K -beautiful pieces-

K -beautiful pieces-

TVアニメ『K -Return of kings-』および劇場アニメ『K -seven stories-』のコミカライズ作品。ドレスデン石盤より力を得た七人の王権者と、彼らの仲間たちによる過去と未来の戦いが、オムニバス形式で描かれている。

正式名称
K -beautiful pieces-
ふりがな
けー びゅーてぃふる ぴーしず
原作者
GoRA・GoHands
漫画
ジャンル
異能力・超能力
レーベル
マガジンエッジKC(講談社)
関連商品
Amazon 楽天

あらすじ

第1巻

謎の少年が作り出した空間の中では、かつて争いによって命を落とした人物たちが集っていた。その中には、國常路大覚三輪一言比水流周防尊などといった、かつての王権者も含まれていた。彼らは思い思いに自らの主張を語りつつも、どこか満足気な表情を見せていた。また、そこにはかつて主であった宗像礼司を守るために命を落とした楠原剛の姿もあった。剛は、この場に自分は場違いなのではないかとあやぶむが、かつて「青の王」であった羽張迅に勇気づけられる。そして一同は、白米党吠舞羅セプター4jungleの仲間たちが平和に暮らしている様子にそれぞれ満足感を覚え、謎の少年の導きにより、新たな世界における新しい日常に向けて、共に歩き出すのだった。(エピソード「Epigraph」。ほか、8話収録)

登場人物・キャラクター

伊佐那 社 (いさな やしろ)

葦中学園島にある高校に通っている少年で、愛称は「シロ」。人懐っこい性格でつねに笑顔でいることから、多くの生徒たちにマスコットのようにかわいがられている。一方で、外を歩くときは和傘をさしたり、不意にそのカリスマ性を見せるなど、どこか超然とした一面も併せ持っている。過去の記憶を失っており、葦中学園島における事件で知り合った夜刀神狗朗(クロ)やネコと共に記憶の手がかりを求めて奔走している。やがて、第一王権者「白銀の王」であるアドルフ・K・ヴァイスマンの意識が宿っていることが判明。ヴァイスマンとしての記憶を取り戻し、葦中学園島の事件を解決に導いた。そのあとは仲間たちの前から姿を消し、クロやネコによって捜索されていたが、緑のクランであるjungleの暗躍によってドレスデン石盤が悪用されつつあることを知ると、彼らの前に姿を現し、「白銀の王」としての復活を宣言し、白銀のクランの白米党を結成。さらに、第三王権者「赤の王」である櫛名アンナおよび第四王権者「青の王」宗像礼司との会談を取りまとめ、赤のクランの吠舞羅および青のクランであるセプター4と共闘関係を結ぶ。そして、第五王権者「緑の王」である比水流と、彼に助力する第六王権者「灰色の王」である磐舟天鶏の野望を食い止めるために尽力した。

アドルフ・K・ヴァイスマン (あどるふかーゔぁいすまん)

第一王権者「白銀の王」の青年。親しい仲間からは「アディ」と呼ばれている。超天才ながら、甘えたがりなところがあり、姉のクローディア・ヴァイスマンや親友の國常路大覚によく懐いていた。ドレスデン石盤の原理解明に寄与したドイツ人で、のちにドレスデン石盤が王権者たちに異能力を付与するきっかけとなった人物でもある。不変の力と呼ばれる能力を持っており、90年生きていながらも、外見は若々しい青年のままである。第二次世界大戦の最中に、ドレスデン石盤から付与される力で戦争を終わらせようと考え、クローディアや國常路と共に研究を進めていた。しかし、大戦末期に発生した爆撃によってクローディアが死亡。残されたアドルフ・K・ヴァイスマンと國常路も自責の念に駆られ、その場で決別してしまった。そのあとは、飛行船「ヒンメルライヒ号」に籠もり、70年もの長きにわたって休眠状態に入っていた。しかし、三輪一言の次の代の第七王権者「無色の王」によって肉体を乗っ取られそうになると、精神体のみ脱出し、葦中学園島に通っていた高校生に乗り移ることで伊佐那社となった。

國常路 大覚 (こくじょうじ だいかく)

