ドールガン

ドールガン

世界的な犯罪者のドールガンの霊に憑かれた茜純太が、ドールガンがひた隠しにする事件の真相を探るべく、彼の娘達と協力しながら奮闘する姿を描いた物語。犯罪組織との異能バトル、宝探し、ヒロイン達とのラブコメ要素など、エピソードはバラエティに富んでいる。また、史実の戦争や歴史的事件が登場人物達の過去に複雑に絡み合い、物語に深みを与えている。「週刊少年チャンピオン」2004年40号から連載された作品。

正式名称
ドールガン
ふりがな
どーるがん
作者
ジャンル
アクション
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あらすじ

第1巻

茜純太は人気アイドルユニットのアンドールを狙ったテロ事件に巻き込まれた事をきっかけに、自らに取り憑いていた幽霊のドールガンの存在を知る。かつて世界的犯罪者として名を馳せたドールガンは純太に対して、生前に蓄えた知識と人間をあやつる能力、操影術を貸す代わりに、自らの目的のために身体を貸してほしいと持ちかけた。純太はそんなドールガンを疎ましく感じていたものの、思い人の羽月ひかるが拉致される事件が発生するに及び、彼女を救うためにドールガンと結託。他人に操影術をかける能力、SOULFで犯人のZ=ゾンクを撃破する。この事件を通して、ひかるがドールガンの娘である事、そして犯罪組織のマリオネットから狙われている事を知った純太は、ひかるを守るために戦う決心をする。そんな中、純太はひかるを囮にしてマリオネットを誘き出そうとする刑事、鬼平三郎と対決する事となる。だが、純太が鬼平と戦っているあいだに、ひかるはアンドールにスカウトされ、誘拐されてしまう。

第2巻

羽月家にマリオネット所属のクローン戦士、イエスマンが2体襲来した。茜純太は羽月家の世話人、ジェドと共に立ち向かい、1体を捕縛するものの、もう1体には逃げられてしまう。その後、純太はジェドからゆずり受けたフェラーリF40の改造車で、羽月ひかるのいる奈狩野高校の時計台へ出発。ひかるの母親、羽月ナギサは純太を見送ると、拘束したイエスマンを射殺し、致命傷を隠して純太を送り出したジェドの最期を看取るのだった。一方、純太はマリオネット幹部のノーマン=ザ=シルバーとのカーチェイスに勝利し、時計台の屋上でひかると再会する。ひかるは蛇香によって心身の自由を奪われており、純太に襲い掛かるが、無意識の内に攻撃を躊躇(ためら)うようになり、やがて純太を傷つけまいと舌を嚙み切って死のうとする。純太がひかるに口づけする形で自殺を阻止した事により、ひかるは蛇香の支配から解放された。

第3巻

イエスマンの奇襲を受けた茜純太羽月ひかるは時計台から転落するが、辛くも生き延びる。アンドールレティシアは純太の行動力に感心し、ドールガンの無実を晴らしたいと語り、その場を立ち去った。その後、レティシアの発言が気になった純太は、聖=カルダ大虐殺事件についてドールガンを問い詰めるが、彼は事件への関与を否定しなかった。純太は絶望したが、ドールガンの側近を務めていたアイアン=リンドロンドと出会い、彼の言葉に心を動かされ、ドールガンの無実を証明する事を誓う。後日、純太は奈狩野高校に潜入していたマリオネットワルビー=カンダルと交戦。この戦いで女子生徒が生活する華園寮の寮長が負傷し、純太が寮の管理を任される事になる。ひかるを含むアンドールの面々が入寮していた事もあり、純太の寮生活は波乱の幕開けとなったが、下着泥棒を捕まえた事で信頼を得る事に成功。やがて、アンドールとも和解する。そして、レティシアからドールガンの目的が移民の国の設立だった事を聞き出した純太は、ドールガンの遺産探しへの協力を約束した。そんな中、マリオネットのジェネラルドが部下を伴って寮を急襲。純太達は迎撃を開始する。

第4巻

ジェネラルドを撃退した茜純太アンドールは、ドールガンの遺産の隠し場所として理事会館の地下坑道に目星をつける。しかし、警備が厳重で手を出せないため、アンドールの学園祭ライブを利用した撹乱作戦を立案。当日に向けて下準備に取り掛かる事にした。そんな中、羽月ひかるは舞台度胸を身につける目的でミニライブに挑戦する。往年の名サックス奏者のジョニー立花の生き様を目の当りにして、ステージに立つ者としての決意を新たにした。アンドールのマネージャーとしてこき使われていた純太は、自主トレーニングでの成長に限界を感じ、奈狩野高校に教師として潜入していた鬼平三郎に弟子入り。影視と呼ばれる特殊能力の習得に向けて、特訓に励む。一方、マリオネット幹部のゴールデン=グレースの率いる遺産捜索隊も学園に潜入していた。純太達と小競り合いをする事もあったが、大きな衝突に発展する事はなく、ついに学園祭当日を迎える。

第5巻

茜純太羽月ひかるは占い師の仁科マユカと知り合い、彼女のブースでアイアン=リンドロンドと再会する。そこにマリオネットの面々が現れて一触即発の空気が立ち込めるが、リンドロンドの取り成しで戦闘は回避された。アンドールのライブが始まると、ステージ裏に控える純太をワルビー=カンダルが急襲。戦いは熾烈を極め、ステージ裏から理事会館、地下坑道へと舞台を変えて続いた。一方、ライブを終えたアンドールはステージを爆破し、地下坑道へ身を躍らせる。一斉に解き放たれた3万人の観客により学園は封鎖され、鬼平三郎の率いる警官隊は行動を阻害された。また、ステージ爆破の余波は純太とワルビーの戦いにも飛び火。純太は地割れに飲み込まれそうになったワルビーを救おうとしたが、ワルビーは助けを拒んで暗渠へと落ちていった。同時刻、古参幹部のレッド=ガズラーを味方にした遺産捜索隊のツァファイアジェネラルドは、奈狩野高校の理事長、羽月ナギサを襲撃する。しかし、ナギサの救援に現れたリンドロンドに阻まれ、ジェネラルドが死亡。学園に隠されたドールガンの遺産の正体を知ったリンドロンドは、遺産争奪戦に名乗りを上げる。

第6巻

茜純太は坑道の最奥にたどり着いたが、レッド=ガズラー羽月ひかるを拘束され、言われるがままにドールガンの遺産を守る最後の罠に挑む事になる。やがて、罠を切り抜けた純太が遺産であるドールガンの愛銃、SOULF S.A.A.に触れると、ドールガンの魂が純太の肉体に憑依。ドールガンは生前に迫る力を行使し、瞬く間に戦場を制圧した。その後、ドールガンはアイアン=リンドロンドと交戦するが、SOULF S.A.A.を切り裂かれて肉体の主導権が純太に戻ってしまう。純太は鬼平三郎の助けを得て態勢を立て直すと、ドールガンの支援を受けて戦闘を続行し、死闘のはてにリンドロンドの右目を貫き、敗北を認めさせる。そして、聖=カルダ大虐殺事件の真相にせまるヒントとして、「オットー」「エルフマン」の名前を聞き出した。坑道からの脱出の最中、警察に素性を問われた純太は「怪盗スカーレット」と名乗り、悪党王の証、SOULF S.A.A.を手に入れた事を宣言する。一方、ゴールデン=グレースは本命の宝であるゴールドの封書を手に入れていたが、脱出の最中、重傷のワルビー=カンダルに封書を託し、自らは囮となって警官隊に身柄を委ねた。

