、フィアンセの京子と娘の絵美を奪われた上、国籍も抹消されて海外での暮らしを余儀なくされていた。

日本国籍を取り戻し再び妻子に会える事を願いながら、青柳の裏の顔である情報機関からの指令により、治外秘密工作員として日本政府のために汚れ仕事を引き受け、殺し屋稼業に手を染めていく事になる。

登場人物・キャラクター

Jドール (じぇいどーる)

本名不詳。歳は30少し手前の2枚目半で、メキシコ人や色黒の中国人、フィリピン人といった風貌。殺しの現場に和紙でできたしおり人形を置いてくる事から、裏の世界では日本人形を意味するJドールと呼ばれる二流の殺し屋。旧友・青柳の裏切りによりフィアンセと娘を奪われ、国籍も抹消されたために日本に帰れなくなってしまう。 日本国籍を取り戻すために、不本意ながら青柳の指令で治外秘密工作員として暗殺を請け負う。愛用銃は大口径の44オートマグで、目立たないように小包に見せかけて仲間に敵のアジトまで届けさせる事もある。プロとして獲物の習性と行動を把握して作戦を立て、日本語、ドイツ語の他に5か国語に堪能。 訪れた国では作戦中でも構わず女を抱く無類の女好き。仕事を終えるとその国の人形を、送り主の名を伏せて日本に住む娘・絵美に送っている。かつてアメリカ軍が日本で暮らす外国人達で編成したドール部隊の数少ない生き残り。たとえ同じ日本の情報部員であっても、国の飼い犬となり他の国民に対して残酷な目に遭わせようとする汚い連中の事は、決して許さない。

青柳 (あおやぎ)

外務省の高官で、学生の頃から知るJドールのかつての親友。外務省の役人としての顔とは別に、裏では政府の情報機関のトップとして、国益のためにJドールのような人間を数多く使う非情な顔を持つ。Jドールが留守の間に、当時彼のフィアンセだった京子を奪い取り、娘の絵美を認知して自分の戸籍に入れ、東京で一緒に暮らしている。 さらに剥奪した日本国籍を取り戻す事を条件に、Jドールに日本政府の裏の仕事として要人暗殺の指令を下す。部下が世界各地でCAやバーテンダーといったあらゆる職業の中に紛れながら情報を送ってくるため、Jドールの裏切りもいち早く察知し、たとえ隠れて帰国しようと計画しても、組織を使い全力で阻止してしまう。 大学時代、カナヅチで溺れかかったJドールの命を救った事がある。

サンダース

Jドールの標的。ニューヨークマフィアのボスであると同時に、副業としてヘリコプターなどの精密部品を製造して政府や軍に納める実業家としての顔も持つ。月に1~2度、一流のコールガールを呼ぶ時のため、目立つホテルを避け、ミュンヘンに古い高級アパートを借りている。用心深く身辺を何人ものボディーガードで固め、暗殺に備えて同じ格好をさせた部下達と一緒に現れる。 ハイネの詩集を愛読し、わざわざ初版を本屋から取り寄せる程のインテリ。

死の猫 (しのねこ)

子供でも盾にする非情さを信条とする一流の殺し屋。端麗な顔立ちには似合わない髭を蓄える。めまぐるしく政権が変わり混乱が続いていた南西アフリカのトーボ共和国で、旧国王フラビア十三世に仕える。退屈な日々を送る国王のために、ショーのように楽しみながら敵スパイの拷問を行う残虐な性格。Jドールを捕らえて拷問を行おうとした矢先に、日本からの通達で政府が味方に付く事が分かり、急遽キングから、現政府の要人、議長ダダ暗殺のため手を組む事を命じられる。 キングが現政府の閣僚で従兄弟のサルタ殿下と瓜二つの事から、身代わりによる敵地潜入テロを立案する。

フラビア十三世 (ふらびあじゅうさんせい)

新旧黒人政権が目まぐるしく交替する南西アフリカに位置するトーボ共和国の旧国王。わずかな領地とこれに従う部族の者達と共に地方に飛ばされ、裕福ではあるが退屈な日々を送る。巻き返しを恐れる現政府からは絶えず暗殺者が送り込まれ、ボディーガードとして一流の殺し屋・死の猫を雇い、絶大な信頼を寄せている。 豊富な石油資源を巡りイギリス、アメリカ、フランスが介入して混乱を極める情勢下で、日本が自分達の味方に付くという連絡を受け、現政府の要人、議長ダダ暗殺のために、Jドールと2人でジャングルの中を敵地へと向かう。長い間のロンドン暮らしと国王としての贅沢な環境のせいで体は鈍り、またいざとなると怖気づいてしまう弱気な性格が災いし、作戦に影響を与える。 身分も性格も違うJドールと2人きりの道中で言い争いをしながら徐々に親交を深めていく。

パルチザンの首領 (ぱるちざんのぼす)

アフガニスタンでソ連輸送車を襲撃し、近くで遭難していた日本の商社マンと名乗るJドールを救出する。秘密のルートを使いパキスタンまで送り届けてくれる事になったものの、身分証明書のないJドールがソ連軍のスパイではないかという疑いも持ち、何かと日本に関する質問をしてくる。 しかしその情報はかなり古くていい加減なためにかえって混乱を招く。警戒心の強いリーダーだが、たまたま一行の中に、フランスのスパイ・カロリーヌが手にしたソ連軍のイラン侵攻作戦の開始日Dデイを、Jドールが託されたと信じた青柳の組織の一員が紛れ込んでいた事から、自分達の部隊も巻き添を食って襲撃を受けてしまう。