かつて第二王権者「黄金の王」だった老年男性。黄金のクランの非時院の指導者を務めていた。運命や繁栄を司る能力を持っており、主に他者の才能を引き出すことに長けている。かつて大日本帝国軍の中尉を務めていたが、アドルフ・K・ヴァイスマンやクローディア・ヴァイスマンと共にドレスデン石盤の研究に携わり、王権者としての力を獲得する。そして、1945年の第二次世界大戦に敗れた日本を立て直した。21世紀を迎えてもなお「御前」と呼ばれて敬われており、日本政府に多大な影響を与えている。また、90歳以上の老齢でありながら、王権者の中でも飛び抜けて戦闘能力が高く、ほかの王権者を一蹴するほど。しかし、伊佐那社たちが葦中学園島の事件を解決したあと、96歳にして他界した。國常路大覚の死は、日本政府の混乱を招くとともに、第五王権者「緑の王」である比水流が本格的に動き出す契機ともなった。死後、謎の少年によって現実世界とは異なる空間に呼び出され、クローディアと共に、若かりし頃の姿で姿を現す。そして周防尊や三輪一言、比水など戦いの中で命を落としたほかの王権者たちと顔を合わせた。

櫛名 アンナ (くしな あんな)

第三王権者「赤の王」の少女。赤いゴスロリ衣装をまとった、人形のような風貌をしている。かつては、先代の「赤の王」であった周防尊のもとで赤のクラン、吠舞羅のクランズマンとして活動していた。尊の死を契機として、吠舞羅の新たなキングを務めることとなった。生まれつきストレインの能力を持ち、ビー玉を通して相手の情報を得ることができる感応能力が使える。また、「赤の王」に選定され、ドレスデン石盤から暴力の象徴とされる炎の力を得ることにより、尊に劣らない戦闘能力も獲得した。青のクランのセプター4とは、葦中学園島での事件以降、必要以上の干渉を避けていたが、白銀のクランである白米党のキングとなった伊佐那社の働きかけによって、緑のクランのjungleに対抗するために共同戦線を張り、共に比水流の野望を阻止するために戦った。

宗像 礼司 (むなかた れいし)

第四王権者「青の王」の青年で、青のクランであるセプター4の室長を務める。日本政府の陰の統率者である國常路大覚とつながりを持つ。つねに冷静沈着かつ慇懃無礼な性格で、穏やかな敬語で話す。「剣をもって剣を制す」が口癖で、強力な異能者でありながら誰よりも規律や秩序を重んじており、その姿勢から慕う人物も多い。かつて赤のクランの吠舞羅を束ねていた周防尊とは友人だったが、のちに確執が生まれ、公然と皮肉を言い合ったり、時には真っ向から戦い合ったりと険悪な仲となった。一方で、尊を誰よりも理解しているような様子を見せることもあり、葦中学園島の事件では力を暴走させた彼を終わらせるために、自らの刀で介錯を行った。それ以降、吠舞羅とは必要以上の干渉を避けていたが、白銀のクランである白米党のキングとなった伊佐那社の働きかけによって、緑のクランのjungleに対抗するために共同戦線を張り、共に比水流の野望を阻止するために戦い、勝利した。ドレスデン石盤が破壊されたことで所有していた異能力を失うが、jungleによって混乱した日本政府を立て直すため、引き続きセプター4で公務を続けている。

比水 流 (ひすい ながれ)

第五王権者「緑の王」の青年で、緑のクランであるjungleを率いている。拘束衣をまといつつ車椅子に乗り込んでいるなど、奇妙な出で立ちをしている。会話の際に二字熟語を多用するという癖がある。第一王権者「白銀の王」であるアドルフ・K・ヴァイスマンを崇拝しており、ドレスデン石盤に並ならぬ執着を示している。過去に致命傷を負っており、それ以降はドレスデン石盤に与えられた異能力によって生命を維持している。基本的には穏やかな性格で、一見すると冷静沈着に見えるが、実際は活動的な野心家でもあり、王権者としての力も卓越している。ドレスデン石盤の力を独占するために、第二王権者「黄金の王」である國常路大覚に戦いを挑んだこともある。彼に敗れてからは、公式から抹消されている地下道に基地を構え、磐舟天鶏や五條スクナといった少数のクランズマンと共に隠れ住み、インターネットを介して無作為に異能力を分け与えてjungleのクランズマンを増やすなどして、力を蓄えていった。そして、國常路の死去を契機として、ドレスデン石盤の力を独占しようと暗躍を開始する。それに対して白銀のクランの白米党と、赤のクランの吠舞羅、青のクランのセプター4に共同して抵抗を企てられ、伊佐那社の策略によってドレスデン石盤を破壊された。そして、王権者の力を失ったことで生命を維持できなくなり、その場で命を落とす。死を迎えたあとに謎の少年によって現実世界とは異なる空間に呼び出され、同じく戦いの中で命を落とした磐舟や國常路と再会する。