第7巻

病院へ搬送された茜純太は外科医の黒沢澄香(くろさわすみか)に命を救われ、彼女を脅していた院長を成敗する。退院の前日にはゴールデン=グレースの父親で、マリオネットの重鎮でもあるゴールデン=ゴージャス3世の捜索を当面の方針として定めた。そんな折、奇しくも純太のいる病院へグレースが搬送されて来る。これは脱獄を目的とした狂言入院だったが、グレースはツァファイアの裏切りに遭い、秘密結社、カルダ騎士団に追われる身となってしまう。これを受けて、仁科マユカに介抱されていたワルビー=カンダルが病院へと急行。純太もグレースの救出に乗り出す。純太とワルビーは反目していたが、次第に協力するようになり、グレースの救出に成功。ワルビーは父親のイザルの仇でもある従軍記者、ウォーカーを討ちはたすが、ゴールドの封書は警察の手に渡ってしまった。この救出劇を経て、純太とグレースの敵対関係は清算された。また、グレースによって先代ゴールドが聖=カルダ島に囚われている事、封書の中身と引き換えに先代ゴールドを解放するつもりだった事が明かされる。後日、純太達は夏休みを利用した先代ゴールド救出の旅に出発する。

第8巻

茜純太達は聖=カルダ島への上陸に必要な根回しを頼むべく、マリオネットの幹部、ハル=ニッケルを訪ねる。しかし、彼の企みでカルダ騎士団の管理する闇カジノへと誘われ、脱衣ポーカーで戦う事になった。アンドールと次世代アイドルユニット、メイドールの身体を張った戦いに観客は熱狂するが、勝負どころで純太がハルのイカサマを看破。潮時と悟ったハルが賭け金を持ち逃げする素振りを見せると、事態はマリオネットと騎士団の戦いへ発展した。全面戦争には至らなかったが、純太達はハルの協力を得られず、失意の内に闇カジノを去った。後日、純太達はフィリナ島鬼平三郎レッド=ガズラーと邂逅。「オットー」の正体をはじめとした重要な情報を手に入れるが、島内に蔓延(はびこ)る騎士団によって、アンドールのテュッティが拉致されてしまう。アンドールのネーナは母親のコレート=ニトロゲンとの再会を経て、ドールガンの遺産マーメイド(原子力潜水艦)の艦長に就任すると、テュッティの救出に向かう純太達をサポートした。

第9巻

茜純太達は、テュッティを救出してカルダ騎士団メビラを撃破。その後、ドールガンの遺産エシュロンのキーコードを利用し、ゴールデン=ゴージャス3世の処刑が3日後に迫っているという情報を得る。純太とワルビー=カンダルは二人だけで島へと潜入するが、独断専行に気づいた仲間達も島へと上陸。これに対して、騎士団は大艦隊を差し向けるが、レティシアの起動したドールガンの遺産、ミネルヴァの涙から放たれたレーザーにより壊滅。合流を果たした一行は先代ゴールドを救出し、聖=カルダ大虐殺事件の犯人がドールガンではない事を突き止めた。目的を達した一行は監獄塔からの脱出を試みるが、騎士将のハネライの率いる騎士団員に待ち伏せされ、騎士団の主戦力であるカルダ十二騎士正に取り囲まれる。しかし、純太の陣営にもアイアン=リンドロンドをはじめとした頼もしい助っ人達が参戦。純太は彼らにあとを任せると、リンドロンドから託された人形正宗を手に、騎士団の中心人物であるネイ=ディとの決戦に向かった。

登場人物・キャラクター

茜 純太 (あかね じゅんた)

奈狩野高校に通う1年生の男子。12月18日生まれで、右手の甲にY型の傷跡がある。アクションスターにあこがれる普通の少年だったが、空港で発生したテロ事件をきっかけに伝説的な犯罪者のドールガンの幽霊に取り憑かれている事を知り、やがてドールガンの遺産を巡る壮大な冒険に身を投じていく。正義感が強く素直な性格だが、年上の女性に好かれやすく、のちに恋仲となる羽月ひかるをやきもきさせる事も多い。 素直ゆえに暗示の類にも掛かりやすいが、操影術で人間をあやつれるドールガンからすれば、これはメリットでもある。切り札として、茜純太自身も他人に操影術を仕掛ける技、SOULFを使う事ができるが、能力の行使にはドールガンのサポートが必須。 なお、反射物のない場所ではドールガンの助けを得られないため、純太はひかるに買ってもらった鏡付きの腕時計を愛用し、弱点を補っている。純太のもともとの身体能力は凡人の域を出なかったものの、ドールガンにあやつられて死線を潜り抜ける内に成長し、鬼平三郎への弟子入りを経て影視を習得。その後も実戦で経験を積み、最終的には影視レベルS相当の能力である撃影、魔人銃士ドールガンを発現させるまでに至った。 撃影の発現時には拳砲(フィストカノン)SOULFという技を使用する事ができるが、その具体的な効果は不明。なお、ドールガンの遺産、SOULF S.A.A.を手に入れた際、警察に対して「怪盗スカーレット」と名乗っており、のちに裏の世界での通り名となった。 これはレティシアから与えられたジュエルコード、「スカーレット=ザ=ダイヤモンド」が基になっている。

茜純太の背後霊。かつて「世界を買う」と宣言して犯罪組織、マリオネットを結成し、莫大な富を築き上げた国際的犯罪者。東ベルリン生まれのドイツ人男性で、金髪に碧眼の持ち主。顔にはY型の大きな傷跡が横切ってい... 関連ページ:ドールガン

羽月 ひかる (はつき ひかる)

ドールガンの娘。身長164センチ、体重40キロ台。スリーサイズはB81・W54・H85。血液型はAB型。髪は赤茶色のショートカットの髪型で、左右の耳の上を青いピンで留めている。茜純太とは同じ日に同じ病院で生まれており、奈狩野高校ではクラスメイトとして交流していたが、のちに相思相愛の仲となる。はつらつとした性格だが、年上の女性に好かれがちな純太に対して、やきもちを焼く事も多い。 母親の羽月ナギサから大量の防犯グッズを持つように言いつけられており、護身術として空手と合気道の心得もある。当初はドールガンの遺産を巡るいざこざに巻き込まれる形だったが、のちに人気アイドルユニット、アンドールのメンバーとなり、ドールガンが犯人とされている聖=カルダ大虐殺事件の真相を知ろうと、自発的に行動するようになる。 15年前にドールガンから秘密の島の座標を託されるはずだったが、直前にドールガンが殺害されてしまった事で、受け取る事ができなかったという事情がある。

レティシア

ドールガンの娘。フランス出身で、金髪をストレートヘアにしている。人気アイドルユニット、アンドールのリーダー格で、アイドルとしてのキャッチフレーズは「凱旋門の天使」。レティシアの母から「C(炭素、カーボン)」のエレメンタルコードを受け継いでおり、首筋に犯罪組織、マリオネットの紋章が刻印されている。 性格は冷静沈着で、作戦立案や陣頭指揮に長けているが、一度キレると手がつけられなくなるのが玉に瑕。特にドールガンの評価に対しては敏感で、彼の悪口を耳にすると、「パパを悪く言う奴は死ね」というお決まりのフレーズと共に暴れ始める。ドールガンの無実を証明するために、彼を殺した男を探しており、協力を約束した茜純太に「スカーレット=ザ=ダイヤモンド」のジュエルコードを与えた。 戦闘では格闘のほか、ワルサーを使用。新生児の頃にドールガンから暗示という形で衛星レーザー兵器、ミネルヴァの涙を託されており、14歳の時に母親から封印を解かれた事で、いつでも使用できる状態にある。

テュッティ

ドールガンの娘。イタリア出身で、青髪のショートカットの髪型をしている。額に十字架のアクセサリーを付けている。人気アイドルユニット、アンドールのメンバーで、アイドルとしてのキャッチフレーズは「イタリアンキュートヒップ♡」。目が悪く、ステージ上ではコンタクトレンズを使用するが、プライベートでは眼鏡をかけている。 幼少期に母親のローラ=ネオンに先立たれ、親戚からも見捨てられた。そのため、「家族」に強いあこがれを抱いており、茜純太を弟、羽月ひかるを妹のような存在としてそれぞれ歓迎した。メカに強く、有事には技術者として仲間をサポートするが、自らが直接戦闘を行う際には、左右一対のスタンガンを使用する。新生児の頃にドールガンから暗示という形でエシュロンのキーコードを託されており、封印が解かれてからは、ネットワークを利用したサポート能力が大幅に向上した。 エレメンタルコードは与えられていないが、所有するコンピューターからエシュロンにアクセスした際には、画面に「Ne(ネオン)」のエレメンタルコードが表示されていた。

