概要・あらすじ
15年前、沖ノ真船島で発生した某国駐留軍が開発・保存していた毒ガスMW(ムウ)の漏出事故。島内ただ二人の生存者となったのは、誘拐された少年・結城美知夫と誘拐犯グループの不良少年・賀来巌だった。美しく成長し、将来を嘱望される銀行マンとなった結城美知夫だったが、彼の心身は毒ガスに侵されていた。
MWを使った大量殺戮を計画、そのために犯罪を重ねていく結城美知夫。彼を愛するがゆえに彼に利用されることを由とし続けてきた賀来巌は、葛藤しつつも計画を止めるため奔走する。
登場人物・キャラクター
結城 美知夫 (ゆうき みちお)
関都銀行貸付主任として将来を嘱望される美青年銀行マンだが、裏の顔は連続殺人犯。少年時代、賀来巌が所属していた不良集団に誘拐された沖ノ真船島で、毒ガスMW漏出事故に巻き込まれた。ガスの後遺症により心身を蝕まれている。MWによる大量殺戮の計画を立て、そのために犯罪を重ねている。 関西歌舞伎の家の生まれだが、現在は勘当されている。その血もあってか、変装、女装の達人。
賀来 巌 (がらい いわお)
大柄な外見の神父。結城美知夫の共犯者的存在であり、恋人同然の関係を持っている。15年前、下っ端として所属していた不良グループと共に沖ノ真船島に渡り、そこで幼い結城美知夫を誘拐、半ば強引に彼を抱く。以来、毒ガスMW漏出事故から生き延びて後も関係は続き、犯罪者へと堕ちていく結城美知夫の共犯者的な立ち位置となる。 彼を更正させようと説得を試みては挫折している。
場所
沖ノ真船島 (おきのまふねじま)
『MW』の舞台のひとつ。鹿児島のはるか南、南西諸島の沖縄よりにある小島。某国駐留軍が開発した毒ガスMWの貯蔵庫が置かれていた。15年前の漏出事故によって、島のあらゆる生物と植物の一部が死滅した。駐留軍と当時の首相によってこのことは隠蔽され、住民の遺体を処理した建設会社の関係者が新たな島民として移住、今ではそっくり島民が入れ替わった形で島が存続している。
その他キーワード
MW (むう)
『MW』に登場する兵器。ベトナム戦争末期、某国のフォート・デトリック研究所で開発された生物化学兵器。いわゆる毒ガス。沖ノ真船島に貯蔵庫があった。サル1匹に対し、わずか15ミリグラム/立方メートルの微量で、数秒のうちに呼吸器の発作を起こさせ、死亡させる力を持つ。