磐舟 天鶏 (いわふね てんけい)

緑のクランであるjungleに所属している中年の男性。ふだんは比水流の世話を焼いており、彼からも「イワさん」と呼ばれ、親しまれている。ビールが大好きで私生活はだらしないが、確かな家事の腕を誇る。かつては「鳳聖悟」という名前で、第六王権者「灰色の王」として灰色のクランのカテドラルを率いていた。しかし、過去の事件によってクランズマンの大半を失い、それ以降は王権者であるという素性を封じて、比水の片腕として公私にわたるパートナーとなっている。第二王権者「黄金の王」である國常路大覚が死去したことを契機に比水が野望のために立ち上がると、それに追随して行動を開始する。そして、第二王権者「青の王」である宗像礼司と戦うが、力及ばず敗れ去り、命を落とした。死後、謎の少年によって現実世界とは異なる空間に呼び出され、同じく戦いの中で命を落とした比水や國常路、三輪一言らといったかつての王権者たちと再会する。

三輪 一言 (みわ いちげん)

かつて第七王権者「無色の王(むしきのおう)」だった中年の男性。未来を予見する力を持つほか、王権者としての能力も高かったが、むやみに力を振るうことを拒み、弟子であった夜刀神狗朗(クロ)と共に山奥で隠遁生活を送っていた。前衛的俳人を自称しており、しばしば自作の俳句を披露する癖を持つ。過去に命を落としているが、クロからは現在も強く慕われている。そして死後、謎の少年によって現実世界とは異なる空間に呼び出され、國常路大覚や比水流、磐舟天鶏などの王権者と顔を合わせたほか、過去に接触のあった周防尊と再会している。

夜刀神 狗朗 (やとがみ くろう)

第一王権者「白銀の王」となった伊佐那社(シロ)のクランズマン。白銀のクランの白米党に所属している青年で、天才的な剣技と家事の腕を誇る。白米党の仲間であるシロや、ネコとは家族のような関係を築いており、家事が苦手な彼らに代わって母親のように世話を焼いている。かつて第七王権者「無色の王」であった三輪一言に師事しており、彼からは実の息子のようにかわいがられ、夜刀神狗朗自身も三輪を深く尊敬していた。その敬意は現在においても変わっておらず、時折彼の俳句を引用することもあった。御芍神紫とはかつて兄弟弟子の間柄だったが、彼が緑のクランのjungleについたことで敵対関係となり、幾度となく刃を交えている。

ネコ

第一王権者「白銀の王」となった伊佐那社(シロ)のクランズマン。白銀のクランの白米党に所属している少女で、生まれつきストレインの能力を持っており、相手の認識を操作して幻影を見せたり、ネコ自身を白猫に見せたりすることができる。過去の記憶を失っており、本名が「雨乃雅日」であることや、かつて比水流と面識があったことなどをすべて忘れている。また、自らが猫であると思い込んでおり、衣服を身につけるのを嫌ったり、偶然出会ったシロに興味を抱いて懐いたりするなど、無邪気な様子を見せることも多い。夜刀神狗朗に対しては、シロに世話を焼いている彼に嫉妬して、対抗心を抱くこともあったが、現在は相棒として良好な関係を築いている。