ネーナ

ドールガンの娘で、ブラジル出身。緑色の長髪をポニーテールにまとめている。褐色の肌で、抜群のプロポーションの持ち主。人気アイドルユニット、アンドールのメンバーで、アイドルとしてのキャッチフレーズは「リオの爆発娘」。今はにぎやかに振る舞っているが、「虐殺者の娘」と周囲に蔑まれ、孤独に過ごした過去を持つ。薬物の扱いに長けており、有事には負傷者の治療などを担当するほか、爆薬を使った戦いもお手の物。 だが、閉所恐怖症という弱点もある。新生児の頃にドールガンから暗示という形で、原子力潜水艦、マーメイドのウェポンシステム解除コードを託されており、封印が解かれると艦長として指揮するようになった。エレメンタルコードは与えられていないが、マーメイド乗艦時に装備した眼帯には、「N(窒素、ニトロゲン)」のエレメンタルコードが描かれていた。

鬼平 三郎 (おにひら さぶろう)

犯罪組織、マリオネット関連の事件捜査に執念を燃やす男性刑事。階級は警視で、年齢は39歳。大柄な体格で、フサフサのもみあげが特徴。警察内でも堅物として知られ、「敬語は心の贈り物」と主張し、礼儀知らずの若者には鉄拳制裁も辞さない。愛銃はコルトガバメントのボブチャウ・スペシャル。あえて旧式素材を用いた30キロもある防弾コートを愛用し、これを武器のように扱う事もある。 格闘技術も高く、必殺技、拳燕返し(こぶしつばめがえし)の威力は床や壁を容易に粉砕するほどで、ほかに頭突き燕返し、肘飛燕返しなど、別の部位から繰り出す派生技も存在する。また、影視レベルAの使い手でもある。茜純太とはマリオネットを追う中でたびたび遭遇。時には交戦する事もあったが、やがて彼の戦いの師匠となり、影視とあわせて敬語の手解きも行う事になる。 なお、奈狩野高校に教師として潜入した際には「平三郎」と名乗っていた。ドールガンとは因縁があり、彼の没年である1989年の1月には、東欧の古城で直接対決した事もある。しかし、この時は一歩及ばずに敗北し、もみあげを伸ばし続けるように暗示をかけられる事となった。 このイタズラにより、鬼平は警視正への出世を断たれ、親しい女性とも破局。さらには自律神経に影響を受け、ドールガンの恐怖を感じると失禁、気絶する体質になってしまった。しかし、敗北を喫したとはいえ、その実力はドールガンをして「達人」「最凶の敵」と言わしめたほど。のちに伸びきったもみあげが思ったより似合っていないという理由で、もみあげの暗示から解放される。

羽月 ナギサ (はつき なぎさ)

ドールガンの愛人の一人。羽月ひかるの母親。奈狩野高校の理事長を務めている。ショートカットの髪型で、左目下に泣きボクロがある。かつて「O(酸素、オキシジェン)」のエレメンタルコードを与えられた人物で、右の内腿に犯罪組織、マリオネットの紋章が刻印されている。ひかると同じ甘い香りがする、美人で若い、かわいいと茜純太に評されるチャーミングな女性。 年齢については「四捨五入すれば30歳」と語っている。かつて、大物政治家の父親がドールガンに命を救われた事があり、この事件をきっかけに彼に惹かれるようになった。今でもドールガンの事を深く愛しており、純太を介して彼と再会した際には涙を流して喜んだ。しかし、そのまま純太をドールガンと同一視して抱かれようとするなど、暴走しがちなところもある。 ドジを踏む事も多いが、必要とあらば自ら銃の引き金を引く事もためらわない芯の強さを持つ。また、武術の心得もあり、秘密結社、カルダ騎士団との戦いでは、娘との合体技、爆愛羽月キック(ばくあいはつきっく)を披露した。なお、16歳の頃にはドールガンを追って単身モンテカルロへと旅立ち、現地のカジノで活躍して「奇跡のナギィ(ミラクル☆ナギィ)」の伝説を残している。

レティシアの母 (れてぃしあのはは)

ドールガンの愛人の一人。レティシアの母親。かつて「C(炭素、カーボン)」のエレメンタルコードを与えられていた人物で、現在はパリにいる。犯罪組織、マリオネットへ所属する決意を固めた当時14歳のレティシアを守るため、衛星レーザー兵器、ミネルヴァの涙の封印を解く決断を下した。

ローラ=ネオン

ドールガンの愛人の一人。テュッティの母親。故人。額に十字型アクセサリーを付けて眼鏡をかけ、右頬にホクロがある。かつて「Ne(ネオン)」のエレメンタルコードを与えられていた女性。通信傍受システム・エシュロンの基幹システムを一人で構築した天才プログラマーだったが、彼女のコンピューターを奪うべく闖入して来た悪漢に銃で撃たれ、テュッティの目の前で息絶えた。

コレート=ニトロゲン

ドールガンの愛人の一人。ネーナの母親。褐色の肌を持ち、豊かな髪を後頭部で結っている。大きな丸眼鏡をかけ、口元にホクロがある。かつて「N(窒素、ニトロゲン)」のエレメンタルコードを与えられた女性。若い頃は世界で最も羨ましい肉体を持つと評され、ミス・ユニバースに選ばれた事もあった。現在は太ってしまい、往年の面影はない。 ネーナをブラジルに連れ帰るべく、秘密裏にフィリナ島へ上陸していたが、ネーナの決意を察すると翻意し、彼女に原子力潜水艦、マーメイドを託した。なお、眼鏡を外して髪を後ろに引き、力を入れてウエストをへこませる事で、3分間だけ昔の体型に戻る事が可能。この状態を「究極ハイパーグラマーママ」と呼ぶ。また、ネーナと同じく爆弾の扱いに長け、有事の際にはヨーヨー型の爆弾で仲間を援護する。

アイアン=リンドロンド

犯罪組織、マリオネットの古参幹部。「Fe(鉄、アイアン)」のエレメンタルコードを持つ。赤茶色の後ろ髪を一本に結った長身の美丈夫で、高潔な人柄。ドールガンの後継者に指名された側近中の側近でありながら、ドールガンを殺した犯人と目されている。主武装は人形正宗。刀身で銃弾を弾くなど超人的な身体能力を持ち、闇世界最強の剣士として恐れられている。 広い視界で戦場を制圧するカルダ征斗剣を極めており、必殺技は離れた相手を衝撃波で切り裂く奥義、音速剣「鋼響(ハガネヒビキ)」。影視レベルSの使い手でもあり、致命傷を与えた相手が心停止するまであやつる屍影術(しえいじゅつ)を得意とする。また、マスターには至っていないものの、ドールガンから操影術の手解きを受けているため、アイアン=リンドロンドに対しては操影術が効かないという特徴がある。 茜純太との死闘のはてに右目を失って隻眼となり、以降はスポーツタイプのサングラスをかけるようになった。秘密結社、カルダ騎士団との最終決戦では純太に加勢し、彼に人形正宗を譲渡。自らは大包平を携えて戦った。 ドールガンとの出会いは聖=カルダ大虐殺事件の渦中。当時5歳だったリンドロンドは当時19歳のドールガンに命を救われ、彼を父親や兄のように慕って逞しく成長した。しかし、リンドロンドが不在のタイミングでドールガンが死亡。以降リンドロンドはドールガン殺しの真犯人の捜索に心血を注ぐようになった。なお、ドールガンなどごく親しい相手には「リン」と呼ばれている。

