エンジェル・ハート 2ndシーズン

エンジェル・ハート 2ndシーズン

北条司によるオリジナル作品。どんな依頼でもこなすシティハンターの少女・香瑩が、様々な人々の依頼を叶えるべく奮闘する姿を描く。同じ作者のヒット作『シティーハンター』を、家族愛をテーマにリメイクした『エンジェル・ハート』の第2シーズンにあたる。中心となるストーリーは存在せず、数話にわたって展開される中編で構成されている。アクションシーンは少なく、人間ドラマとしての面が色濃く描かれている。月刊「コミックゼノン」2010年創刊号から連載開始。2017年4月現在、単行本15巻が発行されている。なお、2ndシーズンから、「シティーハンター」ではなく、「シティハンター」という表記が用いられている。

正式名称
エンジェル・ハート 2ndシーズン
ふりがな
えんじぇる はーと せかんどしーずん
作者
ジャンル
ヒューマンドラマ
関連商品
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概要・あらすじ

すっかりシティハンターとして板に付いてきた香瑩。ある日、いつもの伝言板に「XYZ」の依頼が出される。依頼主はトップ女優の如月玲奈で、彼女の持つ時計を処分して欲しいという。その時計は彼女の祖父の代から受け継がれているもので、一生添い遂げる相手が触れた時にのみ動くという、不思議な時計だった。今まで付き合った相手が誰一人この時計を動かすことができず、その事実を目の当たりにした瞬間、相手への気持ちが冷めてしまうと語る玲奈。

このままでは時計に縛られて、一生結婚できないのでは悩んだ末、シティハンターに処分を依頼することとなったのであった。壊れているわけでもないのに動かない時計。その謎が気になる香瑩。ふと動かないはずの時計の針が、一刻みだけ動いていることに気付く。

知らない間に「玲奈のパートナーとなる」誰かが触っていたのでは? と考える香瑩だった。依頼を受けてから、その時計を触った者は、依頼の場に立ち会った冴羽獠など数えるほどしかいない。触っても動かなかった獠たちを除外すると、残されたのは玲奈が所属する事務所の社長・飛鳥だけだった。飛鳥の事務所に確認に訪れた香瑩が、飛鳥に向かって時計を投げる。

思わずつかんでしまう飛鳥。すると時計がカチリと時を刻むのであった。

登場人物・キャラクター

香瑩 (しゃんいん)

プロの始末屋「シティハンター」の少女。19歳。2歳の時にマフィアに掠(さら)われ、殺し屋として育てられた。成長してマフィアの暗殺部隊「朱雀」の一員となり、「グラス・ハート」というコードネームを持つ殺し屋となる。その後、殺し屋業を続けることに絶望して自殺を図るが、心臓移植を受けて一命を取り止める。その心臓が事故死した槇村香のものだったため、香瑩の中に香の心が宿ることとなる。 以降、マフィアを抜け、香瑩という名で冴羽獠とともにシティハンターとして活躍するようになった。後に獠の養子となる。獠を「爸爸(ぱーぱ)」と呼び、実の父のように慕っている。ただし、獠がスケベな本性をむき出しにすると、容赦なく香譲りの100tハンマーを叩き込む。 実父は台湾マフィアの大物・李堅強。

冴羽 獠 (さえば りょう)

シティハンターの男性。かつて槇村香とコンビを組んで活躍していた。香が不慮の事故で他界した後、しばらくは無気力に生きていたが、香の心臓を移植した香瑩と出会って復活。香瑩とともにシティハンターとしての活動を再開する。後に香瑩を養子としており、香瑩からは「爸爸(ぱーぱ)」と呼ばれている。美女を見ると「もっこり」する癖は治らず、その度に、かつて香にされたように、香瑩から100tハンマーによる制裁を喰らっている。 愛用する拳銃はコルト・パイソン。シティハンターとなる前は傭兵だった。

槇村 香 (まきむら かおり)

冴羽獠のかつてのパートナーの女性。一緒にシティハンターとして活躍していたが、車に轢かれそうになった少女を庇って負傷、脳死状態となる。移植のために心臓を摘出するが、その心臓がマフィアに奪われ、自殺を図ったグラス・ハート(香瑩)に移植されてしまう。その時、なぜか香瑩の心に槇村香の意識が宿り、香瑩の中で生き続けるようになる。 今も多くの仲間たちに愛されており、命日の前日には皆で集まって、盛大な「命日カウントダウンパーティー」が行われている。

劉 信宏 (りゅう しんほん)

COFFEE HOUSE CAT’S・EYEの住み込み店員の男性。かつてはマフィアの戦闘部隊「青龍」の一員で、香瑩とは訓練学校時代の友人。紆余曲折を経て、CAT’S・EYEで働きながら香瑩を見守り、時にはシティハンターとしての香瑩や冴羽獠の依頼を手伝っている。獠を心の師として尊敬しており、CAT’S・EYEのマスターであるファルコンを理想の父親像として慕っている。