クローディア・ヴァイスマン

弟のアドルフ・K・ヴァイスマンや、友人の國常路大覚と共に、ドレスデン石盤を作り出す研究をしていた女性。弟のことを「アディ」と呼び、國常路からは「フロイライン・ドクトール」と呼ばれていた。穏やかな性格の持ち主で、やや奔放なアドルフと生まじめな國常路にとっての清涼剤のような存在となっていた。しかし、1945年に発生した爆撃に巻き込まれ、命を落とす。クローディア・ヴァイスマンの死は、アドルフと國常路にも大きな闇を落とし、その後の彼らの進む道をよくも悪くも決定づけた。死後、若かりし頃の國常路と共に謎の少年によって現実世界とは異なる空間に呼び出され、周防尊や三輪一言、比水流など、戦いの中で命を落としたほかの王権者と顔を合わせる。

周防 尊 (すおう みこと)

櫛名アンナの前に第三王権者「赤の王」だった青年。赤のクランの吠舞羅を率いていた。口数が少なく無愛想な性格だが、ぶっきらぼうながらも仲間思いで、部下たちからは深く敬愛されていた。ふだんは寝ていることが多く物静かに見えるが、気性は荒く、内には破壊衝動を秘めている。さらに、クランズマンであった十束多々良を殺害された怒りによってなりふり構わない一面も見せるようになる。宗像礼司とはかつての友人で、のちに敵対関係となるが、互いに嫌い合いながらも理解しているような素振りを見せることもある。葦中学園島を巡る事件の中で多々良の仇討ちに成功するが、その中で能力を暴走させてしまい、宗像の刀によって介錯されることを選んだ。死後も影響力が衰えることはなく、新たな「赤の王」になったアンナやNo.2の草薙出雲など、多くの仲間たちからたびたび述懐されている。

草薙 出雲 (くさなぎ いずも)

第三王権者「赤の王」である櫛名アンナのクランズマン。赤のクランである吠舞羅のNo.2を務めている青年で、先代の「赤の王」であった周防尊の頃から付き従っている。叔父からゆずり受けたバー「HOMRA」のマスターを務めており、吠舞羅の拠点として開放している。京都出身で、吠舞羅のメンバーの中では唯一会話の際に方言を使う。穏やかな性格で面倒見がよく、ぶっきらぼうな尊や物静かなアンナに代わって個性的な吠舞羅のメンバーのまとめ役を担っている。淡島世理とは、彼女が「HOMRA」に通っているためにプライベートでは仲がいいが、立場上互いに牽制し合うことも多く、彼女の極端な甘いもの好きには辟易している。しかし、緑のクランのjungleに対抗するための潜入作戦で共闘し、抜群のコンビネーションを見せた。

十束 多々良 (とつか たたら)

かつて第三王権者「赤の王」であった周防尊のクランズマン。赤のクランの吠舞羅に所属していた青年で、尊や草薙出雲と並んで吠舞羅の初期メンバーの一人に数えられていた。クランズマンでありながら戦闘能力はほとんどないが、歌や家事、スケボーなどが得意で、ほかにも写真撮影を好むなど、いくつもの特技を持っている。穏やかな性格で出雲以上に面倒見もよく、特技の豊富さも相まってさまざまな人に好かれやすい。吠舞羅においても、尊や出雲から強い信頼を向けられているうえに、櫛名アンナや八田美咲からも慕われていた。しかし、写真撮影のために出掛けていたところ、謎の人物に襲撃されて命を奪われてしまう。この事件は、吠舞羅とセプター4が本格的に敵対し、のちに葦中学園島に波乱が巻き起こるきっかけの一つとなった。

八田 美咲 (やた みさき)

第三王権者「赤の王」である櫛名アンナのクランズマン。ニット帽をかぶっており、首にヘッドフォンを掛けている。吠舞羅メンバーとの絆を大切にしており、特に初期メンバーである周防尊や十束多々良を尊敬し、慕っていた。伏見猿比古とは中学時代からの友人だったが、彼が吠舞羅を抜けてセプター4に入ったことで一時期仲を拗らせていた。しかし、緑のクランのjungleとの戦いにおいて共闘した際に、互いの思いを通わせたことで和解に至った。jungleとの戦いが終わったあとはドレスデン石盤が破壊されたために異能力を失うが、吠舞羅のメンバーとの交流を続けているほか、持ち前の運動神経を生かして子供たちにスケボーを教える教室を開いている。また猿比古とも、20歳を迎えた記念に酒を飲みに行こうと誘うなど、良好な関係を維持している。