ジェド

犯罪組織、マリオネットの戦士(ジュエリスト)。「翡翠(ジェド)」のジュエルコードを持つ。翡翠色の瞳の持ち主で、老いてなお鍛えられた肉体には無数の傷跡が刻まれており、左肩には組織の紋章が刻印されている。28歳の頃に「プラハの春」を経験し、T-54戦車に踏み潰されて右腕を失った。また、傭兵時代にはアフガニスタンで左足を失っており、欠損部位は義手義足で補っている。 反ソ連テロリストとして活動する内に、凄腕の殺し屋「死神ザラル」として恐れられるようになった。80年代中頃にドールガンの襲撃に失敗し、側近のアイアン=リンドロンドに右目を斬られる。この時、潔く死を覚悟したが、ドールガンに実力を見込まれて側近に抜擢され、リンドロンドとも信頼関係を築いた。 ドールガン亡き現在は組織を去り、羽月ナギサの屋敷で世話人として働いている。機械全般に精通するうえに家事も得意で、有事の際にはループタイに仕込んだワイヤー、義手義足に仕込んだ刃など、さまざまなギミックを用いて戦う。ナギサの屋敷が襲撃された際には率先して敵に立ち向かい、茜純太に命懸けのサポートを行った。

ゴールデン=グレース

犯罪組織、マリオネットの幹部の女性。「Au(金、ゴールド)」のエレメンタルコードを持つ。年齢は25歳。緩くウェーブした金色の長髪に金色の髪飾りを付けており、左手の甲に組織の紋章が刻印されている。態度はやや高圧的で、眉間にシワを寄せている事が多いが、メリハリのあるセクシーなボディラインは多くの男性を魅了して止まない。 ドールガンの遺産を捜索する精鋭部隊の指揮官を務めており、ワルビー=カンダル、ツァファイア、ジェネラルドを伴って来日。茜純太や人気アイドルユニット、アンドールの面々と遺産の争奪戦を繰り広げるが、のちに父親探しという真の目的をはたすべく、純太達と共闘するようになる。戦闘では主に金色のS&W M945コンパクトモデルを使用。 布を武器として自在にあやつる技能、ドレス=ウィップも得意とする。また、ゴールド家に代々受け継がれる毒耐性が備わっており、催涙ガスなどが通用しない。猛毒を摂取しても一定時間で中和できる。純太と対峙してから髪型をアップに改め、まれに笑顔を見せるように変化した。これが「髪はアップにした方が似合う」「笑った方が美容によい」というドールガンのアドバイスに従った結果なのか、操影術による暗示の効果なのかは不明である。

ゴールデン=ゴージャス3世 (ごーるでんごーじゃすさんせい)

犯罪組織、マリオネットの古参幹部。ゴールデン=グレースの父親。類まれなる巨軀を持ち、頭頂部は禿げ上がっているが眉毛は太く、口髭を蓄えている。かつて「Au(金、ゴールド)」のエレメンタルコードを与えられた男性。ドールガンの副官を務めた組織の重鎮であり、友と呼ぶほどの親しい間柄でもあった。のちにドールガンの遺産と呼ばれるようになる戦略資産を各地に封印した張本人。 旅の途中で捕縛され、現在は秘密結社、カルダ騎士団の監視下に置かれている。遺産の情報を切り札に交渉してパイプを吹かす程度の自由は確保していたが、最重要と位置づけられていた遺産の在処が発覚してしまうと、ついに処刑が言い渡された。しかし、間一髪で茜純太達に救出され、念願だった愛娘との再会をはたした。 戦闘では主に棒術を駆使して立ち回るほか、右肩に乗せたグレースとのコンビネーション攻撃も得意。また、グレースと同様に毒耐性が備わっているので、パイプに仕込んだ毒を吹きかけるような荒技も可能。なお、ゴールデン=ゴージャス3世がお守りと称して獄中にまで持ち込んでいたパイプの正体は、ドールガンの遺産、SOULF S.A.A.のスペアバレルである。

ワルビー=カンダル

犯罪組織、マリオネットの戦士(ジュエリスト)。「ルビー」のジュエルコードを持つ。褐色の肌の少年で、胸元には組織の紋章が刻印されている。また、額にはドールガンの遺産である巨大ルビー、軍神の血晶(マルスのけっしょう)の欠片が埋め込まれている。幹部に対しても傲岸不遜に振る舞うが、幼少期に命を救ってくれたゴールデン=グレースに対しては忠誠を誓っている。 主武装は生体機械融合の技術で右腕に埋め込んだレーザー兵器。掌からE.V.I.L.粒子(Excitation of Vibration Induced Light:分子振動による高励起光発進粒子)を利用した赤い光線、悪(ワル)ビームを放つ事ができる。その射程は数百メートルに及び、威力は校舎を容易に貫くほど。 次弾の発射には3分の蓄電時間が必要となるが、外部から電力供給すれば連続発射も可能である。また、閃光で目くらましをする省エネルギーのフラッシュモードも搭載されており、ワルビーはこれらの兵装を使用する際にはサングラスをかけ、自身の目をカバーする。グレースの指揮する遺産捜索部隊の一員として来日すると、茜純太と幾度も交戦し、やがてお互いを認め合う好敵手となった。 純太と出会ってから戦士としても大きく成長を遂げ、最終的には「王者の星」と呼ばれる独自の影視に覚醒する。ランクは不明だが、視界に現れる星を撃ち抜く事で、勝機を手繰り寄せる能力である。「王者の星」の覚醒については仁科マユカの占いにより予言されていた。

ツァファイア

犯罪組織、マリオネットの戦士(ジュエリスト)。「サファイア」のジュエルコードを持つ。色素の薄い長髪を靡かせた整った顔立ちの少年。生体機械融合の技術で両の掌に埋め込んだ装置から、プラズマ球炎(バーン)と呼ばれる炎を発生させる事ができる。また、影視レベルBの能力者でもある。ゴールデン=グレースの指揮する遺産捜索部隊の一員として行動していたが、その正体は秘密結社、カルダ騎士団から送り込まれた諜報員。 病院を舞台にグレースやワルビー=カンダル、茜純太と交戦した。この戦いでツァファイアは搭乗していたヘリを撃墜されているが、辛くも脱出に成功。爆炎に晒されながら顔だけは無傷だった事を「美しさが死神を退けた」と解釈し、ナルシシズムを増長させる。 その後、傷ついた肉体を機械に置き換えて戦線に復帰すると、近衛騎士兵を率いる立場となり、聖=カルダ島で純太やワルビーを迎え討った。なお、機械化したツァファイアは頭部のみが生体のため、最終手段として首だけ飛んで逃げる事ができる。状況に応じて身体を換装する事も可能で、重攻合体ストライクツァファイアと呼ばれる攻撃的な形態も披露している。 また、ネイ=ディの力により影視も強化された。

ジェネラルド

犯罪組織、マリオネットの戦士(ジュエリスト)。「エメラルド」のジュエルコードを持つ。癖っ毛を後ろに撫でつけたような髪型で、額には2粒の宝石のような物体が埋め込まれている。また、筋肉質な身体で自惚れが強く、士気は高いが品位は低いと評される卑劣漢。ゴールデン=グレースの指揮する遺産捜索部隊の一員として来日すると、独断専行により華園寮を襲撃。 茜純太や人気アイドルユニット、アンドールのメンバーと交戦した。戦闘時には肩から複数の機械触手を展開して毒精(ドク)をまき散らし、広域に甚大な被害を与える。毒精の正体は青酸カリ。これは生体機械融合の技術により、体内に埋め込まれた合成プラントで産み出されるものだが、貯蔵量には限度があるため、定期的な排出が必要不可欠。 平時は毒耐性のあるグレースにより管理されている。

ハル=ニッケル

犯罪組織、マリオネットの古参幹部。悪魔の意味を含む「Ni(ニッケル)」のエレメンタルコードを持つ。金髪碧眼の伊達男で、カイゼル髭を蓄え、丸眼鏡に白スーツという出で立ち。総執行幹事として組織の実務全般を取り仕切っている。性格は軟派だが、組織の存続を第一に考えているため、時には非情な決断をする事もある。ドールガンの影武者を務めていた事もあり、変装が得意。 戦闘では足技を主体に立ち回るほか、トランプのカードを武器として使用。無数のカードを盾とする無敵フラッシュガードという技も存在する。人気アイドルユニット、アンドールに脱衣ポーカー勝負を仕掛けるが、これは裏切り者のアンドールに身体を張らせて資金調達を行い、ケジメとして組織内での立場を取り戻してやろうと考えた結果である。 秘密結社、カルダ騎士団との距離感には慎重になっていたが、主要なドールガンの遺産がアンドールの管理下になると、一転して茜純太に協力的になり、聖=カルダ島への潜入や決戦にも力を貸す事になった。少年時代は「ハル=キッド」と名乗るカジノ荒らしで、「カジノの小覇王」とあだ名されるほどの実力者だったが、闇カジノで行われたポーカー勝負でドールガンに敗北。 直後に発生した騒動をきっかけに、マリオネットにスカウトされた。組織内ではゴールデン=ゴージャス3世、アイアン=リンドロンドに次ぐ古株である。