ファルコン

新宿でCOFFEE HOUSE CAT’S・EYEを経営する男性。元傭兵で、冴羽獠とともに戦場に赴いたこともある。愛称は「海坊主」。戦場で失明して傭兵を引退し、喫茶店のマスターとなった。筋骨隆々の堂々たる体軀で、バズーカ砲2丁を軽々と操る。また、指が太すぎて、携帯電話のキーを直に押すことはできないが、楊枝を2本使って器用にメールを打つこともできる。 ストリートチルドレンだったミキを引き取り、劉信宏とともに一つ屋根の下で暮らしている。

ミキ

ファルコンとともに暮らす少女。かつて母親を失ってからストリートチルドレンとして暮らしていたが、ファルコンに引き取られ、子供として育てられる。天使の笑顔を持つとされ、淋しさに満ちた人を見かけると絵本を読み聞かせ、その人の心を癒していた。また、人の顔がその人の本当の心の姿として見えており、老人でもミキには若者のように見えていることもある。

(ちん)

台湾マフィアの隠密舞台「玄武」の元指揮官の男性。現在はCAT’S・EYEの隣に中華料理店を開店し、冴羽獠、香瑩父娘の後見人的な存在として見守っている。また、つてを使って香瑩のために暗躍したり、裏社会から情報を入手したりしている。

李 堅強 (り じぃえんちゃん)

台湾マフィア「正道会」の大ボスの男性。周りからは、身分の高い人を示す「大人」という尊称をつけて呼ばれている。香瑩の実父。ただし、香瑩にはそのことを隠している。

楊 芳玉 (やん ふぁんゆい)

隻眼の傭兵。冴羽獠の傭兵時代からの知り合いの女性。誕生日である12月25日にメールするように獠と約束しているが、いつも獠が忘れて楊芳玉を怒らせている。かつて戦場カメラマンの笈川康幸と愛し合い、子供をもうけるが、そのことを互いに知らぬまま別れていた。

カメレオン

変装が得意な殺人者。一見しただけではわからないほど、そっくりに変装することができる。女性に扮していることが多いが、性別は男性。過去に香瑩と一戦交えたことがあり、それ以来、香瑩や冴羽獠になにかと絡んでくる。なお、心の姿が見えるミキには、どんな変装をしても顔がのっぺらぼうに見えるため、変装が通用しない。

如月 玲奈 (きさらぎ れな)

人気女優。「一生添い遂げる人がいる時だけ動く不思議な時計」を受け継いでおり、その時計に縛られて結婚できないことを悲観。時計の処分をシティハンターに依頼してきた。無名の頃から自分を支えてくれた事務所社長の飛鳥に、無意識のうちに惹かれている。

笈川 康幸 (おいかわ やすゆき)

元戦場カメラマンの男性。楊芳玉と出逢い、結婚の約束をするが、楊から一方的な別れの手紙をもらった。現在は立ち退きを要求されている古い一軒家に居座り、そこに生えている桜の樹を守っている。

石渡 智也 (いしわたり ともや)

新宿東口交番に勤務する巡査。実直で真面目な性格の男性。わずかな期間に何度も署長から表彰されている。ある日、指名手配犯を追い詰めるが、反撃に遭って殺されそうになったところを香瑩に助けられ、香瑩と知り合いになる。育ての親は元刑事の石渡だが、実の父は服役歴のある堀田明史。

堀田 明史 (ほった あきふみ)

焼き鳥屋「とり智」の主人。石渡智也の実父。かつてはチンピラだった。石渡刑事に逮捕された時、母親は智也を生んで死亡。そのため、石渡に智也を託した。後に更正し、新宿で焼き鳥屋を営んでいたが、過去を知るヤクザの工藤が現れ、本当のことをばらすと脅されたため、つい工藤を刺してしまう。

倉田 雄一郎 (くらた ゆういちろう)

新宿で彷徨っていたところを香瑩に助けられた青年。1973年に、ヨットで太平洋を横断中にハワイの沖合で舟から海に落ち、気付いたら今の世界に来ていたという。その後、陳の調査により、倉田雄一郎という人物が実在しており、彼が倉田雄一郎本人であることが証明される。

金城 一樹 (きんじょう かずき)

青年実業家。「莫大な富の代わりにその他の運を失う」と言われる秘宝の持ち主。金運の見返りに、家族の不幸や自身への災難などに見舞われている。実はその秘宝は彼の父親が、かつて傭兵だった頃に、冴羽獠らと偶然発見したものだった。そのことを知った金城一樹は、獠たちに秘宝を元の場所に返してくるように依頼する。

三浦 走 (みうら かける)

神明サッカークラブに所属する少年。東日本大震災の被災者で、父親は現在も行方不明。今は母親と二人で暮らしている。家が貧しく、サッカーを諦めかけていたところを、シンパシーを感じた劉信宏の援助によって続けられるようになる。三浦走自身は特待生のため、クラブの部費が免除されていると思い込んでいる。

