概要・あらすじ
未開の土地である「バウワットの森」を調べていた考古学者のヤンは、猫型の大型哺乳類に襲われそうになったところを、獣の頭蓋骨の面を被った少年によって助けられる。キバと名乗るその少年は、動物のような能力を持ち、動物と会話ができる幻の人種・獣人の生き残りだった。ヤンから獣人の話を聞いたキバは、自分以外の獣人に出会うため、生まれ育った「バウワットの森」を旅立つのだった。
登場人物・キャラクター
キバ
獣人という人種で、動物と会話する能力を持つ少年。獣の頭蓋骨の面を被り、明るく元気なうえに人懐こい性格をしている。幼い頃から「バウワットの森」で暮らしているが、両親はおらず、グレオの母親によって育てられた。体は小さいが力が強く、森の東に大きななわばりを作り、岩を改造した家でグレオと暮らしている。
グレオ
キバの相棒であるオスのタテガミオオカミ。狼のような見た目で、頭部から尻尾にかけて白いたてがみを生やしている。キバと一緒に育てられたため、キバとは兄弟のような関係。本能のままに動き回るキバのサポートをしている。
ヤン
考古学者として各地を調査している老人の男性。未開の地である「バウワットの森」に、古代植物などの調査に来ていた。好奇心が旺盛で、夢中になると周りが見えなくなってしまう性格。発明家でもあり、ロボットの助手を連れている。
ズゥ
猫型の大型哺乳類のような見た目をした獣。「バウワットの森」の西側になわばりを持つ。好戦的な性格をしており、キバのなわばりを奪い取ろうと画策している。キバのなわばり内でこっそり獲物を狩っていたヤンと出会い、彼を追い立てていた。
セタ
砂漠の地に住んでいる「砂の民」の少女。普段は砂漠で生活しているが、年に一度訪れる「黒い翼」と呼ばれる強大な砂嵐に備え、現在は地下に建造した住居で生活している。砂漠に倒れていたキバを、母親とともに介抱し、友達になる。
ナキ
砂漠の地に住んでいる「砂の民」の少年。セタと行動をともにしており、キバと黒い翼に備えた食料調達をする。誰も直接見たことがない、といわれている黒い翼を一目見ようと、密かにセタらとともに、巨大サボテン内に隠れ家を製作していた。
ガトウ
盗賊を生業としている男性。バレアとコンビを組んでいる。長髪を後ろで一つに結び、左目が隠れるデザインをしたヘルメットのような防具を被っている。戦闘の際は刀を武器にして戦う。「谷間の街ゴッシェ」の町長ポチェリコの屋敷に盗みに入っていた。
バレア
盗賊を生業としている女性。ガトウとコンビを組んでいる。短髪でスタイルのいい美女ながら、顔の右側に大きな傷がある。短刀を武器に戦う。「谷間の街ゴッシェ」の町長ポチェリコの屋敷に盗みに入るため、キバをスカウトした。
ジクロ
情報屋を生業としている少年。頭に相棒の鳥・ウルケラを乗せている。ガトウたちと組んでポチェリコの屋敷の情報を収集していた。頭の両横に角のような飾りが付いた、両目が隠れる帽子を被っている。態度が大きいが、実は小心者。
ウルケラ
ジクロの相棒をしているメスの鳥。頭頂部と尾っぽの毛が長く、クチバシはオウムのように曲がり、先端が黒くなっている。情報屋であるジクロの伝達係として、脚に手紙を付けて運ぶ仕事をしている。簡単な言葉であれば話すことも可能。
ポチェリコ
口ひげを生やした巨漢の男性。「谷間の街ゴッシェ」の町長を務めている。要塞のような屋敷に隠し部屋を作り、そこで秘薬を開発している。秘薬の情報を守るため、屋敷のいたるところに数々のトラップや殺し屋を配置している。
薬剤師 (やくざいし)
薬剤師を生業としている男性の老人。個人名は不明。長い顎ひげと口ひげを生やし、眼光が鋭く、やせ型の容姿をしている。ポチェリコの屋敷にある隠し部屋で、秘密の薬の開発に携わっている。秘薬の実験と称し、人に薬を飲ませていた。
イギルーズ
数少ない獣人の生き残りの老人。裏社会で活躍するガトウたちのボスを務めている男性。ポチェリコが秘薬を開発しているらしいという噂を聞きつけ、ガトウたちに偵察に向かわせていた。30年以上前から、盗賊として町から町へと渡り歩いている。
リン
古代遺跡を探しながら各地を巡っている少女。移動用に作った円形に手足が生えた乗り物に「ウィーニー」と名付けている。キバとジクロに出会い、ともに遺跡を探している途中、ひょんなことから「ガリ族」が守る遺跡を発見した。
村長 (そんちょう)
「ガリ族」の村長を務める老人の男性。一族の中で唯一、来訪者の善悪を判断する権威を持っている。背が低く、大きな羽飾りのような物を頭に付けている。普段はおぼつかない足取りをしているが、宴会ではダンスを披露することもあった。
ルカ
遺跡を警護している男性たちのまとめ役をしている男性。「ガリ族」が守って来た神聖な遺跡には獣人の像がある。獣人であるキバたちを村に招待し、宴会を手配したり、身の回りの世話をしてくれた。上半身は裸だが、胸元と腰回りに鳥の羽のような物を付けている。
その他キーワード
獣人 (けものびと)
地上のあらゆる生き物と、心を通じ合わせることができる種族の名称。人間と変わらない見た目をしているが、犬歯が発達しており、野性的な速さと力を備え持っている。かつては人里離れた遠い土地に暮らしていたが、人間によって絶滅に追い込まれ、現在では存在しない幻の種族と考えられていた。
黒い翼 (くろいつばさ)
砂漠に年に一度だけ訪れる強大な砂嵐の名称。威力の強い黒い風が1週間もの間吹き荒れ、住居にもなるほど頑丈な巨大サボテンすら、ボロボロにしてしまう。「砂の民」はこの風が吹く間、外に出てはいけないという掟を作っており、黒い翼が襲来する前に食料や水を貯蓄し、地下に作った住居に籠って生活している。