善条 剛毅 (ぜんじょう ごうき)

第四王権者「青の王」である宗像礼司のクランズマン。先代の「青の王」であった羽張迅の代からクランズマンを務めており、青のクランのセプター4に現在も所属している。隻腕ながら剣術の腕は卓越しており、鬼神のような強さと、なりふり構わず動き出しやすい行動力から「鬼の善条」と呼ばれている。羽張や塩津元とは気心の知れた中で、軽口を塩津にたしなめられることも多いが、有事の際には抜群のコンビネーションを見せる。また、緑のクランのjungleに対抗するために宗像の下についてからは、以前と異なって冷静な様子を見せることが多くなり、塩津にも感心された。

楠原 剛 (くすはら たける)

第四王権者「青の王」である宗像礼司のクランズマンだった青年。20歳という若さで宗像の側近に抜擢されており、彼を強く信頼していた。また、年若いということもあり、セプター4のほかのメンバーからもかわいがられていた。しかし、刺客の凶弾から宗像をかばい、その傷がもとで殉職してしまう。死後に謎の少年によって現実世界とは異なる空間に呼び出され、周防尊や三輪一言など、戦いの中で命を落としたかつての王権者たちと出会う。その堂々たる顔ぶれに面食らい、彼らのそばに出ることすらはばかられていたが、そこに羽張迅が現れて「勇気をもって彼らの場所まで踏み込んでみるといい」と助言を受けた。

羽張 迅 (はばり じん)

宗像礼司の前に第四王権者「青の王」だった青年。青のクランであるセプター4の室長を務めていた。宗像と同様に知的な風貌をしているが、穏やかな性格をしており、仲間たちからは青空のように晴れやかな人物であると評されている。善条剛毅、および塩津元とは気心の知れた仲で、共に任務にあたることが多かった。また、善条からは王権者である以上に頼もしい相棒であると考えられ、塩津からも、善条の独断を受け入れる点を苦々しく思われつつも、王権者として慕われていた。しかし、先々代の「赤の王」との戦いによって「迦具都事件」と呼ばれる事件を引き起こし、命を落としてしまう。死後、謎の少年によって現実世界とは異なる空間に呼び出され、國常路大覚や比水流など、戦いの中で命を落としたかつての王権者たちや、セプター4での任務で殉職した楠原剛と出会っている。

塩津 元 (しおつ げん)

先代の第四王権者「青の王」である羽張迅のクランズマンだった青年。青のクランであるセプター4における重鎮の一人で、厳しくも的確な手腕で隊員たちを取りまとめていた。羽張や善条剛毅とは共に任務にあたることが多かったが、直感で動く彼らには振り回されがちだった。特に待つことを知らずに鉄砲玉のように動く善条には手を焼いており、しばしば苦言を呈していたが、仲間としては大切に思っており、彼らと共に行動するのを心地よく感じていた。緑のクランのjungleがドレスデン石盤を狙って動き出した際は、野望を食い止めるべく、独自の部下を率いて活動している。

淡島 世理 (あわしま せり)

第四王権者「青の王」である宗像礼司のクランズマン。青のクランであるセプター4の副長を務めている女性。上司であり「青の王」である宗像に対しては敬愛の念を抱いており、右腕として彼を支えて個性的なセプター4の隊員たちをまとめている。冷静な性格のしっかり者だが、少々天然な一面もある。赤のクラン、吠舞羅のメンバーである草薙出雲とは、彼女がマスターを務めるバー「HOMRA」の常連ということから面識があり、任務に対して従順で敵に対して冷徹な面を、彼女に「ツンドラの女」と皮肉られることもある。しかし、吠舞羅とセプター4が敵対していた際もひそかに情報交換を行ったり、緑のクランであるjungleに対抗するために二つの組織が共同戦線を張った時は、潜入任務のために共闘して優れた連携を見せたりするなど、関係は悪くない。

伏見 猿比古 (ふしみ さるひこ)