吉行 淳 (よしゆき じゅんのすけ)

某国の工作員の男性。子供の頃、某国に拉致されて工作員に仕立て上げられた。日本でテロを起こす命令を受けていたが、命令を無視。冴羽獠に「依頼を受けないと核爆弾を爆発させる」と言い、ある4人の人物を山奥の廃校に集めさせた。

雅玲 (やーりん)

劉信宏の生き別れた妹とそっくりの顔と同じ名前を持つ少女。騙されて日本に連れてこられ、風俗で働かされそうになったため、仲間たちと逃走。新宿で身を潜めながら暮らしていた。

中津川 隼子 (なかつがわ じゅんこ)

女子高生。ファルコンの元恋人だった中津川静香の娘。自分の父親のことを知るために、母親の携帯電話を秘かに調べたところ、その中に「ファルコン」の名前を見つける。自分の名前の「隼」がファルコンから取ったものだと思い込んで、CAT’S・EYEにやってきた。

中津川 静香 (なかつがわ しずか)

エステ業界最大手の「しずか・ビューティ・サロン」のオーナー社長。中津川隼子の母。かつてファルコンの他に、土建会社社長の野村裕真、議員の渡辺明仁、作家の小林智也とも同時期に付き合っており、後に誰が父親かわからないまま、隼子を産んだ。隼子の父親を決めるために、自分の偽の葬儀をあげることを計画する。

栗田 和久 (くりた かずひさ)

バーテンの男性。かつてはプロ野球チーム・東京RAIDERSの選手で、名ピッチャーとして活躍していた。事故を起こし、同乗者を死なせてしまったため、表舞台から姿を消していた。陳が監督をする草野球チームの助っ人を頼まれ、小学生女子チームと対戦する。

栗田 はるか (くりた はるか)

小学生女子の野球チーム・野川ANGELSのピッチャー。父は元プロ野球選手の栗田和久。サウスポーで、父とそっくりの投球フォームで、切れの良い変化球を投げる。陳の草野球チームと対戦後、父だとは知らずに、栗田からピッチングのコーチを受けることとなる。

榎本 一馬 (えのもと かずま)

大手IT企業の社長。本名は榎本拓馬。榎本一馬の双子の弟。若かりし頃、成り行きから事故死した兄に代わって社長となり、会社を大企業にまで発展させたが、ずっと兄に負い目を感じていた。自分の死期が近いことを知り、自分の葬儀の際には、本物の「榎本一馬」の遺骨を皆で送り出して欲しいと思い、兄の遺骨と自分の遺骨をすり替えてくれるよう、シティハンターに依頼した。

篠田 紫苑 (しのだ しおん)

小料理屋「藍」の女将。榎本拓馬と篠田藍子の娘。母の藍子が大衆食堂で働いていた時に、常連だった拓馬との間にもうけた子供。母から拓馬の好物だったきんぴらの味を受け継いでおり、榎本一馬として小料理屋「藍」にやってきた拓馬に振る舞った。

富塚 まな (とみづか まな)

引きこもりの少女。かつて強盗団に両親を惨殺され、そのトラウマから外出できなくなっていた。知能が高く、片言ながら喋ることもできるカラスのトビオと暮らしている。トビオやその仲間のカラスを使って、街の声や映像を入手し、ネット上で公開して楽しんでいた。両親を殺した犯人である「右頬に傷のある男」に居場所がばれ、命を狙われることとなる。

由佳 (ゆいか)

かつて槇村香がその身を挺して救った少女。事故直後、怖くなって逃げ出してしまったことを、ずっと気に病んでいた。香が多くの人に愛されていたことを知って、さらなる罪の意識に苛まれていたが、「香の命を引き継いだ子」として、恨まれるどころか皆に感謝されていると聞かされ、涙する。

その他キーワード

シティハンター

プロの始末屋(スイーパー)のこと。新宿駅東口の伝言板に、「XYZ」の文字と連絡先を記すと、依頼することができる。本作では香瑩が中心となって依頼を受けており、冴羽獠はサポートに回ることが多い。ちなみに獠の場合は、基本的に女性からの依頼しか受けないとされている。新宿にある「COFFEE HOUSE CAT’S・EYE」を拠点としている。

関連

シティーハンター

主人公冴羽獠が、依頼人から受ける様々な問題を超一流の凄腕技術を使って次から次へと解決していく姿を描く。北条司の代表作。 関連ページ:シティーハンター

エンジェル・ハート (えんじぇる はーと)

殺人兵器として生きてきたグラス・ハートが、自殺を図り、別人の心臓を移植されたことで、違う人生を歩む姿を描くアクション漫画。北条司の漫画『シティーハンター』のパラレルワールド的世界観の作品。 関連ページ:エンジェル・ハート

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