キャッツアイ

次世代アイドルユニット、メイドールのメンバーの女性。年齢は14歳。髪型は縦ロールで、半月型の眼鏡をかけている。ハル=ニッケルは、彼女の強みを「不思議眼鏡」「豊乳」と紹介した。アクアマリン、ガーネットと共に闇カジノで行われた脱衣ポーカー勝負に駆り出され、自らの衣服を賭けの対象として捧げる事になる。

アクアマリン

次世代アイドルユニット、メイドールのメンバーの女性。年齢は14歳。ショートカットの髪型で、体格は小柄。ハル=ニッケルは彼女の強みを「微乳美尻」「きつめの性格」と紹介した。キャッツアイ、ガーネットと共に闇カジノで行われた脱衣ポーカー勝負に駆り出され、自らの衣服を賭けの対象として捧げる事になる。 下着一枚まで追い込まれた状況でも、躊躇(ためら)いなく衣服を脱ぎ捨てる事で、人気アイドルユニット、アンドールの面々にメイドールの覚悟を知らしめた。

ガーネット

次世代アイドルユニット、メイドールのメンバーの女性。年齢は14歳。右目を覆うように前髪を垂らし、長い後ろ髪は一本に括っている。ハル=ニッケルは彼女の強みを「爆乳」「きつめの性格」と紹介した。キャッツアイ、アクアマリンと共に闇カジノで行われた脱衣ポーカー勝負に駆り出され、自らの衣服を賭けの対象として捧げる事になる。 なお、スリの名人を自称しており、ステージ上で羽月ひかるの下着だけを抜き取る荒技を敢行した。

アダマス

犯罪組織、マリオネットのメンバー。性別すら定かではないが、組織の重要人物としてたびたびその名前を挙げられる。かつてゴールデン=グレースがワルビー=カンダルを育てる決心をした際、弱みを作る事になると忠告した。

レッド=ガズラー

犯罪組織、マリオネットの古参幹部。「Pb(鉛、レッド)」のエレメンタルコードを持つ。9月8日生まれで、年齢は37歳。赤銅色の肌をした筋骨隆々の大男で、右の臀部に組織の紋章が刻印されている。また、縁の赤いサングラスを愛用している。同性愛者であり、強く美しい少年が好み。感情が昂ると「WHOOOOOOO!!」と叫ぶなどの悪癖を抱えているが、基本的には利に聡く狡猾な性格で、恋より仕事という信念に基づいて行動する。 戦闘では主にS&W M500の8インチモデルを使用。強烈な反動を物ともせず、片手で連射するほどの練度を誇る。また、隠し武器として下着の中にS&W M500の4インチモデルも忍ばせている。ツァファイアと手を組んで遺産争奪戦に参加すると、奈狩野高校の地下坑道で茜純太と交戦。 ここで純太の事を気に入るが、未成年に手を出すのはマズイというドールガンの判断で、年上好きに矯正された。この時の副作用によって、自分は少年に愛されているという勘違いをするようになっている。日本警察に逮捕されたあとは鬼平三郎に惚れ込んで弟子入りし、純太を兄弟子と慕うようになる。 秘密結社、カルダ騎士団との戦いにも協力した。フィリナ島で断崖絶壁に転落して死亡説も流れていたが、のちに聖=カルダ島の決戦に助っ人として駆けつけ、ツァファイアを仕留めるなどの活躍を見せる。なお、原子力潜水艦、マーメイド奪取への貢献が評価されて組織に誘われた経緯を持つが、スカウトに応じた理由は、ドールガンが従えていたアイアン=リンドロンド、ハル=ニッケルなどの美少年に目が眩んだからである。 ちなみに、好きな色は暖色。

ノーマン=ザ=シルバー

犯罪組織、マリオネットの古参幹部。「Ag(銀、シルバー)」のエレメンタルコードを持つ。髪型はモヒカンで、口髭と顎髭を蓄え、右目にはモノクルを装着している。右の掌に組織の紋章が刻印されている。葉巻を嗜み、一見紳士然としているが、相手を全否定する事を好み、「NO」で応対できない質問をされると激昂する。イエスマンを伴ってダイビングで日本に密入国。 改造を施したハマーを駆り、茜純太の運転する改造フェラーリF40と公道でのカーチェイスを演じた。20年以上前、英国での地盤確保に貢献した事からマリオネットに幹部待遇で迎えられ、どんな乗り物でも操縦できる特技を重宝されてドールガンつきの運転手となった。しかし、腰巾着のように「YES」を繰り返す生活に息苦しさを感じるようになり、他人を全否定する事に喜びを感じる人格となってしまった。 なお「ドーバーの梟雄」を自称しているが、人からそう呼ばれる事はない。

イエスマン

犯罪組織、マリオネットの構成員。ノーマン=ザ=シルバー直属の部下。眉毛のない長髪の大男で、頬に組織の紋章が刻印されている。ノーマンがクローン技術を使って開発した複製人間で、紋章の位置を除いて同じ外見、同じ性能の相方が存在し、周囲に気取られぬようタッグで行動している。性格は名前のとおりイエスマンであり、「YES」を甘美なる服従の言葉と捉え、他人にも「YES」を強要する。 戦闘では主にナイフを使用するが、状況に応じて銃を扱う事もある。なお、脳に電極が埋め込まれており、失言や失敗のたびにノーマンから電撃によるお仕置きをされている。実は2体のイエスマンはそれぞれ心臓や肝臓などの臓器が逆向きについているが、2体のうちどちらがクローンなのか、あるいはどちらもクローンでオリジナルは別に存在しているのか、詳細は不明。

Z=ゾンク (づぃーぞんく)

犯罪組織、マリオネットの構成員。肥満体の中年男性で、癖っ毛のカツラを被って禿頭を隠している。また、オネエ言葉を使用しており、一人称はあたし。人気アイドルユニット、アンドールのプロデューサーとしてメンバーの行動を管理していたが、レティシアがマリオネットから離叛する意思を見せると、中東で雇った傭兵を使ってアンドールの身柄を捕縛しようとした。 その後、アンドールの新メンバーとして迎え入れる予定の羽月ひかるを自ら拉致すると、救出に駆けつけた茜純太と対峙するが、ドールガンの操影術に敗北し、逮捕される。

ネイ=ディ

秘密結社、カルダ騎士団の枢機卿。長髪をオールバックにした大柄の男性。異なる民族が完全なる統制のもとに共存する新楽園(ネオ=エデン)の誕生を目論んでいる。影視レベルSの覚醒者で、撃影、「影帝(えいてい)ベルゼカイザー」の使い手。大きな鎌を構えた禍々しい姿の幻影を呼び出し、触影(しょくえい)と呼ばれる影を突き刺す事で相手の身体を意のままにあやつる魔影術(まえいじゅつ)を使用する。 アイアン=リンドロンドの片目を奪った人物として、「怪盗スカーレット」こと茜純太に興味を示し、のちに聖=カルダ島へ乗り込んで来た純太と交戦した。幼少期から戦場で活躍しており、生前のドールガンや少年時代のハル=ニッケルとも刃を交えた経験がある。

ハネライ

秘密結社、カルダ騎士団の構成員。階級は騎士将。鋭い目つきと口髭が特徴の男性で、ネイ=ディの幼少期からつき従っている腹心。影視レベルSの覚醒者で、撃影、ドラゴレックスの使い手。一見すると巨大な竜をあやつる能力だが、実際には超破壊力の攻撃に竜の幻影を重ねる事で直撃を狙う能力である。また、杖を武器として使用している。 聖=カルダ島にて陣頭指揮を執ると茜純太を包囲する事に成功するが、アイアン=リンドロンドをはじめとした協力者に阻まれ、カルダ十二騎士正と共に激闘を繰り広げた。