伏見仁希と伏見木佐の息子で、父親の仁希からは「おサル」と呼ばれている。仁希からは気に入られているものの、伏見猿比古自身は父親をあまりよく思っていない。第四王権者「青の王」である宗像礼司のクランズマンで、青のクランのセプター4に所属しており、19歳という若さでクランのNo.3にまでのぼり詰めた。元は吠舞羅のメンバーだったが、のちに宗像から直接スカウトを受け、周防尊も認める形でセプター4に入隊する。八田美咲とは中学時代からの友人であり、吠舞羅に入る前からよく二人でつるんでいたが、吠舞羅を離れたことがきっかけとなって仲がこじれてしまう。一方で、美咲に対しては敵対しつつも執着している節があり、幾度となく戦いを挑んでいる。さらに、ひそかに宗像と示し合わせて、情報収集のためにセプター4を裏切ったふりをして緑のクランのjungleへ一時的に所属したため、三つのクランに所属した経験を持つ珍しい存在となる。セプター4に復帰したあとは、jungleとの最終決戦において美咲と共闘。その際に、互いの思いを通わせたことで和解に至った。現在はドレスデン石盤が破壊されたことでクランズマンとしての異能力を失い、公務員として再編したセプター4で働いている。また、美咲とも皮肉を交えた思い出話に花を咲かせたり、互いに20歳になった記念に二人で酒を飲む約束を交わすなど、良好な関係をうかがわせている。

伏見 仁希 (ふしみ にき)

伏見猿比古の父親で、伏見木佐の夫。天才肌ながら、よくも悪くも破天荒な性格で、社会的に何一つ有益なことをしようとしないため、学力優秀な人材を輩出している伏見家において異端児として認識されている。知恵の輪やルービックキューブなど、手先で何かをいじることを好んでいる。木佐とは出身大学の起業系サークルのイベントで出会い、交際の末に結婚して息子の猿比古をもうけた。猿比古のことを「おサル」と呼んでおり、気に入っている様子を見せているが、猿比古からは快く思われておらず、干渉を避けられている。不摂生による内臓疾患を患っており、余命いくばくもない状態にあるが、まったく悲観的な様子を見せることがない。

伏見 木佐 (ふしみ きさ)

伏見猿比古の母親で、伏見仁希の妻。大手会社の社長を務めており、敏腕実業家として広く知られている。しかし、伏見仁希と異なって天賦の才能に恵まれているわけではなく、たゆまぬ努力によって現在の地位を築き上げた。華やかな生活を送っているため、家庭を顧みない仕事一筋な人物に見られがちだが、実際は夫や息子を大切に思っている。仁希とは出身大学の起業系サークルのイベントで出会い、自分にはない破天荒な才に惹かれ、のちに結婚した。現在は仁希に対して刺々しい様子を見せるが、内心では彼の病状を強く心配している。

五條 スクナ (ごじょう すくな)

第五王権者「緑の王」である比水流のクランズマン。緑のクラン、jungleのuランカーに数えられている少年。緑色の光で構成された刃を備えた大鎌を武器として扱う。親友に裏切られたことをきっかけに、実母の束縛から逃れて一人きりで生きて行くと決意。比水の誘いに応じて、jungleに加入する。戦闘能力は極めて高く、伏見猿比古や八田美咲を圧倒するほど。根は純粋だが、他人を利用するのが当り前という日々を送ってきたため、重度の人間不信に陥り、斜に構えた振る舞いをすることが多い。

御芍神 紫 (みしゃぐじ ゆかり)

第五王権者「緑の王」である比水流のクランズマン。緑のクラン、jungleに所属している青年。卓絶した剣技と強烈な美意識の持ち主であり、独自の原理に従って行動している。オネエ言葉を使い、他者を翻弄することを得意とするなど、つかみどころのない性格をしている。その一方でクランズマンの中でも並はずれた実力を誇っており、最強と名高い黄金のクランである非時院のクランズマンたちを一人で圧倒するほど。かつて第七王権者「無色の王」だった三輪一言に師事しており、夜刀神狗朗はかつての弟弟子にあたる。しかし、狗朗が所属する白銀のクランの白米党と敵対関係になったことで、敵味方に分かれて争う事態となる。

謎の少年 (なぞのしょうねん)