ユセフ

トルコ人で、熱心なフランクフルトの独立運動の参加者。家で一人寂しい妻が、Jドールと浮気をしている現場に戻ってくるが、不慮の事故でそのまま帰らぬ人となる。Jドールは窓から逃げ出す時に思わず持ってきてしまった背広の中に、パスポートと東京行きの航空券が入っていた事から、成りすましによる帰国を思い付き、パスポートの写真からアフロヘアーに付け髭で変装する。 搭乗した旅客機には仲間がハイジャック犯として待ち受けていた。

マイヤー

かつてアメリカ軍が横田基地で編成したドール部隊の数少ない生き残りで、当時の階級は軍曹。かつて10人殺しのマイヤーと呼ばれ、ベトナムで戦うアメリカ兵達にもその名を知られた男。20メートル先に忍び寄る敵の気配を誰よりも早く察知する事ができる。Jドールとはその頃からの付き合い。 現在はミュンヘン市街で妻と花屋を営む。売春宿の部屋に飾る花を取り換える仕事で、地味ながら平和な暮らしをしている。真っ当な暮らしに協力を躊躇するJドールに対し、苦楽を共にした戦友が再び頼りにしてきた時は断る事ができないと快く引き受け、アメリカT議員の懐刀V暗殺計画に加わる。

ミュラー

かつてアメリカ軍が横田基地で編成したドール部隊の数少ない生き残り。かつては第三部隊に所属していた事もあるJドールやマイヤー軍曹の戦友。モーゼル河の石炭船で船長として働いている。ベトナム戦争から生還したが、地雷を踏み右足と片腕を失っているため、Jドール達のV暗殺計画には参加できず、逃走用の車と服装の手配を行った。

ゲルバー

ミュンヘンでのV暗殺計画のため、警官のハンスと共にJドールに雇われたハンブルク売春組織の用心棒。ボスがアメリカ軍の将校だった事から、かつて存在したドール部隊の噂を耳にしていた。Jドールとマイヤー軍曹が昔を思い出してベトナムでの戦闘の苦労話をする事が気に入らず、ドール部隊は寄せ集めのヤクザ部隊で、逃亡もせず生き残った20人はドジばかりだと悪態をつく。 戦闘の最中でも瞬時に銘柄を判別できるほどワインには詳しい。激戦の中で戦友の絆の深さを知る。

V (ぶい)

本名不詳。日本車の輸出を妨げるアメリカのT議員の懐刀として、汚い手段を使ってライバルに圧力を掛ける役目。T議員の実力を半減させるため、日本政府がJドールを使って暗殺を企てた。ドイツ系アメリカ人で、年に一度故郷のモーゼル河沿いの小さな町トリスタンに帰り、一流どころの売春婦を集めた即席売春宿を開いては、街の警察署員をはじめとする有力者を招いて大騒ぎをしている。 そのため、宿は警官総出で警備を行い、内部もさらに部下達が固めるという厳重な警戒が敷かれている。女性の好みは巨大な胸と尻を持つ映画スターのアーシュラ・アンドレスタイプ。ワイン通。

香港支部長 (ほんこんしぶちょう)

青柳に選ばれ、組織で支部長として香港に4年間駐在している男。香港支部に潜入したCIAのスパイを始末するために訪れたJドールが襲撃され、無理心中に見せかけたそのやり口から、物取りではなく、犯罪になる事を嫌がる警察に協力的な人間による犯行と推理する。中国人の部下達以上に香港の街を知りつくし、物価が安く銀座で買えば80万円もする翡翠の指輪やディオールの香水を付け、3人の彼女がいる豪勢な今の暮らしに満足している。

リー

香港でショーを行う女性マジシャン。襲われたJドールを病院まで見舞いに訪れる。世界の一流アーティストが出場できるパリのリドの舞台を掛けて、今まで何人も命を落としてきた危険な手錠抜けの技に挑戦する。香港警察の鬼刑事部長からしつこく言い寄られ、振られた腹いせに危険な目に遭う可能性がありながら、東南アジアやヨーロッパの小さな町の汚い小屋で、ストリップの合間にショーを行ってきたどぶの中のような生活から這い上がり、一流どころで上流の客を相手にショーを行いたいと舞台で勝負に出る。

マキノス

横浜ノースピアに向かうギリシア船籍QEⅢの新米乗組員。毎日決まった時間になると海に残飯を捨てに現れる。ゲイだという噂が立ち、余深沈(ようさむちん)を名乗るJドールには親切にしても警戒されてしまう。日本に着いた時に船員に襲われ、誤って殺してしまった事をJドールに誤魔化してもらうために、自分はタイの貧しい家庭で育ち、病気で苦しむ両親のためにどうしても日本に来たくて男に成りすましていたという身の上話をした。

絵美 (えみ)

Jドールのフィアンセだった京子との、ただ一度の交渉でできた娘。その後、青柳の裏切りによって青柳の娘として京子と共に戸籍に入れられ、東京で三人で暮らしている。そのため、父親であるJドールの存在を知らない。3歳あるいは5歳に成長した姿が描かれる。Jドールが仕事が終わると送る外国の人形が部屋に入り切らない程のコレクションとなり、贈り主の名前のない足ながおじさんからのプレゼントを毎回楽しみにしている。

集団・組織

ドール部隊 (どーるぶたい)

『Jドール』に登場する組織。アメリカ軍が横田基地周辺で暮らす不良外人達を100人集めて編成した、寄せ集めのヤクザ部隊。Jドールやマイヤー軍曹、ミュラーが所属していた。邪魔者を日本から追い払うと同時に、戦果を上げる目的で作られたため、全滅覚悟の危険な作戦に就けられ、ベトナム戦争が終わった時点で100人の内20名しか生還できなかった。

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