スーラマユナ

仁科マユカの姉。秘密結社、カルダ騎士団の構成員。階級は不明。顔の右側で長髪を一本に結い、右目に被せている。理知的な性格で、ネイ=ディの考える理想郷・新楽園(ネオ=エデン)に可能性を感じてつき従っているが、自分とは別の可能性を模索してほしいという考えから、マユカを日本へ送り出した。

メビラ

秘密結社、カルダ騎士団の構成員。階級は騎士正。緩くウェーブした長髪で右目を隠した面長の男性。影視レベルSの覚醒者で、撃影、隠者ブラッダークの使い手。一見すると自らの影に溶け込む能力だが、実際に存在が消えているわけではないので、攻撃をすり抜けるような使い方はできない。右腕には包帯のような布を巻きつけており、これを鋭く尖らせて攻撃に使用する。 闇カジノではダンデルと共に茜純太、ワルビー=カンダルのコンビを圧倒したが、ハル=ニッケルの仲介により引き下がっている。その後、フィリナ島の戦いで純太、ワルビーと再戦するが、二人のコンビネーションの前に敗北した。

ダンデル

秘密結社、カルダ騎士団の構成員。階級は騎士正未満。スキンヘッドに複数のトサカを生やしたような髪型の大男で、黒目と白目が逆になったような眼をしている。ゴムのように柔軟な体質を持ち、人体の構造を無視した立ち回りを得意とする。必殺技は両腕と胴体を高速回転させる事で渦と静電引力を生じさせ、敵を引き寄せて強烈な打撃を叩き込むスピンアンドデスダイフーンボルト。 闇カジノではメビラと共に茜純太、ワルビー=カンダルのコンビを圧倒したが、ハル=ニッケルの仲介により引き下がっている。その後、フィリナ島の戦いでは鬼平三郎と交戦するが、メビラの敗北を悟って撤退。聖=カルダ島での決戦にも参戦するが、影視に目覚めたワルビーに敗北。 なお、組織内では戦力としては申し分ないと評価されているが、特異体質に依存するような戦闘スタイルから騎士正への出世を見送られている。

ウォーカー

秘密結社、カルダ騎士団の構成員。縁の太い眼鏡をかけた欧米系の中年男性。ツァファイアと組んでゴールデン=グレースを襲撃し、茜純太やワルビー=カンダルと交戦した。ウォーカー自身は影視レベルBの使い手でありながら、戦闘が本職ではないため、身体能力は凡人並み。戦闘では主に拳銃を使用し、苦手な肉弾戦を影視でカバーするように立ち回る。 もともと従軍記者として戦場を飛び回っていた人物で、受賞経験も豊富。1995年のアフガニスタン取材でピューリッツァ賞にもノミネートされたが、この時は受賞を逃している。戦地の取材パスを手に入れるべく、ルビー鉱の情報を流した事で、ワルビーの父親、イザル死亡の遠因を作った。

仁科 マユカ (にしな まゆか)

スーラマユナの妹。奈狩野高校の心霊占星術倶楽部の部長を務めている。髪型は胸まで届くストレートの二つ結びで、前髪は真っ直ぐに切りそろえている。また、民族風の衣装を着用している。かつてカルダの傭兵が編み出したとされるカルダ占星術を習得しており、学園祭にて茜純太と面識を持つと、水晶玉で背後霊の存在を指摘。同席していたアイアン=リンドロンドには「強力で恐ろしい敵が現れる」という旨の予言を告げた。 また、純太に敗北して負傷したワルビー=カンダルを介抱した際には、「誰かに友情を感じて心から礼を言えたならば、王者の星が輝く」という旨の予言を残し、いずれも的中させている。羽月ナギサとは頻繁に連絡を取り合って協力している描写があるが、関係性は不明。 また、自らは戦闘能力を持っていないものの、アイアン=リンドロンドを伴って聖=カルダ島の決戦にも駆け付けている。

茜 士郎 (あかね しろう)

茜純太の父親。口髭を蓄え、眼鏡を掛けた壮年の男性。商社勤めの出張がちなサラリーマンで、マグロ漁船を丸ごと買いつける仕事をしている。人気アイドルユニット、アンドールが好きで、特にネーナのファン。出張から戻ると夏休み中の純太を渓流へ誘い、釣りを楽しみながら相談に乗った。士郎との交流がきっかけとなり、純太は影視の能力を飛躍的に向上させる事になる。

イザル

ワルビー=カンダルの父親で、故人。褐色の肌を持ち、口髭を蓄えた丸眼鏡をかけている。ゴールデン=ゴージャス3世からドールガンの遺産である巨大ルビー、軍神の血晶(マルスのけっしょう)を託されていた人物。パキスタン国境からほど近いアフガニスタンの村で息子と暮らしていた。1995年、既に枯れたと考えられていた鉱脈から良質なルビーを発掘して地元民に希望を齎(もたら)すが、信頼していた記者、ウォーカーの裏切りにより、鉱脈を狙う勢力の襲撃を受ける。 息子をかばって銃弾に晒されたイザルは最後の力を振りしぼり、一族の誇りについて語り聞かせるが、そのまま落命した。

オットー=バルター

ドールガンことマンフレット=バルターの義父で、故人。口髭を蓄えた中年男性で、旧西ドイツの外交官として働いていた。難民の息子というバックボーンから難民への支援を積極的に行っていたが、野望のために戦争を工作した事もあり、のちに慈善家としての顔と陰謀家としての顔を持ち合わせた人物と評価された。祖国ドイツの東西統一を皮切りにヨーロッパ統合、さらには世界の統合まで視野に入れて活動していたが、1979年にアルプス上空で死亡。 難民を救うというオットーの夢はドールガンへと引き継がれた。聖=カルダ大虐殺事件の現場に居合わせていた事から首謀者説も囁かれていたが、ドールガンが犯人として名乗り出た事により、オットーへの疑いは払拭されている。

エルフマン

本編未登場の重要人物。アイアン=リンドロンドがドールガンの過去にせまるヒントとして、茜純太に「オットー」「エルフマン」の名を伝えている。最終決戦後のエピローグでは純太がエルフマンこそドールガンを殺害した犯人ではないかと予想しているが、リンドロンドはそれを一笑に付している。

集団・組織

マリオネット

ドールガンが生前に立ち上げた犯罪組織。「主人の人形の如く動かせる組織」という意味で「マリオネット」と名付けられた。ドールガン亡き現在は残党によって管理運営され、表向きは芸能プロダクションを装っている。しかし、その背景にはドールガンの遺産の相続人である人気アイドルユニット、アンドールの庇護者となる事で、再び闇の世界に君臨しようという目論見がある。 配下の実行部隊は戦士(ジュエリスト)と呼ばれ、一流の戦士には、「組織を輝かせる」という意味で、宝石の名を冠したジュエルコードが与えられる。また、組織の要職に就く幹部やかつてのドールガンの側近や愛人には、「世界のカケラ」という意味で、元素の名を冠したエレメンタルコードが与えられている。 なお、構成員はマリオネットの紋章をタトゥーとして身体の何処かに刻印するしきたり。また、エレメンタルコード所有者の紋章デザインには元素記号が添えられている。

アンドール

犯罪組織、マリオネット所属の世界的人気を誇るアイドルユニット。行く先々で事件に遭遇する事からお騒がせアイドルとしても知られている。世間には公表されていないが、ドールガンの血を継いだ娘である事が加入条件となっており、その実態はドールガンの遺産の相続予定人の集まりである。もともとはレティシア、テュッティ、ネーナの三人で活動していたが、のちに羽月ひかるを加えた四人組となり、茜純太をマネージャーとして迎える。 また、遺産探しを行う際にはステージ衣装で変装し、怪盗スカーレット一家を名乗るようになった。なお、プロデューサーのZ=ゾンクはアンドールを「遺産への鍵」と表現し、「UN・DOLL」はすなわち「世界中から集めた人形」であると説明しているが、レティシアによれば「UN」は「Non(否定)」であり、「誰の人形でもない」という意味も含んでの名称であるという。