あらゆる時、あらゆる場所に出没するとされる金髪の少年。その素性や目的は明かされていないが、ドレスデン石盤に関係している様子を見せている。ドレスデン石盤を巡る戦いで命を落とした王権者やクランズマンたちを、独自に創造した空間に呼び寄せる。そして彼らを新しい世界に導き、新たな日常を送るようにうながしている。

集団・組織

白米党 (はくまいとう)

アドルフ・K・ヴァイスマンの記憶を継いで第一王権者「白銀の王」となった伊佐那社が、新たに立ち上げた「白銀のクラン」。葦中学園島内の学生寮を主な拠点としている。クランズマンは夜刀神狗朗とネコの二人だけだが、結束は非常に固く、家族のように寄り合っている。これまではほかのクランと争うことを好まず、表立って介入することは滅多になかった。だが、緑のクランであるjungleを率いる「緑の王」の比水流がドレスデン石盤を悪用しようと暗躍を始めたため、彼の野望を阻止するべく、かつて葦中学園島で邂逅した赤のクランの吠舞羅と、青のクランのセプター4に呼びかけ、共闘することとなった。

非時院 (ときじくいん)

第二王権者「黄金の王」である國常路大覚が率いる「黄金のクラン」。「ウサギ」と呼ばれる独自のクランズマンが多数所属しており、最強の王権者である國常路と、その力を受けたクランズマンによって構成されているため、事実上最強のクランとして認識されている。國常路の意向によって、日本国の治安維持を最優先に動いており、政財界にも強い影響を与えていた。しかし、現在は國常路が死を迎えたために、その影響力も大きく低下してしまっている。

吠舞羅 (ほむら)

第三王権者「赤の王」である櫛名アンナが率いる「赤のクラン」。草薙出雲が経営するバー「HOMRA」を主な拠点としているストリートギャングで、セプター4とは敵対関係にあり、先代の「赤の王」である周防尊が率いていた時は、十束多々良の仇を討つために葦中学園島の占拠をもくろみ、全面戦争にまで発展しかけた。しかし、アドルフ・K・ヴァイスマンの記憶を取り戻した伊佐那社によって事件は解決し、力を暴走させた尊が命を落とすものの、衝突は回避される。そのあとは新たな赤の王のアンナが率いることとなり、さらに白銀のクランの白米党を結成した社の呼びかけにより、白米党およびセプター4と共同戦線を張って、緑のクランであるjungleの野望を食い止めるために奮闘した。

セプター4 (せぷたーふぉー)

第四王権者「青の王」である宗像礼司が室長を務める「青のクラン」。正式名称は「東京法務局戸籍課第四分室」で、隊員は青い制服をまとうため、「青服」と呼ばれることもある。異能者による犯罪を取り締まったり、ストレインを管理するための特殊機関で、統制や秩序をつねに重視している。それだけに、ストリートギャングとして知られている赤のクランの吠舞羅とは相性が悪く、王やクランズマン同士の諍いもあって互いに敵対心を抱いている。葦中学園島の事件では全面戦争に発展しかけたが、アドルフ・K・ヴァイスマンの記憶を取り戻した伊佐那社によって解決し、衝突は回避される。「黄金の王」國常路大覚が他界してからは、黄金のクランの非時院に代わって政府から頼られることも増える。さらに、白銀のクランの白米党を結成した社の呼びかけにより、白米党およびセプター4と共同戦線を張り、緑のクランであるjungleの野望を食い止めるために奮闘した。jungleとの戦いが終わり、ドレスデン石盤が破壊されたあとも存続しており、構成員たちは異能者たちが起こした事件の後始末を行うとともに、新たな秩序を確立するために動いている。

jungle (じゃんぐる)

第五王権者「緑の王」である比水流が率いる「緑のクラン」。比水がインターネットを介して不特定多数の市民たちに異能力を付与しており、サイトに登録した本人も意識しないままにクランズマンとして引き入れている。「ランカー制度」と呼ばれる特殊な制度を取っており、ネットから発せられる指令を達成すると「jungleポイント」を獲得し、より高位のランクに昇格できる。反対に指令を達成できなかった場合は、降格やクランズマンとしての力を剥奪されることもある。國常路大覚が他界したことを機に本格的に動き出し、その組織力と比水の圧倒的な力によって、一時はドレスデン石盤を手中におさめる。しかし、白銀のクランの白米党と、赤のクランの吠舞羅、そして青のクランのセプター4が共同戦線を張って対抗し、戦いの末に主要メンバーである比水や磐舟天鶏が死亡し、瓦解している。