メイドール

犯罪組織、マリオネット所属の次世代アイドルユニット。メンバーはキャッツアイ、アクアマリン、ガーネットの三人。それぞれデザインの異なるメイド風コスチュームに身を包み、ジュエリスト天使(アイドル)と名乗って人気アイドルユニット・アンドールをライバル視している。メンバーはアンドールより年下の14歳だが、闇カジノで行われた脱衣ポーカーの際には、抜群のプロポーションで多くの観客を魅了している。 任務のためなら恥ずかしい事も平気でやってのける事から、ハル=ニッケルのお気に入り。のちにアイドル界の新星として華々しくデビューをはたし、新曲、「エルフガルド」を大ヒットさせている。

カルダ騎士団 (かるだきしだん)

聖=カルダ島に拠点を構える秘密結社。十字軍の時代に起源を持つ傭兵集団で、歴史の影をあやつる者を自称。「魔神の爪」ともあだ名されている。構成員は左腕に十字の装飾が入った制服を着用し、全員が影視を体得。騎士正以上の階級を持つ者は、影視レベルSの実力者ぞろいとなっている。軍事力も強大で、巡洋艦アル・エデナをはじめとした軍艦の類を多数所有する。 現在は実質的な指導者であるネイ=ディ枢機卿の思想を体現すべく、各国の紛争地帯で戦域浄化と呼ばれる虐殺を推進中。犯罪組織、マリオネットとも秘密裏に同盟を結び、世界を背後から支配する軍事ネットワークの構築を企む。

カルダ十二騎士正 (かるだじゅうにきしせい)

秘密結社、カルダ騎士団の中でも特に強力な影視を持つ12名の騎士正。歴戦の勇士・ダンクレス、聖なる忠牛、神官モー、的中する残酷な未来、ベラ姉弟、不銹鋼処女(ステンレスバージン)、ナークテレザ、殺人救世主(メシア)、キルストー、最狂軍師・ロースイ、類人猿、マントヒヒ、エーゲ侍、ミケネ、超人鬼、ゾフィール、ニトロバブル・デスマ、念動凶器、イアンキの11人と1頭がいる。 ハネライの指揮に従って聖=カルダ島で茜純太を迎撃。その後、純太の助太刀に現れたアイアン=リンドロンド達と激闘を繰り広げた。

場所

奈狩野高校 (なかのこうこう)

羽月ナギサが理事長を務める高等学校。茜純太、羽月ひかるが生徒として通っており、のちにレティシア、テュッティ、ネーナも転入し、生徒となる。土豪の奈狩野丹田(なかのたんでん)の城址という特殊な立地にあり、理事会館の建てられた丘の内部には、当時の名残でもある巨大な坑道が存在する。その最奥にはゴールデン=ゴージャス3世の手によってドールガンの遺産、SOULF S.A.A.が安置されており、他勢力が入り乱れる熾烈な争奪戦の舞台となった。 なお、「飛び剃刀の貞次」と呼ばれるモヒカン頭の裏番長が存在しているが、潜入捜査中の鬼平三郎に呆気なく叩きのめされている。

華園寮

奈狩野高校の女子学生寮。犯罪組織、マリオネットの襲撃により家に住めなくなった羽月ひかる、奈狩野高校に転入する事になったレティシア、テュッティ、ネーナが入寮し、寝食を共にした。もともとはバーコード頭の男性教師、佐倉一学(さくらいちがく)が寮長として管理していたが、ワルビー=カンダルの襲撃に巻き込まれて入院。 佐倉を介抱した茜純太が臨時寮長代理に任命された。純太の着任から間もなくして下着泥棒の出現、マリオネットの襲撃など、さまざまな災難に見舞われている。

闇カジノ (だーくかじの)

モナコヴィルの地下に存在する違法カジノ。真っ当な賭け事に飽きてしまったセレブが集い、ルール無用の真剣勝負を繰り広げている。カジノフロアの下層には地下鍾乳洞をくり抜いて建造したステージが存在し、賭け事をショーのように魅せる演出も行われている。茜純太はハル=ニッケルの策略により闇カジノのステージへと招かれ、人気アイドルユニット、アンドールの尊厳を賭けた脱衣ポーカーでの勝負に挑んだ。 なお、現在の闇カジノは秘密結社、カルダ騎士団の資金源として管理運営されているが、かつてはドールガンが取り仕切っていた。

フィリナ島 (ふぃりなとう)

ローマ沖の島。テュッティの故郷。朝市が開かれるなど表向きは観光地に見えるが、実際には秘密結社、カルダ騎士団のテスト植民島(コロニー)となっており、配置されている警官も騎士団の構成員である。茜純太達がドールガンの遺産を求めて上陸し、メビラを含む騎士団員と争奪戦を繰り広げる舞台となった。

聖=カルダ島 (さんくかるだとう)

最終決戦の舞台となる東地中海の小島。当時はオットー=バルターの支援で難民が暮らしていたが、聖=カルダ大虐殺事件によって壊滅。現在は秘密結社、カルダ騎士団の本拠地として機能している。軍事衛星網による徹底監視に加えて、騎士団の所有する戦艦や戦闘機による鉄壁の防備がしかれ、上陸は困難を極める。なお、島内の監獄塔には犯罪組織、マリオネットの重鎮、ゴールデン=ゴージャス3世が囚われている。

秘密の島 (ひみつのしま)

ドールガンの遺産の一つ。ドールガンの最終目的である移民の国の建国予定地。産まれて間もない羽月ひかるの意識下に、暗示という形で座標が託されるはずだったが、ドールガンが死亡した事により未遂に終わってしまった。島内には娘への女の子らしい贈り物として、レティシアには「すべてをひれ伏させる光を放つ女王の証アテナのティアラ」、テュッティには「星座をあしらった巨大ダイヤ・コスモス=リング」、ネーナには「プラチナ織の輝く人魚のドレス」が用意されているという。

イベント・出来事

聖=カルダ大虐殺事件 (さんくかるだだいぎゃくさつじけん)

1979年8月1日、聖=カルダ島で発生した事件。難民が身を寄せるキャンプにて大量虐殺が行われ、一晩の内に約5万800人が死亡。首謀者は犠牲者の臓器を売り払い、巨額の富を得たとされている。ドールガンが主犯として名乗り出た事で、一躍その悪名を世界に轟かせるきっかけとなったが、茜純太や人気アイドルユニット、アンドールは事件の真相に疑問を持ち、真実を知ろうとする。

その他キーワード

ドールガンの遺産 (どーるがんのいさん)

ドールガンが生前に所有していたさまざまな宝。美術品や貴金属の類も存在するが、本命は独立国家の建設に必要な数多の戦略資産である。内容は土地、人材、軍事機密や知的財産など多岐にわたる。ドールガンはこれらを「世界のカケラ」と表現したが、世間的にはドールガンの「世界を買う」という発言に基づき、「世界の代金」と呼ばれている。 ドールガンの死後、その多くはゴールデン=ゴージャス3世の手によって世界各地に封印される事になるが、一部の宝はドールガン自身の手で娘や側近に託されている。

生体機械融合 (せいたいきかいゆうごう)

ドールガンの遺産の一つ。犯罪組織、マリオネットが研究開発を進めている技術。もともとは身体に重度の障害を負った難民に、高性能の義手や義足を提供する目的で研究されていた。現在は、構成員の肉体に兵装を埋め込むなど軍事目的で利用されている。

SOULF S.A.A. (そーるふしんぐるあくしょんおーと)

ドールガンの遺産の一つ。悪党王の称号そのものと表現されるドールガンの愛銃。一見すると普通のリボルバーだが、その実態は拳機関銃(フィストマシンガン)と呼ばれるベルト給弾リボルバー。専用の給弾ベルトを用いて弾丸をフルオート方式の如く連射する事が可能。弾幕の展開が主な用法となる事から照準器は廃されているが、心の乱れを生じさせるだけで操影術を仕掛ける事ができるドールガンからすれば弾丸を命中させる必要はないので、能力と嚙み合った強力な武器となる。 奈狩野高校の地下で茜純太が入手するが、アイアン=リンドロンドとの戦闘中に破損し、長らく使用不可の状態となってしまった。のちにゴールデン=ゴージャス3世が持っていたスペアバレルを用いて修繕され、その銃口が再び火を噴く事になる。 純太が完全な状態のSOULF S.A.A.を装備した場合、その感触にドールガンの魂が影響を受けて、魂の入れ替わりが発生。ドールガンの魂が純太の肉体に宿り、純太の魂は銃身に宿る。また、この状態の純太の肉体の顔には、ドールガンの顔の傷と同じものが浮かび上がる。 さらに魂のリンクと呼ばれる覚醒状態に至れば、二人分の感覚で戦闘を行う事ができる。なお、銃の製作者は凄腕の拳銃職人であるウイルバー=ソールフ、オービル=ソールフの兄弟。ドールガンからオートマチック拳銃の開発をオーダーされていたにもかかわらず、リボルバー拳銃一筋の兄、ウイルバーのゴリ押しにより、ベルト給弾フルオートリボルバーという常軌を逸した代物になった。

人形正宗 (どーるえっじ)

ドールガンの遺産の一つ。アイアン=リンドロンドが愛用する刃渡り29センチ強の短刀。鎌倉時代の名工、正宗の作。江戸長銘正宗の名でも伝わっている。明暦3年、江戸の大火に巻き込まれて江戸城の本丸と運命を共にしたとされていたが、羽月ナギサの父親が手に入れ、生前のドールガンに譲渡。その後、ドールガンからリンドロンドへと託された。 最終的には茜純太が受け継ぐ事になる。なお、巻末のおまけコーナーで、実在の国宝「九鬼正宗」を参考にデザインした事が明かされている。

ミネルヴァの涙 (みねるゔぁのなみだ)

ドールガンの遺産の一つ。Transferable Explosive Atomic Ray System、通称TEARS。ドールガンが建国の切り札として保有していた超巨大エネルギー兵器。任意の座標に核を利用したX線レーザー砲、ミネルヴァの落涙を放つ事ができる。静止軌道上に配置した複数の衛星から成り立っており、有効射程は地球上のほぼ全域。 艦隊を一撃で壊滅させるほどの威力を持ち、ドールガンの遺産の中でも最も危険な代物として扱われている。現在はレティシアがミネルヴァの涙使用権を保有し、端末に座標を入力するだけですぐに発射できる状態にある。

エシュロンのキーコード

ドールガンの遺産の一つ。通信傍受システム・エシュロンへのアクセスに必要なキーコード。生前のドールガンの手により、3次元の乱数表という形で産まれて間もないテュッティの意識内に封印されていた。エシュロンを利用すれば軍事、政治、経済などあらゆる情報を手中におさめる事が可能なため、ドールガンの遺産の中でも最重要と位置づけられている。

マーメイド

ドールガンの遺産の一つ。レッド=ガズラーの手引きで1985年にアメリカから奪取した攻撃型原子力潜水艦。対艦トマホークをはじめとした各種武装に加え、無人偵察艇なども搭載している。マーメイドの運用に必要となる暗号はネーナの意識下に封印されていたが、コレート=ニトロゲンの判断で封印が解かれ、運用可能となった。 なお、ドールガンはアメリカに対して盗んだマーメイドの代金を支払っており、当時の大統領ロナルド・レーガンを激怒させている。

蛇香 (すねーくひゅーむ)

犯罪組織、マリオネットが開発した催眠効果の高い薬物。略称スネーク。媚薬の一種ともされているが、主に末端の兵隊を都合のいいようにあやつる目的で使用されている。元来は戦闘用に作られたもので、その名残として催眠状態で戦闘を行うと倒されるまで戦いを止める事ができなくなる。時間の経過によって効果は薄くなり、口や指先などの神経の末端から順番に解放されていく。

ゴールドの封書 (ごーるどのふうしょ)

ゴールデン=ゴージャス3世がSOULF S.A.A.と共に奈狩野高校の地下坑道に隠したもの。中身の古びた写真にはレオニード・ブレジネフ、エーリッヒ・ホーネッカー、オットー=バルターなど政界の大物に混じって、少年時代のドールガンであるマンフレット=バルターが写り込んでいる。 封書を手に入れたゴールデン=グレースは秘密結社、カルダ騎士団との取り引きに利用して先代ゴールドを救うつもりだったが、結局は日本警察の手に落ちてしまい、別の方法を模索する事になった。

操影術 (そうえいじゅつ)

ドールガンが得意とする催眠術のような能力。影視の到達点であり、敵の心理把握を魂の掌握まで昇華させた究極の技術と説明されている。対象となる人間の運動神経を麻痺させ、術者の思いどおりにあやつる事ができる。100人規模の警官隊を丸ごとあやつるなど、同時に複数の人間を術中に置く事も可能。対象者の肉体の限界を超越した力を引き出す事もできるが、その場合は対象者の身体に大きな負担がかかる。 操影術を仕掛けるには対象の心に刺激を与える必要があり、刺激が強いほど支配力も高まる。ただし、操影術を学んだ者には通用しない。死後のドールガンは、主に自らの動きを茜純太にトレースさせる目的で操影術を使用。素直で真っ直ぐな人間ほどあやつりやすいため、ドールガンは純太を最高の人形と評価した。 また、魂の銃、SOULFを撃ち込む事で純太以外の人間をあやつる事もできる。アイアン=リンドロンドの使用する屍影術(しえいじゅつ)、ネイ=ディの使用する魔影術(まえいじゅつ)は操影術の亜種である。

SOULF (そーるふ)

ドールガンの操影術を下地とする茜純太の切り札。そろえた人差し指と中指を銃身に見立てて精神的エネルギーを放ち、被弾した対象に操影術をかける。ドールガンは「人間の心を撃ち抜く魂の銃」と表現した。主に敵をあやつる目的で使用されるが、味方に撃ち込んで使用者の力を分け与え、パワーアップ状態で使役する事も可能。この用法をSOULF同志支援アクションと呼ぶ。 純太の体力では1日に使用できるのは6発まで。撃ち尽くしてしまうとドールガンが強制的に睡眠状態に陥り、操影術による支援を受けられなくなる。また、ドールガンが鏡に映っている状態で、ドールガンと純太の双方から標的が確認できる状況でなければ使用できない。なお、女性を撃ち抜くと恍惚とさせてしまう副次的な効果がある。

影視 (えいし)

十字軍の時代に、カルダの騎士が単独で複数を相手取る術として編み出した技術。戦場認識力の覚醒を意味する力で、技術を高める事により戦力情報を視覚に置き換える事ができる。熟練すると相手の気配、思考、一瞬先の行動まで目に見えるようになり、最終的には物理現象まで引き起こす。その習熟度はレベルC〜レベルSで表される。初期段階の影視レベルCでは気配や殺気を視覚情報に置き換え、戦場にいる自分を第三者が俯瞰しているような視点で知覚する事ができる。 戦闘における死角をなくす効果があり、特に単独で複数の敵を相手にする際に真価を発揮する。第2段階の影視レベルBになると、戦いの流れや相手の息づかいなどを読み取り、直感的に相手の心理を把握する事ができる。神経命令を察知して先の行動を読み取ると説明されているが、相手の行動力が使用者の認識力を超えていると予測不能となる。 たとえば、使用者の知り得ない未知の攻撃などは予測できない。第3段階の影視レベルAになると、敵が次に取る行動がゆらぎとなって視界に現れるようになる。一瞬先の未来を視覚で捉える力とも説明されている。敵が弱ければゆらぎの数は少なく、ゆれ幅も小さくなるが、強敵の場合はゆらぎの数が多くなり、ゆれ幅も大きくなる。 最終段階の影視レベルSに至ると、認識力が物理的な力へと置換される影力撃転(えいりょくげってん)が発生し、撃影(げきえい)と呼ばれる超常的な能力に覚醒する。撃影の性質は使い手によりさまざまで、竜や魔人など何らかの形を伴って現れる場合もある。

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