場所

葦中学園島 (あしなかがくえんとう)

伊佐那社が通っている高校の敷地となっている島。校舎のほか、白銀のクランの白米党が本拠としている学生寮も存在しており、彼らの拠点ともいえる場所となっている。かつて、三輪一言の次代「無色の王」の野望に巻き込まれ、赤のクランの吠舞羅と青のクランであるセプター4の介入によって混乱が起こった。しかし、アドルフ・K・ヴァイスマンの記憶を取り戻した社の尽力によって事件が解決し、平和を取り戻している。

その他キーワード

ドレスデン石盤 (どれすでんせきばん)

ドイツのドレスデンで発見された、謎の石盤。なんらかの意思が宿っており、適格者と定めた人物に対して「応の力」と呼ばれる異能力を与え、王権者に認定する。アドルフ・K・ヴァイスマンや國常路大覚、クローディア・ヴァイスマンらによって研究が進められたことで起動し、クローディアの死後、アドルフと國常路の二人をそれぞれ「白銀の王」「黄金の王」に選定。それ以降、石盤が認めた人間に異能力を与えて王権者に仕立て上げている。長らく黄金のクランの非時院によって管理されていたが、國常路の死後に暗躍を始めた比水流が奪取し、すべての人間に対して強制的に異能力を与えるように操作される。しかし、ヴァイスマンの記憶を受け継いだ伊佐那社の策によって破壊され、逆に王権者を含めたすべての人間から異能力が消滅することとなった。

王権者 (おうけんしゃ)

ドレスデン石盤によって選定され、異能力を与えられた人物。「王」とも呼ばれている。「白銀の王」「黄金の王」「赤の王」「青の王」「緑の王」「灰色の王」「無色の王」の七人が存在し、同種の王権者が同時に現れることはない。王権者に認定された人物は、他者に異能力を付与することが可能で、力を与えられた人物は「クランズマン」と呼ばれる存在となり、王権者が結成したクランの傘下におさまることが義務づけられる。本気を出すことで「ダモクレスの剣」と呼ばれるエネルギー結晶体が上空に現れるという特徴を持つ。また、力を暴走させるとダモクレスの剣が地面に落下する「ダモクレスダウン」と呼ばれる現象が発生し、最悪の場合は都市一つが壊滅するほどの惨事が引き起こされる。そのため、王権者となったものは、自分の力をできる限り制御することが求められている。

クラン

王権者が率いる、異能者の組織や集団の総称。王権者に力を与えられてクランの一員となった構成員は「クランズマン」と呼ばれている。クランの特徴などは結成した王権者によって決められ、例えば無法者である周防尊が結成した赤のクラン、吠舞羅はストリートギャングの体裁をとっている。また、王権者の死亡などによって新たな王が生まれた場合は、元のクランが解散し、新しい王によるクランが発足することがある。一方で、櫛名アンナや宗像礼司のように、前の王が設立したクランに所属していた人物が新たな王となった場合は、それを引き継ぐこともある。クランの規模は千差万別で、黄金のクランの非時院やセプター4のように多数のクランズマンを擁するクランもあれば、白銀のクランである白米党のように三人のみの少数精鋭のクランも存在する。

ストレイン

王権者から力を与えられたわけではなく、自然発生的に異能力に覚醒した者の総称。櫛名アンナやネコなどが該当する。「王のなりそこない」とも呼ばれているが、中にはアンナのように力を継承することによって王として抜擢される者もいる。王から直接力を与えられるクランズマンと比較すると、自身で力を制御できない不安定な状態にあることが多い。また、動物がストレインに目覚めることもある。

クレジット

原作

GoRA・GoHands

書誌情報

K -beautiful pieces- 講談社〈マガジンエッジKC〉

(2019-11-15発行、 978-4065176856)

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